
Continuesの感想の第二弾です。全公演が終了したので、内容について触れていきたいと思います。今日は、金曜日に現地で見た各スケーターの演技について。明日は、このショーの意義について、いろんな角度から見ていく予定です。金曜日の現地観戦の様子については、ツイの方もどうぞ。
(1)オープニング
もちろん、黒パリ姿の羽生君の登場に感激したんですが、この時点ではほぼステージの上で、ゲストスケーターと振りを合わせるのみでしたから、「右足の怪我は相当に長引いているんだろうなぁ・・・」と、内心では不安の感情も沸いてきました。でも、このゲストメンバーは、皆がレジェンドであり、同時に羽生君のマブダチでもあるので、その彼らが集っている現実にただただ感動しました。
(2)ジョニー
トップバッターは彼。彼を見ていると、本当にハッピーになります。羽生君とのトークでは、羽生君が「技術と芸術」というテーマに絡めて、「プログラムにジャンプを入れる意味をどう考えていますか?」という主旨の質問を投げていました。ジョニーの返答が直接的な内容じゃなかったので、私の後方の席から「答えてないじゃん」と文句が聞こえてきました。
私は、ジョニーの言わんとしているのは、「プロスケーターであっても、難しいことにチャレンジしつづけて、常に向上心を持つことが大事。だからジャンプを跳べるようにしている」、そんな内容だったかなと。
そして、ジョニーの後にジェフやシェイも登場しましたが、独特な世界観を持つこの3人のスケーターをまとめて見て感じたのは、「ジョニーはその世界観を自分自身で表現したい人」なんだなと。
ジェフやシェイは、プログラムに世界観を注ぎ込んで、スケーターを輝かせられる人。ジョニーは自分でやってしまう人。どっちが「良い悪い」と言ってるのではなく、3人のスケートを見て、それは実に自然で正しい選択だなぁ・・・と思いました。
(3)無良君
さすがに、ついこの間まで現役バリバリだったこともあり、私は3Aよりも、スケーティングスピードの違いにビックリしました。ゲストの中では、プルさんといい勝負か、あるいはプルさんよりもスピードは出ていたかもしれません。
金曜日の「実演コーナー」は、イーグルサンドの3Aでした。羽生君の演技を見ていると気づきにくいですが、あのイーグルからの入りというのは、ほとんどスピードの無い状態で3Aに跳びにいくので、3Aの名手の無良君でさえも、なんとか着氷という感じでした。ホント、あれでも満点の加点が3.00なんて、GOEの付け方おかしいでしょ!と文句の一つも言いたくなりますよ。
(4)佐野先生
羽生君を別にすると、この日、もっとも歓声(というか悲鳴)が上がったのが稔先生でした。あの衣装は、フィギュアスケートというよりはマジシャンというかお笑い芸人というか、失礼ながら、マギー審司(マギー司郎)とか綾小路きみまろの顔が浮かんでしまいました(笑)。とにかく、怪我しないか心配でしたね。
「実演コーナー」での喋りはさすがの滑らかさで、スポーツニュースやワイドショーの生放送に慣れているテレビの人は違いますね。
(5)川口・スミルノフ組
FaOIでも、なかなか世界トップレベルのペアを呼ぶことはできていませんが、このレベルになると技の引き出しが全然違いますね。今回のゲストスケーターの中で、技術面で感銘を受けたのは、ダントツでこの二人でした。
2本目のプログラムは、いま何かと話題のダンシング・ヒーローでしたが、これは、フィギュアスケートを普段見ないような層にも、ぜひ見て欲しい。そう考えると、日本でペアやアイスダンスの知名度を上げるには、EXやショーでもいいので、往年のJポップのようなものを使って、「知ってもらう」という努力も必要なのかなという気がします。
(6)ジェフ
金曜日のトークコーナーは彼もだったんですが、いろんな所で紹介されている、「自分より上手いスケーターに振付したのは、ユヅが初めて」という発言は興味深かったですね。
