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 今日も引き続きSportivaです。バックナンバーは「こちら」。今回は、「羽生結弦へのまなざし」という、次の3氏のインタを見ていきます。

 (1)都築章一郎 恩師が見守る成長

 取材は宇都宮直子さん。冒頭部分で都築先生が「昨日見てきたんです」とCWWのパンフレットを宇都宮さんに見せているので、先生が招待されたのが2日目の公演日だったことを考えると、取材日は4月15日(日)だったのでしょうか。

 まず注目すべきは、CWWの「裏話」が少し披露されている点ですね。記者によるレポートは本誌も含めて色々と読める状況ですが、「関係者の証言」は初登場だと思います。

  「羽生だけでなく、昔教えた子たち(佐野稔、川口悠子ら)も出演していて、皆の小さい頃を懐かしく思い出しました」

  「羽生は元気にしておりました。ジャンプは跳ばなかったですが、それなりにきちんと滑りました。・・・演技後は、足を氷で冷やしておりました。だから、まだ完全に回復したわけではないと思います。できる範囲を披露したという感じでした

  「会場から温かい応援をいただいておりまして、羽生も、勇気をもらえたのではないでしょうか。ファンの方々と、喜びを分かち合えているのが、とてもよくわかりました。見守られ、励まされ、また新たな気持ちになれたのではないかな」

 アイシングしていた様子は、今回のテレ朝チャンネルの放送でも映されていて、これを見てファンも心配していたようですね。ただ、FaOIの「全公演出演」も発表されましたし、あのアイシング自体は「ルーティン」ではないかなと思っています。むしろ、ジャンプを跳ばないショーであってもしっかりアフターケアをする、彼が自分の身体を大切にするということは、我々ファンのことを大切に思ってくれていることも意味します。個人的には嬉しく感じました。

 平昌五輪での羽生君についての先生の論評は、すでに他のメディアでも読んでいるので今回は割愛するとして、インタビューの最後のやり取りが印象に残りました。

 都築先生は、かつて羽生君が幼い頃に、「芸術家になりなさい」と語りかけたそうです。そして、今は次のようにお考えのようです。

  「文化というレベルまでフィギュアスケートを高めてもらいたいと思っています。そういうものを彼には追求してもらいたいし、挑戦し続けてもらいたい。この間会ったときは、期限については言わなかったですが、『もう少し、スケートは続けるよ』とは言っておりました。彼の持つ欲望は、挑戦をやめないという宣言ではないかと思います」

 「文化というレベル」というのは、大きな実績を残したマイナースポーツの競技者がよく言いますよね。私の記憶では「なでしこJAPAN」のどなたかがそう語っていた記憶が、瞬間的に頭に浮かびました。

 私見ですけども、私が考える「文化のレベル」というのはシンプルで、「より多くの人にとって、それが生活の一部になること」だと思っています。試合やショーがあればテレビをつける。ヤフーニュースにフィギュアの話題がなくともSNSでなんとなくつぶやく。ショーや試合の会場に足を運ぶ。

 よく、「羽生が引退したら、フィギュアブームも終わり」と言う人がいますが、たしかに私自身も「ゆづファン」というのは、平昌五輪の頃は、「これまで応援してきたファン」のことだと思っていました。

 だから、実を言うと、「ぴょん落ち」という方々がいたことにかなり驚いているのです。「なんで今まで知らなかったの?」って感じですし、そう考えると、いつ誰がハマるか分からない。もちろん、都築先生がおっしゃるように、羽生君が「特別なプロジェクト」をすることも大切だと思いますが、若手選手がどんどん彼に続いてくれて、スケートに打ち込めること。スケーターたちを我々がなんらかの形で応援しつづけること。そんな関係が「継承」されることも、「フィギュアスケートが文化となるため」に必要な要素なのかなという気がします。
 
 (2)ブライアン・オーサー 名伯楽の思い

 取材は野口美惠さん。最近、野口さんってブライアンにインタビューできてるの?と、心配していたんですが、新しい情報が含まれていました。2つご紹介します。

 まずは、羽生君が1月に氷上練習を再開した時の状況について。

  「ケガが再発しないよう、4回転ジャンプの本数は制限していました。結弦は若く、そして挑戦心に溢れているので、こんなケガを抱えた状況でも、ジャンプをたくさん練習しようとします。調子が悪い日にがむしゃらに練習したら、NHK杯と同じ悲劇が起こります。ですから私たちコーチは、結弦がうっかりたくさんジャンプを跳んでしまわないよう、彼のコンディションをよく見極めながら本数制限をしていました

