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 まずは、真央ちゃんの引退について。今季の彼女のパフォーマンスを見てきて、正直いって、よく全日本まで頑張ってきたなと思っていました。「リチュアル・ダンス」という斬新な試みに、彼女のコンディションがついてこれていない部分があって、しっかり身体(膝の状態)を戻せるならば、一度休んだ方がいいんじゃないか?と。

 彼女を目指してフィギュアスケートを始めた日本の子どもたちは大勢いるでしょう。「真央ちゃんのように3Aを跳べるようになりたい!」と。しかし、同時に、真央ちゃんは3Aという呪縛に苦しめられてきたようにさえ、私には映りました。現状、女子シングルで勝つことを考えるならば、3Aは必要ありません。

 現在、3Aの基礎点は8.5点、3Lz+3Tは10.3点。これにGOEが加点されますが、真央ちゃんは2014年のソチ五輪のフリーでは3Aに+0.43。2010年のバンクーバー五輪ではSP・フリー合わせて3本の3A(基礎点8.2)を降りていますが、SPでは+0.60、フリーでは+0.80と+0.20でした。ヨナのバンクーバーでの、3Lz+3T(基礎点10.0)はSPフリーともに+2.00加点されています。

  「トリプルアクセルは大技で難易度が高い。それに挑戦しつづけてきた真央ちゃんは偉い!」

 とフィーバーする人たちは、おそらくプロトコルを読んだことがない人たちで、したがって、フィギュアスケートの採点が基礎点だけで構成されていると勘違いしているフシがあります。

 私のブログの読者の皆さまはすでにご存じかと思いますが、あらためて触れておきましょう。現行のルールでは、基礎点とGOE、そしてPCSの合計で成り立っています。そこをブライアンは早くから研究していました。『300点伝説』で明らかにされていますが、韓国スケ連からの「ヨナにトリプルアクセルを跳べるように指導してほしい」というリクエストを一蹴して、ヨナに、3回転+3回転、スピン、ステップ、スケーティングと総合的なトレーニングを積ませた結果、連戦連勝で、しだいに3Aのことは口にしなくなったといいます。

 バンクーバー五輪の09-10シーズンも五輪までヨナは全勝で、実はバンクーバーも2位の真央ちゃんに23点差をつけて勝っています。はっきりいって、これは真央ちゃんの陣営、そして日本スケ連の戦略ミスだと私は思います。もちろん真央ちゃん自身にはなんの過失もありません。そもそもヨナにこんな負け方をするような実力差など元からありえないことを考えると、彼女は被害者かもしれません。

 なぜこの大敗の分析をしっかりやらなかったのか?そして、ソチ五輪での金メダル奪還を目指したとき、「勝ちたいなら、3Aを封印しなさい」と誰かアドバイスしなかったのか?・・・この辺りの「歴史の闇」は、関係者の証言によって今後明らかになってくることでしょう。

 ちなみに、ヨナがソチでソトニコワに負けたことを韓国のファンは未だに根に持っていますが、プロトコル(SPフリー)を見ると、両者の特徴がけっこう出ています。ジャンプの得点はヨナが上回っているんですが、スピンとステップのレベルでヨナは取りこぼしがありますね。『300点伝説』の中では、ブライアンがヨナにスピンの練習をしつこくやらせていたくだりが書かれていますが、クリケットに留まっていたら連覇できていたのかな・・・という気も。

 それにしても、結局テレビの連中は真央ちゃんの3Aしかまともに見ていないことがバレバレで、「これで彼女のスケート人生は終わり」的に、勝手に自己完結しないでもらいたいです。プロ野球や相撲の引退とは違うんです。気に入らないですね、私は。

 これからは、プロスケーターとして、真央ちゃんも3Aの呪縛から解放されて、体格を活かしたダイナミックなステップ、背中に翼が生えているかのような柔らかな着氷、このような美点をいかんなく発揮できるような新しい表現を、自由にのびのびと彼女には演じてもらいたいと思います。

 さて、せっかく買っているので、日刊の話題も。2017年4月7日発売です。「通信」と「応援ブック」と3冊セットで買いました。

 今日は高場泉穂記者のコラム「連覇への2つのポイント」(18~19頁)に集中しましょう。

 アマゾンには、いつも以上に星一つレビューがハイペースで並んでいるので、羽生君についてどんなにグサっと来るようなことを書いているのかと思っていたら、わりと普通でしたよ。

 ただ、レビュアーのみなさんがムカついているのは、まずこの書き出し(19頁)なんだろうなと思いました。

  「よほど、うれしかったのだろう。今季初めてのノーミスの演技だったからなおさらだ。世界選手権のフリーで歴代最高点を出し、大会史上に残るSP5位からの大逆転で優勝を決めた羽生は、ミックスゾーンに姿を現すとまくしたてるように話しはじめた。『言ってみれば……』『むしろ……』と接続詞を使い、あふれるように出てくる言葉を整理しながら話す。 聞いているこちらも、これが羽生結弦だとうれしくなった

