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 引き続き、ジュエルズ最新号のレビューです。バックナンバーは「こちら」で。

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 GPファイナルの男子シングルで、ボーヤンの欠場が決まり、その代わりに、ジェイソンが繰り上げで出場することになりました。

 ジェイソンといえば、NHK杯のキスクラでの羽生君への手書きのメッセージが、ヤフーニュースでも取り上げられていましたね。ゆづファン的には、大好きな男子シングル選手の筆頭格になったんじゃないかと。

 私の中では、羽生君をのぞくと、今季のプログラムを見た限り、その次に好きな男子スケーターが、彼かもしれません。羽生君とはまったくタイプは違うけれども、確かな技術があって、さらに身体の柔軟性を生かした独創的な振付と、パフォーマーとしての優秀さは、認めないわけにはいきません。

 ちょうど、本誌の「インタビュー 彼らの流儀」で、ジェイソンのインタビューが掲載しているので、ご紹介したいと思います。このインタ自体は、シーズンイン前に行われたものです。ご了承ください。

 (1)プログラムについて

 ―― 新プログラムはショートプログラムがミュージカル『ハミルトン』から『The Room Where It Happens』。フリースケーティングがマキシム・ロドリゲス作曲のオリジナル曲『Inner Love』ですね。

  「実は、腰のケガを完治させるために素早い動きを1年ほど控えていたんです。でも状態もとても良くなっていたので、新しいショートプログラムをテンポの速い曲で滑るのが楽しみです」

  「フリースケーティング(FS)では、観客の心に触れるような演技をしたいと考えています。もちろん、過去のプログラムとあまりにも似ているものは避けたいのですが、昨シーズンのFS『The Piano』に対するみなさんの反応がとても良くてうれしかったんです。そこで今シーズンもシンプルなプログラムでフィギュアスケートの『滑り』の側面を見せる演技をしたいと思ったんです



 NHK杯よりもスケカナの方が内容が良かったので、SPはスケカナの映像を貼ってみました。スコアは90.71(TES: 45.64/ PCS:45.07)でした。

 最近私がチェックしている「ガンディさん」のブログで、このジェイソンのSPをどう見ているかというと、「3Aと3Fの前以外はほとんど動き続けている割にPCSが低い」ということでした。

 NHK杯の演技にも衝撃を受けましたが、スケーティングスピードは速いし、でも、軌道は複雑だし、身体の柔らかさを生かした動きが随所に詰め込まれていて、しかも、リズム感もバッチリで、何度見ても、めちゃくちゃかっこいいです。

 ところで、表現力のあるスケーターというと、日本人の若手選手や専門家は、すぐに大ちゃんのことを言いますよね。とくに西の方の人たちはリスペクト発言をいつもしています。

 もちろん、大ちゃんも素晴らしいスケーターですが、スコアや構成の話を横に置いて、パフォーマンス単体として見た場合、このジェイソンの動きはフィギュアという枠を超えたスケールの大きさを感じます。





 上が、今季のスケカナでのフリー。下は、国別での昨季のフリーです。ぜひ、両方見比べていただきたいです。

 たしかに、「シンプル」「滑りの側面を見せる」という点で、今季は昨季の延長戦上にありますね。構成で言うと、昨季はクワドを入れていない代わりに、前半はジャンプが2本しかなくて、エテリ組のような後半集中型になっています。

 一方、今季は、4Tを冒頭に入れているので、前半のジャンプが3本になっています。3Aは今季よりも昨季の方が決まってる感じはします。ループは苦手みたいですね。

 今季のフリーも心に染みます。曲調が穏やかなので、SPみたいにガンガン行く感じではないですが、上半身の動きの美しさが際立っています。

 腕の長さと、たぶん手も大きいのだと思いますが、指先からしなっていて、それでいて背筋もピン!と美しい。舞台の上で素足で踊っているような滑らかさです。

 (2)プログラムに込められた狙い

 ―― 最近では、プログラムに入ってくる4回転ジャンプの数がどんどん増えています。そんな中、あなたは4回転が3本も4本もなくても、良い成績を残せるということを証明していますね。4回転ジャンプをたくさん跳ばずに自分の良さをアピールするというのは大変ではないですか?

