On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

タグ:Ice_Jewels

2017-11-30-18-03-33

2017-11-30-18-04-17



 今日も、ジュエルズ最新号のレビューです。バックナンバーは「こちら」で。

 本号の発売は11月30日で、GPファイナルを見据えた誌面になっているんですが、ここまでトップスケーターたちが立て続けに欠場することになろうとは・・・。

 平昌五輪直前で「大事をとって」ということもあるのでしょうが、ソチ前の福岡のファイナルはここまで欠場者はいなかったはずですし、このスポーツが過酷化していることを痛感します。

image

 さて、メドちゃんの欠場が残念ですが、今日はエテリコーチのインタを見ていきます。

 内容的には、今回のインタビュアー、タチアナ・フラーデ氏が執筆した、WFSのシーズンガイドの「最強女子シングル・ロシアの現在 トップスケーター・ファクトリー」と関連している部分もあります。そちらを紹介した「記事」もご参照ください。

 ―― ロシアには女子シングルをはじめ、強い選手がたくさんいますね。選手の育て方に変化があったのでしょうか。そしてなぜ、こんなに多くの選手が育っているのでしょう。

  「・・・フィギュアスケートを続ける男子はほんの数人。数が少ないから甘やかされているところもあるでしょうね。女子では許されないことが、男子では許されています。女子は本当に厳しい闘いが繰り広げられています」

  「・・・ジャンプを全種類跳ぶことができても、ロシア・カップシリーズに出場することすらできません。もっと下の世代であれば、もう少し試合に出るチャンスはありますが、13、14歳になると本当に強い選手でなければ、出場できる試合がありません。シーズンを通してひとつも試合に出場できない選手は、モチベーションも下がってしまいます

 →→ 日本の女子も、例えば、先日の全日本ジュニアを見ていると、「この年齢でまだジュニア?」という選手を見かけましたが、シニアに上がっても、GPシリーズにアサインされるのが大変ですからね。シニアに上がっても出られる試合がないから、ジュニアに留まることを選択せざるをえない。

 ロシアの場合はより過酷で、13、14歳の段階ですでに、国内の試合でさえ、優秀な選手でないと出場できないというわけですね。

 この間のスケアメで、サハノヴィッチという、「引退するつもりだったけど、プルさんの勧めで続けることにした」という17歳のスケーターがいましたが、彼女のように世界ジュニアで2度台乗りしていても、あっという間に下の世代に抜かれてしまうケースもあります。

 ―― トレーニング方法で何が変わったのでしょうか?以前よりも若いうちにジャンプを跳ぶようになっているのですか?

  「そうですね。以前よりも早い段階でジャンプを跳ぶようになっています。シングルスケーティングが進化しているので、われわれも考え方を変えようとしています。男子では、1シーズンの間に進化がものすごいスピードで進みました。ただ、なぜかこの『進化』はロシアを完全に迂回してしまいました。他の国が進化している間、ロシアは明らかに違う道をたどっていたのです。なぜそのようなことになったのか、われわれもきちんと理解はできていませんが、女子でもこの『進化』がロシアを迂回するのではないかという不安があります。ですから、他国に後れをとらないようについて行こうとしています」

 →→ ミーシンも、JGPでのインタで、ロシアは政府の支援も凄いという話をしていました。いわゆる、オリンピックで金メダルを獲ると、家が建つとか、車がもらえるとか、そういう類の話です。

 ただ、「おカネがいっぱいもらえるから」という部分だけを見ると、なぜ同じロシアなのに、女子は強くて、男子はイマイチなのか。男子の競技人口も少ないのか。エテリの言う「男子の進化はロシアを迂回した」という現象が見えにくいんですよね。

 ―― ロシアでは何歳からジャンプの練習をはじめるのですか?

