On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

カテゴリ:羽生結弦選手 > 書籍

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 2018年1月25日発売。すべて読みました。まず、昨日の記事は「第四章」だけを読んで書いたものなんですが、他の章や、あるいは松岡修造さんとの「熱血対談」でも、羽生君については大いに語られているので、その意味でも、ゆづファンに本書はオススメです。

 
また、他の選手についての言及という点では、城田本が羽生君以前の選手だと、荒川さんまでという「少し昔の話」で構成されている一方、本書は、織田君自身、真央ちゃん、羽生君、そして、昨年末の全日本選手権で五輪代表争いをした男女シングル選手、さらに海外のメダル候補もカバーしています。

 内容的に「重複」している部分があまりないので、しょーもないsage雑誌を買うぐらいなら、ぜひ二冊揃えて、五輪までに読破してみてはいかがでしょうか。

 さて、今日も3点についてピックアップしてみました。

 (1)運動能力と「フィギュアスケートの能力」の違い

 織田君が、自身のパーソナルヒストリーを語る「第一章」の中で、専門的見地から、非常に興味深い記述があります(41~42頁)。

  「(高校に上がって)フィギュアスケーターとしては格段の上達を果たした僕ですが、相変わらず学校の体育は苦手なままでした。柔道の先生からは、『組み手をするのは危ないから』と言われ、僕よりガリッガリの子と『受け身って難しいよね~』と言いながら、ひたすら受け身の練習を繰り返すばかり……。水泳の授業でも、体脂肪が少ない僕は、水に浮かないで沈んでしまいます。さらに身体能力もないから前に進みません」

  「ただ、フィギュアスケートにおいて重要なのは、運動神経や身体能力以上に『競技適正』なんです。僕の周りのフィギュアスケーターでも、運動神経に優れ、フィギュア以外のスポーツも得意という人をいっぱい見てきました。が、必ずしも彼らがスケートで成功を収めるわけではありませんでした

  「フィギュアスケーターにとっては、運動能力よりも『氷を捉える感覚』あるいは『氷との相性』のほうが、ずっと大事なのです。この競技には、力を抜いてスーッと滑る力だったり、同じ場所で速く回れるような力だったりと、フィギュアに特化した能力が必要になってきます。どんなに速く走れても、どんなに高くジャンプができても、氷の上で4回転ジャンプが跳べるわけではありません」

  「氷を捉える才能、これは僕らが見ればすぐにわかります。ジャンプも運動能力のように見えますが、テイクオフ(離氷)する時にものすごいテクニックが必要になります。氷への優れたタッチでスピードに乗り、その勢いと遠心力で跳ばなければなりません。その感覚がなければ、運動神経があってもどうにもならないのが、フィギュアスケートというスポーツです。これは練習で培われるものではなくて、生まれ持った素質に他なりません

 つまり、人に教わる以前から、才能のある子には、氷上における「特殊な適正」が明確にあるということですね。

 私たちが、フィギュアスケーターの「適正」とか「才能」と聞くと、「何歳までに、何回転ジャンプを何種類跳べたか?」という話をイメージしがちですが、実は、この第一章では、織田君自身が「何歳でどこまで」という話は、ほとんど出てきません。実は、スケオタの方がジャンプに固執しすぎているのかもしれません。

  「さて、僕の氷のタッチを自己評価すると、平均以上だとは思います。ただ、スケーティングとかステップといった技術面で特にジュニア当時の僕は、他の選手よりも劣っていました。ジャンプは評価されるけど、芸術面に課題がある。高校生時代の僕を評するなら、そういうことになりますが、その壁を越えるのは当時の環境下では限界だと、母をはじめ周囲の大人たちは感じ始めていたのでした」

 ちなみに、この後、織田君はカナダのリー・バーケルコーチ(現クリケット在籍。デールマンのコーチ)に師事します。それまでジャンプは「ただ跳ぶ」だけだったのが、カナダでは、ジャンプの前後のスケーティングスピード、姿勢、ランディングから次の動作に移行する際の顔の位置など丁寧な指導を受け(47~48頁)、夏の短期キャンプの後でも、帰国すると「別人のようになった」と言われたそうです。
  
 (2)錦織圭と羽生結弦(修造・信成対談から)

 この修造さんと信成君の対談(79~100頁)は、話の大半が「羽生結弦論」で、お互いの「ゆづ論」をぶつけ合い、そしてすり合わせるという流れになっています。その「すり合わせ」の部分で、修造さんが、錦織圭選手を取り上げているのが、この対談の貴重な点だと思います。

 ・二人の天才

  修造「・・・織田さんのファンからのお叱りはいくらでも受けますが、織田さんと僕の一番の共通点は、『メンタルが弱い』ことだと思うんです(笑)」

  信成「わかります(笑)。僕は本当にメンタルが弱い。修造さんもメンタル弱いんですか?」

  修造「弱い!もうね、みんな本当に勘違いしている。僕が世界ランキングで46位になったとか、ウィンブルドンでベスト8とか」

  信成「だって、すごいじゃないですか!?」

  修造「でもね、同じ時代に錦織圭選手がいたら、松岡修造はどう?

