On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

タグ:WFS別冊ガイド

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 おそらく、知子ちゃんに対する世間の関心というのは、怪我する前の彼女のパフォーマンスを前提として、このNHK杯で210点以上出して台乗りできるか?というような、話になるかと思われます。

 ただ、7月の関大の記念イベントと、THE ICEに出演した後、10月のフィンランディア杯を欠場することになりました。NHK杯が復帰初戦になると分かって、他の有力選手と同様の「期待」を彼女にかけるのは、いくら何でも酷だろうと、個人的には感じていました。

 まずは、NHK杯に出場を表明してくれたことを嬉しく思います。そして最近では、大怪我から見事に復帰した山本草太君が全日本選手権の出場を決めてくれました。知子ちゃんも、そして草太君も、まだまだチャンスはあります。とにかく、復帰して、元気な姿を見せてくれるだけで十分と私は思っています。



 今日は、まずWFS別冊シーズンガイド(34頁)から、知子ちゃんの新プログラムの基本的な情報についておさらいしておきましょう。

 ―― 今シーズンのプログラムについて、見どころや思いを聞かせてください。

  「SP(ローリー・ニコル振付「SAYURI」)のほうは、とくにステップが力強い曲で、スピード感のある速い動きがたくさん入っているので、いままでになかったメリハリとか、そういう強さを出していけたら。いちばん好きなパートがステップなので、そこを見てほしいです。フリー(トム・ディクソン振付「蝶々夫人」)は最初から最後までいろんな曲調で、物語が見えるようなプログラムになっているので、ドラマティックな感じが見せられたらいいなと思っています

 ―― 2つとも「和」がテーマですね。

  「どちらも強い意志のある女性がテーマなんですが、SPのほうは静かな闘志を感じさせるイメージで、フリーのほうはいろんな感情が入り混じる、複雑なプログラムになっているかと思います」

 ―― オリンピック・シーズンに滑るプログラムということで、どんなところにポイントを置いて決めましたか。

  「オリンピックだから特別に、という気持ちはまったくないです。でも、『ミス・サイゴン』を滑ったときに、先生たちからすごくアジアっぽいイメージがぴったりだったと言われたこともあって、日本風な音楽を滑るのがいちばん自分に合っていて、入り込みやすいのかなと感じました

 ――「蝶々夫人」はこれまでにもいろんな方が滑っていますが、トム・ディクソンの振付はどんな感じに?

  「そうですね。浅田真央さんの滑った有名なパートも入っているんですが、それ以外のあまり使われていないような場面の音楽も入っています。最初の、これから起こる恐怖を感じさせる場面から始まって、途中は恋人と楽しく過ごしている時間の幸せな音楽が入っていて、最後はまた絶望に戻るという、起承転結が見えやすい構成になっています」



 「Life Vol.11」(35頁)からも、新プログラム作りの経緯について若干補足しておきます。

 ・2曲とも振付師が曲を準備してくれた。SPの「SAYURI」は、ローリーが「アジア系の曲が似合っている」ということで探してくれた。「SAYURI」をフリーにする案もあった。

 ・フリーは、もともと「蝶々夫人」とは別の曲を考えていたが、それが「SAYURI」と似ていたため、トムが「蝶々夫人」を推薦。「和のイメージ」でかぶってはいるが、「できたプログラムの雰囲気が全然違うので、行ける」と判断。

 ということで、「SAYURI」をやる!というのがまず最初にあって、もう一つのプロに「蝶々夫人」が収まったということですね。



 まず、THE ICEでの「SAYURI」から。

 この「SAYURI」の動画がアップされた当時、正直言うと、「トリプルはまだ跳べないのか・・・」と落胆の気持ちの方が個人的には大きくて、細部をチェックするに至りませんでした。

 知子ちゃんが「好きなパートはステップ」と言っていた所ですが、2本目のジャンプを降りた後の1:30辺りからです。たしかに、和太鼓や笛のリズムが入って、ガラっと雰囲気が変わって、会場から手拍子が起こりそうなパートです。

 ただ、わりとすぐにメインテーマに戻っていくので、編曲の目まぐるしさがローリーだよなぁ・・・と、ボーヤンのプロを思い出しながら、そんな感想も持ちました。実を言うと、「和の曲」というのは、今季他の選手とかぶっていないので、強いインパクトを与えるかもしれません。



 関大イベントでの様子です。デイリーの方がちょっと長いです。

 このイベントで今季のフリーが「蝶々夫人」であると発表されました。ISUジャッジの小塚あゆみさん(スケカナではご苦労さまでした)が「別冊ガイド」(65頁)でコメントしているので、ご紹介します。

  「宮原選手は、フリーに『マダム・バタフライ(蝶々夫人)』を選びました。多くの選手が使ってきた曲ですが、若い選手がやる役ではなく、やはり世界選手権でメダルを獲った宮原さんだからこそ完成させられるプログラムです。以前の『ミス・サイゴン』からの発展で、どちらかというと外国から見たニッポン、派手な芸者のイメージが強い演目ですが、宮原さんの場合は、彼女の清楚な部分を生かした、宮原さんならではの演技を期待したいです。新しい色合いのマダム・バタフライ、そこが面白いでしょう

 繰り返しになりますが、まずは彼女が元気に復帰してくれることを喜びたいと思います。15年の国別の「ミス・サイゴン」で、代々木第一の会場全体が震えるほどの拍手が響いていたのを、私は鮮明に覚えています。NHK杯でも、そんな光景が間違いなく見られることでしょう。

 では、また明日!

