On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

タグ:シェイリーン・ボーン

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 CWW愛蔵版ブックの感想の続きです。サラリと重要な記述が収められているので、油断できません(笑)。

 (1)「スペシャルインタビュー」&「いま、羽生結弦に聞きたいこと」から

 ・ジェフ

  「彼がクラシックを好きなのは知っていますけれど、今後はもうちょっと新しい世界、抽象的なものもいいんじゃないかなと思います。2度オリンピックで優勝したから、キャリアとしてはもう全部やったじゃん!って感じですよね(笑)。だからもういまや、彼が本当にやりたいものをすべてできる立場になりましたよね。ジャッジに向けた(競技で勝つための)曲を選ばなくても良いというか…冒険するのに、機は熟しました。やりたいものを滑ると、彼のもっと違う側面、より彼らしいものが見られるようになるかもしれないし、楽しみです

 次に紹介するシェイのコメントと、本質的には同じことを言っているようでいて、具体的にははっきり違う内容というのが興味深い。まず、ジェフは、「競技用プログラムの選曲を冒険してみよう」と言ってるわけです。

 選曲面では、「クラシック以外」を暗に提案しているようにも思えます。わざわざここまで具体的に言うならば、クラシック以外のアイデアがたくさんあるということ。それが「羽生君自身のやりたいこと」と一致しているのかどうか。ブライアンはそこにどう関わって、意見するのか。

 羽生君は、「やっぱり試合で勝ちたい」という考えに傾くのか。もし五輪を目指すなら、「勝てる曲」をまず1シーズンやって、つづく2・3シーズン目は冒険して、五輪シーズンは、その計3シーズンの中から「勝てるプログラム」を持ち越しするのか。ジェフのような、羽生君にきわめて近い場所で重要な仕事をする人が、こういう具体的な話をすると、想像がさらに膨らみますね。
 
 ・シェイ

  「最初に『SEIMEI』を作ったとき、映画の主人公の方(野村萬斎さん)に会ってみたらいいんじゃない、と伝えました。ユヅルにとって大きな体験になるし、何か特別なものが生まれると思ったから。実際に萬斎さんとお会いしているんですよね。とてもいいことですね。もちろんもともとストーリーはあるけれど、会う前よりプログラムに意味が加わって深みが増していくから。それがユヅルというスケーターにとって意味があるものになったからこそ、『SEIMEI』はユヅルのものになったんですよね」

  「いつかショーナンバーを作ってみたいです。競技プログラムだと、エレメンツとか体力、息継ぎ、ジャッジのことなどいろいろ考えなくてはいけないことがあるけど、ショーだったら楽しく無制限にできるから。やりたいことがなんでもできる。すごくおもしろいアイディアが生み出せるのではないかと、いずれそれができたらいいなと思います」

 萬斎さんと会うことを提案したのがシェイだったというのは、実は今回初めて知りました。ただ、このインタビューの中では、「会ったんですよね?」と確認しているので、じゃ、羽生君は、萬斎さんと会ったことをトロントに持ち帰ってシェイにフィードバックしたわけではなく、羽生君自身の中でそれを生かしていったということなんでしょうか?というか、萬斎さんの助言を英語で説明するのは至難の業かもしれません。

 前述のジェフとは違って、「(ゆづの)ショーナンバーを作りたい」とシェイは語っています。なぜ違うのか?その理由について、萬斎さんのスペシャルメッセージと「SEIMEI」を見た後に、考えてみることにします。

 ・ジョニー

  「たくさんの栄光を手にしたユヅルだからこそ、いろいろなことを言われるのかもしれない。ただ、人生では、自分が対応できることしか神様は与えない。だから、自分に関して何かを言われても、それを乗り越えてもっと僕たちは強くなれるんです。僕はそう思っています

 「試練はそれを乗り越えられる者だけにやってくる」というのは、少年マンガでもよく出てきそうなセリフですけど、それをここ日本では、「なんでも我慢して言うことを聞け」と、忍耐を強制する「ツール」として使われることもあります。