  信成「それはもう、日本の二枚看板で…」

  修造「違うっ!『錦織圭と違って、松岡は背が高くて強いサーブも打てるのに、なんで負けるんだ』って、非難されますよ

  信成「・・・僕は本番までに緊張しすぎて、夜眠れなくなって、顔面蒼白になってダメになるパターンでしたけど、修造さんは?」

  修造「僕は頑張りすぎちゃうタイプ。テニスを始めたころから才能がないって言われていて、それを自分ですごくわかっていたから。・・・才能がある人といえば、錦織圭選手。一番の才能は大事な時に力が入らず、楽にできることなんです。力を抜いてできる

  信成「羽生結弦選手と同じですね。力を抜いて、メリハリをつけるのが上手なんです

  修造「そういう感覚を僕は持てなかったから、錦織圭という人に対しては、僕は教えられなかった。彼には『お前、本気出せ!』なんて言えない。出さない方がいいから(笑)。それに、必要な時には自然と出すわけですよ

  修造「・・・正直、羽生選手がいなかったら、辞めてなかった?」

  信成「羽生選手がいなかったら…辞めてなかったでしょうね(笑)。・・・羽生選手に勝てないから辞めたというわけではないですよ(笑)。もちろん彼には勝てないです。でも、勝てなくても努力して常に前を向くのがアスリートだと思ってたので。・・・今でも羽生選手と試合では戦いたいな、という思いはあります。絶対に負けますけどね

 購入意欲が減退することのないように、ここで切ります。なぜ今季「SEIMEI」を選んだか?とか、あるいは、羽生君の性格分析のような話題でも、二人は大いに盛り上がっていますよ。

 ・「脱・平等主義」へ

  信成「今のフィギュアの強化って、全員をうまくしようという方針なんです。そうではなくて、『この子だ!』と一人に絞って、その子を全力で全神経を注いで強化するのも一つの方法なんじゃないかと考えることもあります。それこそ、伊藤みどりさんがそうだったのかなと思うんです。今ほど世界で戦う日本人の選手はいなかったけれど、やっぱり彼女が日本の威信を背負って頑張ってくれたことで、今でも伊藤みどりさんを覚えている人がたくさんいらっしゃいます」

  修造「テニスだと、たとえば錦織選手はジュニアのころから僕が一生出会わないくらいの素質があった。だから彼が11歳の時に18歳が出るような国際大会に出させたわけですよ。普通ならありえないけど、絶対にうまくなることがわかっていたから、海外遠征にもどんどん出した。年齢も力も十分でないから、当然負けますよ。でも必ず強くなると信じた」

  信成「批判はなかったですか?」

  修造「みんなが賛成というわけにはいきませんでしたよ。みんな一緒に強くなれるならそれに越したことはないです。でも現実はそうじゃない。それに『これだ!』という選手が毎年出てくるともかぎらない。でも「これだ!」という選手が出てきた時に、『みんな平等』でやっていたら、伸びる子も伸びないですよ。だから、周りからどんなことを言われても構わない。圭が結果を出してくれたおかげで、今では協会の中で、やりたい強化の内容をさせていただいています。だから織田さんも『この子だ!』と思ったら、全部やってみたらどうですか?遠征にも出して、世界で一番いいコーチを付けようって

  信成「僕も『この子!』っていう一人を選ぶのは、ありだと思います」

 修造さんが最後に言ってる、「これだ!って子に、世界で一番いいコーチをつける」ってのは、すでに城田さんが羽生君に対してやってるじゃない!と、思いますね。

 私はテニスの協会の事情はよく分かりませんが、日本のスケ連の場合、羽生君がブライアンの薫陶を受けていきなり金メダルを獲ったことで、それを「面白くない」と感じる勢力が反発している、というのが現状ではないかと。そして、それが、最初に織田君が言った「全員をうまくしようという方針」なんじゃないの?と。

 もちろん、修造さんは日本のスケ連の事情も承知しているはずで、織田君もオフレコで「修造さん聞いてくださいよ。実は・・・」って話になっていることを期待します。

 ただ、織田君はバーケルコーチやジェフとも繋がりがあるわけだし、将来的に、織田君が教え子をクリケットに送り込むというのは、あるかもしれませんね。
 
 (3)浅田真央と羽生結弦(フィギュアスケートを追求する者たち)

  「(浅田さんと)同じように『フィギュアスケートを追求する者』として、羽生結弦選手もいますが、二人の間には、違いがあります」

  「羽生選手には『極めたい』に加えて『絶対に1位を取る』という決意があります。自分が精神的に好まないものであっても、点数が出て1位が取れるのであれば、意地でもそれを体得して自分のものにする強さがあります」

  「浅田さんは、もちろん結果を最優先していたと思いますが、究極的には競技として点数にこだわる以上に『自らの信念を貫き通す』ことにこだわる選手だったように思うのです。こっちの方が点数が高いと言われても、『トリプルアクセルに挑戦したい』という気持ちがあった。勝つ確率を高めるより、挑戦することを優先したのだと思います」

