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 2018年2月5日発売。マガジンのバックナンバーのレビューは「こちら」で。

 前号と同様に、羽生君についての新しい情報は無いはずなので、まずは座談会のページから開いてみました。メンバーは前回と同じ、吉田学史、後藤太輔、高木恵の3名の記者たち。気になった点をピックアップしておきます。

 (1)ぶっつけ本番のプラス面

  後藤「・・・男子フィギュアとして66年ぶりに連覇しそうだという重圧を負いまくって大会に入るよりも、ケガをして、ぶっつけ本番で『もうやるしかない』という状況のほうが、実はうまくハマる可能性もあるような…。・・・今の状況をポジティブに受け止めるとするなら、『勝って当たり前』の重圧からは解放されるのかなと。それは、むしろいいかもしれない」

  後藤「・・・昔、パトリック・チャンのことを気にし過ぎて、うまくいかなかったことがありましたよね。むしろ自分だけにフォーカスできる状態になったことはプラスですね」

  吉田「・・・競技は違うのですが、2年前のリオ五輪の時に水泳の萩野公介を取材していて、ずっといまいちだった時期があったんです。ところがオリンピックの会場に入った瞬間、目の色が変わった。彼は17歳の時にロンドンで銅メダルを獲って、『自分の晴れ舞台はオリンピックなんだ』というのがあるんですね。言い方を換えると、そこでしかスイッチが入らないんです。羽生選手もまた、4年ぶりにその場に立つとメンタル的に変わってくるはずですから。神がかってくるというか。そういう意味では、精神的に心配ないのかなと。プレッシャーにつぶされるとか、そういう心配はないと思っています」

 →→そもそも羽生君に関する新しい情報がないので、日本のマスコミも、「金メダルへ!」とか「連覇確実!」というように煽ることもなく、このまま五輪は開幕することになるでしょう。始まってしまったら、開催中の競技を報道せざるをえないし、「外部的なプレッシャー」の少ない状態で、羽生君も現地入りできるでしょうね。

 パトリックを「意識しすぎた」という話は面白い指摘です。今大会に限っては、「誰がどんなジャンプを何本跳ぶか。何点出そうか」ではなくて、羽生君にとってケガ明けの最初の実戦ですから、「いまの自分に何ができるか」に集中せざるをえない。できないことをやろうとしない。「いま練習でできることだけを確実にやりきる」というモードに入っていると思います。余計な邪念や欲でブレることもない。むしろミスの少ない、クオリティの高い演技を期待できるんじゃないでしょうか。

 (2)4Lzではなく、4Loを入れるかどうか

  高木「(4Lzを)構成に入れるかどうか以前に、まず跳べるかどうかですよね。練習を始めたのが1月に入ってからなのであれば」

  吉田「いや、跳べないでしょう」

  高木「羽生さんは『予測不能』だから絶対とは言えないですが、ケガの状態からいってルッツを跳べる状態まで戻すのは、ちょっと難しいかもしれませんね」

  後藤「・・・サルコーやトーループのように完成されたジャンプであれば戻すのは早いでしょうが、ルッツを跳ぶ時に絶対に固めなければいけないポイントを、彼の中でまだ固めきれていないと思うんです。まだ完成しきっていないジャンプを、ここから入れるのは難しいでしょうね

  吉田「ロシアの時も本番では成功しましたけど、練習も含めた成功率は2割弱でしたから。本番への調整力はさすがですが、後藤記者が話したように、でき上がったジャンプではないですよね」

  吉田「ループはルッツに比べれば、だいぶ完成には近づいていますからね」

  高木「ただ、右足踏み切りなのが気になりますよね。そこがネックというか」

  吉田「本人は『ループを入れたい』って言うでしょうね」

  吉田「ショートだけか、フリーの1本目でもいいけど、入れたいと思っているでしょう。でも、それも含めて最後まで調整じゃないですか」

  高木「試合当日に決める、みたいな」

  吉田「本当、それくらいだと思います。この時代に(4回転)2種類というのは…

  高木「許せない?」

  吉田「本人も許せないだろうし、あとはジャッジ側も見ると思うんですよ。どれだけ難しいことをやっているのか、それがひとつの評価軸になってきますから。やっぱりサルコーとトーループだけよりも、ループをショートかフリー、最低でも1個は入れたいと思っているでしょうね」

