FullSizeRender

IMG_9991

 世界ジュニア直前企画として、少し前に出た雑誌のインタをいくつかご紹介したいと思います。まずは、紀平梨花ちゃんの名古屋ファイナル直後のインタから(「WFS No.80」50頁、昨年12月10日取材)。

 ―― 世界はどういうふうに捉えてる?

  「自分とはまた違ったいいところとか、こういうふうなところで点を稼ぐ方法とか、たくさん見ていて思ったので、あとは安定感が抜群な選手が本当にロシアにはたくさんいるなと思いました」

 ―― 点数を稼げる部分とは?

  「(ジャンプの)構えの部分が、自分は本当に長いなというふうに今回、思いました。ジャンプの直前にターンを入れたり、あとは着地の部分で難しいかたちにしてたりとか、そういうところです。ジャッジスコアを見ていても、トップの選手とかは本当にたくさん加点がついていたので、加点をもう少し上げれば、また点数も上がるし、ミスなく演技ができればさらに点数も伸びるので、加点の部分が大事というふうに思いました

 ―― 世界ジュニアに向けては。

  「世界ジュニアではとにかくジャンプをミスなく演技するのが、いちばんしなければいけないことで、難しすぎてミスしてしまうっていうのはだめなので、出来る程度に難しく、間に合わせていけたらいいなと思います

 ―― 2個目のアクセルを失敗しないためにはどんな練習がしたいですか。

  「いまの確率を保って、あと今回の経験で、直前にいろんな言葉が出てきてしまって、絶対にそれが原因だったと言い切れるぐらいの確信があったので、そこを確実になくしたい。考えて出てきてしまったという感じだったので、考えなければ考えなくできたのに、っていう感じだったので、次からはジャンプだけを集中したいと思います

 →→すでに、「3Aを降りただけでは勝負にならない」という認識を持っていることが、まさに梨花ちゃんの伸びしろですよね。その意味では、日本女子のシニアの選手よりも上を見据えています。ただ、ジャンプの「入りと出」の部分に工夫をこらしたいという思いと、でも難易度が上がりすぎてミスをしてしまっては元も子もないという、そのジレンマの中にいるようです。今季の「カンフーピアノ」と「道」は良いプログラムですから、まずはきっちりノーミスをして、締めくくってもらいたい。来季のプログラムに、その辺りの「進化」が見られればいいなと思います。

 最後の問答の部分を、もうちょっとWFSのインタビュアーは補足してもらいたかったんですが、「直前のいろんな言葉」というのは、私が推測するなら、3Aを跳ぶ際の「様々な不安要素や迷い」といったところなんでしょうか。ちなみにファイナルのフリーは、冒頭の3A+3Tは成功(GOE+1.86)したんですが、つづく単発の3Aはシングルに抜けてしまいました。全日本ではSP・フリー合わせて計3本成功しています。

 女子のジュニアの試合ではSPに3Aを入れられないので、世界ジュニアでロシア勢を追いかける上で不利ですが、だからこそ、全体の完成度重視で頑張ってもらいたいです。

IMG_9993

FullSizeRender

IMG_9996

 つぎは、須本光希君。まずは、ファイナルのフリー翌々日のインタから(「WFS No.80」26頁、昨年12月10日)。

 ―― キス&クライでの気持ちをもう1回教えてもらえますか。

  「ここに来るまでは、パーソナルベストだったらいちばん下からのチャレンジだったので、表彰台に上がれるっていうことは全然意識していなかったんですけど、ショートの結果がよくて、ここから順位を落としたくないと思って、初めてこの大舞台で表彰台に乗ったら、自分にとっても大きな自信になると思ったので、すごくメダルっていうものを意識しました」

 ―― 感情を表に出さないタイプに見えますが、それが表現に何か影響したりしますか。

  「感情をもっと出してほしいっていうのが、たぶんみなさんの本音だと思うんですけど、何試合か、自分で意識して表現をしようと思って、笑ったりはたまにするんですけど、そういう試合ほどジャンプでちょっと失敗してしまったり。まだジャンプも表現も2つともできる選手ではないので、これからちょっとずつ、シニアに上がるまでに、そのへんを強化していきたいと思います」

 ―― 他の選手で印象に残った選手は?

