


2018年3月30日発売。税込価格「1512円」。
この表紙を見ただけで、「買わねーよ!」というゆづファンも多数おられると思います。まぁ、だからこそ私の出番かなと(笑)。
ひとまず、第6章「羽生結弦」(99~124頁)を読んでみましたが、羽生君のスケートを分析するような「羽生結弦論」ではなく、「通訳者・ジャーナリストが見た羽生結弦の素顔」という内容です。その意味では、類書は皆無です。個人的には、この章だけでも新たな発見がありました。興味のある方はぜひ書店で立ち読みしてみてください。
まず、読み始めて面食らったのは、羽生君の話がいつまでたっても始まらず、110頁で昨年のロステレ杯の話になって、ようやく羽生君の登場となります。それまでに、コリヤダの名古屋のファイナルでの誤訳問題、昨年の4CCでの三原舞依ちゃんの取材をめぐっても誤訳があった話とか、この章の中で、羽生君の話は半分ちょいぐらいかも。私自身は興味深く読むことができましたが、もうちょっと構成が何とかならなかったかな?という気もします。
(1)スケ連の体質
本章の前置き部分が長い理由は、日本スケート連盟への文句で始まっているからです。「フィギュアスケート村」で生きる元選手やジャーナリストは、相撲業界並みに「身内に甘い」という印象でしたが、ここまではっきりぶちまけてくれているのは意外でした。
その不満とは、通訳の問題です。平昌五輪のプレカンでも羽生君の通訳を田村さんがされていましたが、実は以下のような経緯があります。
「日本スケート連盟がプロの会見通訳を手配するのは、日本で開催される大会のみである。海外の試合は橋本聖子会長が来ない限り、通訳は同行しない」
「代わりに私のような人間が、ボランティアとして駆り出されるのである。これを言うと驚く人もいるのだが、長年日本選手の会見通訳を手伝ってきたけれど、謝礼というものはいっさいいただいていない。『あ、田村さん!良かった。またよろしくお願いしまーす!』。毎回、これだけである」
「別に謝礼目当てで通訳をしているわけではないから、腹は立たない。とは言うものの、日本スケート連盟にとって、自国のトップ選手の言葉を海外メディアに正確に伝えるということの価値がその程度のものなのかと思うと、なにか納得がいかないのである」
「・・・一般に思われているほど通訳というのは簡単ではないのである。『せめて世界選手権やGPファイナルくらい、プロの通訳さんを連れてきてください』と何度か連盟の理事に直訴したこともある。『いやあ、田村さんがいるんで安心してますよ。はっはっは』とかるくかわされてしまった。『いえ、私もあの、自分の取材がありますんで』と突っ込むと、『まあ検討してみます』と言われたきり、状況は変わっていない」
「以前は私が会見通訳したときは、連盟の配慮で日本選手の個別取材の時間を別にとってくれていた時期もあった。だが今のように日本からの記者の数が増えて選手への取材申請も増えると、『一律平等』に個別取材はいっさいお断り、とされる。なんとも納得がいかないことだらけなのである」
「橋本聖子会長が来ない限り」のくだりで、チッ!と思わず舌打ちしてしまった、私の心境をお察しください(笑)。
それにしても、この組織の体質が実によく分かるエピソードですね。会長の通訳なんて一番いらねーだろ!と思うのですが、これぞまさに、会長による組織の私物化ですよね。自分の得にならないことには一切カネは出さない。その理事とやらも、のらりくらりと現場の声を聞いているふりだけしつつ、でも上司の命令は絶対だから、どうせこの話は自分の所で握りつぶしていたのでしょう。
田村さんも明らかに足元を見られてますね。「フィギュアの取材ができなくなったら困るだろ?わかるね?」と。フリーの立場の弱さにつけ込んでいます。この組織の体質であり、この国の体質という感じもします。彼女にはたいへん同情しますけど、気分の悪くなる話です。
(2)「劇的に勝ちたい」の舞台裏