 Jun

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 今年の「別冊ガイド」は、単なる選手名鑑と言うには、あまりにも興味深い情報が満載で、昨日ご紹介したブノワさんのインタの他にも、「最強女子シングル・ロシアの現在~トップスケーター・ファクトリー」(52~55頁)は、色々と考えさせられる記述の多い記事でした。

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 この企画の内容の4分の3は、ロシア女子シングルの有力選手、メドベ、ザギ、リーザ、ポゴ、ラジ子、ソツコワ、ツルスカヤ、レオノワ、コンスタンチノワを取り上げて、各々どういう状況なのかが解説されています。

 一方、残りの4分の1で、若手の育成状況の最新の動向がコンパクトにまとめられていて、その規模と熱心さ、なぜ女子と比べて男子の選手層が薄いのか、という部分にまで踏み込まれています。

 全文貼りたいぐらい読み応えがあるんですが、それでは記事にする意味がないので、多少編集したいと思います。

 ・殺到する子どもと母親たち

  「有名な陸軍スポーツクラブ、CSKAモスクワの初心者コースに参加を申し込める日には、子どもたちとその母親が通りに列を作って並ぶ。クラブは2つめのリンクを今秋開設し、スケートを始めたい大勢の子どもたちに対処する予定だ。『そうすれば、1つしかない初心者クラスを3つに増やせますから』と、同じスクールでヘッドコーチを務めるヴォドレゾワは語る」

 →→これを見てふと思い出したのは、藤井聡太四段の登場により、この夏以降、日本各地で、将棋の子どもスクールが満員のキャンセル待ち状態にあるという話でした。

 ただ、現在の将棋をめぐる環境というのは、プロ棋士よりも強いフリーソフトを、いま私がこのブログを書いているノートPCにも入れられるという状況で、小学生でもその気になれば、スクールに行かなくても、自宅でかなり高度な勉強ができるんです。そしてネット将棋で強豪とも対局できる(もちろんプロを目指すには、大会等で実績を積んで、形式だけとはいえプロ棋士に弟子入りし、奨励会というプロ棋士養成機関に入る必要があります)。

 フィギュアスケートは、いくら個人競技とはいえ、やっぱりリンクが無いと滑れるようにはなりません。将棋とは違って、コーチによる指導も必要です。日本でも、神宮外苑のスケートクラブに入会するまでに1年半かかるという話がありましたが(ジュエルズ Vol.06)、「一般客に開放することが施設の第一の目的」で、たくさんの生徒を入会させても、練習スペースが確保できないということでした。

 ・ロシアと西欧の意識の違い

 ただ、単純にリンクの多さでいえば、例えば日本と比べたら、ヨーロッパや北米にだって相当数あるはずですが、なぜロシアほど強くないのかという話になります。前述のヴォドレゾワ氏は次のように説明します。

  「思うに、西欧とロシアの最大の違いは、ロシアでは子どもと親が、この競技で何かを成し遂げてやろうという目標を抱いてやってくることです。西欧諸国では楽しむためにリンクへ行くでしょう」

  「スケートをやるということはたくさん練習することなのだとこの国の親たちはわかっていますから、子どもたちも仕事に励むのと同じように練習に励むようになります。それが彼らのライフスタイルになるんです」

  「よその国では学校に合わせて練習を調整しますが、ここでは逆です。自宅学習を選ぶ子どももいます

 いまや世界中から注目されている、エテリのスクール(サンボ70)の副理事、エドゥアルド・アクショーノフのコメントも、記事の中で紹介されています。

  「このスクールでは毎年、4歳から5歳の子どもが200名前後、スケートを習い始める。1、2年後には25~30名ほどに減るが、残った彼らは最優等生ばかりだ。彼らは週4、5回のトレーニングに励む。しかしたとえ最年少だろうと、野心に限界はない。『たくさんの子が他のリンクで追加の個人レッスンを受けていますよ』(アクショーノフ)

 →→なんというか日本で言うと、お受験で難関校に進学させられた子どもが、学校で毎日出される宿題だけでなく、その他にも、予備校だ、英会話スクールだと・・・スポーツではなくお勉強業界のイメージに近いです。

