On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

タグ:Number_PLUS

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 Number PLUSの続きです。バックナンバーはこちら(「Number PLUS」「Number」)。

 昨日の記事を書いた時点で、羽生君以外の部分は読んでいなかったのですが、全て目を通した上で本誌の全体を評価し直すと、ちょっと内容は薄いかな・・・という感じはします。

 ちなみに、一年前の4月10日、本誌バックナンバー「銀盤の革命者(1)(2)」が発売されました。もしお手元にあればパラパラとめくってもらいたいのですが、鈴木ふさ子さんにモスクワに飛んでもらってプルさんの独占インタを掲載するなど、興味深い企画が揃っていました。

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 二冊を比べてみると、誰にどれぐらい誌面が割かれていたのか、その「序列」も面白い。坂本花織ちゃんなんて、日本女子で最後の扱いでした。

 本誌に戻って、気になった部分をピックアップしてみます。

 (1)[小塚崇彦が解説]「トータルパッケージこそ王者への道」→→この方がフィギュアスケート解説者として、雑誌やテレビで発言をするようになって約一年が経ちました。前述の「銀盤の革命者。」のレビューで、「小塚君の分析力が抜けている」と私が絶賛したのも、遠い昔のようです(汗)。

 トヨタの社員である彼が「宇野選手贔屓の発言」を連発するのは仕方ない部分もあるとはいえ、一年前の本誌と比べて彼の分析企画が減っているのは、「Number PLUS」の良心という所でしょうか。それでも、平昌五輪での羽生君の演技を絶賛しています。

  「羽生選手がやっていたことは、オリンピックの究極、とでも表現してよいのではないでしょうか。それが何を意味しているかというと、他の選手がどうこうではなく、自分を信じて自分の演技に集中すること。オリンピックでそれができるところに強さがありました。・・・僕は、オリンピックイヤーが本番だとしたら、それまでの3シーズンは、シーズンオフという考え方もあると思うんです。つまり羽生選手は、3年のオフをかけてオリンピックへ準備する作業ができていた。その2つの点で強さがありました」

  「(宇野選手が)フリーの4回転ループで転倒した理由は、気持ちの持ち方にあったと思います。羽生選手に勝ちたいから頑張ろうと思っていた。転倒したから笑えてきたという趣旨の話をしていましたが、ジャンプは自分に集中しないで跳べるほど甘いものではありません。・・・ネイサン・チェンがSPで大きく崩れたのもまた、羽生や宇野をはじめ、他の選手を意識したからだと思います」

 →→言わんとしている所は分かるけど、せめて「3年のオフ」とカギ括弧をつけてほしかったですね。4回転の種類・本数の面で進化を続け、選曲や振付の面でも実験と試行錯誤を重ね、度重なる故障で満身創痍の中、決して立ち止まることをやめなかったのが、ソチ以降の羽生結弦の実像ではないかと。本人を目の前にして「オフ」なんて言えんの?って話ですよね。

 宇野選手については、気持ち以前にそもそも技術が足りていないのが理由だと思いますが、ネイサンについては、母親がジャンプの構成に口出しをしているという情報も出ていますね。平昌五輪の個人戦SPの出遅れは「なんだ母親が原因か」という気がしないでもないです。シャリシャリ口出ししてくる母親というと、キム・ヨナを思い出します。練習計画、プログラムの選曲、衣装のチョイスまで「すべてお母さんと一緒に決めた」という話が、『チーム・ブライアン』(90頁)の中で明かされていました。

 (2)ケイトリン・オズモンド「自信を積み重ね掴んだ45年ぶりの栄冠」→→田村明子さんのテキスト。本誌の海外選手の記事はほとんど田村さんが執筆しているので、やっぱり人材が不足しているのだなぁ・・・と感じます。ケイトリンの記事については、私の知りたかったことが触れられていました。

  「かつてはSPで良い位置につきながらも、フリーでミスが出て順位を落とすということが多かったオズモンドだが、ミラノ世界選手権ではSPでダブルアクセルをミスして4位スタート。フリー『ブラック・スワン』で挽回するという珍しいパターンになった。『ケイトリンはこのところ、先を急がずにその瞬間瞬間に集中するという練習を繰り返し、自信を積み重ねてきました』と語るのは、コーチのラビ・ワリアである。普段のトレーニングに加え、メンタルトレーニングもかなり行ったという