 平昌オリンピックの公式練習で、ブライアンとブリアンがリンクサイドで練習を見ていたように、1月のクリケットのリンクでも、「監視の目」を光らせていたのでしょうね。ケガによるブランクを猛練習で埋めたいと思う競技者と、それにブレーキをかけようとする指導者という構図。ただ、昨日の記事でご紹介したソチ直後の羽生君の「身体のケアについての見解」を思い返すと、いくら「無茶した前科」のある彼であっても、今回は大事な試合ですから、「うっかりたくさん」という気持ちは起こらなかったのでは?と思います。

 もうひとつは、17-18シーズン前の「準備」の部分です。

  「結弦の勝因は、なんといっても、シーズンの早い段階から仕上げていたことに尽きます。まだ昨年夏のことですが、結弦とハビエルとは『夏のうちに練習を貯金しておくこと』を話し合いました。そうすることで、ケガや何かしらのハプニングがあって練習を休み、氷から離れて過ごすようなことがあったとしても、練習の貯金が使えるのです

  「オリンピックシーズンは誰もが普段以上の緊張感のなかで過ごし、無理もしますから、通常のシーズンよりもケガをするリスクが高いのです。これは私の長年の経験上、多くの選手を見てきてそう感じています。ですから夏にいったん仕上げておいたことが、彼の何よりの心の支え、自信になっていたことでしょう」

 これを読んでふと感じたのは、エテリコーチにはこういう発想は無かっただろうな・・・ということですね。「出る試合は全部勝ちなさい」「強い者が勝つのです」という調子で。後輩からの突き上げもある。

 メドちゃんは、羽生君と同様にNHK杯の時から明らかにおかしくて、大阪で精密検査をしていましたよね。その後、休んだのはGPファイナルとロシアナショナルだけで、年明けのユーロは出場しました。練習再開時期と、練習量はどうだったのか。チームも移籍したし、本人も「悪口は言いたくない」と語っていましたが、この辺りの事実も今後明らかになるかもしれませんね。

 (3)吉岡伸彦 4回転半の可能性

 最後に、吉岡さんのインタを。「羽生君の4A挑戦」については、地上波番組でも吉岡さんの見解は紹介されていましたので、省略します。

 一点だけ、男子と女子の比較で興味深い発言があったので、ご紹介します。

  「男子のトップクラスの選手はみんな、これがいいフィギュアスケートだ、というのを目指しているように見えます。ただ女子、特にロシア勢はどうなのか。アリーナ・ザギトワの演技を見たときに思ったのは、あのプログラムは高得点を取るための要素を全部寄せ集めたものなのではないかということです

  「もちろん、現行のルールのもとで勝つために何をすべきかを研究して、それに合わせて作ったという意味では正しいんです。ノーミスだからジャッジも点数を出さざるを得ない。でも、そうやって寄せ集めたのは、本来のいいフィギュアスケートとは少しずれてしまった、フィギュアスケートに似た何かになってしまったような気がしてなりません

 もし、平昌五輪の男子で優勝したのがネイサンだったら、「男子のトップはみんな、いいフィギュアスケートを目指している」と吉岡さんはおっしゃるのか、女子で優勝したのがメドちゃんだったら「寄せ集め」と言えるのか、そこはやや疑問です。

 ただ、ザギちゃんは、ジャンプ全後半というだけでなく、あのせわしない振付によって「寄せ集め感」を覚えてしまうのは否めません。エテリ組の他の選手もジャンプは後半集中型でしたが、すべての選手に「寄せ集め感」があったかというと、少なくとも私はそういう印象は無かったです。

 そもそもここ数年の女子シングルは、「勝つために3Aは必要ない」ことから、4回転必須の男子と比べたら「完成度重視」と言われていたはずなんです。でも、ジャンプの技術的な部分は3回転+3回転で頭打ちになっていたことから、「エテリ組のスタイル」が「頭ひとつ抜け出すための優位性」となり、他方で、クワドの種類・本数で選手によって幅(個性)の生まれた男子よりも、女子の方が「画一化」したように見えてしまいました。

 ルール改正によって、GOEの11段階制導入と、ジャンプ後半化への制限が新たに付け加えられると言われています。もしかりに、女子がジャンプのGOEをもらうために、今まで以上にジャンプにタノが必要になる事態になったら、嘆かわしい限りです。そうなってもらわないでほしいですね。

 そこにくると、やはりクリケット移籍後のメドちゃんがどんなプログラムを滑って、どんな評価を得ることになるのか、ひとつの基準になるような気がします。

 では、また明日!

 Jun

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