2017-10-11-15-01-53

2017-10-11-15-02-35

image



 昨日の記事(およびQ&A)では羽生君に関連したものをピックアップしましたが、今日は、二人のレジェンドの分析をご紹介します。

 (1)荒川さんが語る「ロシア女子の強さ」(59頁)

 ―― (ロシアの女子は)なぜ失敗をしないのですか。

  「普段の練習を見ているわけではないので予想ですが、ロシアの選手はプログラムを通しで徹底的に練習しているのでは。パートごとの練習中心では、あそこまで後半を強化するのは難しい。さらに練習では本番の内容よりもハイレベルな構成にしていると思います。難度の高いプログラムに、さらに負荷をかけて練習することで、試合は少し楽な気持ちで挑めているのではないでしょうか」

  「大会の公式練習でもそのように練習をしていて、3回転+3回転+3回転などを跳んでいます。これまでロシアの選手たちはあまり通し練習をしなかったように思いますが、今は練習で可能性を最大限まで引き上げ、本番ではそこからいいものをチョイスするという戦術のように思います

 ―― ロシアの選手に勝つにはもっと後半の強化が必要に?

  「後半の強化はもっとも差をつけやすいところです。後半に得点になる要素を多く組んでいれば、それは難しいプログラムになっているということ。おのずとファイブコンポーネンツ(演技構成点)につながります。また後半にミスせず演技ができる体力があれば、仮に前半でミスをしても後半に取り返すことができます。それは選手にとって、精神的な支えになります」

 →→まず興味深いのは、かつてのロシア選手はあまりランスルーをしていなかった、という荒川さんの見解ですね。これは知りませんでした。一方、「3+3+3」のような、試合の構成よりも難しい内容で練習しているという話は比較的よく知られていると思います。

 いまのロシア女子の圧倒的な強さは、ソチ五輪でのメダル獲得を見据えての強化の成果だというのが一般的な認識ですけど、ソチのプロトコルを見ると、当時のソトニコワもリプちゃんもべつに後半固め打ちなんてしてませんからね。やはり、メドベ以前とメドベ以後という所が、ひとつの区切りかもしれません。

 日本のトップ選手の中で、とくに神戸の舞依ちゃんと花織ちゃんは「ランスルー練習でミスをすると、曲が止められる」という話や、他のチームの選手と比べても、今季のプログラムは「ロシア仕様」に強化されていることもあり、それが実を結ぶことを期待したいです。

 (2)小塚君が語る「オリンピック」(75~78頁)

 ・バンクーバー五輪での選手村

  「滞在した選手村の部屋は2LDKの2ベッドルーム。髙橋大輔さん、織田信成さん、クリス・リードさんと同じ部屋でした。フリーの演技当日、会場に向かうまだ2、3時間前、部屋にいる時から僕はとても緊張していました。・・・そんな時に部屋のダイニングで髙橋くんと話をしていて、『緊張するわ』と僕が言うと、大ちゃんが、『いやいや。まだ部屋の中だから。緊張するの早いから。そんなに今から緊張してたら、もたないよー』と声をかけてくれて。その一言で僕は『確かにそうだな』と思えて、緊張がほぐれたことを覚えています。その日のフリーで、僕は4回転ジャンプを着氷することができ、結果8位でした

  「声をかけてくれる先輩がいてよかったと思っています。1人だったら、緊張しすぎてしまって、本番で疲れてしまっていたかもしれません。日本は男子シングルの選手が3人いましたし、チームジャパンとして、声をかけ合って大会に臨めたことは素晴らしいことでした」

 ・他種目選手との交流の重要性

  「・・・大会に行く前に他種目の選手とも交流してあいさつができる関係になっておけば、会場でもちょっとした会話ができて気分転換になります。通常のフィギュアの大会だと、ホテルに泊まり、周りにいるのはフィギュアスケートの選手だけ。しかしオリンピックでは、選手村に滞在します。バンクーバーでは82カ国・地域から約2600人の、スキーやスピードスケート、カーリングなどたくさんの選手がいて、一緒に生活します」

  「僕は開会式には出ませんでしたが、選手村にゲーム機や卓球台が置いてある遊興スペースがあって、そこで残っている選手みんなでテレビの中継を見ました。食事は選手・役員共通の食堂があり、世界各国の料理が出ます。他国の選手と一緒になることもあります。そんなところでもオリンピックを感じました」

 ・五輪上位を目指すために

  「来年の平昌オリンピックを目指す選手たちに声をかけるとすれば、まずはケガをしないで、そこまでの他のシーズンとの雰囲気の違いを楽しんでほしいです。・・・上位を目指すのなら、オリンピック本番の日の調子もあるけれども、グランプリ(GP)シリーズなどの国際大会で評価を高めておかないといけません。フィギュアスケートは、そういうスポーツです

  「オリンピック前に、シニアでどれだけ評価される選手になっているか、とても大切になってきます。大会の前に、その時点での選手の評価やうわさのようなものがジャッジの頭に入るものです。それを、オリンピックになって急に覆すのはなかなか難しいことです。・・・ただ、すべての選手に言いたいのは、焦らないこと。自分のできることしか、できない。だからそれをやり切る、出し切ることこそが大切です。みなさんが納得した形でシーズンを終えられることを願っています」

 →→実は、小塚君のこのインタは、次の印象的なフレーズで始まります。

  「(オリンピックは)なんというか、本当に一瞬のことでいつの間にか終わっちゃって。楽しんでいる暇はなかったです。オリンピックの試合中に楽しんだというより、後になって、それを思い出して、楽しむもの。後から動画や映像を見返して、自分の記憶と重ねて思い返すという感じです

 まぁ、実際はすべての選手が必死ですからね。メダルを期待されるトップアスリートほど「楽しむ」という言葉をよく口にするのは、より注目され結果が求められる中で、普段通りの力を出すための「暗示」なのでしょう。

 選手村での他種目選手との交流の話は興味深いです。だから、今年4月の「チーム・ビルディング」(「通信SP」参照)のような形で、結束を深めていたのでしょう。

 「開会式を選手村でテレビ中継で見る」というのは、羽生君もそうなりそうですね。

 かりに上記のバンクーバーでの男子の部屋割が、平昌でも同じになるとして、年上のクリスがいてくれると、羽生君にとっても心理的重圧が軽減されるんじゃないか?と、これはこれで、共同生活もいいように働くような、そんな想像をしてしまいました。

italy

 さて、話題をかえて、13日(金)の夜は、いよいよJGP最終戦、イタリア大会の女子SPです。ライストは「こちら」。リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。

 名古屋のファイナルに進める残り3枠は、事実上、上のタイムテーブルで赤く囲んだ、ロシア2人、日本2人、そして、すでに2戦を終えた山下真瑚ちゃんに絞られています。ポイント争いの詳細については「こちら」の記事をどうぞ。

 このSPの滑走順は、日本選手的にはラッキーかもしれません。一番強いと言われているコストルナヤが最初に登場するので、しっかりノーミスで滑り切れば、第1Gの彼女を基準にした高得点が期待できるからです。









 先日のジャパンオープンを見たばかりの感覚でも、十分に将来性と可能性を感じさせる有望なスケーターで、しかも、まったくタイプの違う4人です。予習としてぜひどうぞ。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