 →→さんざん「ショート番長」と揶揄されてきた彼女ですが、平昌とミラノでは素晴らしかったですね。メンタルトレーニングについては、やっぱり取り組んでいたか・・・という感じです。ただ、「先を急がずにその瞬間瞬間に集中するという練習」って具体的に何でしょうね?例えば、神戸組のようにランスルーでミスがあれば曲が止まる、という練習方式か。あるいは、フリーでミスが出やすいジャンプを集中的に修正したのか。田村さんが、あともう一歩、突っ込んでくれたら最高でした。

 (3)樋口新葉「涙をこえて、心は4年後へ」

  「(ミラノワールドの)試合翌日にはメダルを箱にしまい、もう中身を見ずに、心を4年後に向かわせた。『まず来季はトリプルアクセルを絶対に試合に入れたい。3回転半まわりきっているのですが、右足への体重移動が遅くて転倒しちゃう。ジュニアの子が4回転を跳んでるので、4年後は女子も4回転5本の時代になるかも』」

 →→こちらは野口美惠さんが取材・執筆。オフ目前になると、日本の女子選手はみんなトリプルアクセルの話をします。まぁ、話をするだけなら自由です。たしかに、高山真さんも絶賛しているように、新葉ちゃんは2Aは巧いと私も思います。もちろん、確率が上がれば、3Aは武器になります。でも、長洲さんのように、たっぷりたっぷり助走を入れなきゃ跳べないのであれば、シャープさとスピード感が持ち味の新葉ちゃんのプログラムに合うのかどうか・・・。それよりも、エッジや回転不足の問題を確実にクリアして、大事な試合でミスをしない安定感こそ身につけてほしい。そもそもこの2つに不安がなければ、平昌五輪には間違いなく彼女が出ていたわけですから・・・。「新しいことにトライしたい」という気持ちも、もちろん分かるんですけどね。

 明日は、カンゼンの「Memorial」のレビューを書けると思います。お楽しみに。

 では、また明日!

 Jun

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 2018年4月5日発売。税込価格「1,620円」。バックナンバーのレビューはこちら(「Number PLUS」「Number」)。

 このインパクトのある表紙は、発売前から話題になっていましたが、榎本麻美さん撮影です。

 Number PLUSのトレードマークである、カバーの特別仕様も健在。今回わざわざ画像として貼らなかったですが、カバーの裏側全面にはスワンゆづがホタレックさんに担がれているショット。カバーの折返しの部分はザギトワとメドベ。そしてカバーの裏表紙は宇野選手です。

 本体もモノクロで写真が印刷されており、本体表1(表紙)はスワンのシルエット、本体表4(裏表紙)もスワンで、こちらはしっかり羽生君が写っています。

 羽生君の写真のクレジットには、前述の榎本さんと、能登直さん、そしてその他にも数名のカメラマンの名がありますが、今回は榎本さんの写真が完全に主役です。カバー表紙だけでなく、バラ1のショットにも眼光の鋭い写真があり、「力強さ」「闘う男」という側面を押し出そうという、編集サイドの意図が隠れているのかもしれません。

 記事については、目次をご覧いただきたいのですが、羽生君関連は6~33頁となっています。正直いって、カバーの裏の宇野選手を見て、「こりゃ、下手したら半々ぐらいの比率か?」と嫌な予感がしたのですが、目次の通り、宇野選手の記事は計10頁と控えめ。テキストの中身をチェックしていないので、はっきりしたことは言えませんが、アマゾンのレビューによる売り上げへのダメージを恐れて、さすがに今回ばかりは、金メダリストに敬意を表したということでしょうか。

 (1)[今季総括]羽生結弦「人生のすべてをかけた金メダル」→→松原孝臣さん執筆のテキスト。今季の羽生君の動向をすばやく振り返る内容。特筆事項はなし。

 (2)[激動の17日間を振り返る]羽生結弦、平昌五輪言行録→→2月11日の現地入りから、2月27日の記者クラブ会見までの17日間の羽生君の発言と行動をつづった企画。こういう企画は他誌でもすでに見かけましたが、本企画は、テレビ出演やラジオ出演もフォローしてあるのが特徴です。他誌と違う部分だけでも拾い読みしてみると良いと思います。