 ただ、日本だとある程度、親に経済力がないとそこまで子どもの教育に投資できませんが、ロシアのフィギュアスケートはどうなんでしょうか。金持ちで裕福な家の子どもが、「スケートは仕事」なんてハングリーな発想になるとも思えないし、優秀な生徒にはその「個人レッスン」も無償と考えるのが自然かもしれません。

 話をロシアに戻して、じゃ、そのような激しい競争に晒されている女子選手を、どう見ているのか。ヴォドレゾワ氏のコメントは、私にはちょっと意外なものでした。

  「特別育成プログラムに参加している子どもたちを見ていると、少し怖くなることさえあるんです。かなりの人数がいるのに、どの子も他の子より上手いように見えて

  「10歳で3回転ジャンプを全種類跳べる。ということは、どんなに遅くても8歳のときには練習し始めたということです・・・これは以前よりも約2年早くなっている

 「怖い」という発言には、ひと昔前ならば生き残れるレベルの選手、ここで言う「上手い子」でも、予選会でふるいにかけられていくという状況を指していて、指導者もツライ部分はあるのでしょうね。

 その競争の激しさを、私も今季のJGPで目の当たりにしました。女子のロシア代表選手の間では、アサインされた1戦目で優勝した子だけが、2戦目の出場が叶うという、シニア以上の過酷な競争が展開されていたのです。

 しかも、今季とくに強い、クワドジャンパーのトゥルソワはまだ13歳なので、来季はまだジュニアに留まるという・・・まさに、おそロシア。

 そして、そんな彼女たちは、ジャンプだけではなく、スケーティング技術やフットワークトレーニングにも熱心に取り組み、そしてこれは特に重要だと思ったんですが、

  「怪我は的確なトレーニングによって防げる

  「プロのコーチなら常に、正しいやり方で子どもたちを指導します。怪我をするのは、プロとは言えないトレーニングをしているからです

 ・・・ということは、トレーニング方法だけでなく、フィジカルのケアの部分も、相当にシステム化・ノウハウ化されているようですね。

 本書には、山本草太君のインタビューも収録されているんですが、昨年だけで3度手術をして、最後の手術(昨年10月)から1年経ったいま、「普通にしていれば大丈夫ですけれど、衝撃を与えたらまだ響く」(72頁)と答えています。JGPファイナルに2度、世界ジュニアで1度台乗りしている選手が、どうしてそんなことになってるの?と、怒りを通り越して、もはや言葉もないです。

 最後に、ロシアの男子について、なぜ女子ほど才能豊かな選手が輩出されないのでしょうか。

  「ほとんどの選手はアイスホッケーに行ってしまうのである。『男の子が1人しかいないグループや1人もいないグループが、いくつかあります。最初はたくさん来るんですが、みんな滑り方を習いたいだけで、それを身につけたらホッケーに転向してしまうんですよ。男の子は1人1人がとても貴重ですし、いまいる子たちを育てていかなくてはなりません』。・・・全体で見るとやはり男子の数は足りていない。競争心を煽る環境にないことの影響も出ている。『女の子たちのほうがずっとしっかりしていますし、練習熱心ですね』

 なんだ、結局日本とあまり変わらないじゃないか!と思いつつも、でも、今季のJGPを見ていると、アメリカやカナダと比べても、ロシアからは強い選手がけっこう出てきてますからね。

 ちなみに、以前レビューした「GPガイド」の中で、荒川さんがロシア女子の強さを分析していますので、「そちら」も併せてぜひどうぞ。
 
 では、また明日!

 Jun

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 私のブログでも、7月頃から注目していた、振付師のブノワ・リショーさん。それ以前は、日本のスケオタで彼を知る人はごく少数だったと思われる謎多き彼が、神戸の舞依ちゃんと花織ちゃんのプログラムを担当することで、話題になりました。花織ちゃんにいたっては、今季のSP・フリーの両方ともにブノワさんのプログラムを滑ることになりましたね。

 まず、彼がどんな人物なのかは、「日本代表2017 メモリアル」で二人によって語られ、単独インタは「Life Vol.11」で登場。「別冊WFS」では、2つの企画で彼が登場する、まさに決定版という感じです。

 「メモリアル」や「Life」を読む限り、中野園子コーチが、舞依ちゃんと花織ちゃんに、ヘルシンキワールドの頃に「この人に決まったからね!」と、いきなり話をまとめていた印象だったんですが、この「別冊WFS」(59頁)でより詳細が明らかになりました。



 ちなみに、ロステレ杯のエキシビはみなさんもご覧になっていると思いますが、ネイサンの「パラシュート」もブノワさん振付です。

 ―― 今季、日本の三原選手、坂本選手に振付けていますが、きっかけは?