 ジョニーはもちろんそういうことを言ってるのではなく、何が起ころうとも必ず解決できるし、嵐はいずれ過ぎ去るというメッセージなんだと思います。

 彼は、それこそ羽生君がソチ五輪で金メダルを獲るずっと前から、つねに気づかってくれていました。それは、「周りから色々言われること」について、「無視しろ」とか「スルーしろ」というようなアドバイスではないんです。

 彼の発言を聞いていると、匿名のネットの意見だから、アンチの意見だから、「自動的に遮断する」という考え方じゃない。悪意のある部外者の意見だろうが、家族や恩人の意見だろうが、そこは関係ない。

 そう思える根拠は、ジョニーが、「強くあれ」ということを、WFSの対談で羽生君に語っていたことが、思い出されるからです。約7年前に行われた対談です。「自分のやりたいことは何か?」というのを常に問いかけて、それを貫きなさいと。それが「強くある」ということなんだと。

 逆に考えると、なぜ羽生君が、ネットや週刊誌・スポーツ紙の類の意見まで入念にチェックしつつも、自分を貫けているのかというのが見えてきます。「強くあれ」というジョニーの教えを守っているからだと、私は思うのです。

 (2)「野村萬斎 スペシャルメッセージ」

 萬斎さんの言わんとしていることを全て理解するのは難しいですが、いちばん具体的でイメージしやすかった部分は、「音に合わせず『音を纏え』」というくだりですね。

  「場を支配するために、天地人というすべての方向性に気を巡らせて『音を纏え』という話もしました。音に合わせにいくと絶対に遅れるから、自分が音を発しているように、と。対談のあと、リンクで練習を拝見したのですが、曲のとらえ方は大変よかったんだけれど、あの曲のたゆとうメロディには裏にもリズムがあるので、メロディに合わせたくなるところを我慢して裏のリズムに合わせた方がいいといった話はしましたね

  「具体的に言うと、冒頭部分だとか、後半のストレートラインステップ前の3つのジャンプのあたりだとかの、笛だけになっているところ。その裏にズンズン、ズンズン、ってリズムが入っていたと思うんですね。メロディに合わせて上半身は優雅に見せつつ裏にあるリズムが身体のなかで取れていると、単なる演技ではなくて、意識した演技になる。重層的な曲ですから、よく音を聞いて、本当によく構成されたと思います」



 萬斎さんが具体的に指摘していた部分に注目してみましたが、特に笛のメロディとリズムの関係を意識的に拾おうとすると、フィギュアスケートの競技用の曲としては、あまりに前衛的で挑戦的ですよね。後半の4S-3T以降の、勝敗を分ける重要なジャンプの部分は、ある意味でのどかな曲調ですしね。

 話をジェフとシェイに戻すならば、私見ですが、ジェフが「(競技用プロで)冒険したい」と言って、シェイが「ショーナンバーを作りたい」と言ったのは、シェイはすでに「やりきった」という達成感のようなものがあるからじゃないかと。「SEIMEI」もそうだし、「ホプレガ」だって難しい曲でした。しかも、両プログラムによって、記録も更新し、タイトルも獲ってしまった。

 「挑戦」はショーナンバーでいい。あるいは、ジェフに「競技プロにおける挑戦は譲る」と、シェイは考えているのかも・・・。

 なんだか、萬斎さんの「メッセージ」から、結局ジェフとシェイの話になってしまいましたが、いやいや、萬斎さんと羽生君がまた対談して、双方の見解をアップデートすべきだと思うんです。ぜひそれをテレビで報道してほしいですね。前回のように日テレか、あるいはテレ朝で。フジとNHKはダメです。

 萬斎さんは、9月に公演を控えていますし、チャンスがあれば羽生君も見れるといいですね。トロントメディアデーが8月ならば、お忍びで来れるかもしれません。

 では、また明日!

