On the Back of the Flyer

TOEIC学習メモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

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 今日は、羽生君とチーム・ブライアンが、さいたまの全日本選手権からソチ五輪まで具体的に何をしていたのか。その部分を、本書から引いてみようと思います。

 それは、全日本選手権の試合後、大会最終日の深夜からすでに始まっていました(185~187頁)。

  「試合後はすでに深夜でしたが、日本スケート連盟といろいろな打ち合わせをしました。橋本聖子会長にも『パトリック・チャンに勝てるのは世界でユヅルだけだ。ユヅルのために、これとこれは準備してくれ』と、チーム・ブライアンの希望を伝えました。オリンピックの会場に入るコーチIDをトレーナーの菊地さんにも発行すること、練習後にくつろげる部屋や食事に対する配慮、通訳の手配などです。オリンピックという特殊な環境で、どんなことが1日24時間に起きるかを想定し、ユヅルが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えたのです。全部の要望は通りませんでしたが、折衝をしました」

 はやくこの人、会長辞めてくんねーかなと思いつつ、でも、いまは荒川さんが副会長ですから、リクエストは通りやすくなるんじゃないか?という気がします。

 どういう要望が通らなかったか、さすがに、具体的にどれとどれ、という書き方はされていませんが、バンクーバーでのヨナの状況と比較して語られているので、ある程度想像できます。

  「ヨナのときは韓国のトップ選手がヨナひとりでしたので、ヨナを特別扱いしてもらうことは簡単でした。選手村に宿泊せず特別なホテルを準備してもらい、欲しいだけの関係者パスを発行してもらえました。しかし日本にはメダル候補がたくさんいたので、多少の譲歩をしたうえで『そのかわり現地で何かあれば柔軟に対応してほしい』と念押ししました。ユヅルが直接言うとワガママに聞こえますから、チーム・ブライアンの希望として強く連盟に主張しました。その後、私はカナダへと戻りました

 全日本の後、羽生君は仙台に戻ってそのまま年を越します。年明けにトロントに戻り、羽生君、ハビ、ブライアン、トレーシーで「最後の作戦会議」をしたそうです。オリンピックとはどういうものなのか、二人の経験を伝え、このように声をかけたそうです(187頁)。

  「私たちはチームだ。試合ではスペインと日本のユニフォームを着て、2人のそばにいる。滑走順次第では2人の演技が近くなることもあるが、必ず本番の瞬間はリンクサイドにいる。そして2人を心から誇りに思う。あとはオリンピックを楽しむことを忘れないように」

 ブライアンは本書の中で、「このとき、ああチーム・ブライアンは男の子が2人いてよかったな、とつくづく思いました。ヨナのときとは違う雰囲気です」と語っています。

 平昌ではどうなるのでしょうね。17-18シーズンのGPシリーズのアサインも発表され、これにより、ジュンファン君も平昌五輪には出場するでしょう。コーチも、ジスラン・ブリアントさんもいないと、ケアが行き届かないんじゃないか?という気がします。女子シングルも、ツルシンちゃんやデールマンもいるし、かなりの大所帯になるでしょうね。

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 ソチに着いてからも、見ておきましょう(188~189頁)。シングルのみの出場のハビよりも一足早く、羽生君とブライアンは2月4日に現地入り。トロントからミュンヘンを経由し、ブライアンはミュンヘンで日本代表の制服に着替えたという話です。ちなみに、ハビは開会式でスペイン選手団の旗手を務めたそうです。

 現地入り後のブライアンの配慮も細かいです。「ハビエルは、ユヅルよりもちょっとばかりメンタルの世話が必要」ということで、ブライアンはスペインの選手村の方に宿泊。

 開会式は、日本とスペイン、どちらに参加しても不公平になるとブライアンは考えて、当初は選手村のテレビで見る予定だったとか。しかし、羽生君が団体戦出場のために開会式を欠席したため、スペイン選手団と一緒に出たそうです。

 ちなみに、ブライアンはカルガリー五輪で旗手を務めていますが、「長時間待たされて疲れました。(直後に試合がある選手には集中の妨げになり・・・)ユヅルの欠席は賢明な判断でした」と語っています。

 4年前の五輪で、しかも、結果も知っているのに、上のソチ入りの画像を貼って、ブライアンの「回想」をPCで打ち込みながら、はやくも妙な緊張感におそわれている自分がいます。

 平昌五輪が来てほしいような、来てほしくないような・・・。それは結果がどうあれ、羽生君の引退の時期が近づくことも意味していますから、こんなことを考えてはいけない!と分かってはいても、ちょっと複雑な気持ちになりますね。

 では、また明日!