  「採点は加点方式です。つまり高い得点を取れないところがあれば、他で得点を稼ぐ方法を考えなければいけません。僕の振付師とコーチは、その点を非常に上手に考えてくれていると思います。僕の強みを生かし、バランスの良いスケーターに見せるために、本当に細かい点にまで目を配ってくれています

  「僕は技術面では最高難度を持っていないかもしれませんが、ジャンプ、スピン、ステップなどの質の高さで勝負をしています。コーチたちも、エレメンツの質が最高レベルであるように厳しい目で見ています。まだプログラムに4回転をたくさん入れることはできていませんが、得点はどんどん上がってきています」

  「これは、ジャンプ以外の部分が上達しているという証しなのでワクワクしますね。他の選手がジャンプで得点を上げている中、僕はジャンプ以外の得点が挙がってきているということですから

 ―― 氷上であれだけの感情を観客に伝えることができる秘訣はなんでしょう?

  「演じることがとにかく好きなだけです。それが一番大きいと思います。喜びや愛を感じ、自分が経験してきたことすべてに感謝して演じています。リンクの中央に立ち、数千人のファンに囲まれている時の気分は、そこが日本だろうがフィンランドだろうが、どこであろうが格別です。この立場にいられる自分はなんて幸せ者なんだろうって。そう思うと自然に笑顔になり、試合に臨む気持ちや演技に対する気持ちが高まります

 →→喜びや感謝の気持ちを感じてパフォーマンスできるのは、やはり、自分の長所を生かしたプログラムを滑るというところから、繋がっている気がします。

 どういうジャンプを何本入れて、ミスなく演じきれば何点というスコアがでて、順位は何番まで入れる。・・・そこにチャレンジすることは、それはそれで素晴らしいことですが、ういう計算がのしかかってくると、普通なら、楽しむとか感謝というより、一種の試練なんじゃないかと。

 そして、ここにきて、ちゃんとした演技が必ずしも正当に評価されない、現行のフィギュアスケートの採点システムの欠陥が露わになってくると、競技者はなにを目指すことがハッピーなんだろう?という話になります。

 羽生君の場合、私の見立てでは、現行のジャッジングシステムを信用していないフシがあって、だからジャンプの難度を追求して、ライバルを一歩でも二歩でもリードすることを考えているように見えます。

 ジェイソンとその陣営は、試合で何位に入るということはあまり気にせずに、「まずは、得意で好きなことからやっていこうよ。結果は後でついてくるから」という発想のようです。

 アメリカの懐の広いところは、ネイサンやヴィンセントのようなクワドジャンプの申し子のような選手もいて、でも、リッポンやジェイソンのような、そことは多少距離を置いたパフォーマンスをする選手もいる。

 日本の男子のことを考えてみると、女子ほど競技人口も多くないし競争も激しくないのだから、「何歳までにどのジャンプを降りなきゃダメ」みたいのはやめてみたら?という気もします。

 (3)日本で教師に

 ―― 現役引退後にやってみたいことはありますか?

  「僕の大きな目標のひとつは、日本で英語を教えること。子どものころから、ずっと教師になりたかったんです。・・・できれば小学校で英語を教えて、一方でスケートを教えたいです。あとは、マスコミ関係の仕事、たとえばテレビ中継の解説やインタビュー、報道にかかわってみたいとも思います」

 →→目標のあることは素晴らしいです。・・・でも、英語の教師は山ほどいて、しかも日本人が日本で生活するぶんには、英語はほぼ必要ないので、むしろ、「日本でスケートを教える」という部分によりフォーカスしていただきたいなと。

 彼のようなスケーターは世界的に見ても希少ですから、アイスショーや、オフシーズンのサマーキャンプのような形で、日本にどんどん来てほしいものです。真壁さん、スケ連関係者、ちょっとがんばってくださいよ!

 ただ、このインタの中でも、彼自身、引退はまだ全然考えていない感じです。ルール改正の話もあるし、まだまだ続けてもらわないと困ります。

 名古屋のファイナルではなかなかスコアは出にくいかもしれませんが、そういうことは別にして、彼の唯一無二のパフォーマンスを、もっと多くの日本人に知ってもらいたいと思いますね。

 では、また明日!

 Jun

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