On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

2016-05-29-17-36-04

2016-05-29-17-36-13


 
 『チーム・ブライアン』は、単なる「フィギュアスケートのコーチの指導論」と言い切れるほど単純な本ではありません。

 スポーツであり、芸術であり、しかもそれが採点競技であるという、フィギュアスケートというきわめて特殊な種目に対する、ブライアン・オーサーコーチの研究の一端が垣間見られるからです。

 そりゃ、ここまで多方面に目を向けなきゃ世界では勝てないわな・・・と圧倒されます。同じことを日本のコーチができるかというと、現状は難しいと言わざるをえませんね。その辺りについてはまた別の機会にレビューしたいと思います。

 この『チーム・ブライアン』の購入者の多くが羽生君のファンのはずですが、それとともに「第2章 キム・ヨナ」を読み飛ばしている人も相当いるだろうなと想像します。

 しかし、この第2章は私にとっては、いつ読んでも心が激しく揺さぶられる、とてもエモーショナルな内容です。この辺りのページを開くたびに、コメカミのあたりがズキズキくるのです。

 ヨナとブライアンについて事実関係を整理しておきましょう。

 2006年春、当時15歳のヨナは母親とともにクリケット・クラブを訪れます。ブライアンはまだコーチ業に専念していたわけではなく、プロスケーターとしてアイスショーにも参加していました。しかし、彼女の母親からの度重なる依頼を受け、ヨナの専任コーチになります。

 結果的に、2009年の世界選手権に勝ち、2010年のバンクーバー五輪で金メダルを獲得。その間の浅田真央選手との激闘、ブライアンの元を離れた後も、2014年ソチ五輪での銀メダルは皆さんもご存じでしょう。

 なぜコンビを解消したかについては、いらん所で口を出してきた彼女の母親が原因ではあるんですが、それをブライアンが「引きずっている」ことに、私はたいへん驚きました。もちろん、「引きずっている」といっても、彼女たちへの恨み節や悪口を言ってるのではありません。

 ビジネスにしろプライベートにしろ、様々な事情で人と人とが袂を分かつということはいついかなる時も起こりうることです。とりわけ、ブライアンのような温厚な指導者ならば、わがままな弟子の言い分を聞いても笑って送り出しそう・・・少なくとも私はそういうイメージを持っていました。

 ところが、です。この本で書かれているのは、「顔で笑っても心では泣いているんですよ」的な薄っぺらい内容ではありません。彼はこう語っています。

 「いまでも、ヨナのことを考えると胸がチクリと痛みます。ヨナとの別れから学んだのは、こうしたことはビジネスライクには受け止められないということです。・・・・・・本当は、コーチとしてもっとプロフェッショナルになるには、こうした生徒との関係をビジネスライクに扱わないと、私は傷ついてばかりです。でも私はそういう性格ではないのです。生徒と仕事をしたいのではなく、人生を共有したいと思ってしまうのです。

 「しかし私はいまだに不思議なのです。コーチとしての実績がまるでない私に人生を託すとヨナは決めたのですから。私たちは彼女たちに誠実に接し、彼女たちは私たちを信頼しました。そして彼女たちはチャンスをつかみ、私の人生を変えました。私自身、とても素晴らしい思い出ができましたし、彼女と共に多くの名声を築きました。彼女が私を信頼してくれたことで、私はコーチとして考え、行動することに自信を得ることができました。私は自分たちがやっていることは正しいと信じることができたのです。

 ・・・・・・なのに、なぜ?と、傷ついているんでしょうね。

 こういうことを、すでにハビエルや羽生君という新しい教え子がいて、しかもこの本はその羽生君に関連したものであるはずなのに、ここまで本音を吐露しているわけです。私には、「女々しい」とか「みっともない」という感情は全く沸きませんでした。むしろ、

 この人を悲しませるようなことがあってはならない!


 と、全くの部外者の私が、なぜかメラメラと炎がたぎってきたんですね。でも、だからこそ、よかったと思うんです。ブライアンの弟子があの義理堅い羽生君で・・・。

 
 湿っぽい話で終わるのも何なので、こちらのムックでは、ブライアンは弟子たちをユーモアを交えて見ています。

2016-05-29-17-42-58

2016-05-29-17-43-16

2016-05-29-17-44-01


 
 「動物に例えるなら、ハビエルはサル。とても野放図で、でも賢い。そしてナムは猫。何かと皆をびっくりさせて気ままだけど、可愛らしい。そしてユヅルはフクロウ。とっても賢くて冷静で、皆を俯瞰しながら様子をうかがって、常に標的を狙っている。僕のチームは動物のようだ」

 ナム君・・・・・・。羽生君には、ブライアンの弟子のまま、プロに転向してほしいですね。ハビエルもそうですが、クリケット・クラブのファミリーのみんながハッピーになってほしいですよ。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ
    このエントリーをはてなブックマークに追加