  「恐怖心があまりない時期から始める必要があります。アスリートにとって一番危険なことは恐怖心じゃないでしょうか。恐怖心が大きなケガを招くことがあるからです」

  「・・・女性ホルモンが発達する前に、思春期を迎える前に始める必要があります。思春期前の女子が持つ男性ホルモンは、男子よりも多いか同等だそうです。男女の差が出始めるのは、女子が女子らしくなり、現状維持で満足し始め、4回転など考えもしなくなる頃です」

  「一方、男子は、より勇敢になるはずなのですが、なぜかロシアでは違うようです。10歳、11歳で少しずつ3回転ジャンプに取り組むようにして、そこから立ち止まることなくジャンプの習得を続けるべきだと思います。最初はオフアイスでの練習やハーネスを使った練習がいいかもしれません。最近の男子の『進化』はわれわれにとっていまだにトラウマですね

 →→ 正直言うと、エテリが男子の状況にここまで関心を持っていることが意外でした。これだけ女子選手の指導で世界的な実績を上げているのだから、男子の指導には興味が無いか、あるいは、そもそも女子を見るだけで物理的に手一杯だと思っていましたね。

 たしかに、エテリのチームには、クヴィテラシヴィリというジョージア(グルジア)の22歳の男子スケーターがいますが、成績的にはいまいちパッとしません。

 もしかすると、彼女は、ブライアンを意識しているのかもしれません。彼は、キム・ヨナをバンクーバーで勝たせて、羽生君をソチで勝たせた。平昌でも、もちろん羽生君は優勝候補の筆頭です。

 ただ、ブライアンやクリケットに関していうと、世界中からスケーターを受け入れていて、基本的にロシア人のみのエテリのチームとは状況が違います。

 女子の指導という点では、エテリの方が圧倒的に実績は上。現在クリケットで、女子シングルの有力選手は、デールマンとツルシンちゃんぐらい。しかも、デールマンはブライアンやトレーシーというよりバーケルの弟子という感じで、実質、女子のシニアで頑張っている弟子はツルシンちゃんのみですからね。

 男子を見ても、羽生君の下の世代は、いまゴゴレフ君が話題ですが、ジュンファン君も苦労しているし、エテリの所に比べたら、そんなにポコジャカと弟子が育っているわけじゃない。大変ですよね。

 いずれにせよ、「男子のオリンピック金メダリストを育てる」という部分は、エテリの中でも将来のテーマ、密かな野望なのかもしれません。「数年後にはトップ争いに加わりたい」と、別の部分で語っているので、少なくとも私は、彼女の発言からそう読み解きました。

 ―― 女子もこれから3回転半、4回転の時代に向かっていると思いますか?

  「思います。でも3回転半ジャンプのように、跳ぶ選手が一気に増えるとは思いません。跳ぶために適した腰や肩の幅、脚の長さや胴体のサイズを持ち合わせている選手は、女子では20人中1人しかいないでしょう。体格、そして回転などの身体能力の組み合わせが大事です」

  「現在、5、6人の女子選手を指導していますが、必要な資質を持ち合わせている選手は、わずか2人だけ。それ以外の選手にこれ以上の回転数を求めると、ケガにつながってしまいます。回転不足のせいで、骨折も起こり得る危険なジャンプです。ですから、教え子全員にやらせるものではありません

 →→ 引用はしなかったですが、彼女の弟子でクワドを跳んでいるトゥルソワやシェルバコワの話も出てくるんですが、「教え子全員にやらせてるわけではない」というのは少々意外でした。

 今季、JGPの女子シングルは、私は、シニア以上にマジメに見ていたぐらいなんですが、エテリの弟子もかなりタイプが違います。ファイナル前に直前特集記事を書くつもりですが、たしかに、私の大好きなコストルナヤは3Aやクワドどころか、タケノコすらやりそうな雰囲気のないスケーターです。一方で、全タケノコのパネンコワがいて、上述のトゥルソワもいる。もう一人、タラカノワという、ワイルドなスケーターもいて、4人がまったく違う。

 似ているといえば、後半にジャンプを固めることと、振付をしているグレイヘンガウスの選曲が暗いってだけですね。でも、コスちゃんはSPもフリーも暗くはないか・・・。想像以上に、弟子の特性を見て、育成する方向性を緻密に考えているようです。

 最後に、ひとつ印象的な部分がありました。

  「選手の中には、どんなに練習を積んでも、試合になるとどう見ても悲しそうな顔をしている選手がいます。幸せな表情をしていないんです。そういう選手を見ると気の毒に思いますね」

  「私はフィギュアスケートは人生を表現していると思っています。フィギュアスケートは祝祭(セレブレーション)であってほしいんです。試合も同じです。試合に対する不安があれば、それが表に出てしまいます。努力してきたこと、準備してきたことを披露したいという意欲が欠けてしまうと、それが周囲に伝わり、自分自身の足を引っ張ることになります。そういう選手がミスをするととても気まずいですし、かわいそうですね」