 →→つまり、4Lzというのは、羽生君にとって「できるかできないか、わからないジャンプ」で、健康体であれば彼の性格からトライすることになったであろう大技です。御三方も「跳ばないでしょう」と一致していますね。私も同感です。

 で、やはり4Loの話になってきましたね。私も最も気になっていた部分です。興味深かったのは、吉田さんの、「ジャッジは難しいことをやっているかを見ている」という部分。

 たしかに、羽生君は4Sと4Tの2種で「330.43」を出しているので、これが、「羽生はクワド2種類だけでも勝てる」論の根拠となっています。

 ただ、2種類にすると、フリーのジャンプ構成を、得意の3Aを2本入れるならば、クワドは3本に留めないといけない。逆に、フリーだけでも4Loを入れると、3Aを2本入れつつ、クワドを4本入れられるという、つまり昨季のホプレガの構成で戦えるわけです。この違いは大きい。

 そもそも、クワド2種の構成でノーミスしたとしても、330.43というスコアを出してくれるのかどうか?という問題があります。「曲も同じで、ジャンプも同じなら、良いスコアはあげられないな・・・」という「抵抗感」のようなものが、ジャッジには芽生えるかもしれません。逆に考えると、ウケがイマイチだったホプレガと同じ構成でSEIMEIを滑るなら、SEIMEIの方が当然評価は高くなるんじゃないか?、そこを陣営も狙っているかもしれません。

 (3)「SEIMEI」の負担

  高木「『SEIMEI』で世界記録を出した時の映像をあらためて見てみると、中盤のステップとか、すごく難しいことをやっているんですよ。ステップって、けっこう足首がポイントになるんですよね」

  後藤「佐藤信夫コーチに聞いたんですが、フィギュアスケートって最終的には足首ですべて調整するスポーツなんですよ」

  後藤「・・・これだけ休んでいるわけですから、フリーで出だしから目いっぱいのスピードで滑って、ジャンプを全部決めるのはけっこう難しいと思うんです。その時点での自分のスタミナを冷静に考えて、どの程度のスピードでいくかを調整し、ジャンプを跳びきって、降りきることに専念すれば勝てるんじゃないのかなと」

  吉田「逆に『ホープ&レガシー』のほうが、こういう状況だと滑りやすいかもしれないですね。それほど抑揚がなくてスローなテンポですから。『SEIMEI』って、どんどん曲調が変わっていきますよね。そこでスローな滑りをしたら、ジャッジがどう感じるのかというのはありますね。『ホープ&レガシー』であればハマっていたものが、『SEIMEI』でもうまくハマるのか。そこはちょっとわからないですね」

  後藤「要は、4分半うまく滑りきれるようなペース配分ですよね」

  吉田「スピンとかステップでレベル4を取れなくても、現実的に考えて体力をジャンプに残しておく。そういうことも勝つためには必要ですよ。特に今回の羽生選手の場合は」

 →→そこに来て、「SEIMEIは疲れる」論ですよ。え?ホプレガに戻すの?・・・さすがにそれはありえないですが、振付の部分で多少いじる(省略する)可能性はあるのかもしれません。

 この座談会は1月中旬ということで4CC前ですから、ボーヤンの復活劇の話は出てきていません。PCSに関しては、宇野選手やネイサンには及びませんが、ジャンプの精度ということだと、あの好調ぶりを持続できるなら、ボーヤンはメダル争いに十分に絡んでくるんじゃないかと。

 明日も引き続き、マガジンを見ていきたいと思います。

 では、また明日!

 Jun

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