 Jun

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 スケカナが始まる前に、上記雑誌からご紹介しきれなかった記事について触れておきます。各誌についてのレビュー(WFS別冊)(Life)(Sportiva)(GPガイド)も、ご参照ください。

 まずは、ロステレ杯の熱気が冷めないうちに、新葉ちゃんについて補足しておきます。上のワンピース姿の写真はGPガイド(45頁)から。

 ・「007 スカイフォール」について

  「(シェイリーンからは)曲が3つに分かれているので、それぞれで何を表現したいのかをしっかり考えて滑りなさいと言われています。いつもバレエの曲やスケートによくある曲が多かったので、まさか自分がこの曲を滑るとは思っていませんでした。いまもこれからもすごく楽しみだし、滑っていて大変なんですけど、滑り終わったあとはすごく達成感を感じます

  「オリンピックは絶対出たい試合なので、去年みたいな甘ったるい試合をしてはいけない」(以上、別冊WFS、38~38頁)

  →→ちなみに、「曲が3つに分かれている」という点について、「Life」(38~41頁)の方でざっくり語ってくれています。

  「最初の部分は、嫌な予感がするというかそういう感じですが『やってやるぞ』と滑っていて、2曲目の部分はみんなが知っている曲なので、『007』の雰囲気だったりスパイっぽい動きがたくさん入っていたりで、3つ目の曲は歌詞も入っているので、それに合わせて踊ることと、女性らしさというのを出していけたらいいなと思います」

 ・シェイリーンとのプログラム作り

  「競技用のプログラムでは、海外の振付師さんに作ってもらうのが去年初めてだったので、どういう風に作っていくのかとかわからなくて。特にシェイ=リーンは、最初にできそうなステップをやってから曲に合わせるという感じで、1年目の頃は何をしているのかよくわからなかったんですけど(笑)、でも今年はすごくスムーズに振付けができました。なので余った時間で見直しができたりして、時間が有効に使えました」

  「(1年目は、ステップの振付けをしても、プログラムのどこに入るかわからず)それでもプログラム、できました(笑)。シェイ=リーンの場合は最初にステップをやって、『曲は後で編集してくるね』という感じなので

 →→我々にとって、シェイリーンのプログラム作りって、やっぱりSEIMEIやホプレガが基準になってくるので、つまり、羽生君が曲を自分で編集していて、二人で相談しながら振付を曲にハメていく、というイメージがあります。

 しかし、新葉ちゃんのように、曲選び自体をシェイリーンにお任せというケースだと、そもそも曲が出来ていないばかりか、さすがアイスダンス出身だけあって、「こういうステップを入れたい」という所から、プログラムのイメージが浮かんでくるのでしょうね。あのプログラムが、どこからどのように完成していったのかというのは、本当に興味深いですが、それは、もうシェイリーンに語ってもらった方がいいでしょうね。

 もうひとつ、Lifeの中で印象的なやりとりがあるので、ご紹介します。

 ―― 樋口選手のスケートのキャリアの中で、平昌五輪というのはどういう位置づけですか?

  「うーーーーん、本当は自分としては平昌でメダルを取りたいし、そう思っているけれど、実際に出てくる選手を考えると難しいかもしれないとも考えていて。試合自体は人生の中での一つの経験として平昌を過ごせたらと考えています。やっぱりオリンピックで金メダルを取るのが最終的な目標なんですけど、それには今年はまだ間に合わないかもしれないというのもあって。なので、自分ができることをすべてやる、というのが平昌での目標で、金メダルを取るというのは北京で絶対に果たす、という風に考えています

 →→やっぱり、すでに1シーズンをシニアで戦ってきて、現状の自身の力を冷静に分析できているようです。ただ、目標設定がどうという部分より、今季含めて少なくともあと5シーズンは新葉ちゃんのスケートを見られるというのが嬉しいですね。今季のSPとフリーがすでに神懸かったクオリティを誇っているのに、それ以上のものをまだ見られるチャンスがあるという喜び。素直に嬉しいです。