ロステレでの取材で羽生君が「劇的に勝ちたい」と語った背景には、実は裏話がありました。この発言は、ある意味で、田村さんの「貢献」あっての話なので、ご紹介します。
「ロシア杯の最終日、ニューヨークタイムズのジェレ・ロングマンが羽生の取材許可が出たので、通訳をしてもらえないだろうか、と声をかけてきた。ベテランスポーツコラムニストのジェレは、4年に1シーズンしか見かけないけれど、決してフィギュアスケートの素人ではない。1994年リレハンメルオリンピックでは、当時大スキャンダルとして大騒ぎになったトーニャ・ハーディングに手厳しい直撃の質問をする様子が何度もCBSで流れた。1998年長野オリンピック直前には、タラ・リピンスキーのルッツが不正エッジの、いわゆる『フルッツ』という不良品であることを、当時としてはかなり大きなスクープ記事にした」
「取材前日、羽生に大体どんな話が聞きたいのかとジェレに訊ねると、こういう答えが返ってきた。『彼はどうして、日本でこれほど人気があるんだろう?』うーん、それは会場にたくさん来ている彼の日本のファンたちに聞いてみるのが一番いいのではないだろうか。そう提案したらさすがプロ。早速会場の外で日本のファンをつかまえて取材をしてきたのだという。・・・羽生が日本メディア向けの囲み取材を終えた後、ジェレの番がやってきた。彼と2人ほどの海外メディアの、共同囲み取材である。『あなたがなぜこんなに人気があるのか、と日本のファンに聞いてみたんです。・・・そうしたら、普通の日本人はなかなか本音を言わない。でもあなたははっきりと自分の言いたいことを主張するところが良い、と言われたんですが、ご自分ではどうなんでしょう?』」
「普段の大会でこんなことを聞かれることはないだろう。羽生はうふふ、と笑った。私のほうを見て、『日本語でいいのかな?』と確認してからこう答えた。『特に意識してやっているわけではないんですけれど、アスリートだから、やっぱり勝ちたいという気持ちは大事にしているし、常に思ったことを言うようにしています』」
「『アニメの主人公みたいだ、と言われていることについては?』これもまた、羽生はちょっと照れくさそうに笑ってこう口を開いた。『自分の中で、特にこれになりたいとかはないけれど、アニメは好きだし、とにかく劇的に勝ちたいという気持ちはすごくあります』英語で『劇的に / dramatic way』と訳したところジェレも他の記者も笑った」
「マガジン 17-18シーズンスタート」(35頁)にこのやり取りが収録されているので、お手元にある方はぜひ確認してみてください。あえて、マガジンで再現されていない部分を赤字にしてみました。
(3)脱力系の質問とゆづ
羽生君本人ではなくファンに聞くべきでは?という田村さんのアドバイスには、実は前段がありまして、羽生君に対する質問は、日本の記者に限らず、海外記者からも「なにその質問?」というレベルの低いものもあったことが、紹介されています。
例えば、ロステレ杯のプレカンで最初に手を上げた、「見覚えのない若いロシア人の女性記者」からの質問がこちら。
「以前に日本食はロシアの食事と全く違うと言っていましたが、モスクワに来て、ボルシチなどロシア料理を食べましたか?」
このロシア語の質問をISUライターのタチアナ・フレイドさんがまず英訳する。それを田村さんと羽生君が聞いて、羽生君が日本語で答えた際に田村さんが英訳するという流れです。この時の彼女の「心のつぶやき」がこちら。
「うーむ、これがオリンピックシーズンのGP開幕戦で現オリンピックタイトル保持者に来た最初の質問か。記者会見は限られた時間内で、どれだけ記事に使えそうな選手の言葉を引き出せるかが勝負である。初戦から羽生結弦と、アメリカのネイサン・チェンが顔を合わせるという豪華メンバーとなったこの大会の最初の会見の質問が『ボルシチ』とは。とほほ、と言いたくなるのを抑えてそのまま日本語に訳した」