 「セレブレーション」といえば、Let's Go Crazyに対する解釈がそうだと、ジェフが語っていましたね(マガジン 16-17プレシーズン 29頁)。

 なんというか、エテリのチームは、優秀なスケーターを次々と輩出する、ベールに包まれた「謎の組織」という印象だったんですが、彼女なりの悩みがあり、弟子を型にハメているわけではなく、猛練習の目的がポジティブであったり、いろいろと新鮮な驚きがありました。

 メドちゃんは残念ながら来れませんが、それでも女子はジュニア・シニア合わせて5人、さらに男子ジュニアも1人弟子を連れて名古屋にやってくるので、ファイナルは注目ですね。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ

2017-11-30-18-03-33

2017-11-30-18-04-17



 引き続き、ジュエルズ最新号のレビューです。バックナンバーは「こちら」で。

image

 GPファイナルの男子シングルで、ボーヤンの欠場が決まり、その代わりに、ジェイソンが繰り上げで出場することになりました。

 ジェイソンといえば、NHK杯のキスクラでの羽生君への手書きのメッセージが、ヤフーニュースでも取り上げられていましたね。ゆづファン的には、大好きな男子シングル選手の筆頭格になったんじゃないかと。

 私の中では、羽生君をのぞくと、今季のプログラムを見た限り、その次に好きな男子スケーターが、彼かもしれません。羽生君とはまったくタイプは違うけれども、確かな技術があって、さらに身体の柔軟性を生かした独創的な振付と、パフォーマーとしての優秀さは、認めないわけにはいきません。

 ちょうど、本誌の「インタビュー 彼らの流儀」で、ジェイソンのインタビューが掲載しているので、ご紹介したいと思います。このインタ自体は、シーズンイン前に行われたものです。ご了承ください。

 (1)プログラムについて

 ―― 新プログラムはショートプログラムがミュージカル『ハミルトン』から『The Room Where It Happens』。フリースケーティングがマキシム・ロドリゲス作曲のオリジナル曲『Inner Love』ですね。

  「実は、腰のケガを完治させるために素早い動きを1年ほど控えていたんです。でも状態もとても良くなっていたので、新しいショートプログラムをテンポの速い曲で滑るのが楽しみです」

  「フリースケーティング(FS)では、観客の心に触れるような演技をしたいと考えています。もちろん、過去のプログラムとあまりにも似ているものは避けたいのですが、昨シーズンのFS『The Piano』に対するみなさんの反応がとても良くてうれしかったんです。そこで今シーズンもシンプルなプログラムでフィギュアスケートの『滑り』の側面を見せる演技をしたいと思ったんです



 NHK杯よりもスケカナの方が内容が良かったので、SPはスケカナの映像を貼ってみました。スコアは90.71(TES: 45.64/ PCS:45.07)でした。

 最近私がチェックしている「ガンディさん」のブログで、このジェイソンのSPをどう見ているかというと、「3Aと3Fの前以外はほとんど動き続けている割にPCSが低い」ということでした。

 NHK杯の演技にも衝撃を受けましたが、スケーティングスピードは速いし、でも、軌道は複雑だし、身体の柔らかさを生かした動きが随所に詰め込まれていて、しかも、リズム感もバッチリで、何度見ても、めちゃくちゃかっこいいです。

 ところで、表現力のあるスケーターというと、日本人の若手選手や専門家は、すぐに大ちゃんのことを言いますよね。とくに西の方の人たちはリスペクト発言をいつもしています。

 もちろん、大ちゃんも素晴らしいスケーターですが、スコアや構成の話を横に置いて、パフォーマンス単体として見た場合、このジェイソンの動きはフィギュアという枠を超えたスケールの大きさを感じます。





 上が、今季のスケカナでのフリー。下は、国別での昨季のフリーです。ぜひ、両方見比べていただきたいです。

 たしかに、「シンプル」「滑りの側面を見せる」という点で、今季は昨季の延長戦上にありますね。構成で言うと、昨季はクワドを入れていない代わりに、前半はジャンプが2本しかなくて、エテリ組のような後半集中型になっています。

 一方、今季は、4Tを冒頭に入れているので、前半のジャンプが3本になっています。3Aは今季よりも昨季の方が決まってる感じはします。ループは苦手みたいですね。

 今季のフリーも心に染みます。曲調が穏やかなので、SPみたいにガンガン行く感じではないですが、上半身の動きの美しさが際立っています。

 腕の長さと、たぶん手も大きいのだと思いますが、指先からしなっていて、それでいて背筋もピン!と美しい。舞台の上で素足で踊っているような滑らかさです。

 (2)プログラムに込められた狙い

 ―― 最近では、プログラムに入ってくる4回転ジャンプの数がどんどん増えています。そんな中、あなたは4回転が3本も4本もなくても、良い成績を残せるということを証明していますね。4回転ジャンプをたくさん跳ばずに自分の良さをアピールするというのは大変ではないですか?

