「〔フィギュア〕羽生が感謝の舞い 震災時、救ってくれた横浜のリンクで」(中日スポーツ 2017年8月17日)

  「久々に再会したというこの日は2人(都築章一郎コーチと羽生君)で談笑。『羽生は「4回転ルッツができるようになったから、どこに入れるか自分なりに考えている」と言っていた』と今季の新技投入も示唆されたようだ」

 先日のクリケットでの会見で、こんな話は出なかったし、もちろん公開練習でも跳んでいない。これほどの大ニュースを、名古屋を拠点とする中日スポーツの記者だけが、都築先生からコメントを取れるって、本当かな?という感じ。

 かりに、これが中日スポーツの創作だとしたら、はやくも情報戦が始まっているわけですね。

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 今日も「SEIMEI 応援企画」の2回目です。バックナンバーは「こちら」で。

 SEIMEIをどのような意図を持って作りあげていったのか。今回は、羽生君の発言に注目してみます。『蒼い炎II』から見ていきましょう(221頁)。

  「今シーズン、何か挑戦というか、自分の幅を広げてみようかなという感じがありました。自分に合う曲がないかなといろいろ聴いたり考えたりしているうちに、和モノがいいと思っていろいろ探して、海外の方も観られるものがいいなと、映画の曲にしました

  「あえてローマ字表記にしました。『SEIMEI』って、安倍晴明のことでもありますし、いろんな意味がある。いい響きだなと思ったので、いろんな意味を込めて。すごく日本人的な考え方かもしれないですけど、タイトルとかテーマとかって、そのシーズンのすべてになったりもするので、(いい響きで)いいイメージを持たせるようにという意味もあります」

 この二つのパラグラフの引用は、あえて順番を入れ替えました。一度読んだはずの内容もけっこう忘れているもので、最初から「和モノ」と決めていたわけではなく、「自分の幅を広げてみる」という発想から、結果的に和モノに到達したというのが、まず抑えておきたい点です。

 これはディスりではなく、フィギュアスケートの世界のある種の「文化と伝統」だと思っているのですが、フィギュアスケートの特にシングル曲は、「定番曲の使いまわし」が多いなと。

 誰のどのプログラムとは言わないけど、「あなたもコレをやるの?」というのが、来たるオリンピックに向けた新プロの発表では、本当に多い印象です。

 もちろんかつての羽生君で言えば、ロミジュリやオペラ座もそうです。使いまわしというか持ち回りというか、「どうして同じ曲ばかり?」という素朴な疑問が私にはあります。

 「同じプログラムを2年続けてとか、数年空けて再演」ということが話題ですが、でも、「俺はショパンしかやらない!」「ただし、同じ曲は二度と使わない!」というスケーターがいないのも、また面白い。

 そんなことをあれこれ考えながら、ハッ!と気がついたのは、

  だから、ホプレガは不当なほど評価が低かったのかな・・・

 ということでした。つまり、フィギュアスケートのジャッジの方々は「音楽の許容範囲」という意味ではきわめて保守的で、「聴いたことのない音楽の良し悪しを判定しづらい」というのが、暗黙の了解としてあるのかもしれません。

 いくら日本では有名とはいえ、久石さんの曲を外国人に正確に評価しろというのは、やはり無理がある。例えば、蕎麦やうどんについて饒舌に語り絶賛する外国人がいたら、「おまえホントにわかって言ってんの?」と、私なら思っちゃうからなぁ・・・。

 そこには、「個人的な主観が入りにくい」というメリットもあるのでしょうが、当然ながら、スケーターたちの選曲が定番曲に集中してしまう。よほど、ライバル選手を技術的に圧倒するような構成で、しかも完璧な演技を見せないと、「選曲の時点で不利になる」というのはあるのかもしれません。

 そう考えると、『SEIMEI』というタイトル、たとえ日本の音楽を使うにしても、「海外の方も観られるように、映画の曲にした」という配慮は、カナダを拠点にしているからこそ沸いてきたアイデアといえるでしょうね。

 シェイリーンとのプログラム作りの過程を羽生君が語る部分も、それこそ「ホプレガの件」を踏まえて今改めて読んでみると、興味深い「狙い」が随所に込められていることに気づきます(221~222頁)。

  「僕だからできる繊細さとか和の力強さとか、和の線の使い方とかあると思うので、僕らしいプログラムになればいいなという思いです。あとは、4回転を3つ入れるつもりですので、それもまた自分にとっては挑戦じゃないかなと思います」

  「日本人ではなく(カナダ人の)シェイに『SEIMEI』を振付てもらうことで、世界の方々から見た日本の素晴らしいところをピックアップしてもらえます。狂言や能など日本の伝統芸能をシェイと一緒に観て、いろいろ調べながら振付を一緒に作りました。狩衣(かりぎぬ)のような和服イメージの衣装なので、手の表情や手の動き、手のラインや身体のラインとかで、日本らしい動きを演技に取り入れていけたらいいなと思います。狂言や能には、飛んだり跳ねたりというものだけでなく、姿勢をブラさずに流れるように歩いていくところもあります。その流れ方とか滑らかさが、ちょっとスケートにも通じるところがあるのかなと思っています

 日本の伝統芸能について深く研究しただけでなく、しかし同時に、そこから「ピックアップするもの」については、あくまでもシェイリーンの感性に委ねる。

 「自分の幅を広げる」「挑戦する」としながらも、「国際試合で勝つためのプログラム」として演じるものだから、当初からはっきりとジャッジの目を意識して、そこを狙っている。本当に周到に準備されたのだなぁと。

 将来的に、プロスケーターとしてアイスショーで披露することになる『SEIMEI 3.0』は、そのような「制限」を外した、もっと日本的なものを大胆に取り入れた形になる、そんな気がしてなりません。

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 ちなみに、『王者のメソッド』(286頁)には、和モノの曲のどれかを選ぶ中で、大河ドラマの曲も聴き比べていたこと、映画『陰陽師』は英語版も公開されていること等の情報もありました。

 ほかには、この2015年8月上旬のメディアデーの取材陣は「総勢50名」となっていますね。先日の山口真一さんの記事では「100名近い」とリポートされていたので、五輪シーズンというのもあるとはいえ、2年で倍増とは、恐ろしいことです・・・。

 クワドの本数を含めた技術面での進化については、試合の映像を見ながらの方がいいと思うので、次回の記事で触れることにします。

 では、また明日!

 Jun

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