 (3)[本田武史が分析]羽生結弦が4回転を跳ぶために→→フジテレビの解説ではとてもじゃないけど聞いていられない発言を「強制」させられている武史さんですが、この分析は、完全にテクニカルな話に集中した、中身のある内容に仕上がっています。羽生君の4Aについては、吉岡伸彦さんや佐野稔さんがテレビ取材に答えていた内容を、皆さまもご記憶されていると思います。

 その内の一つに、より「身体(脇)を締めて回れば、4Aは跳べる」という説がありますが、この見解に、本田さんは反対していますね。羽生君の跳び方は、脇を開けることでバランスを保っている「独楽」のような回り方。他方で、脇を閉めた跳び方を「鉛筆」にたとえて、ブレに強く、回り続けるのはどちらかというと、「独楽」であると。したがって、羽生君は、脇を閉めるのではなく、いまの「独楽」のようなバランスを維持しながら高さを意識すべき、と提唱しています。

 では、どう高さを出すか?とか、来季のルール改正を受けてプログラムの中に4Aをどう入れるか?、さらに五輪三連覇を考えたときに4Aはどうなる?とか、面白い論点をいくつも挙げています。やはり、フジの武史さんは「仮の姿」。読みごたえのある内容ですよ。
 
 (4)[ジュニア時代の思い出を語る]ユヅルは双葉よりも芳し→→こちらも松原孝臣さんによるテキストですが、都築章一郎コーチと、羽生君の仙台時代の3歳下の後輩・花城桜子さんというスケーターに取材しています。特に花城さんが語る羽生君のエピソードがたいへん興味深い内容になっていて、私の知らないことばかりでした。ここに書いてしまうと購入意欲が確実に減退すると思いますので、ぜひご自身の目で確かめてみてください。ゆづファンならば必読です。

 以上、羽生君関連のみざっとまとめてみました。ある程度写真の内容が良いだろうことは買う前から想像できていたのですが、テキストの方も趣向を凝らした内容になっていて、ゆづファンなら買いでしょ!と、オススメしておきます。明日も引き続き、本誌の残りの記事を見ていきます。

 では、また明日!

 Jun

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 一日空いてしまって、すみません。Number PLUSの続きです。

 テキストのボリューム的にはさほどではないので、入手済の方はすでに目を通されたかもしれません。羽生君以外の選手紹介の部分は比較的サラっと読めてしまうんですが、平昌五輪の展望、特に女子シングルに関しては、田村明子さんにしろ、小塚君にしろ、見解をやや保留している部分もあって、そこが面白い所ではあります。

 例えば、来季シニアに上がると言われているザギトワがどれだけやれるか?平昌五輪でメダル争いをするレベルなのか?田村さんは記事の中で(70頁)、こう見ています。

  「この5月で15歳になるザギトワは、年齢的にも平昌五輪に出場可能で、彼女がダークホースになるのではと見る関係者もいる。だが現実的には、彼女の来シーズンの活躍は、未知数の部分も大きい。現在身長152cmと少女の体型である彼女が、この先1年の間にどう成長するのか予想がつかないからだ。ロシアの選手は日本などアジア系選手よりも体型の変化が激しく、これまで多くの才能ある若手が、短期間活躍しては消えていった。ロシアの若手は、良くも悪くも何が起きるかわからないのである」

 具体的に誰とは書かれていませんが、まず、私が頭に浮かんだのは、リプニツカヤでした。ソチ五輪には15歳での出場でしたが、シングルで金メダルを獲ったソトニコワよりも彼女の方が優勝に近いとみられていました。

 改めてwikipediaでリプニツカヤの13-14シーズンの成績を見てみると、このシーズンは彼女にとってシニア2年目で、GPシリーズは2戦2勝。ファイナルは真央ちゃんに負けて2位。欧州選手権優勝。ロシア選手権はソトニコワに2ポイント差で敗れて2位。抜群の安定感でした。だからなのか、五輪では団体戦にSP・フリーの両方に「出場させられて」います。