  「採点は加点方式です。つまり高い得点を取れないところがあれば、他で得点を稼ぐ方法を考えなければいけません。僕の振付師とコーチは、その点を非常に上手に考えてくれていると思います。僕の強みを生かし、バランスの良いスケーターに見せるために、本当に細かい点にまで目を配ってくれています

  「僕は技術面では最高難度を持っていないかもしれませんが、ジャンプ、スピン、ステップなどの質の高さで勝負をしています。コーチたちも、エレメンツの質が最高レベルであるように厳しい目で見ています。まだプログラムに4回転をたくさん入れることはできていませんが、得点はどんどん上がってきています」

  「これは、ジャンプ以外の部分が上達しているという証しなのでワクワクしますね。他の選手がジャンプで得点を上げている中、僕はジャンプ以外の得点が挙がってきているということですから

 ―― 氷上であれだけの感情を観客に伝えることができる秘訣はなんでしょう?

  「演じることがとにかく好きなだけです。それが一番大きいと思います。喜びや愛を感じ、自分が経験してきたことすべてに感謝して演じています。リンクの中央に立ち、数千人のファンに囲まれている時の気分は、そこが日本だろうがフィンランドだろうが、どこであろうが格別です。この立場にいられる自分はなんて幸せ者なんだろうって。そう思うと自然に笑顔になり、試合に臨む気持ちや演技に対する気持ちが高まります

 →→喜びや感謝の気持ちを感じてパフォーマンスできるのは、やはり、自分の長所を生かしたプログラムを滑るというところから、繋がっている気がします。

 どういうジャンプを何本入れて、ミスなく演じきれば何点というスコアがでて、順位は何番まで入れる。・・・そこにチャレンジすることは、それはそれで素晴らしいことですが、ういう計算がのしかかってくると、普通なら、楽しむとか感謝というより、一種の試練なんじゃないかと。

 そして、ここにきて、ちゃんとした演技が必ずしも正当に評価されない、現行のフィギュアスケートの採点システムの欠陥が露わになってくると、競技者はなにを目指すことがハッピーなんだろう?という話になります。

 羽生君の場合、私の見立てでは、現行のジャッジングシステムを信用していないフシがあって、だからジャンプの難度を追求して、ライバルを一歩でも二歩でもリードすることを考えているように見えます。

 ジェイソンとその陣営は、試合で何位に入るということはあまり気にせずに、「まずは、得意で好きなことからやっていこうよ。結果は後でついてくるから」という発想のようです。

 アメリカの懐の広いところは、ネイサンやヴィンセントのようなクワドジャンプの申し子のような選手もいて、でも、リッポンやジェイソンのような、そことは多少距離を置いたパフォーマンスをする選手もいる。

 日本の男子のことを考えてみると、女子ほど競技人口も多くないし競争も激しくないのだから、「何歳までにどのジャンプを降りなきゃダメ」みたいのはやめてみたら?という気もします。

 (3)日本で教師に

 ―― 現役引退後にやってみたいことはありますか?

  「僕の大きな目標のひとつは、日本で英語を教えること。子どものころから、ずっと教師になりたかったんです。・・・できれば小学校で英語を教えて、一方でスケートを教えたいです。あとは、マスコミ関係の仕事、たとえばテレビ中継の解説やインタビュー、報道にかかわってみたいとも思います」

 →→目標のあることは素晴らしいです。・・・でも、英語の教師は山ほどいて、しかも日本人が日本で生活するぶんには、英語はほぼ必要ないので、むしろ、「日本でスケートを教える」という部分によりフォーカスしていただきたいなと。

 彼のようなスケーターは世界的に見ても希少ですから、アイスショーや、オフシーズンのサマーキャンプのような形で、日本にどんどん来てほしいものです。真壁さん、スケ連関係者、ちょっとがんばってくださいよ!