「『えっと、試合前なので、ないです』歯切れよく、そう答えた羽生。彼だって、なんじゃこの質問は、と思っただろう。『でもあの、モスクワに練習やブラッシュアップをしに来る機会があって2週間から3週間くらいここにいたことがあるので、そういうときにはつぼ焼きとかボルシチはもちろんですが、ピロシキとか色んなロシア料理を食べさせていただきました』脱力系の質問にも、こうしてきちんとフォローしてあげるところが羽生の優しさだと思った」
「英語に訳したものの、とっさにつぼ焼きが出てこない。私自身、食べた記憶がないのでどういうものかもよくわからなかった。やむを得ないのでボルシチとピロシキだけ訳した。『ごめんなさい、つぼ焼きがわからなくて抜かしました』自分で白状しなくても、羽生は聞き取りのほうはほとんど理解できているのですでに気がついているだろう」
「『つぼ焼きって、英語でなんて言うんですかねー』私の至らない通訳も、羽生はそういってフォローしてくれる。後に調べたら、ロシア語ではガルショークと呼ばれていることを知った。レシピを見てみると、英語ではPot Pieが一番近いだろうか。通訳としての仕事の奥の深さは、底知れない。フィギュアスケート競技の会見ですら、料理の知識まで試されるのである。いえ、でも私はプロの通訳ではないんですけれど、と逃げたくなりながら、毎回自分の浅学を反省してばかりである」
つぼ焼きと聞くと、さざえのつぼ焼きとか、貝の料理?と思ってググってみたら、全然違っていて、このパイを破って飲むスープのやつねぇ・・・と。
しかしますます思うのが、スケ連の罪深さですよね。組織の体質の問題を前述しましたが、英語で海外に向けて発信するということの重要性をまるで分かってない、内向きな閉鎖性も現れているような気がします。
最後に、印象的な一節をもう一つ引用します。
「言語とは、その土地に住んでいれば自然に身につくというものではない。それでも多少英語が話せるなら、通訳ぐらい片手間仕事で楽にできることなのだろうと思っている人もまだまだ多いようだ。中には通訳をしても、礼も言わずに席を立ち去っていく選手もたまにいた」
「そんな中で羽生結弦は、以前から通訳を担当するたびに『いつもすみません。ありがとうございます!』と丁寧に頭を下げてくれていた。でもその頭の角度が年々深くなっていくのは、彼自身カナダで暮らしてみて、会見で使える英語を習得することが、簡単ではないことを身にしみて感じているからではないかと思うのである」
そうです。語学の習得は大変なんです。私の場合、「語学の勉強は死ぬまでエンドレス」と考えるようになってから、なぜ自分はこんなにできないのだろう?と自分を責めることをやめるようになり、そして他人の英語を批評する気持ちもなくなりました。だって、大変なんだもの(笑)。
そのような苦労が、羽生君の会見での行動と言動にすべて表れていますよね。やっぱり若いうちにこのような経験を重ねると、自然と様々な立場の人に配慮できるようになるのでしょう。
ところで、本田真凜ちゃんがラファのチームに移籍するというニュースが報じられました。驚いたのは、お兄さんの太一君が同行するという話です。大学生だし、遊びたくてしょうがない時期のはずだけど、妹についていって、サポートをするわけです。自分が19歳の頃なんて、酔っぱらってるかバイトしているかのどちらかでした。泣かせる話じゃないですか。来季は、真凜ちゃんも応援したいけど、太一君も応援したいなぁと思います。
引き続き、明日も田村さんの本を見ていきます。
では、また明日!
Jun

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コメント
コメント一覧
橋本聖子さんは、ほんとに器の小さい方なんですね
ケチケチして、何にお金を使っているのか?
まさか、先輩関係に使っているのかな?(´д`|||)
橋本さんの話なんて、誰が聞きたいのか?
早く辞めて欲しいです。
真凛ちゃん、お兄さんが一緒で良かったですね
でも、ラファはどうでしょうか?
前の経験で、少しは日本人の事を理解してくれるかも知れませんね?