2016-05-27-10-10-09

2016-05-27-21-43-10

2016-05-27-21-43-37

2016-05-27-21-43-57

2016-05-27-21-44-09

 ※大和蔵 殿の春風 大吟醸 720ml

 「殿、利息でござる!」のタイアップ商品が我が家にも届きました。日曜の晩に飲めればと思います。


  トロントにいる羽生君にとってはノイズですらないですが、真木さんが気の毒ですね。しかし、どうして、明らかに取材一切ゼロの与太記事を書いてライターという人たちは給料もらえてんの?って、以前は私もいちいち怒りを覚えていたんですが、最近は受け止め方が変わりました。

 嘘を平気で書けるから金をもらえる。

 金をもらうためなら嘘でも何でも書く。そういう感覚の人たちが群がることでも成り立っている、残念な業界なんだと。


 昨日、マンチェスター・ユナイテッドの監督にモウリーニョが就任しましたけど、彼がインテルを率いていた頃、イタリアのメディアがあまりに不当に(採点を低くしたりして)インテルの選手を叩くのに我慢がならず、記者会見の場で、

 「あなたたちのやっているのは知的売春だ!」

 と、目の前の記者を怒鳴りつけたことがあります。本来ジャーナリストは公平中立でなければならないはずだが、あんたらは金のためなら何でもやるんだな!という意味です。

 日本でも今のようにネット全盛時代だと、悪意のある記事をわざと書いて、ヤフーニュースに載ればラッキー!みたいな、炎上記事を投げてアクセスを稼ごうとする悪質なライター(概してサイゾーのこの記事のように「名無し」を装う)もはびこってますから、注意しなきゃいけませんね。

 一方、羽生君関連の書籍や雑誌のアマゾンのレビューを眺めてると、「この程度の事実関係すら間違っているので信用できません」的に、怒りの☆1個ってのをわりと見かけます。

 まぁ、事実関係の誤りであれば、こっちがちゃんと調べて正しい情報を把握できればokな話で、あたかもその本全部が信頼できないと断定するのはもったいないと思うんです。ちょっと、ちょっと、少し落ちつこうよ!と言いたい。

 ところで、現在開催中の幕張のFantasy on Iceの会場で、「アイスジュエルズ Vol.3」がすでに販売されていて、今回も評判は上々のようですね。私もはやく読みたいです。



 今日は内容が薄くて申し訳ないですが、この辺りでご勘弁を。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ



    このエントリーをはてなブックマークに追加

 例年だと、羽生君もそろそろアイスショーに呼ばれて、新しいプログラムのお披露目となるんでしょうが、療養中のため、今年はちょっと状況が違いますね。

 新刊雑誌をチェックしたり、プロモーショングッズを収集するのもさすがに限界があるんで、こうなったら、老舗ブロガーの皆さんにとってみたら「何をいまさら・・・」というネタをこれでもかと掘り返してやろうと思います。

 「アイスジュエルズ Vol.1」の中で、「フィギュアスケート観戦の基礎知識&最新ルール解説」という企画があります。ISUジャッジの資格を持つ専門家監修の信頼できる内容で、「Vol.2」でも続編企画になっています。

 しかし、頭の悪い私には、この企画記事を読んでいるだけでは何のことだかさっぱりわかりません。こういう記事が分からないこと自体は別にいいとして、ただ、こに書いてあることが分からないと、肝心の羽生君の発言の意味が理解できないというのは悲しいです

 そこで今回は、フィギュアスケートの採点法について、そもそも私自身がどこまで分かっていて、どこから分からなくなっているのか、この辺りを明らかにするためのメモを残しておこうかと思います。

 教科書:「アイスジュエルズ Vol.1」82~89頁。



 題材:2015年12月10日 GPファイナル 羽生君の演技(SP「バラード第1番」)



 ※順位・結果
 ※採点詳細

 (1)ショートプログラムの概要

 ・ショートプログラム(SP)は、技術点(TES: Technical Element Score)と、演技構成点(PCS: Program Component Score)の採点(および減点)からなる合計点(TSS:Total Segment Score)で決まる。SPの演技時間は男女ともに2分50秒以内。

gpfinalsp1

→→→画像はクリックすると大きくなります。ここまではほとんどの方が大丈夫かと思われます。私もついていけてます。この赤枠の中を見ると、2位のハビエルとの差は、ほとんどがTESの差といってもいいですね。この差については、後日触れる予定です。

 (2)技術点(TES)って何?