  「ぼくはラトビアのデニス・ヴァシリエフスに振付けた『踊るリッツの夜』で名前を知られるようになったんですが、ぜひ日本のスケーターと仕事をしてみたいと日本の連盟に自分からアプローチしていました。以前から日本のクリエイターの大ファンだったので、ヨウジヤマモトやコムデギャルソンとかね」

 →→「ギャルソンが好きだ」というのはLifeのインタでも語られていて、服装とか風貌を見ていても確かにギャルソン好きそうだよなぁ・・・という雰囲気はあります。ただ、まさか彼の方から日本のスケ連にアプローチしていた、というのは知りませんでした。

 ―― 2人にはどんなイメージでプログラムを作っていきましたか。

  「マイは、ただの女の子ではなく、強い女性だと感じました。多感で、心の内に炎を秘めているような。『リベルタンゴ』でマイ自身に本当の彼女を見せたいと考えました。カオリには、クラシカルではなくモダンなコンセプトでなければと、フリーに『アメリ』を選びました。ショートの『月光』は、クラシックの曲ですが現代的に仕上げました」

 →→少なくとも私に関して言うと、1年前の舞依ちゃんに対する認識といえば、スケーターとしての彼女をまったく知らず、「難病を乗り越えて頑張る選手」という知識のみで、その情報に基づいて「強い女性(なんだろうなぁ)」という程度でした。もし、ブノワさんが、舞依ちゃんに対して、難病の件とは無関係に、そのような印象を持っていたとすれば、恐るべき慧眼ですね。

 それにしても、「マイ自身に本当の彼女を見せたかった」なんて、男の私から見ても、ちょっとドキっとする「殺し文句」というか、やはりこの辺りの感覚が普通じゃないですね(笑)。花織ちゃんについては、別の企画で詳細に語ってくれているので、後述します。

 ―― ところで、ご自身のキャリアについて教えていただけますか。

  「ぼくはフランスのアヴィニョンの出身ですが、アヴィニョンは文化のすべてがある街です。母は幼いころからダンスをやっていて、父はミュージシャンでした。もう教育段階でぼくの行く道は大方決まっていたようなもの。・・・フィギュアスケートでは、ジャンプでは成功しなかったのでアイスダンスに転向して、リヨンで(ガブリエラ・)パパダキスたちと同じチームで練習していました

  「シニアのグランプリに移行する前にやめて、そこから2、3年は完全にスケートから離れていました。外の世界で自分探しをしようと、音楽や芝居の世界にも飛び込んだり。その間、スケートを滑ることは一度もありませんでした」

 ―― どうしてまたスケート世界に?

  「あるテレビ番組で、氷上で踊ることになったんです。それ自体の出来は全然よくなかったけど、その番組で氷上に戻りました。それで心が動き始めたときに、デニスの振付のオファーをもらったんです。最初の振付を終えたときには、『これが進むべき道なんだ』と思えました」

 画像に「ムーヴメントを」とありますが、彼が言う、フィギュアスケートに「ムーヴメントを起こす」というのは、どういうことなのか。少し要約してご紹介します。

  「ぼくが作ったステップシークエンスにも表れていると思いますが、かっちりと決め込まずに動きのなかに余白を持たせる。この動きは、フィギュアスケートをより現代的な方向へプッシュしていけるものだと思っています」

  「ダフト・パンクというフランスのエレクトロニックミュージックのバンドがいるんですが、彼らは音楽に馴染みがない人たちに向けた曲も、音楽のスペシャリストに向けた曲も作っているんです。音楽へのとっかかりを提示したうえで、そこからのめり込んで音楽通になれるような楽曲も作っている。つまり観衆を育てていくんです」

  「スケート界でいえば、新しい時代を作るためにスケーターとファンの両方を惹きつけるムーヴメントを生んでいくということ。競技ですから、ジャッジもされるし、勝敗もつきます。でも、競技を見た人たちがその日の終わりに思い出すのは、受け取ったエモーションですよね。もちろん思いを渡そうと思えば、ジャンプも決めてクリーンなプログラムを滑らないと。その上でいちばん大事な思いを観客へと向けなくてはいけません。ぼくらがこの競技を高めていくのは、観客のみなさんのためなんですから」

 →→まったく同感です。たしかに、ゆづファンである私はジャンプの難易度とかスコアとか、その辺りの話も、そりゃ大好きです。ただ、一方で、4月の国別を見て、一番感激したのは、アシュリー・ワグナーのフリーだったり、幕張のFaOIを見た時は、ポゴちゃんの「The Rose」だったり、彼の言う「エモーション」という部分、言いたいことは分かるなぁ・・・とも思います。



 そういえば、ダフトパンクはフランスだったなぁ・・・と、あんまり私は詳しくないですけど、この二人組の話が出てくる所に、従来の振付師とは感覚が違うわなと、納得感があります。

 さて、もう一つの記事(43頁)も行きましょう。花織ちゃんについても熱く語っています。さっきの舞依ちゃんについてもそうですが、この人の情熱は凄いです!以下、ご紹介します。

  「世界ジュニアでカオリを見たとき、衝撃を受けました。滑りの質が素晴らしいと感じました。なんてスピードで滑るんだろう、と。それからジャンプ。彼女のジャンプは信じられないものでした。あれだけの高さがありながら、重厚感も感じられる。世界でも最高のジャンパーの1人だと言えると思います。素晴らしいテクニックを持ったスケーターです」