 Jun

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 今日は、さいたまスーパーアリーナでおこなわれた13年の全日本選手権です。SPは動画を2つ貼りました。上は高画質版で場内音声のみ。下は低画質ですが、フジの西岡アナの実況に本田さんと荒川さんのダブル解説入りです。

 全日本は参考記録という面もありますが、演技の出来自体はいいです。4Tと3Aは完璧な出来。とくに3Aは驚異のGOE+3.00が出ました。ルッツは軸が危なかったので加点は渋いですが、よく転倒せずに降りられたと思います。

 フィニッシュ時およびキスクラでの羽生君の表情を見ていると、闘志というか欲というか、そういう感情がキレイに抜け落ちて、自分の演技によく集中していたような印象を受けます。



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 フリーは実況・解説入りで高画質版が生きていました。4Sで転倒。4Tは着氷で踏ん張りましたが、GOE+1.40をもらえています。フリップでエラー。2本の3Aはともに+2.80と、この大会では、SPも含めてアクセルのキレキレ具合が印象的です。「根性」で降りた最後のルッツも+0.56もらえていますね。

 本人は渋い表情。でも、福岡のGPFの演技でも感じましたが、特にフリーの4Sのミスも想定内という感じで、そのミスを他のエレメンツに引きずらなかった点が、この2試合での羽生君の「強さ」のように感じます。

 そうそう、この全日本のフリーを見て、いまさら思ったことですが、来季のフリーはこの新ロミジュリぐらいの、ゆったりとしたイナバウアーを見たいです。そうなると、選曲やつなぎの詰め込み方に、様々な制限がかかるのもしれませんが・・・

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 福岡のGPFからさいたまの全日本まで、羽生君がどう過ごしていたのかは、次のように書かれています(185頁)。

  「ユヅルは少し早く日本に帰国して、コンディションを整えました。試合の5日ほど前に私も合流し、ユヅルやお母さん、トレーナーの菊地さんらによるプライベート練習を行いました。トロントとはまた違い、静かな環境で集中できたのはありがたいことでした

 そっかぁ・・・国内リンクの調整の場にも、菊地さん、そしてお母さんもしっかり付き添うことで、試合モードの集中が維持できるわけですね。

 そして、私自身、すっかり記憶から抜け落ちていたのが、2018年にも通じる、以下の内容です(185頁)。

  「ユヅルはグランプリファイナルで優勝していましたから、それでひとりめのオリンピック代表に選ばれるのではないかと期待していたのですが、そうはなりませんでした。『OK、いいだろう、勝負しようじゃないか』という気持ちでしたね」

  「『オリンピック前にピークを作る』ということを私が心配すると選手は混乱するので、オリンピックと他の試合は切り離して考えるようにしていました。ですから全日本選手権もシンプルに全力で臨んだのです」

 羽生君の全日本シードの件をブログで取り上げた際、バンクーバー五輪の代表選考に関しては、GPFでの優秀な成績により織田君と安藤さんは全日本前に代表に内定していた話を取り上げました。

 ソチではその選考基準が変わったわけですが、ブライアンがそれを正確に把握していなかったというのは興味深いですね。日本の選考方法は、世界的に見てスタンダードではないということかもしれません。

 平昌の基準はどうなるのでしょうね・・・。ただ、16-17シーズンにあれだけインフルエンザが日本代表の間で猛威を振るったことを考えると、もしかしたら、バンクーバーの基準に戻すことも十分に考えられるように思います。もしかりに、私がその決定権を担う人間なら、そういう「抜け道」を用意しておきたいです。

 これは私がゆづファンだから言ってるわけではなく、例えば、宇野君にしろ、女子シングル選手にしろ、名古屋のGPFで台乗りした選手が感染しないとは限りませんからね。むしろ、日本国内にある程度の期間滞在し、連戦することになるからこそ、「危ない」ともいえます。本番は2月ですから、かりに病気になったとしても、しっかり休息をとれば、十分に戦えます。

 そして、今回の記事のタイトルと関連する部分なんですが、このピーキングの考え方については、16-17シーズンでも、羽生君とブライアンとの間で「一致しない部分」がありましたよね。

 たしかに、「12月にピークを持ってくるのは、早すぎる!」という考え方は、理論上は正しい。

 ただ、福岡での羽生君のパフォーマンスが素晴らしかったことで、ブライアンはこの原則論を引っ込めました。「ピークを持ってくるな!」と言いすぎることで、羽生君に対して余計なプレッシャーや不安感を与えるかもしれない。それによって、全日本でミスが出て、不安を抱えたまま、ソチ五輪を迎えてしまうのは、最悪ではないかと。

 福岡では最高の演技ができたわけですし、まずは、さいたまでも羽生君には良いイメージのままのびのびと演技に集中してもらう。直前のコンディショニングで微調整すればいいと、ブライアンは臨機応変に考えた・・・。本書の中では、そこまで詳しく書かれていませんが、私は、行間からそう解釈してみました。

 おそらく羽生君は、2017年も、NHK杯(大阪)でも、GPF(名古屋)でも、全日本(未定)でも「勝ちたい!」と、ブライアンに言うでしょう。その際、ブライアンはどう考え、何種類のプランを用意するのか・・・。その辺りを想像してみるのも楽しいですね。