 その団体戦の2本ともに「1位」で、ロシアの団体金メダルに貢献。こりゃシングルでも優勝だわ・・・と誰もが確信している中で、シングルはまさかの崩れ方をしたのでした。

 と、ここまで書いてきて、少なくともソチ五輪に限っては、リプニツカヤは体型変化で負けたわけではないな・・・と気づきました。ちなみに、ソチ五輪の女子シングルって、ロシアは2枠だったんですね。平昌五輪の日本も同じ状況になりますが、スケ連が欲をかいて「強い選手に団体戦を二本押しつける」ということだけは勘弁してもらいたいです。

 小塚君の女子シングルへの見解(77頁)もご紹介します。

  「たしかに、今、エフゲニア・メドベデワ選手を筆頭に海外の選手は強い。でも、決して日本の選手たちの技術が劣っているわけではありません。どこで差がつくかと言えば、ほんとうに些細なところなんです。メドベデワ選手を観ていても、細かなところをおろそかにしないことで得点を積み上げている

  「実は三原選手が四大陸選手権で優勝したあと、佐藤有香さんにメールしたら、『振付が抜けちゃっているんだよね』という返事が来たんです。振付師が意図している動きができていないところがあるということです。そういう細かいトランジション等を抜いてしまうと、差が徐々に広がっていく。これは三原選手に限った話ではなく、日本女子全体の課題でもあります。そういった細部にさらにこだわっていけば、今後も十分に戦っていけると思います」

 「細部を突き詰めていく」という考え方は、私も共感します。よくネット上で、「いまのロシア勢に勝つには日本女子も3Aやクワドを!」なんてのがありますが、これはGOEの加点をまったく無視した意見です。あの真央ちゃんでさえ3Aには+1点以上つかないのに、他の女子選手が急造で3Aにトライしたところで、試合で使い物になるのか?という話なんです。

 その辺りは、日本の女子シングルのトップ選手たちもよく理解していて、最近は安易に3Aについて言わないですもんね。坂本さんも、本誌(63頁)の中でこう答えています。

  「ジャンプの技術は保ったまま、表現力、スケーティングも評価してもらえる選手になりたいと思います(ジャンプが高難度化する)男子みたいに難しいことは自分はできないと思うので(笑)、できることからしていきたいです」

 彼女の高さのあるジャンプと安定したランディングは、シニア含めても世界のトップレベルにあると私は思っていますが、そんな彼女でさえ、ジャンプについては「維持する」とコメントしています。

 実は、「3Aを跳べないと勝負できない!」という声は、「それ以外の部分ではどんなに努力しても追いつけない!」という「悲鳴」の裏返しではないでしょうか。そう考えると、小塚君や坂本さんの意見は実に頼もしいと感じました。

 昨日のラトデニ君の話じゃないですけど、女子に関しても、ジャンプ以外の部分をしっかり評価できるような見識を持たなきゃなぁと、改めて感じました。

 では、また明日!

 Jun

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 2017年4月10日発売。本題に入る前に、「拍手コメント」について。まずは、毎日コメントをくださるKさま、いつもありがとうございます!とても励みになっています。

 そして、別の読者さまから、以下の問い合わせをいただきました。

  「続々新刊ラッシュですが、実はまだフリー後、天に向かって指を一本指している写真に出会えていません。もし見つけられたら、ついでの時で結構ですので、教えてくださると嬉しいです」

 お答えいたします。新刊雑誌なので画像は貼りませんが、最新の「応援ブック」の76~77頁にあります。「スピンを終えて、屈めていた体を伸ばす。右手の人差し指を天に突き上げた。ついに執拗にこだわったノーミスを達成したのだ」というテキストとともに見開き2ページぶちぬきの写真です。

 ・・・ですが、構図としては、羽生君自身は胸から上のみ捉えられていて、右手にフォーカスが合わさっています。写真自体の鮮明度もちょっと・・・という感じですね。

 ちなみに、そのスピンを終えた直後というのは、まず左こぶしをギュッと握って左腕を掲げているんですが、そのポーズが、今回の「銀盤の革命者」のカバーの中側になっています。



 その後、クルッとターンして、両腕を広げ、そして右手の人差し指を突き上げる、という流れですね。

 さて、本誌の内容へ。ざっくり言うと、日本男女シングル選手を中心に、各選手の今季のベストショットに、今シーズンの歩みをテキストで補足する内容です。海外選手については、まとめて田村明子さんが分析と展望を行っています。