いい方向に行って欲しいです。
わかばちゃんも、海外のコーチの指導を受けた方がいいと思います。
これから伸びて行く為には、必要ですね
すっかり扱いが雑になってる三原さんですが、彼女に合ったプログラムで頑張って欲しいです。
話が今日のお題とはそれてきてしまいました。
すいません。m(_ _)m
選手ファーストの連盟であって欲しいですね
ミラノをdisってる記事でスケオタに批判されてた田村さんですが
いろいろご苦労されてるんですね。ちょっと同情したくなっちゃいました(;^_^A
お礼すら言わない選手って誰だったのかしらーなんて勘ぐってみたり(笑)
羽生さんも苦労してるからこそ周りへの配慮や感謝の気持ちをあの若さで持ってるんだろうし
人間ができてるんですよね。金銭的な苦労もなく周りが手厚くお膳立てしてくれる選手には
そうそう持ちようがない人間性だと思います。
真凜ちゃん、アメリカでうまくいくといいですね。
問題はコーチがラファってことですが・・・。
彼はチャレンジングだけどジャンプの安定感はないと聞きました。
なんならクリケに行ってくれた方が未来は明るかった気がするけど真央さんやネイサンの
成功例を見て期待しているのかなと思います。
連盟ってこんなにお粗末な組織だったんですね。元々、重点を置く選手にはとことん各方面で要らないお金を湯水のように使って(毎回試合会場に前乗りさせるとか)呆れていたのですが、通訳はボランティアで常時ではないと言うのに呆れました。連盟役員はファーストクラスで移動とか呆れることは今までありましたが・・・・
友人が同時通訳をしていて、米国トヨタの訴訟を担当していました。
もちろん、裁判の際、トヨタの社長と一緒に宣誓をしたりスケートの通訳とは違いますが、分単位での金額で相応の金額です。それとは違いますが、国際大会でボランティアの通訳頼みとは信じられないです。
万が一、海外で大怪我したり事故に遭ったり・・そういうときはどうするのでしょう?
中国杯での羽生選手はオーサーコーチが付いていたので何とかなったのかも知れませんが、他の選手はどうしたのでしょうか?連盟に要請したほうがいいですね。
続編楽しみです。
通訳についての問題こちらのブログで知りました。どこの組織でも会長やOBに住み心地のよい
ところは組織が弱っていく印象があります。上に意見を言いにくい閉鎖的な組織なんでしょうね。
フィギュア人気で得た資金の使い方もうまくフィギュアの選手たちに還元されてほしいものですが
本当のところはどうなんでしょう気になります。
橋本会長が現役選手だった頃TVで結構応援してたんですけどね(笑い)
私もチッと舌打ちしたい気分です。(笑い)
また興味深い貴重な情報ありましたらよろしくお願します
とても興味深く読みました。田村さんは 通訳のプロでもあるとばかり思っていたので、まずそこにびっくりしました。(外国人記者クラブの通訳者が素晴らしくて、ちょっと比べたりしていたのですが、申し訳なかったです)
こんな大事な仕事をボランティア頼み…国内外の違いはありますが、そういった考え方の延長線上にジャッジの扱いがあるような気がしてなりません。
国内については、まずトップを変えることが急務でしょう。改革のために大ナタを振るうような人材を外から連れてきて欲しいものです。
ひとつ感激したのは、羽生選手の聞き取りがほぼ出来ているという点です。外交的な生活でもなく、ずっとカナダにいる訳でもないのに、やっぱり努力しているんですね。
ところで真凜ちゃん、大英断になるかどうか?
スケートの前にまず生活がある訳なので、しっかりと足場を固めた上で飛躍出来たらいいですね。
今から4年前にも田村さんは「銀盤の軌跡」という本を出されていますね。
海外で雪の中、羽生くんのお母さまと田村さんが真央さんのお母さまの病状を案じて、
教会にお祈りに行かれるシーンを思い出しました。
それにしてもスケ連(橋本会長)は、もうすぐ東京五輪があるというのに、
なんでもボランティアで済まそうとしているのでしょうか?