  「ぼくは試合の公式練習を見るのが好きなんです。スケーターのリアリティというか、在り様が見えてくるので。・・・世界ジュニアで彼女の公式練習を見たときは、『この少女はなんでもできる』と直感でわかりました。他とは違う何かを持った“スペシャル”なんだと気づいたんです。彼女は美しいバレリーナというよりも、もっとずっとモダンな雰囲気を持っています。ただ美しいだけのものではなく、よりモダンなコンセプト、モダンな音楽で振付けなければと思った。それがうまく機能する、ハマるスケーターだと思いました。『アメリ』は本当にいい選択だったと思います」

 →→正直言って、DOIの放送で見た時からもそうですが、「アメリ」が(今季の新葉ちゃんのように)花織ちゃんに完璧に合っているプロかどうか、私には分かりません。ただ、その「普通じゃないプログラムに挑戦する姿」を応援したいと思っていました。

 で、彼のこのインタの興味深い所は、花織ちゃんを「美しいバレリーナというよりもモダンな雰囲気を持っている」と、その特徴を述べている点です。

 私の印象では、「美しいバレリーナ」とは、例えば、今季SPで「ブラックスワン」を演じるザギちゃんが最も象徴的で、たしかに、あーいう感じのプロは花織ちゃんとは合わない。ロシアの子たちとは違った、花織ちゃんのパワーとスピード、また北米やヨーロッパの選手のような「大味さ」とも違う、そんな花織ちゃんを「モダン」と評し、だからこそ「モダンなプログラムが合うのだ」と、彼の意図する所を私はそう解釈しました。

  「ショートは、ベートーヴェンの『月光』を使っています。力強いピアノ曲です。今回のショートでは、ジャンプをすべて後半に入れたらどうかと提案をしました。プログラムを作り終えた段階では、まだ少しジャンプをすべて後半で跳ぶことに不安が残っているようでしたが、でもやらない手はないと思う。世界のトップと戦いたいと思うなら、すでに実践している選手もいるなかでどう戦っていくのかということ。彼女なら、それができると思っています

 →→自らスケ連にアプローチしたという話にもビックリしましたが、後半ジャンプ固め打ちがブノワさんのアイデアだったということも驚きましたね。前述の「ムーヴメント」や「エモーション」という話をしていた彼は、そういうことに関心は無さそうに思えたので(笑)。

 当然、このインタはロステレ杯よりも前に行われていますが、結果的に、花織ちゃんは見事にSPをノーミスで滑り切ったわけです。

  「このショートプログラムは非常に印象深いものに仕上がりました。最初のパートは軽やかに入って、後半は3回転+3回転の連続ジャンプとともに力強く滑っていきます。・・・曲はベートーヴェンのクラシカルな楽曲ですが、プログラムは極めてモダンなものです。体をこれでもかと使うステップシークエンスはすごく見応えがありますよ」

  「じつは今回、初めて1日でプログラムを作りました。朝に振付を始めて、夜にはもう、彼女はプログラムを滑っていました。それだけの集中力を発揮して、ステップも何もかもが新しいプログラムを滑ったスケーターなんて、ぼくはいままで一度として見たことがなかった。まるで未知の存在を見たよう。カオリは別の世界から来た異星人みたい。そのくらい彼女の才能は衝撃的なんです

 これは、ブノワさんも参加した、7月下旬の盛岡での合宿の話だと思いますが、それを伝える情報番組がデイリーにアップされているので、よろしければどうぞ。

 けっこう長く引用しましたが、ブノワさんは、本当に情熱的な人だなぁと感じます。日本の女子には有望な若手がまだいるので、ぜひまた振付を担当してほしいです。個人的に、荒木菜那ちゃんは、あの高いルッツにスピンも上手いし、花織ちゃんとはまた違った魅力があると思っています。ブノワさんのプロで見てみたいなぁ・・・。
 
 では、また明日!

 Jun

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 さて、昨日に続いて、別冊WFSのシーズンガイドです。今日は、「小塚あゆみさん(ISUジャッジ)に聞く 今季ここが観戦ポイント」(64~67頁)をご紹介します。

 まず、小塚さんってどんな方?というと、

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 この画像の左に説明があるんですが、ジャッジの匿名性が廃止された昨シーズンで、彼女が担当した試合ということになると、16年マルセイユGPファイナル(男子シングル)があります。

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 この試合のリザルトは「こちら」。

 このファイナルでは、ホプレガはミスが多かったので、ともかくとして、SPについては、Let's Go Crazyの中では最もスコアが出たというだけでなく、個人的に、羽生結弦史上で見ても「お客さんと最高のコネクトができた」という意味で、非常に重要な名演だと思っています。いまでも暇があれば私はけっこうな頻度で見ています。

 プロトコルを見ると、このSPに対して、小塚さんは、PCSの「振付」と「曲の解釈」で10点をつけています。特にこの2項目を評価しているのが見逃せません。他方で、ホプレガについては、特に大甘採点というわけでないので、

  そういう人の言うことなら信頼できる!

