まず、私が最初に読んだのは、IFSマガジンの「ジェイソン・ブラウン、北へ」(5月28日)という記事でした。比較的読みやすい内容だったので、すぐに全訳を上げた方もいらっしゃいしました。

 この記事の中から必要な情報のみを取り出してみると、概略は以下の通り。

 ・ジェイソンのクリケットでの初練習は5月29日

 ・ブライアンの話(5月28日)「ジェイソンの前コーチのコーリ・エイドも今回のジェイソンの決断を支持している。そして、コーリとの関係も良好で、今後、彼女に助言を求めることもあるかもしれない

 ・ジェイソンのコメント(5月29日、米スケ連を通じて)「コーリには、言葉では言い尽くせないほど感謝している。スケーターとして、人間として、彼女の影響は僕の中に継承されつづけると思う。ブライアンやトレーシーたちのもとでトレーニングできることに興奮しているし、もっと成長したい」

 ・移籍の経緯は次の通り。今年1月の全米選手権の直後、ジェイソンからブライアンに、指導を受けられるかどうかの最初の問い合わせが届く。アメリカのSOI(4月6日~5月20日)の合間に、ジェイソンがクリケットにやってきて、ブライアンとトレーシーが彼のスケーティングをチェック。力強さに満ちていて、特にトレーシーが移籍を強く後押しした。

 ・ジェイソンの指導については、クリケットの「チームで」おこなう予定。形式上はブライアンとトレーシーがメインコーチだが、カレン・プレストンとリー・バーケルがジェイソンを指導することになる。技術面だけでなく、フィジカルコンディションについてもケアする。ジェイソンは、家族と一緒にクリケット近郊で生活する。


 ・ロヒーン・ウォードがすでに新シーズン用のSPを作っていて、ブライアンもそれを気に入っており、今季のSPはそれで行きましょうということで、現在その衣装を考えている。フリーはデヴィッド・ウィルソンが振付する。

 上記以外の部分で、私が気になったブライアンの発言があります。

 Orser said "the time is right when the time is right to make a change. When you feel it, you feel it. It is great that he has another training option."

 「いつやるのか?いまでしょ!それをやったジェイソンはえらい!」

 一行で書くとこういうことなんですが、もう少し意味を補うと、このような内容です。

 「オーサーコーチは言います。『変わるといっても、変わるべき正しいタイミングというものがあります。それがいつかというと、自分が変わりたいと思ったその瞬間です。自分自身でそう感じたら、そうすべきなんです。ジェイソンが、あえてトレーニング環境を変えるという決断をしたこと、それは本当に素晴らしいことなんですよ』

 この部分を訳していて、私が注目したのは「いまでしょ!」の部分ではなく、赤字にした最後の部分です。

 なぜかというと、ジェイソンに限らず、ボーヤンやメドちゃんに対しても、「キミたちはすでに世界屈指のスケーターなのに、なぜあえて環境を変えたいの?」という部分を、ブライアンはしっかり確認したと思うんですよね。3人がみんな、トロントに来る前の羽生君よりも経験豊富なスケーターですから。

 メドちゃんも「私は変わりたい」と話していたそうですが、具体的に何をどう変えたいのか?その理由は?という細部までは分からないし、三者三様の応答かもしれません。でも、ブライアンはそれを聞いた上で納得したわけだから、受け入れたんだと思います。けっして、カネに目がくらんだとか、ゆづのことなんでどーでもいいんだ、ということではないと私は信じています。ブライアンのこれまでの言動・行動から考えれば、そんな浅はかな考えで仕事を引き受ける人間とは到底思えませんから。






 もう一つ。フィリップ・ハーシュのツイから、上記のIFSマガジンと重複しない情報のみ拾ってみます。

 (1)ジェイソンは、SOIツアーで氷上の紙ふぶきで転倒して右足首を怪我したが、すでに回復している。ただ、7月までは激しいジャンプ練習を控える。手始めに、彼をチームで指導する上での様々なアイデアを出し合っている。

 (2)もちろん、ブライアンは、ボーヤンを指導することを前もってジェイソンに伝えている。ジェイソン曰く「ブライアンはあらゆることにオープンな性格で、ブライアンやトレーシーのそんな所にも魅力を感じている」とのこと。

 紙ふぶきだか紙テープだか分かりませんが、いやぁ、でも大怪我でなくて何よりです。Full Storyが近々アップされるそうです。私のブログの方でもまたご紹介したいと思います。

 さて、昨日、別の記事のコメ返でも触れたのですが、メドちゃん、ボーヤン、ジェイソン、3人が移籍した理由や、それぞれが抱える課題って何だろう?ということなんです。

 メドちゃんについては、エテリのチームでは才能豊かな後輩による突き上げがあって、でもって、そんな後輩と「同じこと」をやっていては北京で金メダルは獲れない!という、彼女なりの危機感があったんだろうと推測しています。つまり、環境的な要因が大きい。

 一方、ボーヤンとジェイソンの場合は、明らかに状況が違います。トップスケーターとして母国のコーチから手厚い指導を受けていて、少なくともチーム内での競争は無いに等しい。すると、おそらく、自分のスケーティング自体を変えたいという部分が主な理由なんだと思います。

 しかも、この二人の課題を考えてみると、まったくの真逆といっていい。ボーヤンは高難度ジャンプを跳べても、ローリー・ニコルの奇抜な振付で表現面を鍛えても、PCSは思った以上に伸びない。他方、ジェイソンはクワドレスなのに、高いPCSを獲得しているスケーターです。

 つまり、PCSに課題を抱えるボーヤンと、ジャンプに課題を抱えるジェイソンが、ともにクリケットを目指したわけです。これは非常に興味深いし、この二人の伸び方によって、クリケットはフィギュアスケートのどの部分を伸ばすことに長けているのか、という所も見えてくるかもしれません。

 羽生君やハビは、すでにジャンプが得意だったわけですから、ボーヤンの状況に近いと言えますね。だから、少し前にボーヤンのクリケット入りの噂が出た時、トレーシーにみっちりスケーティングを鍛えてもらって、あとはいかにPCSを伸ばすためのクリケット流のノウハウを吸収するか、というような、「こういうトレーニングをするんだろうな?」というイメージが沸きやすかったのです。

 ジェイソンの場合、ジャンプに問題があって、クワドどころか3Aもけっこう厳しくて、羽生君と同い年の彼が、つまり23歳からわずか4年で高難度ジャンプを安定させられるの?と、こちらの方がかなりチャレンジングなタスクのような気がします。でも、彼の場合、スケーティングとスピンは世界のトップオブトップですから、もし、3A、4T、4Sの3種だけでも固められることができたら、相当強い選手になると思います。

 ジェイソンを指導するとされるコーチ陣のうち、リー・バーケルはガブリエル・デールマンのコーチで、かつてジェフや織田君を指導した実績もあります。カレン・プレストンという女性のコーチは、主要大会のキスクラで見かけたことはないので、私はよく知りません。

 もしかするとブライアンは、ルール変更についてある程度情報を掴んでいて、ジェイソンがそこまで無茶なジャンプ構成にチャレンジしなくても、勝算があると踏んでいるのでしょうか。いやぁ、いずれにしても、新シーズンが本当に楽しみです。

 でも、気がかりなことを一つ。今季は間違いなくGPシリーズ全6戦にクリケットの選手が出場するはずで、ブライアンの体調が心配です。それでジュニアのGPも帯同するんでしょ?・・・トレーシーやブリアンにもしっかり頑張ってもらわないといけませんね。
 
 では、また明日!

 Jun

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