 ただ、このインタの中でも、彼自身、引退はまだ全然考えていない感じです。ルール改正の話もあるし、まだまだ続けてもらわないと困ります。

 名古屋のファイナルではなかなかスコアは出にくいかもしれませんが、そういうことは別にして、彼の唯一無二のパフォーマンスを、もっと多くの日本人に知ってもらいたいと思いますね。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ

2017-11-30-18-03-33

2017-11-30-18-04-17



 ジュエルズの最新号の続きです。バックナンバーのレビューは「こちら」で。

 今日は羽生君のインタから、気になった部分を取り上げてみます。

 (1)膝の故障の「トラウマ」

 ――「膝の故障で大事をとって」との発表がありましたが、試合(オータム)を欠場することも考えましたか?

  「僕の中では左膝の故障にはトラウマに近い記憶があって、2013年世界選手権のときにはこの膝を治すまでに2ヵ月かかっていました。・・・今回、そこまでいってしまったら10月のグランプリシリーズの初戦すら間に合わなくなってしまう。グランプリに間に合わないと、全日本選手権での一発勝負になる。全日本を終えた次の試合が平昌オリンピックになると、絶対に調整は無理だと。その不安が一番大きかったので、今回試合に出るという決断はそんなに簡単ではありませんでした」

 →→本号の巻頭インタは、オータム後とロステレ後の2回のインタを一本にまとめたのか、あるいは、全てロステレ後に聞いたものかは不明ですが、NHK杯の怪我前に行われたのは確かのようです。

 ただ、この話を現在の状況にスライドして考えると、「平昌オリンピックでの一発勝負」を避けるための「調整の場」は全日本しか無いので、全日本には何が何でも間に合わせるだろうなと。

 で、「調整」であるなら、最高の構成である必要はない。NHK杯からちょうど3週間経つので、そろそろ氷上練習を開始している可能性もありますが、やはりルッツを外した構成を予定していると私は予想します。

 (2)SPはループで!
 
 ―― 4回転サルコウでも世界歴代最高点が出ました。あえて難しい構成で挑戦しなくてもいいのではとも思いますが、アスリートとして挑戦しますよね?

  「・・・今の僕にとっての『バラード第1番』はやはり4回転ループだし、ループだからこそ見えるものが、またどこかにあるのだろうと思うのです。・・・僕にとっての今のあの音楽はループがあってこそだから、そのループで決まらなきゃ話にならないなと思います。・・・もうあそこは4回転ループというふうに僕の頭の中ではなっているので、まったく心の揺らぎはないですね」

 →→これを読んで率直に感じたのは、「そうか・・・SPにルッツを入れるというアイデアは、NHK杯前の時点でも考えておらず、練習でもやってなさそうだな」ということです。ブライアンから「フリーで一本だけならいいよ」というような、条件が提示されていたのかも。

 マガジンでロステレ時の会見を読んでいて、「ルッツをSPでも入れるのか?」という質問がなぜ記者から投げられなかったのか疑問に思っていたのですが、ここでの「ループだからこそ」という発言が事実上の答えになっているようです。

 (3)日本人スケーターとしての長所

 ―― 今も残っているその(ロシアでの)教えを感じるところは、どんなところですか?

  「カナダに練習拠点を移してからは、カナダとロシアの表現の仕方がまったく違うから、そのどちらでもないアジア人がどのような表現をすればいいのかを考えています。いろいろな方と話をしていて感じるのは、(僕自身は)北米で練習しているけれど、表現の仕方は北米スタイルだけではない。どちらかというとロシア、表現の系統的にはロシアのタイプなんだろうけれど、そこだけに特化しているわけではない

  「やはり、アジア人特有の、ジャンプの細さがあって、それらすべてが生かされているから素晴らしいよねという話を結構いろいろな方に言われて、それはスケーター冥利につきます。ある意味、日本人に生まれてよかったなと思えます。僕自身は日本で練習を始め、日本の先生がいろいろな教え方を持っていて、その先生たちにも恵まれ、その後ロシアへ行って、カナダに行って、本当にいろいろなことを吸収しているので、いろいろなものが僕の中に入っているんだと思います」