 ふたたび、WFS別冊ガイドに戻って、小塚あゆみさんの新葉ちゃんに関するコメントも拾っておきます(65頁)。

  「樋口選手といえばスピード感とトップスピードへの到達の素早さですね。本当に見ていて引き込まれる滑りが長所です。昨季のショートプログラム(SP)は、シェイリーン・ボーンに振付を依頼し『ラ・カリファ』という情緒的な曲を使いました。彼女にとっては挑戦で、階段を登るために必要だった選曲なのでしょう。シェイリーンも1年かけて『この選手は何が出来るか、こんな動きをさせるとどんな風に動くか』が分かったはず。そこから今年、フリーに『007』を持ってきました。力強さやキレがあり、樋口さんの長所を見極めて引き出すプログラムになったと思います」



 去年の全日本の演技を改めて見てみました。「ラ・カリファ」はたしかに情緒的であり、私は内省的な印象も受けています。

 同じ人が振付をしているので、特に冒頭の2Aを跳んだ後のステップは、「スカイフォール」に生かされている動きが随所に見られると思います。ただ、ややもするとインパクトに欠ける曲で、これが今季のプログラムだったら、賛否両論あったかもしれません。

 実は、この全日本での細かい採点を覚えていなかったんですが、このSPではフリップでエラーを取られていたんですね。ところで、動画を最後まで見ていて、何に驚いたかって、1位の宮原さんに「76.49」というスコア(特に技術点に41.63)が出ていたことです。



 例えば、今季のJGPベラルーシ大会で優勝したトゥルソワのSPの技術点が41.78なんですが、彼女の場合、ジャンプ全部後半でタケノコとタノ付き、さらにコンビネーションの2ndジャンプはループですから、構成の難易度ははっきり違うんです。ちなみに、トゥルソワよりも構成の低いメドベのロステレでのSPの技術点は42.69でした。

 もちろん、知子ちゃんや新葉ちゃんとロシアっ娘を比較してどうこう言うつもりは全くなくて、カナダもロシアもどこの国のナショナルもその国限定の参考記録が出ることは、承知しています。ただ、だからこそ、当然ながら、そこでノーミスすれば、GPシリーズでノーミスするよりも高得点がもらえる可能性が高い。こりゃ、やっぱり、女子の代表争いは全日本で決まるなと。

 もちろん、新葉ちゃんもSportiva(81頁)の中で、

  「最終的には一発勝負になると思う。全日本選手権で完璧な演技をしてオリンピックに出場できるようにしたいです。まずは、GP2戦で表彰台に乗り、ファイナルに出たいと思っています」

 こうはっきり答えているので、年末の大一番まで気を引き締めてやってくれると信じています。

 では、また明日!

 Jun

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 タイムリーに記事としてアップできていなかった、ネペラ杯の感想です。刑事君&龍樹君のSPとフリー、理華ちゃんのフリーをチェックします。リザルト関係は「こちら」で。



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 SPでは「75.81」の4位発進。ゲイリー・ムーアの“The Prophet”という楽曲を使ったこの新SP「メモリーズ」を見るのは、8月のアジアンオープン以来です。その時は冒頭の4Sを転倒していて、つづくコンボは、3T+2Tで「68.75」というスコアでした。

 「日本代表メモリアル2017」によると、SPでは、冒頭を4S、コンボには4T+3Tを練習しているようですが、この大会はクワド自体を回避しました。その理由は分かりませんが、SPで1位のヴォロノフ(80.85)とPCSは1.50の差なので、刑事君のこの演技は高い評価を受けていると言えますね。全身を大きく使ったステップやスピンが特に印象的でした。



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 冒頭にちょっとだけ、動画のアップ主(?)の「おじさんの声」が入っています。このフリーは、持ち越しプロの「フェデリコ・フェリーニメドレー」。SP・フリーともにマッシモ振付です。

 「メモリアル」のインタでは、フリーのクワドは、冒頭に4Sと4T、後半に4Sと計3本を練習しているという話でした。映像を見る限り、前半と後半のサルコウの2本のみのトライという感じですが、いずれも転倒しているので、REPのペナルティが付いてしまっています。3AもREPがつき、その後にフリップとループがパンクして、アジアンオープンよりもかなりスコアを落としてしまいました。合計スコアは197.18の8位。