 ・4つの要素で決まる。「ジャンプ」「スピン」「ステップ・シークエンス」「コレオグラフィック・シークエンス」です。脱線しますが、私が使っている「金フレ」というTOEICの単語集で、「choreographer・・・振付師」が「TOEICに出る主な職業」として収録されています。TOEICでは演劇や舞台の告知あるいは取材記事が長文読解でしばしば出題されます。ですが、約3年間勉強してきて、フィギュアスケートからの出題は、公開テストはもちろん市販の問題集でさえ私は一度も見たことがありません。ってことは、そろそろ来るのかも・・・。

 ・「ジャンプ」はSPの場合、3回跳ばなきゃいけません。しかも、その3回のジャンプの内訳は、(1)アクセルジャンプ、(2)ステップからの単独ジャンプ、(3)コンビネーションを入れたジャンプ(※(2)の単独ジャンプとは別の種類)であることが決められています。
 
jumpSP

→→→なぜ冒頭の4S(=4回転サルコウ)が(2)の「ステップからの単独ジャンプ」にカウントされるかというと、この表からは分かりませんが、ステップ関連の技の一種であるイーグル(スプレッドイーグル)から入って4S、そこからイーグルという形になっているからです。スケ連のリンクにもあるように、イーグル単体では基礎点は持たないようですね。



 この動画は羽生君の練習風景を個人で撮影したもののようですが、ちょうど、「イーグル→4S→イーグル」の部分のみが編集されていて、わかりやすいと思います。

 ここからが今日のメイン。ファンの間ではよく知られている話のようですが、15-16シーズンのSPのジャンプは、NHK杯以前だと、「3A→4T→3Lz+3T」だったのが、NHK杯からは、「4S→4T+3T→3A」と、4回転が2本組み込まれました。これが、NHK杯(106.33)、GPファイナル(110.95)、そしてワールド(110.56)とSPのスコアが跳ね上がった最大の要因と言われています。ぜひ上に貼ったGPファイナルのSP動画のジャンプの部分を確認してみてください(※ちなみに、このEUROSPORTの実況の男性は、「イーグル→4S→イーグル」に、恍惚とした声で、“Incredible”と言ってますね)。

stats

 「ISU」「skating」「stats」でググるとISUのサイトを経由して、フィギュアスケートの歴代記録関係のデータに行き当たります。これは男子シングルのSPの世界記録更新の変遷を示したものです(下から上へと順番に新記録が塗り替わっていきました)。羽生君がソチで勝った時の「パリの散歩道」(101.45)も素晴らしかったですが、そこからさらに急激に伸びているのが分かると思います。

 さて、採点法についてはここでいったん切ります。年季の入ったスケオタの皆様、超牛歩進行ですみません。というのも、羽生君が、なぜシーズン中にも関わらず、SPの技の難易度を上げるに至ったのか?、その背景をここで確認しておきたかったからです。

 当時の状況を整理しましょう。15-16シーズンの羽生君の初戦は、「オータム・クラシック」というトロント近郊の町で行われたローカルな大会でした。2015年10月14日にSPで93.14。翌日のFSでは転倒もあり、合計277.19で優勝。2位のナム君とは36点差の大勝でした。

 問題は次の試合です。GPシリーズ第2戦の「スケート・カナダ」。SPでまさかの73.25の6位と大爆死し、FSは186.29と追い上げ、結果2位(259.54)に。1位のパトリックは、SPが80.81、FSが190.33とこれまたイマイチな出来(総合271.14)でしたが、はっきり羽生君の完敗です。

 次戦はNHK杯で3週間後。普通に考えれば、スケート・カナダでは、以前できていたことさえできなかったので、「いつものレベルに戻す」ことを考えるはず。しかし、羽生君の発想はまるで違ったわけです。

 『王者のメソッド』をめくってみると、301頁以降にこの辺りの記述があります。



 ・GP2戦目のスケート・カナダでパトリックに負けた翌朝、エキシビションのための練習で、「イーグル→4S→イーグル」が成功し、手ごたえを感じた。元々「SPで4回転を2本」という野望はあったが、タイミング的に今だ!と考えた。

 ・そもそも、これまでのSP冒頭の「イーグル→3A→イーグル」でさえ他の選手には真似のできない高難度の技。ブライアンとしても「ショートは確実に点を取る場」というのが基本スタンス。当然ながら羽生君の提案には驚いたが、とにかくやらせてみたということです。



 「アイスジュエルズ Vol.2」の方でも該当箇所を調べてみたんですが、昨日の記事でも触れたSPの振付担当のジェフリー・バトルとの「相談」の中には、SP冒頭を「イーグル→4S→イーグル」でいくべきかどうかという件も含まれていて、しかも開幕前から行われていたようです。

 じゃ、なぜ開幕のオータム・クラシックから実戦投入しなかったのか・・・という所は、「ジュエルズ」のインタビュアーが訊いてくれていないので、疑問は残ります。

 なぜ開幕からトライして場数を踏むことを考えず、よりによってボロボロだったスケート・カナダ後に猛練習して、NHK杯に間に合わせようとしたのか?

 いやぁ、分かりません。我々凡人の常識で測れないから羽生君が天才スケーターであるゆえんなのかもしれません。この件について詳しい方がいたら、ぜひ教えてほしいです。

 ぜんぜん進みませんでしたが、新シーズン開幕まで時間もまだたっぷりありますし、単に採点法やルールを暗記するよりも、羽生君の試行錯誤と照合しながら、楽しく学べたらなと思います。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ


    このエントリーをはてなブックマークに追加

このページのトップヘ