このショーで滑った2本のプログラムのうち、1本目のポップな方は、「この曲って、床の上でダンスでリズムを合わせるのも大変じゃない?」という、相当な難曲に感じました。Let's Go Crazyは、あの曲のスピード感が「フィギュアスケートのプログラムとして常識を超えている!」と思いましたが、羽生君の次なる挑戦は「リズム」にあるんじゃないかと、勝手に予想。
振付師は違いますが、リズムが難しいといえば、ネイサンの「ネメシス」でしたけど、結局ジャンプ用のBGMになってしまったので、羽生君には「複雑なリズム」に真っ向から取り組んでもらいたいですね。ジェフならそういうプログラムを作ってくれそうな気がします。
(7)シェイ
今回、会場がもっとも盛り上がったプログラムの一つ。稔先生に対する歓声とは違って、この面白い選曲とコスチューム、ラッパ隊の登場と、わずか数分だったのに、とことん楽しませてくれる内容でした。
ジェフの方が振付師としてのキャリアは長いので、さすがに手がけている本数が増えてくると、プログラムの当たり外れもけっこうあるかなという印象。一方、シェイに関して、私は外れプロというのが、ちょっと思い浮かばないんですよね。特に17-18シーズンに関して言えば、ネメシス、スカイフォール、SEIMEI、本郷理華ちゃんの「フリーダ」もよかった。
羽生君もコメントしていましたが、シェイの作るプログラムには「ストーリーが見えてくる」というのは、本当にその通り。そして、編曲がまた上手いんですよね。SEIMEIは羽生君が手がけましたが、新葉ちゃんのスカイフォールの編曲は見事でした。
やっぱり来季も、ジェフとシェイのいない「羽生結弦のプログラム」は考えられないですね。二人のスケートを見てしみじみ感じました。
(8)プルさん
もう、いちいち注釈をつける必要のない、まさに皇帝ですよね。無良君に迫るスピード感と、そして彼のトレードマークともいえる、小刻みなステップ。私は、4年前のTOIでかなり近い席から彼の演技を見たんですけど、体つきや所作による効果もあるんでしょうが、とにかくパワフルで、他のスケーターと迫力が全然違うんです。
今回も、羽生君がプルさんから多大な影響を受けたことは紹介されていましたが、私は、TOIでプルさんとジョニーを見た際に、プルさんの発するエネルギーが凄まじくて、むしろジョニーの方が羽生君に近いよなぁ・・・という感想を持ったぐらいでした。
おそらく、羽生君がプルさんから継承したものは、演技で目に見える部分だけでなく、彼の生き様というかスピリットというか、そういうもの全て含めてなのかなという気がします。
(9)羽生結弦
金曜日、ツィゴイネの衣装にシューズを履いて氷上に現れた彼を見た時、一瞬、目の前で起こっていることについて、なんと表現していいかわからなかったですね。
前述のように、黒パリでのオープニングの様子を見て、会場の誰もが「これは相当に状態は悪い」と思っていたはずです。土曜・日曜の公演とは違って、もちろん「事前情報」は一切なし。正直、今回ばかりは、氷の上で立っているだけでいいので、滑らないでほしい・・・とさえ思いました。
まぁ、ジャンプこそ無かったので、そこはホッとしています。そして、スケートの一歩一歩の伸びの何と凄いこと!例えて言うなら、陸上のボルトの100Mの後半の伸びというか、周りの選手の時間が止まっているように見えるあの伸びがかぶります。
羽生君のスケートの細かい内容については、CS放送分をまたしっかり見つつ、別の機会に語りたいと思います。そうそう、息を切らせながら、マイクをいちいち取りに行ってプログラムを自分で紹介して、またマイクを置きに行って、という所が、手作り感のあるショーだなぁと。
さて、これ以上書くと長くなりすぎて収集がつかなくなるので、一度ここで締めておきます。ただ、一つだけ。日曜日の最後の挨拶でゴシップ記事について触れた件。これは、我々ファンの盾になってくれただけでなく、あらゆる心無い中傷記事・報道に対する彼流の反撃でもあると思っています。
だから、フィギュアスケートや羽生君に関するものに限らず、日々発信される情報との付き合い方、そしてブロガーの端くれとして、私も気をつけなきゃいけないなと改めて思いました。
では、また明日!