  「NHK杯を見て、セルゲイ・ヴォロノフ選手のフリー演技にすごく心惹かれて、今回もすごくいい演技だったのですごく感動しました。アイスダンスも本当にみんなスケーティングがうまかったんですけど、印象に残っているのはペアの中国のスイ&ハン選手の『トゥーランドット』が本当に好きで、すごく印象に残っています」

 →→ここでいったん切ります。「みなさんの本音」って誰の本音?と思うんですが、先日の記者クラブでの羽生君の会見を彼も見ているはずで、「まずはジャンプを正確に!」というマインドに切り替えているんじゃないでしょうか。

 ヴォロノフさんに「心惹かれた」というのは、すごく地に足のついた見方をしてるんだなぁと。これから4回転に挑戦していく16歳の若者なんですから、普通に考えたら、ネイサンやボーヤンやヴィンセント君あたりに注目しそうです。でも、今季のヴォロさんは、4Tと3Aだけを武器に、でもそれをキレイに決めて、あとはそのノリで行っちゃうという、見ていて爽快感のあるパフォーマンスでした。

 須本君も、3Aから4Tへという所は現在進行形で考えているはずで、「まずはこれぐらいのレベルを!」という観点で見ているのかもしれません。さらに、アイスダンスやペアも見ているというのは研究熱心で、頼もしいですね。

FullSizeRender

 ファイナル前のインタですが、「Quadruple 2018」(84~85頁)からも少しご紹介します。

 ―― 須本選手はイーグルもすごく美しいですよね。

  「小さい頃は氷の上で遊ぶのが好きで、『〇〇選手の真似をしよう』って言って、イーグルやイナバウアーをやっていました。今シーズンのフリー(『レ・ミゼラブル』)の振り付けのときは、(阿部)奈々美先生が『(須本選手は)イーグルが得意だから、最後はイーグルで締めよう』と言ってくださって

 ―― 美しいスケーティングをたっぷり見せた後のイーグルが、とても印象的ですよね。

  「あそこは自分でやっていてもすごく楽しいです」

 ―― その「レ・ミゼラブル」ですが、曲はどのように決めましたか?

  「曲も振り付けも奈々美先生が決めてくださいました。・・・去年のフリー(ピアノソナタ第8番『悲愴』)からイメージが大きく変わるし、『自分にできるかな・・・?』という思いもあって。でも、やってみたらすごく楽しくて、『あ、こんな曲もできるんだ』という発見がありました」

 ―― 振り付けの阿部奈々美先生からはどんなアドバイスがありましたか?

  「(劇中歌の)『民衆の歌』のところは、『力強く踊ってほしい』と言われました。『もしジャンプを失敗しても、最後は曲が背中を押してくれるから』とおっしゃってくださって、編曲もそういうふうにしてくださいました



 →→最後のイーグルの所、かっこいいですよね。こういう終わり方はちょっと記憶にないので、かなり珍しいんじゃないでしょうか。個人的に山本草太君と並んで、期待している選手です。今回の世界ジュニアはメンバーがキツイので、過度な期待はできませんが、ノーミスを2本揃えて、本人も納得のいく演技をしてもらえたらと思います。

FullSizeRender

 最後にオマケでこの方、エテリ組の振付師、グレイヘンゴーズさん。「WFS No.81」(57頁)でインタが掲載されていたんですが、おそらく本邦初登場だと思います。こちらも、昨年12月のファイナルでの取材です。

 ―― ダニールさんはエテリ・トゥトベリーゼコーチとの協力関係のもと、エフゲーニャ・メドヴェージェワ、アリーナ・ザギトワといった有力選手たちのプログラムを手がけています。まだ26歳の若さですが、振付との出会いは?