  「でも、それは弱点につながってしまう可能性もありました。実際にメディアでは『トリプルアクセルにこだわりすぎ』とか、『その他の3回転―3回転のコンビネーションとか、3回転ルッツとか、武器になるジャンプをもっと強化すべきじゃないか』と言われることもありました。トリプルアクセルを失敗した時にどうリカバリーするか――もちろん浅田さんはそこにも力を入れて練習していたと思いますが――アクセルを練習する時間を他の練習に費やしていれば、浅田さんの実力からしたら、もっと勝っていたかもしれません」(以上、185~186頁)

 バンクーバーの頃の日本国内の報道を、私も鮮明に覚えてはいませんけど、むしろ楽観論というか、「世界で他に誰も跳べない3Aが真央ちゃんにはあるのだから、金メダル確実!」という論調だったんじゃないかと。

 それを未だに引きずって、ヨナの採点をアレコレ言う陰謀論者がいますが、ヨナがバンクーバーで勝った理由、逆に彼女がソチでは勝てなかった理由について、私は少し違う見方をしています。(※参考までに「こちら」や「こちら」をどうぞ)

 以上、ブログに紹介すると、ずいぶんな量になりましたが、本当にこれでも一部です。昨年末の全日本・ロシア選手権の結果もフォローしてあるので、織田君も、年末年始、ギリギリまで原稿を執筆していたようです。

 小さな不満を2つだけ。一つは、ボーヤンについてまったく言及が無いこと。もちろん4CCが始まった頃、すでに本書は印刷されていたはずで仕方のない話ですが、あのボーヤンの神演技に対して、織田君ならば称賛していただろうなと思うのです。

 もう一つは、知子ちゃんについて。彼女がケガをする以前から大変な努力家だということは本書でも熱く語られています。・・・でも、ならば、なぜ、「努力の天才」の彼女が、ジャンプの高さ、回転等の不安を改善するための取り組みを「行なわなかった」のか?

 何度もブログで書いていますが、私は知子ちゃんが大好きなんです。でも、だからこそ、彼女の努力を称える専門家の言葉が、どうもストンと腑に落ちないんですよ。

 あまり考えたくはないですが、もし、ジャンプの課題を彼女自身は認識していたのに、「気にしなくていい。転倒しないことだけに注力して!」とコーチから言われていたのだとしたら・・・。

 では、また明日!

 Jun

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 ほぼ記事を書きあげた時点で、突如ブラウザが強制終了して、約3分の2のテキストが消えました・・・。こまめに保存しない私が悪いんですが、今日は別のブラウザで書いていたこともあって、リカバリーも効いておらず・・・。本書のタイトルじゃないですが、泣かせてくれるじゃないですか。

 さて、織田君の著書から、今日は、羽生君について語られている第四章を見ていきます。

 まず、この第四章は「141~174頁」と、35ページものボリュームで、城田さんの本の「ゆづ章」が、いま数えてみたら22ページだったので、はっきり多いですね。

 以下、気になった3点をピックアップしてみます。

 (1)負傷と平昌五輪での可能性

 いきなり、昨年のNHK杯での故障の話から始まります。当然、五輪に間に合うか?どれぐらい戻っているか?という話になりますが、ここでの織田君のトーンは「かなり慎重」という印象を受けました(144頁)。

  「たとえばショートで大きくミスをしてしまい、フリーでは少しのミスも許されない、そんな逆境も、試合にさえ出ていれば闘争心という炎が燃え盛っているので頑張れるものです。特に羽生選手は皆さんがご存知のように逆境に強い、逆境になればなるほど燃え上がる炎を内に持つ選手で、息ができないほどのプレッシャーにさらされても100%の力を発揮することができます」

  「しかし、氷に乗れない、戦うことができない状況というのは、その内なる炎がやはり小さなものになってしまいます。だから今回直面している逆境において、羽生選手が過去に示してきた『勝負強さ』あるいは『逆境力』を発揮されるかどうかというのは、未知数であると言わざるをえません

 何の根拠もなく、手放しで「やってくれる!」と言わない所は、織田君が指導者として責任ある立場だからだろうな、と感じました。

 もちろん、話はこれで終わりではなく、「怪我の功名」という部分も指摘しています(146頁)。

  「シニアデビュー以来、特に前回のソチオリンピック以降は、休む間もなく走り続け、近年は体のどこかに怪我を抱えることも多くなっていて、完璧な状態を保つことができませんでした

  「この望まざる休息期間に心身ともに状態を整え、勝つためにできる現実的な作業にシンプルに取り組むことによって、あるいは金メダルが近づくということもあるかもしれません。高く跳ぶために十分すぎるほどにしゃがみ込んでいるでしょうから」

 「怪我で氷上練習ができない→ジャンプが跳べない→勝てない」と考えがちですが、今季、知子ちゃん、草太君、メドちゃん、あるいはボーヤンのように、怪我からの復帰後、ジャンプ以外の面ではっきりとレベルが上がっているケースをたくさん見てきました。