 ということで、前置きが長くなりましたが、インタの方に入っていきましょう。聞き手は野口美惠さんです。

 ―― 今季は過去のプログラムや曲を持ってくる選手を多く感じます。

  「今季はオリンピックで早めに仕上げなければなりませんし、しかも男子はここ2年で4回転ジャンプの種類が増えています。新しいプログラムを選ぶよりも、4回転の質を高め、演技を完成させていくことに力を注いでいるのでしょう」

 ―― 同じプログラムでも、ジャッジとしては新しい曲という感覚で見るのでしょうか?

  「演技は過去のものにとらわれず常に新しい気持ちで見ています。ただ毎回何か新しい発見があるのではないかと思って楽しみに臨んでいます」

 ―― 羽生結弦選手は、オータムクラシックでは、SPで世界新を出しました。

  「ジャンプの質が、本当に素晴らしかったですね。でもプログラムとしては、彼ならまだまだ深化させていけます。私は羽生選手のショパンのバラードの余白や余韻の使い方を楽しんでいます。今はまず4回転2種類という素晴らしいエレメンツを際立たせている状態ですが、余白のほうに惹き付けられる動きや輝きが出てくるのは、これからでしょう。試合ごとに、彼がプログラムに気持ちを注ぎ込むことで、動きのアクセントも出て、さらに素晴らしいものに変わるのを楽しみにしたいです

 →→羽生君のジャンプの質の高さはすでに認めていて、じゃ、バラ1のどの部分を見るか?となったときに、「余白や余韻の使い方」「動きのアクセント」という部分を見るわけですね。

 では、ジャンプ以外の部分をジャッジはどう見ているか?という意味で、PCSについてのやり取りが参考になります。

 ―― 演技構成点について、「転倒や重大なエラーを含む演技には10点を与えるべきではない」という記載が加わりました。

  「ソチオリンピック以降、演技構成点で10点をつけるケースが増えています。しかしジャッジは、10点が出たことのあるプログラムだからといって、再び10点を出す必要はありません。純粋に、今日の演技に対して点を出すということです

 ―― 4回転を複数跳んだからといって、コンポーネンツも10点が出るという訳ではないのですね。

  「4回転ジャンプが増えたことで、助走が長く“つなぎ”も減っているならば、演技構成点は下がるはずです。4回転を跳んだからレベルが高い選手、と決めつけずに、ジャンプはジャンプ、演技は演技で分けて評価する目を、私達ジャッジは磨かなければなりません」

 ―― オリンピックシーズンとなると、見る方も興奮します。

  「オリンピックへの出場レースや、表彰台などにどうしても注目が集まるシーズンです。でも試合は生ものですし、毎回出来は異なるものです。誰が実力で勝っているかなどを決めつけずに、その瞬間の演技を楽しんでみて欲しいと思います」

 ―― ジャッジも、事前の情報には左右されないと言うことですね。

  「その日、その選手が、その場所で発してくる何かを、キャッチするのが審判の仕事です。絶対に同じものはありませんから、審判は孤独に、演技を見ながら自問自答し続けます。演技を通してのメッセージ、音楽との一体感、世界観を感じとり、ジャッジとして蓄積してきた個々のモノサシで、得点へと数値化するのです」

 ―― 演技を楽しむための観戦ポイントというのは、あるのでしょうか?

  「私はやはり、選手が醸し出す世界観が好きです。何の技が出来たかだけなら、ジャンプ大会やエレメンツ大会になってしまいます。そうではなく、その選手にしかない色や空気感を感じ取るのが楽しいですね。年齢、成熟度、性別、性格、その選手が持つ個性を生かして、『今年はこんなプログラムに仕上げてきたのね!』と感じる時が楽しいです」

 ―― 個性や色を感じとるには、何に着目するのが良いでしょう?

  「私の場合は、音楽と振付が重要なことは明白ですが、つなぎに注目します。トップグループはだれもがスケーティング技術は高くなっています。でもつなぎは、いろいろ詰め込んでいても質が伴わなければ素晴らしく見えません。一方でクオリティが高い異なるつなぎを多様していれば、つなぎだけでなく、構成、演技などにも反映されていきます。つなぎが素敵な選手は、プログラム毎に独自の色を見せてくれます

 →→ここまで彼女の発言を読むと、マルセイユでのLet's Go Crazyへの彼女の採点と実に一貫・整合しているなぁ・・・と感じます。

 ただ、ジャッジも人間なんで、みんながみんな、小塚さんのような基準で採点をしてくれるわけもないので、そこは覚悟しておかなきゃいけませんね。

 最後に、実はインタビューの冒頭、こんな印象的なエピソードを語ってくれています。

  「例えばシンクロナイズドスイミングを観に行くと、スケートではジャッジである私でも、こちらのチームが良かったと思っても結果が異なることがあります。どれが高得点なのか分かりません。採点競技には独特の難しさがあるものですが、ファンの方々により楽しんでいただけるわかりやすい競技になって欲しいと願っています」