  「18歳まではヴィクトル・クドリャフツェフコーチのもとでシングル・スケーターでした。15歳で世界ジュニアに出たこともあります。でも怪我をしてしまって、アイスダンスに転向し、アレクサンドル・ズーリンのところで3年間滑ったのち、引退してコーチになることにしたんです。2014年のソチ・オリンピックの後、エテリと一緒にやり始めました

 ―― 彼女はどんな人ですか。

  「とても厳格な人だと聞かされていたので、最初はびくびくしていました。(笑)でも彼女はぼくにポテンシャルを感じてくれて、多くのことを教えてくれた。プログラムの構成の仕方、練習の組み立て方、みんな彼女から学びました。いまでは信頼し合ういいチームになれていると思います」

 ―― コーチもなさっているんですね。

  「1年のどの時期かによります。オフシーズンはプログラムの振付をしていて、我々のグループには25人もの選手がいますから、つまり40プログラムくらい振付なくてはならないということなんです。エテリもいつもそのプロセスに参加してくれる。でもオンシーズンになれば、エテリと、セルゲイ・ドゥダコフ、ぼく、3人のコーチ体制で臨んでいます。振付のときは、使う音楽の編曲も全部自分でやっていますが、それも楽しんでいる。自分のキャリアの大半をシングル種目で過ごしてきたので、技術的なことも教えられます」

 ―― 理想としているスケーターは?

  「滑っていたころは当然ヤグディンとプルシェンコが理想でした。そのあと、ステファン・ランビエルもいいなと思うようになったし、パトリック・チャンもすばらしい。こうしたスケーターたちが、フィギュアスケートを進化させてくれたと思います。現役では羽生結弦と宇野昌磨も競技を前進させてくれている。そういうことは自分自身にも影響していて、振付をするときも、個々の選手にぴったりと合った性格のプログラムを作ってあげたいと考えている。クラシックが好きな選手にロックを与えても、心の底から表現をすることはできません。だから選手それぞれに、繰り返しに陥らない独自のプログラムを与えたいと思っています」

  ―― ザギトワの「白鳥」や「ドン・キホーテ」、メドヴェージェワの「アンナ・カレーニナ」など、それぞれ個性が際立っています。

  「アリーナの滑りにはバレエ的なものがあります。『ドン・キホーテ』の曲はジャンプのタイミングなどもぴったりです。エフゲーニャのフリーは、もともとエキシビション・プログラムでしたが、そのままにしておくのは惜しいとフリーに作り替えました。彼女自身がこのキャラクターに深い思いを感じていて、すぐに作品を自分のものにしました」

 ―― ・・・日本のスケーターに振付を依頼されたら?

  「まだそういう機会はないですけど、もしあればぜひやってみたいですね。エテリに殺されなければ、だけど。(笑)

 →→26歳って、よくよく考えると、織田君よりも若くて、無良君たちと同じぐらいなんですよね。ちなみに、ブノワ・リショーさんは30歳なんで、それぐらいの世代の振付師がこれからどんどん出てくるのでしょう。

 また、シェイリーンやミヤケンさんを挙げるまでもなく、アイスダンス経験者に優秀な振付師が多い印象ですが、この人も怪我によってアイスダンスに転向したとあります。アイスダンスは、シングルに比べて曲の選択における自由度が高く、その経験が、プログラムの作り手となった時にネタに困らないのかな・・・と、私は勝手に想像しています。

 しかし、25人でも相当多いはずで、これ以上は弟子を増やせないのでは?と思いますが、もしかすると、ジュニアからシニアに上がる時点で振るいにかけるというか、「これぐらいの成績を出せないと、ウチのチームではシニアスケーターとして指導できないよ」ということになってるのかな・・・と。だから、みんな死ぬ気でやってるんじゃないでしょうか。おそろしい・・・。

 世界ジュニアのライスト情報等は「フィギュアスケート速報さん」で、チェックしてみてください。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