 滑り慣れたプログラムといえども、ひとつ歯車が狂うと、ガタガタっと行ってしまう。フィギュアスケートは繊細なスポーツであると、改めて感じます。

 つぎの試合は、羽生君とともにロステレ杯です。とくにSPははやくも馴染んでいる印象を受けたので、ここからクワドの精度を上げていけば、活躍が期待できそうです。



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 龍樹君は、SPでは「67.25」で6位。アジアンオープンと同様に、冒頭で4Tにトライしましたが、残念ながらDG。その後の、3Aと3Lz+3Tはいつもの美しい着氷が健在です。SPで80点以上を狙うには一本クワドは必須になってくるはずなので、チャレンジを続けてほしいと思います。



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 フリーは「117.08」と伸び悩み、合計「184.33」の11位。いやぁ、SPは冒頭クワドの後、しっかり立て直せたんですが、フリーは最後まで苦しみましたね。龍樹君も、羽生君、刑事君と同様に、滑り慣れた「キダム」なんですが、いやはや、

  シーズン序盤からノーミスするというのは大変なことなんだ!

 そういうものなんだと、ファンの我々が受け入れなきゃいけませんね。大西先生の元で、全日本に向けて、クオリティを上げていってくれることでしょう。

 あと、動画のアップ主さんのおじさんですが、今回は無いな!と油断していると、終盤のステップの後に、「うーん・・・」と、ちゃんと唸っています。ご了承ください。



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 最後に、理華ちゃんのフリーです。ジャンプでエラーが目立って、フリーのスコアは「123.49」と伸び悩み、合計は「189.98」の2位入賞。

 まぁ、ジャンプの課題は持ち帰ってスケカナまでに修正するように努めるとして、私が注目したのはスピン・ステップすべてでレベル4が取れていることなんですよね。理華ちゃんのネペラ杯の演技はSPのみブログで紹介していましたが、SPもステップはレベル4を取れています(ちなみに、この大会で優勝したメドベのフリーのステップは、レベル3です)。

 理華ちゃんのSPはシェイリーン振付の「カルミナ・ブラーナ」を持ち越しし、フリーもシェイリーンに依頼して、映画『フリーダ』の楽曲を使用しています。

 そういえば、新葉ちゃんもシェイリーンの「スカイフォール」ではステップでレベル4を取れているので、本人の努力ももちろんなんですが、シェイリーンのステップの振付の作り方が巧いのかなぁ・・・と。

 一方で、真凜ちゃん舞依ちゃんはともにフリーはデイヴィッド振り付けの新プロですが、いずれも、ステップはレベル3に留まっていて、現時点で評価を下すのは早計とはいっても、振付師にも「得手・不得手」ってあるのかな?という想像をしてしまいます。

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 さて、「日本代表メモリアル2017」(82~84頁)の理華ちゃんのインタから、彼女が新フリー「フリーダ」について語る部分をご紹介しましょう。

 ―― フリーの「フリーダ」は、どのようなプログラムですか?

  「メキシコの画家、フリーダ・カーロという女性の人生を描いたプログラムです。彼女は6歳のときに病気で身体が不自由になって、大きくなってからも事故に遭って全身にコルセットをつける生活になってしまうんです」

  「でも絵を描くことで悲しみを昇華して、その後結婚するのですが、事故の後遺症に苦しんだり、その影響で子供を授からなかったり、旦那さんに浮気をされたり、すごく苦労されるんです。そんなフリーダさんの壮絶なストーリーをそのままプログラムで表現していきます」

  「私はフリーダさんほどの辛い経験をしたことがないので、『できるかな』と最初は思ったのですが、シェイ=リーンに『どんな小さなことでもいいから、自分のなかの悲しみを自分になりに表現すればいい』と言われて。それで今、自分なりに考えてやっているところです」

 →→ おい、この旦那!どんだけ人でなしやねん!と呆れるしかないですが、今月21歳になったばかりの理華ちゃんに、このストーリーは重いなぁ・・・。しかしまぁ、新葉ちゃんの「スカイフォール」もそうですが、相変わらず、シェイリーンは「無茶ぶり」するお方です。ちなみに、このフリーダさんは1954年に亡くなった実在の人物です。

 ―― 想像を絶するような内容ですね。「辛さ」のイメージはどうやって膨らませているのですか?