 そう考えると、あの羽生君が昨年11月からの約3カ月間を、無為に過ごしてきたわけがない。
むしろ、ジャンプにあれだけ拘りを持つ彼は、ジャンプを跳べる時期はジャンプ練習に重点を置いていたであろうことを考えると、この期間はジャンプ以外の部分に徹底的にメスを入れて、磨き上げていったように想像します。そこが、織田君の言う、「勝つためにできる現実的な作業にシンプルに取り組む」ということかもしれません。

 ジャンプについて、織田君の見立ては、「今回のアクシデントを踏まえ、羽生選手は4回転ジャンプを少なくとも種類において絞ってくると思います」(145頁)というものでした。本書にも「サルコウとトウループだけでも戦える」とありますが、外すのはルッツだけなのか、ループはどうなるのか、この部分は具体的には踏み込んではいませんね。

 まぁ、それももう間もなく、現地での公式練習等で明らかになることでしょう。

 (2)ゆづの研究熱心さ

  「僕はフィギュアスケートの映像を見るのが大好きでして、ついつい『あの選手の滑りはこうだよね』という話を他の選手にしてしまいます。ほとんどの選手は、『ああ、そうだよね…』で終わってしまうのですが、羽生選手は『それ、すっごくわかります!』と食いついてくれるんです

  「羽生選手は他の選手の滑りをものすごく見ていて研究していることを知りました。僕にとっては、スケートの話題で盛り上がることができる、唯一に近い仲間だと言えます

  「シーズンオフのアイスショーであっても、羽生選手は他の選手の練習を見ています。その熱心さは、『スケートって、研究をここまでしたら、こんなにも上手くなれるんやな』と思うほどです。他の選手の演技も自分の演技も映像で振り返って研究し、いいところを自分のスケートに取り込んでいるようです

 この部分(157~158頁)を読んでいて、どっちの立場も分かるなぁ・・・と感じました。

 例えば、私はフィギュアスケートのブログ、特にゆづファンのブログはまったく見ません。それには理由があって、ウチの読者さまは「ブログランキング」から来ていただいている方が大半で、ランキング内の他のブログもフォローしている可能性が高い。すると、もし私まで、それらのブログを熱心にチェックしていると、トピックス選びから、主義主張に至るまで、影響を受けかねません。「今日これ、別のブログでも見たな・・・時間の無駄だったわ」と思わせないように、気をつけるようにしています。

 もしかすると、他のスケーターを研究していない選手からすると、「誰それのコピーとかパクリと思われたくない」から、自分のスケートを磨き上げることに集中しているのかもしれません。

 一方で、フィギュアスケート雑誌の読者、つまりスケートファンとして言えば、自分の話しかしない選手のインタって、つまらないんですよね。それでいて、いざ「どんな選手を目指してますか?」と聞かれたら、「大ちゃんみたいに」なんて回答が出てくると、ガッカリ感が・・・。まぁ、アスリートは結果を出してナンボですから、誰を目指していようがいまいが、強い選手になってほしいと思います。

 でも、それだけ羽生君が研究熱心ならば、いずれ、織田君との対談という形で「注目選手」の話もしてもらいたいです。日本的なしがらみの無い人たちですから、ロシアの女子のこととか、自由に語ってくれると思うんですけどね。

 (3)ストイックなゆづ

  「実はユヅとはプライベートで会ったことはほとんどないんです。遠征先のホテルでも1、2回ご飯を食べたことがあるかどうか…。『今度一緒に焼肉でも行こうよ』みたいな話になって、『あぁ、行きましょ、行きましょ!』ってやり取りはしても、羽生選手はカナダに住んでますから、物理的になかなか行くチャンスがりません」

  「一方で、彼はプライベートを完璧になくしているとでもいうか、遊びには行かないようにして、スケートにできるかぎり集中したいと考えているようです。僕も社交辞令で誘いますが、行かないことが彼のためになると知っています。これは、僕が現役のころから変わりません

  「ノリがいい性格のユヅですから、本当はみんなと楽しく過ごしたいし、話もしたいはずです。でも現役選手である以上は、スケートに必要のないものはすべて削ぎ落して、やるって決めたらやる。『スケートを極める』その決意がすべてに勝っているのだと思います」(以上、165~166頁)

 「行かないことが彼のためになると知っています」という部分に、織田君の誠実さが出ていますね。

 いまや、日本人のオリンピックのメダリストでも、インスタやTwitterで、「リオ組で飲みに行ってきました!」というような写真をアップすることがありますよね。競技の垣根を超えたメダリストたちが、都心の隠れ家系ダイニングバーみたいな所で、生ビール片手に乾杯ってノリの写真です。

 ただ、すでに現役を引退しているならいざ知らず、「東京五輪も目指します!」と公言している人だとしたら、なんだかなぁ・・・と感じます。

 その点、羽生君はやっぱり独特ですよね。SNSやブログをまったくやっていない、偉業を成し遂げた人って、イチローとか将棋の羽生さんとか、40代以上の人だとけっこういるんですが、20代前半というのは、ちょっと思い浮かびません。

 でも、孤高のレジェンドは、そうあってほしい。そう考えると、「情報の発信」という部分に敏感なブライアンの元にいて、本当に良かったなと改めて感じます。

 これ以外にも、まだまだ沢山の箇所で、織田君の熱い「ゆづ愛」がほとばしっています。この「第四章」目当てでも、買う価値はあると思いますよ。

 明日は他の選手に言及した部分を取り上げてみます。

 では、また明日!