 したがって、羽生君の写真も先日のワールドだけではなく、今季の各試合からセレクトされていて、そのためか、プリンスとホプレガの競技写真が多いです。練習着や代表ジャージ姿の写真はあまり期待しない方がいいですね。

 羽生君に関してのテキストは、松原孝臣さんの解説、プルシェンコの「ゆづを語る」的インタ、真木よう子さんと加藤綾子さんから寄せられたコメント(と言ってもわりと長いです)、小塚君からのコメントで構成。

 羽生君の写真を大量に収録した「写真重視系」でもなく、しかし、大会レポートや、囲み会見をまとめているわけでもなく、選手それぞれに焦点を当てていて、その意味で類書はありません。美しい写真とともに、各選手の活躍を素早くチェックするには最適で、少し時間が経ってから再読しても楽しめると思います。

 必ずしも、羽生君を扱った部分が多いわけではないですが、写真の美しさやデザインのおしゃれさ、後述するテキストの面白さも含めると、やはりこれは買っておいた方がいいと思います。

 まず、触れておきたいのが、プルシェンコのインタの以下の一節です。現在の男子シングルは高難度のジャンプ合戦になっていて、表現の余地がないのではないか?という批判に対する、プル様の提言(25頁)ですね。

  「もっと振付で表現したらいいと思います。音楽(演技時間)をもう1分間長くする必要があるんじゃないかな。そうすればもっと滑りやすくなる。もっとポーズをとったり、表現したり、振付を意識したり、さらにジャンプをするのも楽になるでしょう。なにしろ、いまは4回転を5つも入れるのですから。そういった状況で滑りながら、表現するのは本当に大変なことですよ。できれば、フリーはもう30秒か1分ほど長くしたらいいと思う。休んでジャンプ、休んでジャンプということができるので、おそらくその方がもっと滑りやすくなるでしょう」

 しかし、ご存じのように、残念ながら実際のルール改正は逆の方向に進んでいて、男子シングルとペアのフリーは18-19シーズンから30秒短くなります。もちろん、このルール改正は、現在の「真・四回転時代」以前に作られたものなので、しばらくはその新ルールの中でどのような戦いになるのかを見てから、もしかしたら演技時間も含めた検討もなされるかもしれません。

 さて、記事のタイトルに掲げた通り、私の一押しは、小塚君の分析力の高さなんです。この間ご紹介した「Life」の新企画も素晴らしかったですが、現在のフィギュアスケートのトレンドを実に的確に捉えていて、各選手の強み・弱みも把握している。いままで「解説業」をしていたライターやスケーターから仕事を全部奪ってしまうんじゃないか?ってぐらい、ちょっと抜けています。

 彼の分析でサプライズなのは、羽生君と宇野君に技術面(スケーティング)で注文をつけている点ですね。これは、今後テレビ等での映像つきでの説明や、あるいは当人に直接訊いてみてほしいです。

 他に、小塚君の見解(28頁)で興味深かったのは、男子シングルにおいて、いわゆる「トータルパッケージだけ」では足りないと見ています。

  「トータルパッケージを大事にするにしても、4回転ジャンプを跳ぶ。それもただ跳ぶだけではなく、どれだけ組み入れて成功させるかが前提です。数種類の4回転ジャンプという要素を抜きにしてのトータルパッケージでは勝てない時代になってきています」

 つまり、ブライアンよりも羽生君の考え方に近い感じです。そして、そんな羽生君をこう見ています。

  「羽生選手は周囲の変化への適応能力が高い選手でもあります。試合、シーズン、フィギュアスケート界の流れ、すべて見極め適応することができる。選手という当事者の立場にいると、周りが見えなくなったりして容易ではありませんが、それができるのが彼の才能です

  「ジュニア時代から目の前のことだけではなく、将来のために何が必要かを考えてやっていたと思いますが、それも流れを見極める力があってこそ。今シーズンも4回転ループをはじめ、平昌五輪の舞台をにらんで取り組んできたはずです」

 普通、同業者で、しかも自分の方が先輩なのに、ここまで後輩の背中を強く後押しするような発言ができますか?私は聞いたことがありません。よくぞ言ってくれた!と震えましたね。日刊のしょーもない揚げ足取りを記憶から消し去って(皆さまの記憶に残してしまってすみません!)、これだけを噛み締めたくなります。

