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 2016年12月22日発売。全97頁。「羽生結弦ファン通信」とか「羽生結弦応援ブック」とか、写真重視系のフィギュアスケート雑誌のゆづ推しぶりを「揶揄」する意見を見かけるんですが、この「フィギュアスケートマガジン」も、相当だなと思いましたね。

 しかも、それは「羽生結弦マガジン」というより、中身はもっと細かくて、「羽生結弦ノート」、「羽生結弦取材メモ」のような、もしかしたら、国会中継の速記係のような人が同行してるんじゃないかってぐらいの、羽生君の発言の一言一句漏らさないぞ!という、執念のようなものを感じます。

 まず、付録のポスターは2枚でともに両面仕様。そして、全4面を「当然でしょ?」とばかりにゆづポスターで独占するあたり、

 「この雑誌作ってる人たち、ほんと分かってくれてるわぁ・・・」

 と、本誌を手にした日本全国のゆづファンは悶絶・昇天・感涙しているはず。

 1枚目、まず表はGPFでのパープルプリンスに、裏はNHK杯の代表ジャージでのゆづ&刑事のショット。もう一枚は、ともにNHK杯のスワンなんですが、表は観客の声援に右手を上げて応えるショットで、裏は「ロックスター・羽生結弦」の完璧な一枚。この「ロックスター・ゆづ」(スワンver.)は、「通信17」の92頁の上の写真と同じ一瞬で、本誌のポスターは若干斜めからのアングルのショットです。よくぞポスターにしてくれました!という感じで、個人的に今年一番のショットだと思っています。

 さて内容は、GPFとNHK杯における「羽生結弦の全て」という装いで、それぞれ、取材記者による概要レポート→羽生君の発言の完全再現という形式です。

 正直、私としては、逆の順番、つまり、完全再現録を読ませてもらってから、記者のレポートを読みたい所なんですが、ボリュームがボリュームなので、本誌の順番の方が、読者目線に立っているのかもしれません。

 以下、私が「知らなかった」あるいは「知りたかった」部分のみピックアップします。

 ・ マルセイユ空港到着時の神対応(17頁)→テロ対策もありスケ連から選手たちに「空港では立ち止まらないように」と指示が出されていたようです。もちろん報道陣も声をかけられない。すると、羽生君は、

  「皆さん、ホテルまで来ていただく元気はありますか?」

 と、すでに現地時間の午後11時頃だったにも関わらず、ホテルで軽く取材を受けることを提案したといいます。ホテルでの「サプライズ会見」が始まったのが、午前零時過ぎになっていたとか・・・。

 正直、「神対応」とか「神ってる」とか「美しすぎる」とか「1000年に一人」とか、バカの一つ覚えのようにマスコミが乱用するので、軽薄すぎて好きな表現ではないんですが、もしかりに使うんだったらこれぐらい中身と意味のあることを形容してほしいですね。

 ・SP(GPF)の4Loが「汚いジャンプ」だったからこそ「ノーミスしなきゃという緊張から解放された」(17頁・23頁)→4連覇のかかるファイナルで、しかも、得意のSPだったからこそ、「久しぶりに手脚が震えるぐらい緊張感があった」そうです。

 つまり、むしろ4Loがキレイに決まっていたら、「ノーミスしなきゃと思ってさらに緊張していたかもしれない」とのこと。これは、やはり、瞬時に気持ちを切り替えられることが素晴らしいですよね。ズルズルとコンビネーションやアクセルが崩れていてもおかしくないわけで。

 こういう「開き直れる発想」は、例えば、自分もTOEICの試験で、「どハマりしそうになったとき」、実践できたらなと思います。

 ・ ISUにルールについて要望があるか?(25頁)→海外の記者による質問だったそうですが、こんなアホな質問にちゃんと答える羽生君は誠実だなぁ・・・と感心しました。No, I don't.のような一行返答でもまったく問題ないわけで。ここは正確に引用しましょう。

 ――(海外の記者から)ISUに対して、ルールをこう変えてほしいとか、何か要望することはありますか。

  「(英語で)それに対してはなんとも言えないですね。だって僕らはたいてい・・・OK、日本語で話します。ごめんなさい(笑)。(日本語で)えっと、特にルールについての言及はするつもりはありませんし、特に僕自身は何も不満は持っていません。えー・・・ソチ・オリンピックの時からも、もちろんルールは変わったと思いますし、変わっていないルールもたくさんあります。ただ、僕たちスケーターはそのルールの中で競い合うために、毎年、毎年、たくさん練習して、たくさん技術を身につけてここまでやってきているので、またルールが変われば、それに適応して戦うのが僕たちのすべきことかなと思っています。」

 こういうのってきっと文化の違いで、軽い気持ちで聞いてくるんだなと思うんですよね。これを日本人の記者が質問する場合、別に羽生君とかフィギュアスケートと関係なくとも、例えば、菅官房長官の記者会見のネット中継などを見ていると、明らかに失言を待っているというか、罠にハメようという悪意がありますからね。