 Jun

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 2018年1月18日発売。すべて読みましたので、仕切り直しでレビューします。

 まず、他の選手と比べて、羽生君の情報は薄めです。ただ、平昌五輪が間近に迫ってますし、さらに羽生君本人がロステレの取材で「4Aに挑戦する」とも言ってるのだから、まだプロ転向もないでしょうし、明かせないことはたくさんあるのだと思います。

  「羽生のご両親は、私が強化部長の職を離れたあとも、アイスショーなどの現場でお会いすれば、衣装に関してや進学先の選択をめぐってアドバイスを求められることもあり、昔から知る存在として話しやすかったのかもしれません。11年夏、久しぶりにお会いしたお母様から伺った彼の練習環境の窮状は想像をはるかに超えるものでした。『このままではいけない』――、私はその場で新たな練習拠点を探す決意を固めたのです」(167~168頁)

 羽生君のご両親から絶大な信頼を得ている城田さんだからこそ、いずれ「ゆづヒストリー本」の決定版のようなものが公刊されると思います。

 (1)「狂化部長」と呼ばれて

 印象的な一節があったので、まずはそこからご紹介します。時は2005年の、トリノ五輪シーズンの開幕前。当時、企業からのCM依頼は安藤さんに集中していたそうですが、城田さんは、安藤さんばかりに負担をかけるわけにはいかないと、村主さんと荒川さんとの3人の出演(ロッテ)にしたり、二人にも分散させたりしていたそうです(130~131頁)。

 ただし、某お米メーカーから依頼が来ると、城田さんはこう返答したそうです。

  「『金芽米』というからには荒川でお願いしたい。荒川じゃなければ、この話は流れてしまってもかまわない」

 そして、こう回想しています。

  「『金』の文字が入ったものは、験を担いで荒川にやらせたいと思ったからでした。この頃からでしたでしょうか。連盟のスタッフから『狂化部長』とからかわれたのは……

 このCMの話はかわいいもので、特に荒川さんに関して、城田さんが主導で行った、「キャラハン→タラソワ→モロゾフ」という、コーチ変更の経緯は、読んでいて胃がキリキリ痛くなるような迫真の記述で、私もページをめくっていて、頭を抱えながら、「マジか・・・」と何度も声も上げました。

 どんなに誠意を尽くして頼みこんだ外国人コーチであっても、スコアの伸びが期待できないと分かれば、バッサリ切る。義理とか恩とか、人間関係とかそんなものは、いざとなったら、二の次・三の次。いい歳した大人の感覚からすると「正気の沙汰じゃない」と思えるんですが、・・・でも、狂ってなければ4年に1度の闘いを勝ち切るなんて到底不可能ということですね。

 本書を頭から読んできて、城田さんの性格を考えると、実は、羽生君がクリケットに居続けていることが、奇妙というか異様にすら感じました。

 ただ、それもこれも、トロントに渡って2年足らずでオリンピックで金メダルを獲ってしまったから、城田さんもブライアンを信頼しているのであって、もしかりにソチでメダルを逃していたら、羽生君もこんな感じで「振り回されて」いたのかなと・・・恐ろしくなりました。

 (2)これも強化部長の仕事なの?

 いまの小林部長を見ていると、メディア向けのアナウンスと、選手の引率しかしていないように見えますが、第三章の「進化する大会運営」で触れられている、94年に幕張で開催された世界選手権の裏話は実に興味深い内容です。

 練習用のサブリンクの設営、音響チェック、開催地の自治体からの資金集め、すべてに城田さんが関わり、しかしそれでも、ISUの会長からは、「こんなコンクリートジャングルのようなところで世界選手権をやるなんてけしからん」とクレームが来る始末。

 「開催時は緑でいっぱいになりますから!」とその場は収めて、会長の泊まるホテルは窓から庭園の見えるスイートルームにしたとか、読んでいて苦笑するしかなかったです。

 いまから24年も前の幕張って、いま軽くググってみると、駅前のアウトレットモールなんてもちろん無くて(2000年オープン)、マリンスタジアムができたのが92年ということなので、ビルもホテルもそんなに無かったんだろうなぁ・・・と。

 ジャッジ席の周りには胡蝶蘭を並べ、キスクラには50万もする五葉松を飾り、ロイヤルブルーのカーテンを会場中に張り巡らせたのは、この時のアイデアだそうです。さらに、投げ込み用の「花びらの落ちにくい花束」も、城田さんが花屋さんと工夫して制作したとか、現在のフィギュアスケートの大会運営のひな型は、この時に一式すべて作り上げられたのだなと、感心しました。

 もちろん、Ice Jewelsの連載で書かれているような、若手の発掘にも関わっています。それも、野辺山合宿に参加できるようなエリートの卵だけでなく、「逸材がいる」と聞けば地方に視察に出かけます。