 →→最近、町田君がネイサンのジャンプを「完全にロシアンスタイル」と解説をしていて、それはロシア出身のラファの教えによるものが大きいということでした。



 で、町田君はミーシンの話もしていたので、こちらも貼っておきます。このJGPの動画でミーシンのインタを聴いていると、ロシアの女子が強くなった理由の一つは、「いまのロシアのスケートは、北米やヨーロッパのスタイルを融合させたものだから」と彼は語っています。もはや、どこの出身で、誰に教わって、どういうスタイルでという「垣根」はなくなっているのかもしれません。



  いいところは吸収する。ダメなところは真似しない。

 「将棋世界」という雑誌の最新号(2018年1月号)を読んでいると、藤井聡太四段のようなコンピュータを研究に使う若手棋士の将棋は、「トップ棋士のいいところだけと、コンピュータ将棋をうまくミックスさせていて、完成度が高い」という分析がされていました。

 羽生君がブライアンの考えを「はいそうですか」と全て受け入れずに「4回転競争」に食らいついていったのは、それが彼なりの「最善」と考えたからなのでしょう。

 いくらブライアンが、金メダリストを輩出をした名コーチで、自分も彼の指導で金メダルを獲れたとしても、ソチ後、実際に試合会場でトップスケーターたちとガチンコ勝負をして、「クワドの種類と数を増やさないと勝てない!」という、羽生君なりの「野生の勘」が働いたのでしょうね。

 (4)ルッツの成功よりも嬉しかったこと

 ―― グランプリシリーズ初戦にロシア大会を選びました。例年とは違うシーズン開幕になりましたね。

  「一番よかったなと思ったのは、4回転ルッツが跳べたことでもショートでミスって課題が見つかったことでもなく、(ロシア合宿で教えていただいた)ベステミアノワ&ボブリン夫妻の前で滑れたことと、タラソワさん(タチアナ・タラソワコーチ)の前で滑れたこと、そしてこのロシアの地でまた滑れたことです

  「全然良い出来ではなかったし、(観戦されていた)3人には会えなかったけれど、タラソワさんには今でもお世話になってるし、ベステミアノワ&ボブリン夫妻は自分の基盤をつくってくれたお二人です。その教えがないとここまでやってこられませんでした」

  「今まで積み上げてきたものをすべて出さなくてはいけないシーズンの初戦に、そうした方々の前で滑れたことによって、もっとこんなことができたな、もっとこんなこともやらなきゃいけないんだ、こういうことに注目しなきゃいけないなということを、改めて感じられたんですよね」

 →→「ループじゃなきゃ話にならない」と言いながら、それだけで話が終始しないところが、羽生結弦というスケーターの人間的な魅力ですよね。

 ロシアでの合宿が震災のわずか半年後の2011年の9月だったことから、いろいろと想像をめぐらせてしまいます。

 練習場所の確保に苦労し、スケートを続けるかどうかという瀬戸際にあったその当時、ロシアで受けた指導というのは、羽生君にとって単に技術的なアドバイスというだけでなく、彼が競技を続けるうえで強く背中を押してくれたのだろうなぁと、思います。6年前の、わずか1週間の合宿について、こんなに律儀に感謝しているんですからね。

 ロシア合宿については、「松田華音さんとの対談」について語った際に、当時のCutting Edgeの記事を貼りましたので、よろしければどうぞ。



 ボーヤンとメドベがファイナルを欠場。ジェイソンとさっとんが繰り上がりで出場です。欠場した二人は、しっかり治して五輪に備えてもらいたいです。代打の二人ともに大好きな選手なので、全力応援です。

 まだまだ、ジュエルズについて語りたいことは山ほどあるので、明日以降もお楽しみに。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ

2017-11-30-18-03-33

2017-11-30-18-04-17

2017-11-30-18-03-59



 2017年11月30日発売。ジュエルズのバックナンバーのレビューは「こちら」。

 昨シーズンの最初の号が「Vol.04」だったんですが、10月21日発売だったことを考えると、一か月以上発売が遅れました。そのせいもあってか、前号よりも16ページ増量しています。

 この表紙画像が解禁された時点で、ゆづファンの皆さんの大半は、購入を決心されているでしょうから、どの写真が何枚という説明は省略します。FaOIからロステレにかけて、田中宣明カメラマンによるハイクオリティなショットがたくさん収められていますよ。

 一点だけ「注目ポイント」を指摘するなら、やはりFaOIの写真ですね。某所からの圧力に屈した内容と言われる「オフィシャルフォトブック」で「ボツ(?)」にされたものが、ジュエルズに詰め込まれているのでしょうか。「これが某所に対する答えだ!」という、ジュエルズからのメッセージにすら思えてきます。