 ・ フリー後半の4S+3Tのコンビネーションが失敗する理由(25頁)→リンクに貼ったように、オータムやスケカナでは4S自体がパンク気味だったので改善傾向にあるとはいえ、コンビネーションとしての成功率の低さはやはり気になります。記者とはこのようなやり取りになっています。

 ――ここのところ、4回転3番目のサルコーのところで転倒していますが・・・。

  「そうですね、はい。」

 ――どこに原因があるのでしょう。

  「いや、練習では跳べているので。その、練習と本番の違い?だとか・・・でも、公式練習でも失敗が目立っているとは思うので、あそこのサルコー・トーループに関しては。ただ、NHK杯の公式練習ではけっこうな確率で降りれた。むしろトーループのほうが不安だったので(笑)。やっぱりそこの・・・なんですかね・・・確率の低さっていうのは、ちょっと試合に出てきてしまっているのかなっていうのと、感覚的にはそんなに変わってはいないんですけれども、感覚が変わってはいないことが原因なのか、もっと感覚を研ぎ澄まして、もっと最初のサルコーに近づけるべきなのか、もう完全に考えを変えて、もう違うクワドだっていうふうに思うか。ちょっといろいろ、この1週間でやってみたいなっていうふうには思っています。

 インフルエンザでの欠場が無ければ、全日本でフリーの4S+3Tへの「テコ入れ」も見られたかもしれないので、この点は残念でした。

 ただ、ネットで言われているような、この4S+3TをSPのように前半に持っていった方がいいのでは?という考えは、本人にはまったく無さそうですね。サルコウそれ自体の感覚・意識の部分を変えていこう!という所で、突破口を探そうとしている印象です。

 他にも引用したいことがたくさんあります。ただ、あまりネタ晴らしをしてしまっても面白くないので、あと二点だけ付け加えておきます。

 今回のレポートの全体的な印象なんですが、「羽生結弦取材メモ」であるはずなのに、羽生君とは一見すると無縁の、会場の様子、移動手段、気候等のあらゆる物に対して観察し、記述してくれていて、それが「ゆづメモ」のリアルさを引き立ててくれています。

 例えば、12月7日(GPF前日練習日)のマルセイユの試合会場内で、宮原さん、宇野君、羽生君の順番で「囲み会見」を行った場所が、「トイレを改装したミックスゾーン」で、「ちょっと匂いを気にしながら記者たちが選手の声に耳を傾け、メモをとる」(21頁)とか、まるで、私たち読者も記者の一人として現地取材をしているかの、追体験をさせてくれるのです。

 もちろん、羽生君の「まあ」とか「やはり」という、それが繰り返しの表現であってもカットせず完全収録してくれていることも、リアルさに一役買っています。

 もう一つ。これは私が男性だから思うのかもしれませんが、この雑誌は基本的に男性の記者が取材していて、「男性目線だなぁ」という部分を随所に感じます。

 特に本号はそれが顕著です。NHK杯以降、羽生君のSPが「化けた」こと、そして、EXで「Let's Go Crazy」のオマケがあったことから、「ロックスター・羽生結弦」という部分に、記者の並々ならぬ思い入れを感じるのです。

 それは62~63頁の「ロック・スターと、白鳥(スワン)。」という2ページぶち抜きフォトと表題の組み合わせであったり、22頁のGPFのSPレポでも、「彼が思い描くロック・スターの姿がはっきりと見えた」とか、38頁では、

  「曲はプリンス氏のものではあるけれど、このプログラムにおける主役は羽生自身。ロックバンドのボーカリストのようにギラついた目線でシャウトし、観客を煽るその姿は、まさに今季序盤からキーワードとなっていた『ロック・スター』そのものだった。

 とか、そういう羽生君も好きなんだろうなと、感じます。超人的なアスリート羽生結弦も好きだけど、ロック・スター羽生結弦もいいじゃないか!という、心躍るというか、ワクワクする感じが、ビシビシ伝わってきます。

 ちなみに、いまでこそ私が日常的に聴いている音楽は海外のわけわかんないうるせーものばかりですが、義務教育時代の私にとって、ロック・スターといえば、この人でした。



 1989年の映像です。当時28歳。私もBSの放送をVHSに録画して持っていた映像で、まさかネットに落ちているとは思いませんでした。いまの感覚の28からすると、貫禄がありすぎ(というか老けて)ますね。

 顔も体型も似ても似つかないので、異論はあるでしょうが、SP用にカッチリ撫でつけるヘアスタイルの羽生君を見て、実はオールバック時代のヒムロックが私の中で蘇っていました。まぁ、こんな連想をしたのは、日本のゆづファンでも私ぐらいでしょう。

 明日は羽生君以外の記事も見ていきたいと思います。

 では、また明日!

 Jun

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