 最後に、このネタを。

 「羽生結弦、来季向けSPを初披露。来季はショパンの・・・」(朝日、5/26、22:14)

 やはり、持ち越しのプログラムがありましたね。ただ、「バラ1」を再登板というのは、率直にいってビックリしました。理由は2つ。1つは、私の想像以上に羽生君は何が何でも五輪を連覇したいのだな・・・という点。もう1つは、ある意味でハイリスク・ハイリターンだった4Sではなく、成功率の高さという観点で4Tを入れる考えに至ったことです。

 シーズンが始まってから構成が変わる可能性もありますけど、4Sはフリーで単発1本のみに留めるかもしれませんね。好材料は、左足甲の状態がかなり良くなったと想像できること。無理だけはしてほしくないので。・・・あれ?、じゃあ、フリーはどうするのだろう?と、ますますここは気になります。

 では、また明日!

 Jun

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 さて、羽生君にとって飛躍の福岡GPFです。SPはノーミスで99.84と、見事に殻を破りました。4Tは3A(GOE+2.43)を上回る+2.71で、完璧です。今回、3Lz+3Tも+1.40と高評価を得ました。PCSには10点をつけるジャッジも現れて、ここに来て、グッとスコアが上がりましたね。

 それにしても、このスコアを見て、羽生君は「マジか・・・」という感じですが、むしろ、ブライアンの方がエキサイトしています。ここは、やはり国民性というやつでしょうか。



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 フリーです。193.41でPBを大幅に更新。SP・フリーともに1位の完全優勝。トータルで293.50を叩き出し、これにより、ソチ五輪の金メダル候補に躍り出たわけです。

 冒頭の4Sで転倒した以外はノーミスの内容で、昨日ご紹介した「本人の見立て」を超えて、4Sで転倒があっても技術点は100点超えています。

 ブライアンは、「この、このぅ!」という感じですが、羽生君は照れ隠し的に渋い表情を見せていて、そのやり取りが微笑ましいですね。

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 ブライアンは、この福岡のファイナルを、こう回想しています(184頁)。

  「福岡で開かれるグランプリファイナルでパトリックに勝つこと。それはもう私たちにとって現実的な目標でした。試合では2人とも演技の出来は良く、パトリックがひどい滑りをしたわけではありませんが、勝ったのはユヅルでした。パトリックは4年間ずっとトップを維持してきましたが、ユヅルが急成長して追いついた。勢いが違いました」

  「オリンピック直前、あのグランプリファイナルで何もかも流れが変わったように思います。ユヅルは自信を得て、パトリックは調子が狂いだした。余裕で勝つはずの試合で負けたのですから、メディア、ファン、その他のすべてに対して『オリンピックはどうなるかわからないぞ』とユヅルはアピールしたわけです。世界の勢力図が変わる『うねり』に、私は興奮しました


  
 『王者のメソッド』で羽生君の発言を拾ってみると、フリー後の「渋い顔」は単なる照れ隠しや謙遜ではなく、自分の状態を冷静に分析していたようです(184~186頁)。

 まずは、SP後のコメントから。

  「得点にはびっくりです。こんな得点が出るという実感はなかったので。一つひとつの動きに集中していることが、良い結果に繋がったと思います。次は、もっと丁寧に滑って一つの作品に仕上げたいです

 そして、フリー後には、こう総括しています。

  「こんな点が出ると思わなかったので、正直ちょっと違うと思いました。やはりスケーティングや体力など僕の弱点である部分をトロントのコーチたちが分かってくれて、皆でしっかり頑張ってきた結果です。これは期待点として受け取って、次の試合でもっと良い演技をしたいです

  「今回の勝ちはたまたま。ショートの点が良かったからフリーも出たのだと思う。この大会はこの大会。ソチ五輪はソチ五輪です。パトリックと3戦一緒に試合させていただき、彼のお蔭で今季、成長し切れたと思います。感謝の気持ちで一杯です。今はライバルという意識はないです。彼のお蔭で自分のスタイルを掴めてきているし、五輪に向けて自分のペースを見つけさせていただきました」

 いわゆる「ノーミスすれば、自分の演技をすれば、勝てる!」という段階をさらに超越しているように感じます。

 「・・・すれば、どうなる」の、「どうなる」という部分はもうさほど重要ではない。もっと言うと、「・・・すれば」の部分も、ノーミスあるいはミスは何個までという勘定・計算すら削ぎ落されて、ただただ、一つの作品を追究するという、そこに集中しているような印象を受けました。

 明鏡止水のごとくというか、この境地というのは、15年のバルセロナのGPFのSPとフリー、そして17年のヘルシンキのフリーに通じるものを感じます。

 ただただ、すごい。でも、これを、毎年どの試合でもできない所も、羽生君の魅力だと私は思っています。迷いながら、悩みながら、強くなっていく。だからこそ、ファンとして、感情移入できて、応援したくなるのだと。

 では、また明日!

 Jun

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