 今日はしっかり読む時間はまだ取れていないので、ざっと全体を見渡してみた感想と、世間話を少ししたいと思います。

 (1)羽生君の記事の並びの工夫

 今シーズン最初のジュエルズなので、トロントメディアデーの記事も載るのだろうな・・・ということは分かっていました。でも、もし巻頭から「トロント」だったら、さすがに旬を過ぎているのではないかと。

 すると、なんと、98ページからの「五輪連覇に挑む、王者の矜持」という「五輪」に関連づけた最後の部分で、「ソチ五輪優勝祝賀会」での様子を紹介し、ブライアン、シェイリーン、ジェフのトロントやFaOIでのインタが続いて、そして羽生君のインタを入れるという、面白い構成でした。たしかに、オリンピックについて訊かれているので、内容的にはここに入っていてもあまり違和感はないです。それにしても、苦心の跡が窺えます。

 (2)ネイサンのゆづ愛

  ―― 新しいプログラムについて教えてください

  「ショートはシェイリン・ボーンに振付てもらいました。彼女の作品はユヅのプログラムを見て、いいなと思っていたんです

 →→「WFS extra」のインタとはちょっと違います。ここでテキスト化されていない会話で、田村明子さんが上手く引き出してくれたのかもしれません。ゆづファン的には、シェイリーンのどのプログラムよ?3つあるんだよ!と、もう一歩踏み込んでほしかったですが。

 いまや売れっ子振付師のシェイリーンやジェフには、日本人スケーターも大勢お世話になっているはずですが、「羽生選手のプログラムをいいなと思って」という日本選手の発言を、私は一度も見たことがありません。真凜ちゃんや無良君が、羽生君のロミジュリやオペラ座に言及することはあっても、それはあくまで選曲の共通点に限られています。

 これは、私の想像ですが、「シニアの代表クラスでは、現役選手が、おなじ現役選手について(特に羽生については)あれこれ語るな」というのが、裏マニュアルとしてあるんじゃないかと。NHK杯での練習中のケガについて、海外のスケーターはすぐにTwitterで反応していたけれども、国内選手はみんなダンマリという不思議な状況。

 私が未だに覚えているのは、真凜ちゃんが、昨年のオータムの羽生君のホプレガ初披露の演技に、「すごい」というような主旨のツイートをして、数日後に削除していた件です。当時まだ彼女はジュニアでしたが、関大の派閥云々もあるのでしょう。だったら、SNSなんてやらなきゃいいのに、と思うんですけどね。

 (3)ボーヤンが四回転時代に突入させた

 ―― 羽生結弦選手が、男子のジャンプのレベルを上げたのは金選手だと言っていました。この評価を聞いて、どう思いますか?

  「正直、嬉しかったです。・・・現在、フィギュアの男子はさらに進化しました。このトレンドを僕がリードしてきたと言ってもらえるのは光栄です。中国フィギュアはペアだけではなく、男子選手も優れていることを世界中に伝えるのが僕の望みです」

 →→最近の「週刊女性」の記事で、佐野稔さんの「ジュニアを四回転時代に突入させたのは宇野昌磨」という「コメント」が紹介されていて、「ウソ言うな!ボーヤンだろ!」と、ヤフコメが荒れていました。

 佐野さんが実際にそう言った可能性もあるし、週刊女性が勝手にねつ造した可能性もありますが、正直どっちでもいいです。ただ、ネイサンとゆづといい、ボーヤンとゆづといい、たがいに切磋琢磨しあってリスペクトしあう関係って、素晴らしいですね。だから、ネイサンもボーヤンも応援したくなるし、彼らのプログラムをより深く理解したいなと、羽生君の出場しない試合であっても、チェックしたくなるんです。
 
 さて、最後にちょっと世間話を。何かゆづ情報が出てくるかもしれないと、地上波の情報番組の予約取り消しをなかなかできない私のような方もいらっしゃると思います。しかし、まぁ、連日、相撲の暴行事件ばかりでうんざりさせられます。

 ただ、今回の事件のアレコレで興味深いと思ったのは、相撲を長年取材してきたという「相撲記者」と言われる方々の、あまりに世間の一般常識とかけ離れた「横綱サイドと協会の徹底擁護」なんですよね。すると、ふと思ったのは、