  「『身体が動かない』『歩けない』というところは、程度は違いますけど自分もケガをして思うようにスケートができなかった時期の気持ちが重なるかなと思ったので、そのときのことを思い出して練習しています

 ―― とても難しいテーマですが、最初に聞いたときはどう思いましたか?

  「フリーダさんという画家も、映画も、音楽も知らなくて、最初は『なんだろう?』と思って、編集される前の曲を聞いても全然ピンとこなかったんです。それで、映画を観てみたのですが暗い感じの映画だったので、『できるかな?』と不安で。でも、編集された音楽を聞いてみたら『あれ、カッコいいな』と思えて、振り付けではひとつひとつの動きの意味やイメージを教えてもらえたので、全体像がつかみやすくなりました」

 ―― フリーは、全体でいくつのパートに分かれているのですか?

  「大きく分けると4つのパートになっています」

 ―― 最初はどんなシーンから?

  「最初は動けない状態で、自分の感情を外に出さずに、でも心の中では『苦しい!』と叫んでいるみたいな感じです。2つ目は明るい曲調になって、少女が遊んでいるイメージで、身体を自由に動かせるフリーダを演じます。3つ目はスローな曲調になって身体の痛みや、子供を産めない苦しみ、失恋の痛みを経て、絵を描くことを見つけるまで。4つ目はフリーダが亡くなる前の場面で『人生に悔いはない』と絞り出すようにして終わります。最後は私も『自分のすべてを出し切って演技が終われるように』という思いで滑っています

 ―― この女性の生き方を、本郷選手はどう捉えていますか?

  「『可哀想だな』と思う人もいるだろうし、『大変な人生だな』と思う人もいると思うんですけど、私は『すごく強い女性だな』と思っています。自分では想像もできない人生ですが、ひとつひとつ乗り越えて生き続けた彼女は本当に強いなと思います」

 ―― ご自身のなかで『これは良いプログラムになりそうだ』という手応えはありましたか?

  「プログラムのなかにいろいろな要素が入っているので、『これは大変だ』と思っていたんですけど、演じているととても楽しくて充実感があるんです。ひとつひとつの振り付けに明確な意味を持たせているので、これまで以上に『表現するのは楽しいんだな』と思えるようになりました。今まではあまりストーリーのあるプログラムを滑ったことがなかったのですが、今回はフリーダの人生をお客さんに伝えるために工夫もしているので、彼女の物語と私の演技を重ねて観てもらえるようにしていきたいです

 ―― このプログラムを滑ることで、表現の幅がさらに広がりそうですね。

  「はい、このプログラムをもっとカッコよくできるように自分がやるだけなので、しっかり滑っていきたいと思います。長久保(裕)先生にも『あとは、おまえが頑張れ』と言われました(笑)

 最後のオチがまさに、長久保先生が言いそうだなぁ・・・と、思わずニヤリとさせられます。

 それにしても、そこらへんのゴリ推し若手女優ならば、自分の主演映画やドラマですら、ここまでしっかりストーリーと演技の意味を説明できるのかどうか・・・。

 「無茶ぶり」と前述はしましたけど、シェイリーンはかなり細かく振付の意味を説明して、しかも、理華ちゃんもその意図を正確にキャッチして、本当に素晴らしいと思いました。これ以上、私が付け加えることはありません。私もまた、何度か演技を見なおしてみようと思います。
 
 こんなに一生懸命になって頑張っているんですから、ますます応援したくなっちゃいます。なんだか、オリンピックの2枠とかあまり気にしないで、理華ちゃんには、自分自身で納得のいく演技を披露してもらいたいですね。

 しかし、曲だけ聞いていると、「おばさんの歌うラテンの曲」という感じで、このような背景を知っていないと、プログラムの意味は理解しにくいですよね。レベル4の取れたステップの所は、4つのパートの2つ目の「少女時代のフリーダ」です。その辺りを注意してみるとより楽しめると思います。

 明日は、平昌五輪での日本代表の「枠」のかかる、ネーベルホルン杯を展望します。

 では、また明日!