 そっかぁ・・・フィギュアスケートだけじゃなく、シンクロを現地観戦までして勉強しているのだなぁ・・・と驚きました。

 引用が多めになりましたが、実を言うと、これでもほんの一部です。男子シングルだけでなく、女子シングルの全体的な傾向、さらに、両種目の有力選手についてもそれぞれコメントされているので、ぜひ書店でチェックしてみてください。

 さあ、いよいよですね。明日の記事には、男子SPの感想が間に合うと思います。ドキドキですね。みんなで応援しましょう!

 では、また明日!

 Jun

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 2017年10月15日発売。毎年この時期に発売されるWFSのガイドブックです。羽生君の写真については、オータム・トロント公開練習と非常にハイクオリティですが、さすがにボリュームは少なめです。これ目当てに購入を勧めるほどではありません。気になる方は、あらかじめ立ち読みをした方がいいですね。別冊ガイドのバックナンバーは「こちら」。

 まず、本書を手にして、真っ先に私がチェックしたのは、「注目スケーター選手名鑑 2017-2018(海外 LADIES)」のところでした。JGPファイナル行きを決めた、トゥルソワ、パネンコワ、タラカノワ、コストルナヤ、サモドゥロワは掲載されてるかな?と思ったんですが、この5人の情報は残念ながらゼロでした。

 逆に、上記5人に譲る形で、JGPには一戦のみの出場に留まった、グバノワ、コンスタンチノワ、フェディチキナ、あるいはJGP不参加のヌグマノワは掲載されていて、まさにロシア女子の競争の激しさを物語っています。

 日本に関しては、ブレイクした荒木菜那ちゃんはジュニア選手の一番最後の扱いですが、「ジュニアGP初出場でメダル獲得の大金星を挙げた15歳」としっかり最新情報がフォローされています。

 もちろん、羽生君もショートのPBはオータムの112.72に、須本君のJGP初優勝の情報も入っていて、けっこうギリギリまで編集作業をしていたのでしょう。ということは、ロシア女子の若手選手を入れること自体は不可能ではなかったものの、写真の準備ができなかったのかな?とか、その辺りを想像しながら、楽しめました。

 さて、8月31日に発売された「WFS No.79」では、トロント公開練習の後の出版だったにも関わらず、メディアデー2日目の羽生君の独占インタは収録されていませんでした。今回購入した最大の目的は、そこをチェックすることにありました(20~21頁)。

 ―― ショートプログラムを「バラード第1番」に決めたときに「少し迷いがあった」と話されていましたね。

  「・・・もともと、『Let's Go Crazy』を選んだときに、これを2年使いたいという願望がありました。やっぱり『パリの散歩道』をやったときみたいに、いいジンクスになるな、みたいな気持ちがあって。ただ、じゃあこれから『Let's Go Crazy』を本当にオリンピックのキャラクターにしていいのか、それが本当にオリンピックの楽曲として合うのかどうか。いろいろ考えた結果、『バラード第1番』がいちばん自分らしいかなと。いちばん自分を表現しきれるというところに行きつきました」

 ―― 平昌オリンピックが迫ってきていますが、その先の風景はどんなふうに見えていますか。

  「そうですね……とくに考えてないです。もちろんスケートが好きなので、やめるとか、やるとか、そういうことって全然考えていなくて、とにかくいま何ができるのかな、いま何をすべきなのかなということに全力を注いでいる状態です」

 ―― 「SEIMEI」に関しても、「バラード第1番」に関しても、「自分に合っている」という表現をされますけれど、どこに合っていると感じていますか?

  「たとえば作曲家がいれば演奏家がいる、みたいなものかなって思うんですね。・・・作曲家の意思と、演奏家の意思と、それから作詞とか編曲とかあるのかもしれないですが、そういうそれぞれの思いがすべて、自分の思い描いている理想に一致する。そういうのがいちばんなんじゃないかなと思います。呼吸のリズムであったり、楽器を弾くときにもやはり呼吸は大事じゃないですか。そういったところがうまく合うというのが、この『バラード第1番』と『SEIMEI』なのかなと思います」

 ―― 衣装を変える予定などは?