 野辺山といえば、城田さんだけは必ずツインの部屋に泊まるのだとか。なぜか。参加するスケーターは9歳~12歳の子どもです。合宿中にお腹が痛くなったり、熱を出す子もいる。そんな子どもを、隣りのベッドに寝かせて、水を飲ませたり、水枕をとりかえたりしたそうです。保健の先生のお仕事まで担っているわけです。

 (3)GPシリーズとジャパンインターナショナルチャレンジ

 GPシリーズのアサインについて、どの大会にどの選手が出場するか、各国スケ連の幹部が集まる5月のセレクションミーティングの話も面白かったです。特に05-06シーズンの、安藤、村主、恩田、中野、荒川、そして浅田と、日本国内の選手層が厚かった時期、先シーズンの戦績が芳しくなかった荒川さんは強豪の出場する大会にアサインされることになりました。

 この部分を読んでいて頭に浮かんだのは、今季の日本女子のアサインです。中国杯への派遣選手は、樋口、三原、本田の3人がアサインされて、「なんでつぶし合いをさせるの?」と話題になりましたよね。

 3枠あったトリノのシーズンと違って、2枠でしたから、全日本以外の場でも競わせようというスケ連の狙いがあったんでしょうが、皮肉なことに、この3人から五輪代表は出ませんでした。ただ、GPシリーズの成績は結局あまり関係なく、全日本で強かった2人が平昌五輪の代表に選ばれた点は評価しています。

 話を戻して、2005年の10月に「ジャパンインターナショナルチャレンジ」という大会を東伏見で開催しています。詳しくはwikiのリンクを見てもらいたいのですが、「トリノで金メダルを獲るにはどうしても必要だから」と城田さんが関係者を拝み倒して開催に至りました。海外招待選手の移動費・食費・宿泊費をすべて日本側が負担してまで行われたこの試合では、招待選手の衣装・演技、すべてをビデオに録画して、後日プログラムの基礎点を計算し、分析したといいます。

 いまみたいに、YouTubeで世界中の試合がものの数分でアップされ、プロトコルもすぐに読める時代じゃないですから、こういうことをやる必要があったのね・・・と。

 最初、この大会はジャパンオープンの前身かなと思ったのですが、違うようです。JOは97年に初開催された後、02~05年の期間は開催されていません。木下グループがスポンサーについたのは06年からで、06年大会から現行の(日本チーム・欧州チーム・北米チーム)という団体戦形式になりました。

 本書の中ではJOについて言及はないですが、90年代のJOの映像を見ていると代々木でやってるので、JO再開はスポンサーを見つけるのが大変だったでしょうから、東伏見でJICを急遽開催したのかな・・・と想像しました。



 ちなみに、JOの90年代のメンバーが何気に豪華です。特に99年の男子シングルは、ヤグ、プル、エルドリッジ、ブラウニング、本田さん、そしてブライアンが出ています。上の映像は97年の方を貼りましたが、3Aは転倒こそしましたが、さすがの高さです。

 さて、以下、色々と妄想したいと思います。

 羽生陣営がいまどうなっているのか?というのはやはり気になりますよね。団体戦は出ないんじゃないかという情勢になっていて(だから刑事君のチームにパスを譲ったのかなと)、来月に入って「団体戦には出ません」というアナウンスだけされて、そのまま他の情報は一切出さずに、個人戦に突入したら凄いことです。

 本書に通底している、城田さんの考える「五輪の闘い方」というのは、「一人のスケーターに注目と期待が集中することを好まない」ということだと思います。アルベールビルでの伊藤みどりさんでそれを教訓とし、トリノでは女子は三人が束になって世界に立ち向かいました。

 城田さんによれば、荒川さんが金メダルを獲る上での「真の立役者」は、村主さんと安藤さんである、と。すなわち、05年のワールドで3枠を取ったのは村主さんと安藤さんで、もし日本代表に3枠がなければ、荒川さんはトリノ五輪に出場すること自体が不可能だったと言い切っています(142頁)。

 もし羽生君の状態が回復していて、「練習でクワドを跳びまくっている」というような情報を出したら、日本の新聞やワイドショーは、「五輪連覇へ!世界記録も更新だ!」みたいに持ち上げまくるに決まっている。しかも、日本国内限定のゴリ推しの「作られたスター」ではなく、羽生結弦というスケーターは、すでにフィギュアスケート史に名を刻む「生ける伝説」です。世界中から注目を集めることでしょう。ならば、注目はできるだけ分散させることが望ましい。

 この「死んだふり作戦」により、ネタに困った日本の五流・六流メディアは、「日本の新エース宇野、悲願の金へ」「優勝争いは宇野とネイサンが軸に」「色気と風格を増した田中」ぐらいしか、どうせ書くことがないのではないか(※本書には宇野の「う」の字も出てきません)。城田さんの言う、「かつてない計算と注意」の中には、こういうことも含まれているのかもしれません。

