まずは、いま話題のこのニュースを取り上げてみますか。

 「フィギュア全日本選手権 羽生は特例でシード出場」(NHK、5月14日 20時35分)

 J-CASTの記事なんて意地でも貼らねぇぞと、NHKの方をリンクしました。

 このニュースを見て、まず私がどう思ったかというと、このシード出場の件は「もう決まってしまったこと」なんで、それはそれとして、むしろ、

 そもそも、他の競技の五輪代表内定ってどうだったっけ?

 ってことが気になりました。とはいっても、

 「五輪 内定 どれくらい前」

 とか、頭の悪さを晒すようなキーワード選びで検索したぐらいなんですが、まず目を引いたのがこちら。

 「あれから1年4か月…内定第1号選手はいま」(読売、2016年7月19日)

 セーリング男子RSX級(ウィンドサーフィン)の富沢慎選手がリオ五輪の1年4ヵ月前に代表内定していた件が解説されています。現地の海をしっかり研究する必要があるという、ちゃんとした理由があってのことなんで、是非を言うつもりはないですが、種目によって内定時期が変わってくるのだなと。

 「矢沢兄妹、リオ五輪カヌースラローム代表内定 知事を表敬訪問」(産経、2015年10月17日)

 カヌーといえば、羽根田卓也選手がリオで銅メダルを獲り、東京五輪の会場についても色々と発言していたことを覚えていますが、この矢沢兄妹のことは知りませんでした。

 兄の一輝さんは凄い経歴ですね。北京、ロンドンと二大会連続で五輪に出場した後、長野県カヌー連盟会長で善光寺の住職の小山氏との縁で出家を決断。「午前5時30分から午後3時まで善光寺の僧侶としての勤めを果たしてからカヌーの練習に励む」とのことで、「この人すごくね?」と感動しました。リオでは11位で惜しくも決勝進出を逃したそうです。

 しかし、この話にはオチがあります。

 「カヌー矢沢一輝、僧侶辞め青森拠点に東京五輪目指す」(日刊、2016年12月6日)

 ズコッ!って感じですが、それだけ競技に集中して東京には挑みたいということなのですね。頑張ってほしいです。

 「柔道の日本代表、早期内定を導入。東京五輪は改めて協議」(日経、2017年3月13日)

 こちらは井上康生監督の元でリオで大躍進を遂げた柔道ですが、今年夏の世界柔道と冬のGS(グランドスラム)の両大会で優勝した選手を翌年の世界柔道の代表に内定させるという、「新たな選考法導入」の話です。対象とされる大会は、18年と19年の世界柔道。

 興味深いのは、20年の東京五輪の選考方法は未定という点。つまり、18年と19年の世界柔道で「早期内定法」を試してみてから、東京では何がベストかを考えるというわけです。柔道のように歴史と実績のある種目で、しかもリオで大成功であったにも関わらず、いろいろと試行錯誤しているわけです。

 フィギュアスケートも色々とヒットしますね。14年ソチ五輪の男子シングルのロシア代表(1枠のみ)は、なぜ前年末にロシア選手権を制したコフトンじゃなくて、同大会で2位に敗れたプルシェンコだったのか、というのは有名な話です。コフトンが欧州選手権で5位と惨敗したため、プル様のために「テスト滑走会」を行い、それを経てプル様に決まりました。ただ、このような「滑走会」自体は以前も開催されたことはあるようです。ソチ五輪のプル様は、個人のシングルこそ棄権しましたが、団体戦はSPとフリーの2本を滑って、SPはゆづに次いで2位、フリーは1位で、ロシアの団体金メダルに貢献しましたから、ロシアスケ連の判断は正しかったといえます。

 日本フィギュアの場合もソチの話はよくされますが、実は2010年のバンクーバー五輪の男女シングル代表のうち、織田君安藤さんは12月のGPFの時点で五輪代表に内定しています。当時の選考基準では「グランプリファイナルの日本人最上位メダリストはその時点で内定」だったとか。全日本選手権に出るか出ないかは五輪代表の必須条件じゃなかったんですね。まぁ、結局、両選手は全日本に出てるんですけども、織田君は2位、安藤さんは4位でした。