 そりゃ、フィギュアスケートのライター・専門家連中から、おかしな発言・記事が出てくるのも当然かな・・・と。

 逆に、相撲と特別な利害関係の無い人の方がまともなことを言っている。羽鳥さんの朝の番組で、ゲストにお呼ばれしていた相撲関係のおじいちゃん記者が、「あの暴力の背景には、モンゴル特有の文化がある。それを理解しなきゃいけない」という、ちょっとどうかしてんじゃないの?ってコメントをしていました。

 すると、個人的には、その発言のほとんどを賛同する気になれない、玉ちゃんの反論が、「じゃ、海外駐在の日本人ビジネスマンが、年下だからって、他社の日本人社員を飲み会に呼びつけて説教して、殴っていいんですか?どこの国が出身とか関係ないでしょう」と、あまりに正論すぎて、いいぞ!もっと言ってやれ!という感じでした。

 もう一つ気づいたのは、ヘンな問題が起こった時ほど、「専門家」の一部の方々は、おかしな擁護をする(させられる?)ということ。

 その一例として、小塚君が、フランス杯の宇野君のフリーに「もっと点が出てもいい」というコメントをして、この人だいじょうぶ?と唖然としたわけですが、もしかしたら、「何かが起こっていた」のかもしれません。

 だからといって、「小塚の言うことは、もう金輪際、何ひとつ信用しない!」と拒絶する必要はなくて、良質な解説をしていたら、「玉ちゃん、今日はいいこと言うじゃん!」じゃないですが、それぐらい柔軟に受け止めるぐらいがちょうど良いのではないかと。

 ただ、これだけ雑誌の出版が少ないと、私も、まとめ零とかぴこれぽーととかガンディさんとか、毎日見ているんですが、あーいうのばっかり見ていると、頭がそれでいっぱいになっちゃうんですよね。何事も、ほどほどが一番のようです。

 明日はしっかり羽生君のインタを見ていきます。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ

2017-07-28-18-20-23

2017-07-28-18-20-48



 2017年7月29日発売。「通信」のボリュームに慣れていると、どうしてもコスパ的に物足りなく感じるのは仕方のない所。

 そこで私が推奨する、本書の楽しみ方としては、ジュエルズのバックナンバー(456)も隣に置いて、その写真とセットで見てみるといいと思います。

 なぜかというと、例えば、本誌の56頁に、ジェフとともにリンクの上で何やら打ち合わせをしているショットがあります。私はこの写真を初めて見たんですが、ジュエルズ4号を開いてみると、同じ時期に撮影されたものと分かります。

  ああ、シーズンイン前にSPを仕上げている時に撮ったものなんだなぁ・・・と。

 実際、52頁に「羽生結弦がトロントに還るわけ」と題して、ジュエルズ4号の羽生君のインタの一節も再録されていますが、それが、ジュエルズのどのバックナンバーと「照合」すべきかのヒントになっています。

 ちなみに、胸にクリケットクラブのワッペンの黒ジャージを着ているショットがありますが、これはジュエルズ(つまり田中宣明カメラマン)の独占撮影ではないかと。

 2016年9月のトロントのメディアデーでは、グレーのVネックの半袖シャツ姿やANAの白のウインドブレーカーを羽織っている様子は、他誌あるいは、HERO'Sのような地上波の番組でも伝えられていましたが、このクリケットジャージはざっと調べた所、他誌では見当たりません。

 おそらく、ジェフとの「仕上げ」は、クリケットのリンクではなく、トロント近郊のどこか別のリンクで行われて、そこに田中カメラマンのみ同行と撮影を許された、と私は推測しているのですが、いかがでしょうか。

 個々の写真を取り上げるとキリがないので、あと一点だけ。82~85頁に、今年のFaOIのショットも収録。おそらく幕張の、バラ1、そしてオープニングとフィナーレが掲載されています。

 去年のシーズンフォトブックのレビューでも同じようなことを書いていますが(もちろん半分冗談です)、

  ジュエルズと本誌、はたして、どちらが「とっておきの羽生結弦」なのか?

 その辺りをあーだこーだ想像しながら、見てみると楽しいですね。私もこれから、さらに深く読み込んでみたいと思います。

 では、また明日!

 Jun

にほんブログ村 その他スポーツブログ スケート・フィギュアスケートへ
にほんブログ村


フィギュアスケート ブログランキングへ

このページのトップヘ