 とにかく、この本での城田さんは「闘将」という感じで、シンクロの井村雅代コーチがかぶります。日本水連の幹部が井村さんを追い出して、その直後、彼女が指導した中国代表はメダル常連国に躍進。一方で日本は、12年のロンドン五輪では、ロシア、中国、スペイン、ウクライナにも負けての5位。結局、井村さんに幹部連中が頭を下げて、日本に帰ってきてもらいました。

 最後に、城田さんは、トリノで自分の出番を待つ荒川さんに、こう声をかけたと言います(138頁)。

  「あなたのために滑ってね。私でもない、連盟でもない、日本のためでもない、あなたのためのオリンピックだから」

 ソチの時の羽生君はいろんなものを背負っていました。今回の平昌ではもっとたくさんのものを背負ってしまうかもしれません。

 でも、荒川さんを送り出した時と同じように、城田さんには、羽生君を送り出してほしいですね。この言葉をかけられるのは、城田さん以外には世界中に誰もいませんから。

 では、また明日!

 Jun

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 第3章については昨日の記事で少し触れたので、それ以外の部分を軽くご紹介します。

 第1章「平昌五輪の代表を決める激闘のプロセス」は、一言でいうと、「うまくまとめたもんだなぁ・・・」と感心しました。

 五輪シーズンとはどういうものか。シーズン中の主要大会の仕組みを解説するとともに、スケーターがどのような狙いを持って過ごしているのかを、中野さんご自身の体験を巧みにハメこみながら説明しているので、飽きさせない内容になっています。フィギュアスケート専門のライターがこういう解説記事を書いても、実体験に基づかないので、私だったらダレてしまうでしょう。

 例えば、中野さんはプログラムの選曲を自分から提案したことはないそうで、佐藤久美子さんやマリーナ・ズエワにお任せしていたと言います。それでも、どうしても「曲に乗り切れず、演技に入り込めない」ことはあったようで、「シーズンが始まる1ヵ月前に急遽、曲を替えて、プログラムを作り直した」こともあったとか(51~52頁)。

 「急遽曲を替えた」といえば、本田真凜ちゃんですが、いままさに彼女がSPをお願いしているマリーナについて、中野さんはこう語っています。

  「私の振り付けをしてくれたズエワ先生は、柔軟な考えを持っていたので、『ジャンプを跳べないと意味がない』と、現実的に演技がどう完成していくかを重要視してくれました。ですので、ジャンプが跳びやすいように振り付けの一部を変更することも受け入れてくれました。ジャンプに入る前のステップを少し変えるだけで、ジャンプがスムーズに跳べることもあります。ズエワ先生の考えで、随分と助けられました」(60頁)

 こういう人柄ならば、真凜ちゃん陣営の急なお願いも快諾してくれそうですね。良プログラムを期待できそうです。

 他には、衣装について、ああ、やっぱりか・・・と思ったのが、このくだりです。

  「クラシックバレエにピッタリくる白の衣装は、氷のリンクが白いフィギュアスケートでは同化してしまい、存在感を際立たせることが難しいのです。・・・羽生選手も(2016/17)シーズン序盤は白を基調とした衣装で滑っていましたが、NHK杯からは薄い紫が基調となる衣装へチェンジしました。白は膨張色でもあるので、体のラインを少しでも細く見せたい女性スケーターにとっては難しい配色です。私自身、白い衣装にあこがれはあったのですが、現役時代にはほとんど着る機会がありませんでした」(64頁)

 女性スケーターで白い衣装というと、三原舞依ちゃんの「タイスの瞑想曲」がまず浮かびましたが、あれはEXですもんね。

 ちなみに、本書でも「青が演技のいい勝利カラー」という点に触れられていますが、中野さん自身のラッキーカラーは赤だったようで、赤やオレンジを多く使ったそうです。

 第2章「試合に臨むための心意気」では、大学進学とともに新横浜の佐藤信夫コーチに師事し、ここでは、佐藤先生のお人柄や指導方針についての記述が印象的です。

 ほかに、「どの滑走順がベストか?」という話題で、中野さん自身は「あくまでも私の感想」と但し書きをしたうえで、「2番がベスト」と主張していますね。

 1番滑走の場合、6分間練習自体の内容を省略しなければならず、不安を抱えたまま演技に入ることもあったようです。フリーで3番滑走だと、6連から15分は待つことになり、シューズの紐を締めっぱなしだと足が痛くなるし、でも緩めてしまって6分間練習の感触が変わったらどうしよう?、と悩ましいようです。

 4番滑走だとスニーカーに履き替えて、陸上でウォームアップ。5番だと一度休んでから、陸上のウォームアップ。最終滑走だと、6連での氷の感触のことは忘れてしまうとか。

 したがって、2番滑走だと、6連で思う存分滑れると同時に、氷の感触が残ったまま演技に入れるので、「ベストである」と。ここまで丁寧に一つひとつ理由を挙げられると、説得力があります。

 羽生君自身が「2番は苦手」と語っていたことは、SEIMEI振り返りでも触れましたが、他の滑走順についても、後半の滑走順だとライバルの状況を見て構成を替えられることもできるし、それぞれメリット・デメリットはあるようです。