 もしかしたら、こづ君は、単に羽生君の試合の映像を見るだけでなく、雑誌のインタや著書を相当に読み込んで、勉強してるんじゃないかと。だから「仕事を奪っちゃうんじゃないか?」と前述したのです。

 他に、ジャッジについて、このような「裏話」も披露しています(76頁)。

  「羽生選手の背中を追って急成長を続ける宇野昌磨選手にとっては、シニア2年目はジャッジにその名を印象付けられたシーズンになったと思います。ジャッジの心の中には、それぞれ『平常点』のような基準があるようで、それが高くなっていると、選手は点数を出しやすくなる。ジャッジはどうしても『横並びを気にする』傾向があります。実は、試合後にミーティングが行われており、周りと比べて高すぎたり低すぎたりすると、『なんでこういう点をつけたの?』と話し合いがもたれるんです。そういう面でも、多くの人から支持され、高い点数が出るようになってきたのは今シーズンの成果でしょう」

 こういう話って、実は、あんまりジャッジ経験者やスペシャリストの方って、話したがらないですよね。ネット情報では、別に新しくも何ともないですが、紙媒体で当人たちが「話し合いしてますよ~!」なんて語っているのを、私は見たことがないです。

 フィギュアスケートに限らず、関係者は結局「関係者が言えることしか言わない」所が必ずあって、元選手、しかもオリンピアンで世界のトップで戦ってきた小塚君が、このように内幕を語ってくれるのは、本当に貴重だと思います。偉い人に怒られないか心配になりますが・・・。

 他にもまだまだ触れたいですが、残りは明日に。写真も美しいですが、それにまったく負けていない、小塚君の美しいエールをぜひご自身の目で確認して、浸っていただきたいと思います。

 最後にオマケでもう一つ話題を。いまJスポで世界選手権の放送が始まっているんですが、女子シングル(SP)が実況・赤平大さん、解説・中庭健介さんで、やはり面白いですね。

 フジの放送を見ていたとき、私がSPで印象的だったのは、ポゴリラヤ、オズモンド、ワグナーだったんですが、今回の放送でポゴの演技が終わると、赤平さんが恍惚とした声で、「ああ、すごい・・・」と。その後、二人は興味深いやり取りをしていました。

 赤平「私、彼女の手に特徴があると思っていて、どうしてなのか分からないんですけど・・・」

 中庭「ああ、確かに彼女は、ランディングの姿勢で、いい意味で崩していますね。揃っていない所に美的な物が出ているというか



 4:20からのスローが分かりやすいです。指をひろげて、手首が反り返っているんですよね。ただ、これはステップの時もこんな感じなので、彼女の特徴なのかもしれません。

 個人的に、ロシアの女子シングル選手ではポゴリラヤがダントツで好きです。今季の女子シングル全体のSPを見渡しても、一番好きかもしれません。

 そう考えると、「羽生よりも昌磨君の方が好き!」「キム・ヨナよりも真央ちゃんの方が全然いい!」という主張も分かるっちゃ分かるんです。

 ただ、「好き嫌いを語る」レベルの意見と、「(私の好きな選手の方が)勝ってるはずだ」という根拠のない意見とは、違います。私は、メドベよりもポゴの方が好きですが、なぜメドベの演技にあれだけのスコアが出て、勝ち続けているのかも理解しています。

 フィギュアスケートの現在のルールの中で、女子シングルでどうやったら高得点が出るかを極限まで追求しているのがメドベのプロではないかと。休み時間も昼メシの時間も通学電車で一駅で降りる区間であっても、つねにガリ勉しているような、あーいう努力の集大成的作品に見えます。

 「好きか嫌いか」と聞かれたら、好きじゃない選手は確かにいます。それは、私にとってフィギュアスケートは趣味であり娯楽だから。でも、やってる本人たちは人生懸けてるので、その努力は素晴らしいし、認めるべきだと考えています。

 では、また明日!