 「はぁ?うれしくなっただとぅ?白々しいわい!」と、まぁ、「うれしくなった」が彼女の本心かどうかは別にして、「アスリートが納得いく演技をできたことを喜んで何が悪い!」「おまえは今季現地まで行って何を見てきたんだ。ホプレガで苦労してきたのを知らんのか?」「リスペクトがない!おまえは何様だ!」というような批判の声が上がっても、まぁ当然かなと思います。

 ただ、この書き出しを読んでいて、「このムカつきの理由ってなんだろう?」と考えてみると、例えば、こういう文章だったらどうでしょう。

  「当選後のトランプ大統領と、世界の指導者として初めての会談を終えて帰国した安倍総理は、よほど、うれしかったのだろう・・・その成果をまくしたてるように話しはじめた

 私たちがここ数年、毎日のように目にし、耳にするような一文に早変わり。大新聞やキー局の政治記者や論説委員の、「安倍総理について物申す」的な論評の中にはめ込むと、ほとんど違和感がありません。

 ワイドショーの新聞見出し紹介で、総理に対するこのような論説が目に入っても、「また朝日か」とか、「またゲンダイか」で済むんですが、そりゃ、日本が世界に誇る若き至宝に対して、政治記者気取りでこういう書き方をするんだから、皆さんがむかつくのも当たり前ですね。

 人気(支持率)があって、実力(実績)もあるのなら、たとえアスリート相手であっても、的外れな叩きをするメディアが現れる。勝っても批判される。羽生結弦というスケーターは、日本スポーツ史においても、それだけスケールの大きい、別格の存在ということです。歴史の1ページに立ち会っていると思うと、私はある意味で感慨深いです。

 実力以上に持ち上げられる「作られたスター」を私は認めません。ですが、世界記録を更新しても批判され、叩かれるような稀有なアスリートの活躍をリアルタイムで見られることに、私は幸せさえ感じています。

 さて、高場記者のコラムに戻ります。タイトルの「2つのポイント」とは、ひとつはジャンプについて。フリー4本のクワドを来季増やすのか?増やすとしたら4Lzを導入して、5~6本やるのか?あるいは4本のままで質を高めるのかという問題。これについて、高場記者からの提言や主張はありません。

 もうひとつは、新プログラムの選曲の問題。最近、ハビはSP・フリーともにデイヴィッドに新プロを依頼しているという話が出てきてますが(ジャンル・曲名等は不明)、羽生君については、新プロか持ち越しかどうかも含めて、まだ何もアナウンスされていません。

 この二つ目のポイントについて、高場記者は持論を展開しています。

  「今季フリーで使用した久石譲氏の楽曲は・・・静かで美しいメロディーである一方、盛り上がりに欠け、一部のジャッジには不評だった。だが、世界選手権で完璧にまとめたフリーは歴代最高の評価を得た。難しい曲を滑りこなし、認めさせたことで、羽生の強さがかえって際立った。思えば、昨季の『SEIMEI』の和のテーマも果敢な挑戦だった。・・・日本の音楽で世界最高の評価を得たことは革命ともいえた。『和』を追求したい、という気持ちは今季のフリーに引き継がれている。個人的には、もしかしたら来季も同様に日本を感じさせるような曲を選ぶのではという期待もある。アジア人初の2連覇を、『和』の曲で達成したらこれほど格好いいことはない

 ここでも、取ってつけた感のある「格好いい」が彼女の本心かどうかはともかく、上から目線で批評をはじめた割に、最後は「和がいい!」ってずいぶんと素人くさいこと言うなぁ・・・と、ある意味でサプライズでしたね(笑)。

 「和のテイストの連投」って、ロックやクラシックの「再登板」と比べたら、可能性は低いような気がします。ただ、ハビが持ち越ししないってことで、ここにきて、羽生君も持ち越しは無しかもしれませんね。

 じゃあ、羽生君の新プロが、高場記者の期待している、和のかっこいい曲になれば、羽生君に好意的な記事をいっぱい書いてくれるのでしょうね?どうせ鬼の首でもとったかのように、「私の予言した通り、和だった」と言うんでしょうが、それも許してあげましょう。

 そうなると、日刊さんの雑誌の売り上げも大きく変わるかもしれませんよ。「なんだ、やればできるじゃないか!」と星5つレビューがアマゾンに並ぶウハウハな状態になるやも・・・。

 羽生君の曲が何になるかで、雑誌の存続もかかってきますから、日刊さんも大変ですねぇ。和になるといいですねぇ(棒)

 だったら、下げ記事なんて最初から書くなよ・・・って話なんですが。

 では、また明日!

 Jun

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