Jun

にほんブログ村

フィギュアスケート ブログランキングへ
コメント
コメント一覧
今日もまた丁寧な分析ありがとうございます。
週刊誌のガセネタが羽生さんをそんなに悩ませていたとは思ってなかったです。どうせ嘘八百としか受け止めなかったので。もしかすると交際相手と言われた相手女性に迷惑をかけた、と自責の念があったのかな。
私が卒業した高校はスポーツ強豪校だったので、私の友人と野球選手が同級生交際している(事実)というネタがデート写真とともにスポーツ新聞と週刊誌に載るところだったんですが、友人の父が「うちの娘は有名人でも何でもない、やめてくれ」と抗議、球団の手配で差し止めになったということがありました。
今はもうおばさんとなった私たちですが、「いっそあの時載ってれば人生かわったかもねえ」などとギャグになっております。ちなみにその二人はそれぞれ別の相手と結婚しています。野球選手の方は当時はかなり注目されたルーキーでした。
しかし球団の力ってすごいんだな、スポーツ紙や週刊誌を沈黙させることできるんだ、ただの恋愛話で事件、事故ではないからでしょうけど、守ってくれるんだな、と感じました。
羽生さんは事務所に入ってない、だから好き放題にされてるのは事実のようです・・・
そういう点でも彼は特異な存在ですよね。アスリートも一定の知名度を得ると、どこか事務所に属するのが普通なのに。
事務所所属なら愚劣なアンチどもからも距離をおくことができるかも、と思ってしまいますが、彼と彼の家族の選択を信じるのみ、です。
まずは、CwWに関する様々なアドバイス、本当にありがとうございました。お陰様で無事ショーを堪能し、帰りに高島屋を満喫できました。
初日レポ、興味深く読みました。誰も何も知らない状態で鑑賞出来るのは、初日ならではの魅力ですね。
私も、無良くんのオペラ座の素晴らしさに、まだまだ現役で出来るのに!と引退を惜しみました。そしてプルさま…junさんが仰る通り、やはり別格でした。これが皇帝のオーラか、と酔いしれました。
羽生選手の滑りの伸びに言及されるところ、さすがに冷静に見ておられますね。私は、感動で頭がある意味沸騰して、冷静ではいられなかったので、録画をゆっくり見直してみます。
最後の言葉は衝撃的でしたが、だから今、生きていて良かったと言ってくれて、それは希望に
繋がりました。
私達はフェイクを見抜く眼力を養い、些細なことに一喜一憂せずに真っ直ぐ応援していきたいですね。
それでも揺らぎそうな時は、 junさん、一喝してください。
今回、さらに詳しい内容でのレポ、ありがとうございました。
わたしは初日は会場、中日はお譲りのお話を痛恨のパスで(笑)、最終日はライブビューイングでした。
ホントはまだ感想を言葉にしてしまわずにそっと抱きしめて(笑)幸せに浸っていたいのですが。。。少しだけ。
仰々しい演出はなくて、技術の確かな、選ばれたスケーターによる、誇り高い演技に
ぞくぞくするような興奮を味わいました。
ここでいい演技をしなかったら、いつするの、という感じで
特に最終日は、大画面、アップ映像の効果もあったと思いますが
“火花の散るような”演技の連続でほんとうに堪能しました。
羽生結弦というスケーターは、スケーターを“その気にさせる”スケーターですね(笑)
ライブビューは都内唯一のパレードTシャツの販売店のそばでした。
ちなみに、グッズには目をつぶる系のわたくしでしたが、
楽しませていただいたお礼に、寄付だけでは物足りなく思っていたので、初Tシャツ購入いたしました(笑)
Tシャツは各色、各サイズ、まだあります。不正転売、くれぐれも利用しないでほしいです。
ショーの記事、楽しみにしてました!