 ・・・と、まあこんな感じで、ちょっとスマホをいじってみても、いろんな種目にいろんな選考基準があり、

 フィギュアスケートに限っても、特例も異例も何も、4年に一度の大会なんだから、基準なんて変わって当たり前という感がします。

 そもそも、まだちゃんとした選考基準がしっかり発表されておらず、今回、羽生君の全日本シードの件だけがアナウンスされました。

 まぁ、平昌五輪の正式な選考基準と同時に(というか付け加える形で)羽生君の全日本シードの件も発表すると、いま以上に「なぜ特別扱いするのか?」というノイズだらけになるでしょうから、スケ連の判断は悪くないと言えます。

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 さて、『チーム・ブライアン』再読の続きです。今回は、2012年、羽生君のGPシリーズ2戦目で、仙台でおこなわれたNHK杯。本書の中では「2つのオリンピックに勝ちたい」(166頁)で言及されています。

  「グランプリ第2戦のNHK杯、ユヅルの演技は素晴らしいものでした。故郷・仙台で開催されましたし、東日本大震災の後で、良い演技をして人々に希望や気力を回復させたいと願っていたからでしょう。自分のためでなく、東北のために滑る。彼の熱意が最高の演技を呼び込みました。いいモチベーションだったと思います。もちろんチーム・ブライアンとしては、優勝したことでグランプリファイナルへ進出したことにも意味がありました」

 実は、同書では、この後すぐにソチGPFの話に移ってしまいます。まぁ、だったら、映像を見て、私が肉づけしていけばいいわけですね。

 まず、画像を2枚キャプりましたが、このNHK杯にはハビも来ていました。wikiを調べてみたところ、羽生君がクリケットに加入してから、GPシリーズでハビとかぶったのは、この12年のNHK杯のみです。

 ちなみに、翌13年のNHK杯にもハビは来ているのですが、羽生君はその年のNHK杯にはアサインされず(日本からは大ちゃんと織田君)、スケカナとエリック杯に出場しています。

 この試合に話を戻すと、SPはノーミスの95.32で首位。昨日ご紹介した12年スケアメのSPもノーミスでしたが、そちらは95.07でしたね。同じノーミスなのに、しかも、羽生君にとっての「ホームの中のホーム」の仙台でこんな微増とは・・・と思いましたが、とくにPCSでNHK杯の方が低いんですよね(スケアメ→43.36、NHK杯→42.29)。昨日の記事では「PCSの評価は蓄積されるもの」なんて書きましたが、早々と否定されました(涙)。

 スケアメのGOEと比べてみると、4Tは2.00→2.43に。3Aは2.14→1.86に。3Lz+3Tは1.00→0.90と、クワドはガツっと上がり、足替えシットスピンもLv4に上がったんですが、後半のジャンプの評価の低さがPCSに影響したのでしょうか。うーむ、素人目には分かりませんね。

 つぎにフリーです。フリーの動画はNHKの実況・解説の音声が生きてるんですが、スケアメからNHK杯へと構成を変えたという説明があります。

 冒頭の単発クワド、4Tと4Sはそのまま。スケアメではその次に3Aだったところを、3Fにし、3Aを後半に持ってきています。スケアメの3Aは、前半に単発一本、後半に3A+3Tだったところが、NHK杯では、後半に3A+3T、その直後に3A+1Tと難易度を上げた形になります。なぜこのような大事な構成変更が本書で語られていなかったのか、ちょっと不思議です。

 スケアメに比べればいいんですが、冒頭の4Tはややバランスを崩して着氷。4Sも根性で踏ん張る感じ。こりゃ大変だと思って見ていると、ここから立て直しています。次々と危なげなくジャンプを決めていき、しかし、最後の3Lzで転倒・・・。

 で、解説の本田さんが「少しスピードが落ちてきていますね」と言ってからまもなく、足替えコンビネーションスピンの回転が無くなっていき、まるでコマが勢いを無くして倒れるように、両手がベチャっと氷についてしまいます。

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 これは、フィニッシュ時のキャプ画ではありません。スピンで転んで立ち上がった時の表情で、

  「本人、わろてるやん!」

 と、見ている私も思わず声が出てしまいました。まったく悲壮感はありません。フィニッシュも本当にいい表情をしているので、動画職人、キャプ画職人の方は、いま一度この12年NHK杯のフリーをチェックされることをオススメします。



 試合後の面白いインタビューも残っています。羽生君と大ちゃんの時間かと思いきや、背後から現れた本田さんがおいしい所を全部持っていってます(笑)。

 この企画、唐突に昨日再開させて見切り発車的な所はあったんですが、本を読み直すことももちろんですけど、それを手掛かりに当時の映像を見るのが何より楽しいですね。

 では、また明日!

 Jun

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