この調子では国民はいいように使われて五輪も前途多難ですね。
現会長の話なんて、世界の誰が聞きたいのか?これこそカネの無駄使いだろ!と思うのですが、なんというか、かつての舛添さんの「大名行列」が思い浮かびますね。
今回の平昌五輪の期間はおとなしくているなぁ!と思っていたら、その後、自民党の大会に高木美帆さんを呼びつけたり、SOIには小平&高木美帆の金メダリストをねじ込むなど、やっぱりこの女、まったく変わってないじゃん!と、情けなくなります。
世間では彼女の悪行はさほど知られていませんが、スケオタ目線でいえば、森なんとかってじーさんより、よっぽど害悪をもたらした政治家だと思います。顔も見たくないですね。
「お礼を言わない選手」が誰なのか、本書の中では謎ですが、おそらく、自ら語学の習得をする意志のなさそうな選手の誰かではないでしょうか。kanonさんがおっしゃっている「お膳立て」をされているスケーターの可能性濃厚です。
ラファに関しては、実際にどんな指導をしているのか、みんなよく分かっていないのが実情じゃないかと。私は、ネイサンの昨シーズンのインタの中で、「マリーナ・ズエワの所に通っていて、パトリックとも練習している」という、あの状況に注目しています。
真凜ちゃんの今季のSP(元々はジェフの作ったタンゴ)を急遽作り直してくれたのは、マリーナでした。ただ、マリーナの所にはアイスダンスの選手がいるし、なかなかメインでシングルスケーターのコーチするのは難しいのかな・・・と。そこで、「マリーナの所に通いつつ」というのを理解してくれるのがラファなんじゃないのかな?と想像します。
真相はわかりませんよ。でも、マリーナとラファの間で関係が構築されているなら、そこに今回の移籍の理由があるような気がしています。
たいへん興味深いコメントを有難うございます。
ビジネスの世界、しかも裁判沙汰となると、そりゃ正確な語学能力を有するプロの通訳が必要なはずです。
それとはレベルはかなり落ちますが、私は、ヘヴィメタル・ハードロックが好きなんですが、来日アーティストの取材に立ち会う通訳は、雑誌の取材だけでなく、ファンイベントとかニューアルバムのリスニングパーティとか、様々な場に同行しています。おそらく食事や飲み会も一緒だったと思います。もちろんボランティアであるはずがありません。
ちなみに、私の好きなProtest The Heroというトロントのバンドを日本に招聘したシクラメンという日本のバンドが、別のバンドを呼ぶにあたって、「英語ができる人を募集します」とTwitterで告知しているのを見たことがあります。メディア対応だけじゃなくて、東京観光などにも付き添ってお世話してね、という話なんですが、もちろんボランティアであるはずがありません。
そう考えると、いかにスケ連が異常かが分かります。メタルバンドの「呼び屋」なんてカツカツでやっていて、それでも報酬を出すといって募集しているのに、スケ連が渋っているというのが、ケチくせぇなぁ・・・と情けなくなりますね。組織改革が早急になされることを切に望みます。
私も、橋本会長が現役時代の時は、五輪も見ていましたし、彼女が夏に競輪に取り組んでいたことで、その後、スピードスケートの選手が競輪選手に転向する道筋を作ったともいえます。武田豊樹選手がその代表ですね。
とはいえ、それとこれとは話は別です。一番いい方法は、中国のように、スピードスケートとフィギュアスケートの組織が分離することなんでしょうが、それはスピードスケート側が絶対に受け入れないでしょうね。
何十年もかかるかもしれません。それこそ、スピードスケート側も、小平さんのような苦労人が組織の上に立って、そして荒川さんや羽生君たちと話し合う。そういう時代になった時、改善されることを期待しましょう。もちろん、我々もフィギュアスケートを応援しつづけなきゃいけませんね。
あの外国人特派員の会合での通訳はプロですよね。むしろ、司会役の外人の男性の方が「米の売り上げが伸びるでしょう」とか、「はぁ?」って発言をしていて、微妙でした。
一方、日本の記者クラブの方では、NHKの日曜討論の司会者がやっていて、さすがに上手くさばくものだなぁ・・・と感心して聞いていました。
つぎのスケ連の会長には、荒川さんになってくれることを期待します。ゆづファン的には評価を落としている彼女ですが、私は、「敵は自分の近くに置いておけ」という誰かの格言じゃないですが、彼女は日本の権力とメディアの中枢に入りつつ、うまくやってくれていると見ています。
ブログでも紹介した別冊WFSでの彼女の「羽生評」は、熱のこもった素晴らしい内容でした。トリノで金メダルを獲って、アイリンを再生してくれた立役者でもあります。彼女は考えてくれていると思いますね。
本書の後書きの中で、田村さんは「4年ごとに出す本の4冊目」だとおっしゃています。つまり、トリノ、バンクーバー、ソチ、平昌と、4度のオリンピックを見てきたわけですね。
東京五輪を「ボランティアで済ます」背景には、「いかにカネをかけないか」という部分ばかり注目する、五輪関連報道に後押しされた部分もあるかもしれません。どの会場の建設にいくらかかったとか、昼のワイドショーでやってましたよね。
もちろんボランティアに頼ることは重要です。ただ、大会の選手の通訳は、完璧に整備してもらいたい。それこそ、海外選手が安心してメッセージを発信するための「おもてなし」なんじゃないですか?と思います。