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 2017年10月5日発売。おそらく購入されている方は少ないと思うので、Sportivaよりもこちらを先にレビューします。

 目次画像の通り、「羽生結弦本」ではありません。巻頭記事の「絶対王者の孤高 羽生結弦」は、写真は主に横浜のスケートイベントとトロント取材で構成されていて、朝日新聞の後藤太輔記者のテキストは、関係者の証言がかなりの部分を占めています。

 以下、個人的に印象に残った記述をピックアップしてみます。

 まずは、羽生君とゆかりのある関係者の証言から、田中総司さん(12頁)を。田中さんは、羽生君が中学1年~2年の頃にジャンプを指導していました。

  「(ジャンプの練習をすると)よく失敗し、パンクし、転倒していました。今の羽生結弦のかけらもないぐらいボロボロでした。今、トリプルアクセルは力を抜いて、理想的です。4回転アクセルも回っているらしいです。しっかりとした着氷はできないけど、片足で立つことまではできたと」

  「4回転ルッツを無理にやらなくてもいいと思う。逆に挑戦してミスをすれば、他選手が上回る可能性がある。王者らしく堂々と、確実なジャンプをして、勝ちきってほしいですね」

 →→ こういう話をきくと、改めて思うのは、フィギュアスケートのジャンプは、コーチの指導で順番通りに習得できるものじゃないのだなってことですね。

 もう一人。場内アナウンスを務めているP・J・クォンさん(13頁)。

  「私は、クリケット・クラブでフィギュアスケートをやり、その後約30年のコーチ生活を経て、五輪などスポーツ大会で場内アナウンスをするようになりました。結弦が金メダルを獲得したソチ五輪のアナウンスも担当したんですよ

  「ジュニア時代の結弦も見たし、2011年以降はしっかりその成長を見続けてきました。若いころは、粗削りで着氷などにもろさ、危うさがありました。演技も、まるで音楽がかぶさっているかのように音との一体感がなかったけれど、今は音楽と融合しています

  「『SEIMEI』は芸術作品で、並外れて素晴らしいプログラム。ユニークで、テーマもよく、テクニックもあります。すべてがそろっています。結弦はスポーツと芸術を一体化させ、特別なことができます。その目に光が宿った時、何かが起き、忘れがたき瞬間を作り出してくれるでしょう

 →→素敵な言葉で称えてくれていますね。ただ、「音楽と融合していない状態」というのが、「音楽がかぶさっている演技」と表現するのは新鮮です。「音と合ってない」とか「バラバラ」とは言いますからね。

 さて、この雑誌の定番企画、松岡修造さんのインタ(24~25頁)からも。

 ―― つい先ほど羽生結弦選手とお話をされたそうですね。

  「そうなんです。オリンピックを控えた今季は、羽生選手にとって集大成的なシーズンなのかなと思って話を聞いていたのですが、まったくそういう感じではありませんでしたね。今日の羽生選手からいちばん感じたのは、勝負へのこだわり。『必ず平昌で勝つ!』という気迫です。そのために自分は何をすべきか、彼は僕の予想よりもはるかに深く考えているんだな、という印象を受けました」

 ―― 普段はソフトな印象の羽生選手ですが、そういった強さはどこからくるのでしょうか?

  「僕は羽生選手がソフトな人だと思ったことは一度もないですね。彼は研究心、探究心の人。“勝つ”ことへの思い入れも、人一倍強い。結果よりも挑戦することが大事、という考え方もあるでしょうが、羽生選手は結果を重視するアスリートです

 →→特にクレジットがないので、「つい先ほど」っていつだろう?と思ったのですが、バラ1とSEIMEIの件に触れているので、8月中旬に横浜のイベントと日テレの企画のために帰国した際、修造さんと対談しているのかもしれません。

 GPシリーズの番宣でこの対談が出てくるかもしれないので、ロステレ前のテレ朝は注意しておくといいかもしれません。

 最後に、織田信成君の男子シングル展望インタ(38~39頁)からご紹介します。

 ―― 現在、羽生結弦選手はグランプリ(GP)ファイナル4連覇中。羽生選手の強さはどこにあるのでしょうか。

  「彼の素晴らしいところは、どれをとっても一流で、隙がないところ。ジャンプでいうと『ジャンプを跳びますよ!』という動作をせずに、演技をしながらサラッと難度の高い、しかも質のいい技を繰り出すことができます。スピンやステップ、技と技のつなぎ、スケーティング技術も完璧です。まさに今のフィギュアスケートの競技ルールにおける最高の演技ができる、完成されたスケーターの一人だと思います

 ―― 羽生選手はフリーで再び「SEIMEI」を演じます。リスクになりませんか?

  「僕も同じ曲を使ったことが何度かありますが、なぜ使うかというと、すごく自分に合っているから。そういった演技は、ジャッジの方にもどんどん好きになってもらえるんです。とくに羽生選手の場合は、4回転ジャンプの本数が5本に増え、技のつなぎ、『ステップ・シークエンス』というプログラムを印象づける部分の修正もかなり入ると聞いています。非常に進化した構成になると思うので、印象もガラッと変わるはず」

  「また今季はオリンピックシーズンですから、選手にとってはいいイメージを持って戦えることも大事。『SEIMEI』は2回ほど完璧に滑ったことがあり、曲が体に染みついているプログラムでもあると思います。僕は五輪に向けて勝ちにきたんだなという印象を受けました」

 →→マスコミ関係者から投げられるこの定番の質問は、「ジャッジの印象が悪くなるんじゃないか?」という返答を期待しているフシがあるんですが、織田君がまったく逆の意見というのは面白いですね。

 私も、有力選手の新プログラムを一通り見てきて、「もっと滑り込むことでよくなる」なんてブログにたびたび書いています。具体的には、「いまはエレメンツをこなすのがやっとに見える」とか「もっと身体全体を使ってほしい」とか、素人レベルでもそんな不満を持つのだから、プロのジャッジはプログラムの新旧関係なくもっとシビアに見ているだろうなと感じました。

 そもそも「新プログラム」とはいっても、フィギュアスケートは狭い世界なんで、曲かぶりもけっこうあるし、私自身は、ジュニアも含めてたくさん見ていると、実はプログラムの新旧ってあまり気にならなくなりつつあります。やはりクオリティが大切。ノーミスで、目線や指先まで神経を行き届かせて、表情にも自信を持たせて、演じきれる人が強いですね。

 では、また明日!

 Jun

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