  「マイナーチェンジはします。よりその曲に合った、よりぼくに合ったものになっているなと感じていただけるような衣装にしたいなと思っています。ぼくはデザインには関わらないですけど、出来上がったときに、どういう感覚であるかというのはすごく大事にしています

 →→当初プリンスを2シーズン使うことを考えていた理由に、パリ散のゲン担ぎ的な気持ちもあった、というのは初耳です。ここだけでも、本書を買った価値があると個人的に思っています。

 サラっと平昌後のことを訊いているわけですが、ふと思ったのが、羽生君って、報ステで「圧倒的に勝つ。最終Gの全員がノーミスしている中でも勝つ」という強気を見せている反面、そのような発言をするにあたって「退路を断つ」ようなことはアピールしないんですよね。例えば、「この五輪で引退します。最後だから死ぬ気でやる」とは言わない。

 もちろん、彼の真意は分かりません。きっと、スポンサーや様々な大人の事情を鑑みて、軽々には言えないのでしょう。でも、それとは関係なく、アスリートとしてはベストを尽くしますよ、というところが、プロフェッショナルだなと思います。

 つぎに、ジェフのインタを。「Life Vol.11」では、特に羽生君との関係の「変化」についてコメントしていましたが、本誌ではより「バラ1」自体にフォーカスした発言が引き出されています(24~25頁)。

 ―― 2014年夏、最初に「バラード第1番」が披露されたとき、バトルさんはそのなかに込めた物語を話してくださいました。「オリンピックのあと彼はひっぱりだこで、彼があらゆる方向へと引っ張られ、張りつめている姿が浮かんだ。だから彼が動き始めた瞬間に、氷の上にいる彼だけの特別な瞬間が始まって、そのほかのことは全部どうでもよくなる。そういう物語を考えた」と。(※参考「WFS 65(Sep.2014)」)

  「やはり、彼が描き出す物語は少し変わったと思います。いまの彼には、あのころにはなかったものが備わっている。威厳や主導権といったイメージを氷の上に持ち込んでいると思う。過去数年でユヅルが築き上げてきた氷上での存在感の大きさを目にするのはとても印象深いものです。ソチ・オリンピックで勝ったとき、彼はそれでもとても若かった。だからまだ、大人たちに囲まれて、ある種の脆さを感じさせたんです」

  「けれどいまは、しっかりと自信をもち、自分の主張ができる存在になりました。スケーターとしてだけでなく、ひとりの人間として強くなった。彼が滑るのを見ていると、視線ひとつ、姿勢ひとつ取っても、まるで別人のように感じるときがあります。不確かさや自信のなさがなくなった。そういう変化、進歩を見てくることができたのは、コリオグラファーとしてもとても興味深いことでした」

 ―― 2015-2016シーズンに羽生選手がグランプリファイナルで世界最高得点(当時)を出したとき、「ジャンプが決まるようになってきて、芸術面でもやっと自分らしく滑れるようになった」と話していました。技術面と芸術面の兼ね合いについて、今季とくに気を配ったことはありますか。

  「それもすべてコミュニケーションにかかっているんですよ。結局、滑るのはスケーター本人ですから、どうしたら引っかかりがなく、スムーズに滑れるのかは、スケーターから言ってもらうしかない。どこにも違和感がないような振付を作り上げることによって、スケーターは競技の場でテクニックのことを忘れて、完全にその瞬間に入り込むことができる」

  「最高の演技というのは、だいたいにおいて、技術を忘れ去って、努力しないでもすべてがうまくいくというような状況下でできるものなんです。とても珍しいことですが、失敗するかもといったような心配事は消え去って、感じるままに滑ることができたとき、そのプログラムは完成したと言えるんです」

 ―― その意味では、昨シーズンのSP「Let's Go Crazy」の経験も生きるでしょうね。

  「その通り。彼の演技は見ていて楽しかった。緊張しているときは、キャラクターになりきることができないのが普通だけれど、彼はやり遂げた。『Let's Go Crazy』を1シーズン滑ったことで、観客と真の意味で結びつくのがどういうことなのかをユヅルは感じ取ってくれたのではないかと思うんです。そして、気持ちを解放するということをね」

 →→バラ1を(そしてSEIMEIも)ふたたび演じるという決断を、力強く後押ししてくれるコメントだと思います。

 スムーズな演技を実現するようなプログラムが生まれるには、「スケーターから言ってもらうしかない」というのは、私の持っていたイメージからすると逆の発想でした。

 例えば、普段日本を拠点とするスケーターが「プログラムをブラッシュアップするために(振付師のいる)カナダに滞在」という報道がなされるとき、振付師のアイデアをもっと正確に表現できるようにするため、と私は考えていました。もちろん、これは振付師によって程度はあるでしょうが、スケーターの特徴を考えて、元のアイデアを場合によっては修正・変更する作業も大いにあるのでしょうね。

dg

 そう考えると、振付師が近くにいる、というのはやはり大きなアドバンテージがありそうです。エテリ組が、たとえ似たようなプログラムばかりという批判を受けても、若手選手のプログラムの多くをグレイヘンガウス(この人、実はまだ26歳だそうです)に担当させているというのも、その辺りを考えているのかもしれません。

 ロステレ杯ももう間もなくですので、明日も本書の残りの記事を見ておきたいと思います。

 では、また明日!

 Jun

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