 Jun

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 テレ朝のフランス杯のSP放送を見てから書き始めています。地上波の放送を見るときは、2ちゃんねるの実況スレもたまに見るんですが、こんなやりとりがありました。

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 世の中には、親切な人がいるもんだなぁと感心しつつ、いったい、どういう層がフィギュアスケートのTV放送を見て、しかも2ちゃんねるにまで書き込みをしているのか、おもしれぇなぁと、大いに笑わせてもらいました。

 さて、SPを見た限り、個人的に印象に残ったのは、ネイサン・チェンと樋口新葉ちゃん。

 ネイサンは、フィンランディア杯を見ていた時は(私が見たのはFSのみ)、ジャンプは凄いけど着氷が安定しないなぁ・・・という印象でしたが、今回のSPはランディングも仕上げてきていますね。ジャンプの回転スピードと高さは一級品だし、キビキビした動きと勢いが「海賊」というプログラムにも実によく合っています。



 彼の動きって、例えばボーヤンとも全然違うし、なんのスポーツに例えると近いのかなと思っていたら、どうも体操の床や跳馬のような、あんな雰囲気を感じます。氷の上でバク転とかひねりとかできちゃいそうな・・・そういう印象です。FSでどこまでハビと闘えるかは楽しみだし、NHK杯は羽生君との一騎打ちになるでしょうから、こちらもワクワクします。

 新葉ちゃんは、最後のジャンプが残念でしたが、このSPはシェイリーンの振付だからというわけじゃないですけど、私、けっこう好きですね。いまWFSの16-17シーズンガイドの彼女のインタを見ていますが、昨年のSPはジャンプを全て後半に固めていたのを、今回は2Aのみ冒頭に入れてますよね。その2Aがいきなりスパっと来るので、意外性があって好きです。





 「意外性」ということだと、羽生君の「Let's Go Crazy」の冒頭の4Loも、プリンスのアジテーションの中、音楽が始まる前にいきなり跳ぶ!、あの感じも大好きなので、どちらも個人的にはツボで気に入っています。

 さて、昨日の記事の続きです。今日は主に女子選手の記事を読んでみましたが、他の雑誌で読んだものと比べて、残念ながら、ハッ!とさせられるような記述はなかったです。

 女子選手の企画の後にスケート関係者の取材記事が続いていますが、これは面白かったですね!濱田コーチと樋口コーチのインタは、どうも「礼儀を重んじる指導方針」という所に両コーチの発言をやや強引に収斂させようとしていて、あまり響くものがありませんでした。だって、ブライアンはそういうこと一切言わないけど、羽生君はしっかりしてますもんね。

 そこに来て、フィギュアスケートトータルアドバイザーの肩書を持つ田山裕士さん、衣装デザイナーの伊藤聡美さんの話は「新たな発見」だらけでした。

 正直ペラペラめくっていて目に入った第一印象は、他の雑誌の二番煎じじゃないの?と、最後の最後まで後回しにしてたんですよね。でも、スケーター一人ひとりに人生があるように、このお二人にも人生がある。田山さんの話の中では、やはり、バンクーバー五輪での高橋大輔選手の靴が、本田武史さんに急遽借りたもので、それで結果的にメダルを獲ったというくだりにはビックリ。

 伊藤さんについては「SEIMEI」の衣装デザイナーということしか知らなかったんですが、元々は浅田真央ちゃんが好きだからという理由で、スケート衣装関係の就職先に進み、かつては自分のデザインを持ってスケートリンクまで足を運んで見てもらったとか。その情熱、すごいです!

 てか、フィギュアスケートの衣装関係の座談会記事を収録した雑誌がウチにもあったよなと本棚を探すと、あったあった・・・と、それが「フィギュアスケートLOVE!」です。

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 服飾関係者の座談会はこの本のレビューで詳しくご紹介したんですが、座談会に気を取られていたからか、伊藤さんによる批評記事、俺ちゃんと読んでなかったわ・・・と。

 ソチ五輪男女シングル日本代表選手全員のSPとFSの衣装について、伊藤さんによるファッションチェックが掲載されています。とりあえず、羽生君の分のみちゃんと貼っておきます。

 いやぁ、Amazonのレビュアーに、

 「しっかり読んでから語れやボケ!」

 と毒づいている割に、迂闊でした。私こそしっかり読まなきゃなぁ・・・と反省しています。

 昨日の記事はさすがに筆が荒かったですが、そんなものに対しても、拍手コメントを有難うございました。とても励みになっています!さて、これからマガジンの方を読み始めるとします。

 では、また明日!

 Jun

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