 第4章「私が見たスケーターたちの素顔」では、上に貼った目次にもあるように、真央ちゃん、美姫ちゃん、大ちゃん、あっこさん、小塚君とのエピソードが語られています。

 ここでのスタンスは、「自分が直接経験したこと」をどこまでも正直に、素直に回想するという感じです。私もまったく知らなかった逸話が随所に出てきますが、特に美姫ちゃんとの交流については、二人のキャラの違いから意外な組み合わせでした。間違いなく、この章に、彼女の「色」が一番出ていますし、5人のレジェンドの中でも、特に好きなスケーターがいるならば、ここは必読です。

 最後に、本書の「おわりに」の部分で、ズシンときた記述がありました(252頁)。

  「本書の中でも紹介させていただいた同世代のスケーターは、私にとってかけがえのない大切な仲間です。だけど、彼らや彼女たちと私の違いは、私だけが五輪に出場することがかなわなかったことです

  「両親を五輪の舞台へ連れていくことが夢でもありました。悔しさから素直になれず、両親に『こんな風になるなら生まれたくなかった』と言い放ち、困らせてしまったこともありました」

 特に第3章での冷静な筆致からは想像もつかないエピソードに、よくこれを書いてくれたなぁ・・・と感激しました。

 これは私の憶測を込めて言いますが、中野さんは、フジテレビの社員とはいえフィギュアスケートの仕事をやっているわけでもなく、もちろんフィギュアスケートの解説業やライター業のようなこともしていないからこそ、「大人の事情でこうコメントせざるをえない」なんてこともなく、発言を捻じ曲げられることもありません。だから、本書はのびのびした内容に仕上がったのかなと思います。

 この本を読んだだけでも、中野さんの頭脳明晰さは即座に分かるし、すぐにでもトップクラスの解説やコメントができそうな気もする反面、そうなるときっと「嫌な圧力」がかかってくるんですよね・・・あぁ、いやだいやだ。

 いい本です。私は大好きな本ですね。これから折を見て、彼女の現役時代の演技を、YouTubeでいろいろと漁ってみようかなと思います。

 では、また明日!

 Jun

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 2017年9月8日発売。正直いって、あまり期待せずに購入しましたが、良い意味で予想を裏切られる内容でした。本書の全体的な特徴を3つほど挙げてみます。

 ・最新かつ正確な情報(今年6月に発表された平昌五輪の日本代表選考基準もフォロー)に基づいて、議論が展開されている。

 ・ フィギュアスケートに限らず、著名なアスリートの本にありがちな「かつての昔話」や「自慢話」的な色は意図的に薄くされているのか、「さあ、今シーズン、フィギュアスケートをどう見る?」という部分に特化した、良質なガイドブックの役割を果たしている。

 ・ 中野さんがジャッジの資格を持っている部分も影響しているのでしょう、ここまで偏っていない、公平な視点で選手を評価するフィギュアスケート本を、私は見たことがありません。

 じゃ、羽生君の新ネタ目当てのゆづファン的には?というと、うーん・・・と、手放しでオススメできる感じではないです。

 というのも、第3章「なぜ羽生選手は世界選手権で優勝できたのか」(133~214頁)は、前半部分の171頁までは「プロトコルの読み方」が丁寧に解説されていて、その知識に基づいて、ヘルシンキワールドの男子シングルの結果を解説するスタンスになっています。

 その筆致というのが、まるでアイスジュエルズの「ルール解説」のような、良くも悪くも、淡々とした、主観を排したスタイルになっています。したがって、演技を観て、プロトコルを読んで、減点の理由等が自力で分かる方だと、「すでに知っていること」が多いんですよね。もっと分かりやすく言うと、

  なぜホプレガのPCSは抑えられているのか?

 みたいな主張は一切ありません。むしろ、羽生君に関しては、SPとフリーのPCSの差に注目していて、プロトコル上に表現されているもの以外は議論の対象にしない、と決めている感じです。そういう意味では面白みは足りないかなぁ・・・と思います。

 ただ、逆に考えると、すぐになんとかの一つ覚えのように「男の色気」という言葉に逃げる解説者や、捏造やコピペやsage記事を平気で書く記者が跋扈している状況を考えると、彼女のスタイルはあまりに潔いというか、清々しいぐらい、一本スジが通っているなぁと、感心しました。

 じゃ、ゆづに関する情報は無いかというと、

  第2章「試合に臨むための心意気」の冒頭では、中野さんが早稲田大学人間科学部eスクール(通信教育課程)に在籍していた頃の生活スタイルが語られていたりして、なかなか気が抜けないんですね(笑)。もちろん、

  「羽生選手が同じように早大の通信課程で学んでいます。移動中の飛行機などでも勉強しているようなことを聞き、かつての自分を思い出して懐かしくなります」(69頁)

 と、しっかりフォローされています。
 
 後輩に対する温かい眼差しと、トップスケーターとしての彼へのリスペクトは十分に伝わりますし、偏りのない、最新のフィギュアスケートの基本書として、すぐれた一冊です。

 中野さんの「色」が出ている部分は、むしろ第3章以外の3つの章なので、明日の記事でしっかりフォローしたいと思います。

 では、また明日!

 Jun

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