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2017-11-30-18-04-17



 ジュエルズの最新号の続きです。バックナンバーのレビューは「こちら」で。

 今日は羽生君のインタから、気になった部分を取り上げてみます。

 (1)膝の故障の「トラウマ」

 ――「膝の故障で大事をとって」との発表がありましたが、試合(オータム)を欠場することも考えましたか?

  「僕の中では左膝の故障にはトラウマに近い記憶があって、2013年世界選手権のときにはこの膝を治すまでに2ヵ月かかっていました。・・・今回、そこまでいってしまったら10月のグランプリシリーズの初戦すら間に合わなくなってしまう。グランプリに間に合わないと、全日本選手権での一発勝負になる。全日本を終えた次の試合が平昌オリンピックになると、絶対に調整は無理だと。その不安が一番大きかったので、今回試合に出るという決断はそんなに簡単ではありませんでした」

 →→本号の巻頭インタは、オータム後とロステレ後の2回のインタを一本にまとめたのか、あるいは、全てロステレ後に聞いたものかは不明ですが、NHK杯の怪我前に行われたのは確かのようです。

 ただ、この話を現在の状況にスライドして考えると、「平昌オリンピックでの一発勝負」を避けるための「調整の場」は全日本しか無いので、全日本には何が何でも間に合わせるだろうなと。

 で、「調整」であるなら、最高の構成である必要はない。NHK杯からちょうど3週間経つので、そろそろ氷上練習を開始している可能性もありますが、やはりルッツを外した構成を予定していると私は予想します。

 (2)SPはループで!
 
 ―― 4回転サルコウでも世界歴代最高点が出ました。あえて難しい構成で挑戦しなくてもいいのではとも思いますが、アスリートとして挑戦しますよね?

  「・・・今の僕にとっての『バラード第1番』はやはり4回転ループだし、ループだからこそ見えるものが、またどこかにあるのだろうと思うのです。・・・僕にとっての今のあの音楽はループがあってこそだから、そのループで決まらなきゃ話にならないなと思います。・・・もうあそこは4回転ループというふうに僕の頭の中ではなっているので、まったく心の揺らぎはないですね」

 →→これを読んで率直に感じたのは、「そうか・・・SPにルッツを入れるというアイデアは、NHK杯前の時点でも考えておらず、練習でもやってなさそうだな」ということです。ブライアンから「フリーで一本だけならいいよ」というような、条件が提示されていたのかも。

 マガジンでロステレ時の会見を読んでいて、「ルッツをSPでも入れるのか?」という質問がなぜ記者から投げられなかったのか疑問に思っていたのですが、ここでの「ループだからこそ」という発言が事実上の答えになっているようです。

 (3)日本人スケーターとしての長所

 ―― 今も残っているその(ロシアでの)教えを感じるところは、どんなところですか?

  「カナダに練習拠点を移してからは、カナダとロシアの表現の仕方がまったく違うから、そのどちらでもないアジア人がどのような表現をすればいいのかを考えています。いろいろな方と話をしていて感じるのは、(僕自身は)北米で練習しているけれど、表現の仕方は北米スタイルだけではない。どちらかというとロシア、表現の系統的にはロシアのタイプなんだろうけれど、そこだけに特化しているわけではない

  「やはり、アジア人特有の、ジャンプの細さがあって、それらすべてが生かされているから素晴らしいよねという話を結構いろいろな方に言われて、それはスケーター冥利につきます。ある意味、日本人に生まれてよかったなと思えます。僕自身は日本で練習を始め、日本の先生がいろいろな教え方を持っていて、その先生たちにも恵まれ、その後ロシアへ行って、カナダに行って、本当にいろいろなことを吸収しているので、いろいろなものが僕の中に入っているんだと思います」



 →→最近、町田君がネイサンのジャンプを「完全にロシアンスタイル」と解説をしていて、それはロシア出身のラファの教えによるものが大きいということでした。



 で、町田君はミーシンの話もしていたので、こちらも貼っておきます。このJGPの動画でミーシンのインタを聴いていると、ロシアの女子が強くなった理由の一つは、「いまのロシアのスケートは、北米やヨーロッパのスタイルを融合させたものだから」と彼は語っています。もはや、どこの出身で、誰に教わって、どういうスタイルでという「垣根」はなくなっているのかもしれません。



  いいところは吸収する。ダメなところは真似しない。

 「将棋世界」という雑誌の最新号(2018年1月号)を読んでいると、藤井聡太四段のようなコンピュータを研究に使う若手棋士の将棋は、「トップ棋士のいいところだけと、コンピュータ将棋をうまくミックスさせていて、完成度が高い」という分析がされていました。

 羽生君がブライアンの考えを「はいそうですか」と全て受け入れずに「4回転競争」に食らいついていったのは、それが彼なりの「最善」と考えたからなのでしょう。

 いくらブライアンが、金メダリストを輩出をした名コーチで、自分も彼の指導で金メダルを獲れたとしても、ソチ後、実際に試合会場でトップスケーターたちとガチンコ勝負をして、「クワドの種類と数を増やさないと勝てない!」という、羽生君なりの「野生の勘」が働いたのでしょうね。

 (4)ルッツの成功よりも嬉しかったこと

 ―― グランプリシリーズ初戦にロシア大会を選びました。例年とは違うシーズン開幕になりましたね。

  「一番よかったなと思ったのは、4回転ルッツが跳べたことでもショートでミスって課題が見つかったことでもなく、(ロシア合宿で教えていただいた)ベステミアノワ&ボブリン夫妻の前で滑れたことと、タラソワさん(タチアナ・タラソワコーチ)の前で滑れたこと、そしてこのロシアの地でまた滑れたことです

  「全然良い出来ではなかったし、(観戦されていた)3人には会えなかったけれど、タラソワさんには今でもお世話になってるし、ベステミアノワ&ボブリン夫妻は自分の基盤をつくってくれたお二人です。その教えがないとここまでやってこられませんでした」

  「今まで積み上げてきたものをすべて出さなくてはいけないシーズンの初戦に、そうした方々の前で滑れたことによって、もっとこんなことができたな、もっとこんなこともやらなきゃいけないんだ、こういうことに注目しなきゃいけないなということを、改めて感じられたんですよね」

 →→「ループじゃなきゃ話にならない」と言いながら、それだけで話が終始しないところが、羽生結弦というスケーターの人間的な魅力ですよね。

 ロシアでの合宿が震災のわずか半年後の2011年の9月だったことから、いろいろと想像をめぐらせてしまいます。

 練習場所の確保に苦労し、スケートを続けるかどうかという瀬戸際にあったその当時、ロシアで受けた指導というのは、羽生君にとって単に技術的なアドバイスというだけでなく、彼が競技を続けるうえで強く背中を押してくれたのだろうなぁと、思います。6年前の、わずか1週間の合宿について、こんなに律儀に感謝しているんですからね。

 ロシア合宿については、「松田華音さんとの対談」について語った際に、当時のCutting Edgeの記事を貼りましたので、よろしければどうぞ。



 ボーヤンとメドベがファイナルを欠場。ジェイソンとさっとんが繰り上がりで出場です。欠場した二人は、しっかり治して五輪に備えてもらいたいです。代打の二人ともに大好きな選手なので、全力応援です。

 まだまだ、ジュエルズについて語りたいことは山ほどあるので、明日以降もお楽しみに。

 では、また明日!

 Jun

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