私もJunさん同様、羽生くんの一歩の伸びにびっくり!今回の前に生で見た羽生くんはソチ後の幕張のショーでしたからその時以来だったのですが…。
羽生くんのスケーティングって一般的にスケーティングの上手いとされる氷にまとわりつくような…
説明が下手で申し訳ないんですけど、パトリックやパパシゼみたいな?感じではなく
無重力というか軽やかで伸びていく感じですよねぇ…。そこが羽生くんが妖精とか天使とかを連想させるのかなぁと思いました(*^^*)
あと2日目と3日目の発言に胸が張り裂けそうで大泣きしちゃったんですけど、
獲るものは獲ったから本音で行くし、反撃もするよっ!てことだと思い、さらに羽生くんを応援していこうと思いましたっ!!
デカい事務所に入ったら入ったで、くだらないバラエティに出ろとか、プロ野球の始球式に行けとか、どーでもいいイベントに引っ張り出されるだけでなく、Continuesのようなアイスショーのセルフ・プロデュースなんて、絶対に許されないと思います。
今回の羽生君の試みは、音楽で言うと、人気絶頂期のバンドを脱退して、大手レコード会社を離れてソロ活動をして、自分のレーベルから作品をリリースするようなケースがかぶります。
ふと思ったのは、あのプリンスは、まさにそういうミュージックビジネスと戦い続けて、「プリンス」という名を使わずにアルバムを出したこともありました。その意味で、羽生君が「Let's Go Crazy」を演じたのは宿命だったのかもしれませんね。
おそらく、プロ転向後は、個人事務所を立ち上げて、ANAさんをはじめとした各スポンサーのツテで優秀な人材を揃えて闘っていくのだと思います。羽生結弦展とContinuesで、集客力はピカ一だということがまた証明されましたし、読売新聞・テレビ朝日という味方もつけました。私はあまり心配していません。
羽生君を冷静に見れたかどうかは自信が無いですが、物理的に上から見下ろすような場所の席だったので、いわゆる「アイス・カバレッジ」という部分に注目しつつ、スイスイ・グングン進むなぁ、伸びるなぁと感心して見ていました。
フェイクニュースについては、私も見つけ次第、各個撃破して、注意喚起に努めたいと思っています。ただ、パターン的には出尽くした感があって、17-18シーズンの直前は「シェイとの決別」とか、最近では「城田さんとお母さんの対立」とか、まともに取材していないことがバレバレ。さほど恐れてはいませんね。
ゲストスケーターは、みんなマジモードというか、気合い入りまくりでしたね。みんな生き生きと輝いていて、ショーのボリュームとしてもベスト。なんというか、余計な手が加わっていない旬の野菜や魚介類を、そのまま堪能した気分でした。
これが逆にFaOIだと、胃もたれするぐらいのコッテリ料理をたくさんという感じで、どっちが良い悪いとは言えないですが、Continuesが新鮮だったのは確かです。
都内でパレードTシャツを入手されたということは、池袋にある宮城アンテナショップでしょうか。あそこは、めちゃくちゃ分かりやすい場所で、私もあの辺りはよく知ってますよ。このTシャツ自体は通販の方でゲットしましたが。
私も、羽生君のスケーティングは、こりゃ違うわ!と、今回ビックリした部分でした。でも、だからこそ、例えば次回は、ジェイソンを呼んでもらって、スケーティングを「比較・検討」する材料が欲しいです。これだけの盛り上がりですから、Continuesに出たいスケーターは世界中にいると思います。
かりに、日本の某事務所の嫌がらせ等で、日本人スケーターの出演が邪魔される事態になったとしても、海外組だけでまったく問題なし。次は誰を呼ぶことになるんだろう?と今からワクワクしています。絶対に続いて欲しいですね。