 Jun

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 「〔フィギュア〕羽生が感謝の舞い 震災時、救ってくれた横浜のリンクで」(中日スポーツ 2017年8月17日)

  「久々に再会したというこの日は2人(都築章一郎コーチと羽生君)で談笑。『羽生は「4回転ルッツができるようになったから、どこに入れるか自分なりに考えている」と言っていた』と今季の新技投入も示唆されたようだ」

 先日のクリケットでの会見で、こんな話は出なかったし、もちろん公開練習でも跳んでいない。これほどの大ニュースを、名古屋を拠点とする中日スポーツの記者だけが、都築先生からコメントを取れるって、本当かな?という感じ。

 かりに、これが中日スポーツの創作だとしたら、はやくも情報戦が始まっているわけですね。

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 今日も「SEIMEI 応援企画」の2回目です。バックナンバーは「こちら」で。

 SEIMEIをどのような意図を持って作りあげていったのか。今回は、羽生君の発言に注目してみます。『蒼い炎II』から見ていきましょう(221頁)。

  「今シーズン、何か挑戦というか、自分の幅を広げてみようかなという感じがありました。自分に合う曲がないかなといろいろ聴いたり考えたりしているうちに、和モノがいいと思っていろいろ探して、海外の方も観られるものがいいなと、映画の曲にしました

  「あえてローマ字表記にしました。『SEIMEI』って、安倍晴明のことでもありますし、いろんな意味がある。いい響きだなと思ったので、いろんな意味を込めて。すごく日本人的な考え方かもしれないですけど、タイトルとかテーマとかって、そのシーズンのすべてになったりもするので、(いい響きで)いいイメージを持たせるようにという意味もあります」

 この二つのパラグラフの引用は、あえて順番を入れ替えました。一度読んだはずの内容もけっこう忘れているもので、最初から「和モノ」と決めていたわけではなく、「自分の幅を広げてみる」という発想から、結果的に和モノに到達したというのが、まず抑えておきたい点です。

 これはディスりではなく、フィギュアスケートの世界のある種の「文化と伝統」だと思っているのですが、フィギュアスケートの特にシングル曲は、「定番曲の使いまわし」が多いなと。

 誰のどのプログラムとは言わないけど、「あなたもコレをやるの?」というのが、来たるオリンピックに向けた新プロの発表では、本当に多い印象です。

 もちろんかつての羽生君で言えば、ロミジュリやオペラ座もそうです。使いまわしというか持ち回りというか、「どうして同じ曲ばかり?」という素朴な疑問が私にはあります。

 「同じプログラムを2年続けてとか、数年空けて再演」ということが話題ですが、でも、「俺はショパンしかやらない!」「ただし、同じ曲は二度と使わない!」というスケーターがいないのも、また面白い。

 そんなことをあれこれ考えながら、ハッ!と気がついたのは、

  だから、ホプレガは不当なほど評価が低かったのかな・・・

 ということでした。つまり、フィギュアスケートのジャッジの方々は「音楽の許容範囲」という意味ではきわめて保守的で、「聴いたことのない音楽の良し悪しを判定しづらい」というのが、暗黙の了解としてあるのかもしれません。

 いくら日本では有名とはいえ、久石さんの曲を外国人に正確に評価しろというのは、やはり無理がある。例えば、蕎麦やうどんについて饒舌に語り絶賛する外国人がいたら、「おまえホントにわかって言ってんの?」と、私なら思っちゃうからなぁ・・・。

 そこには、「個人的な主観が入りにくい」というメリットもあるのでしょうが、当然ながら、スケーターたちの選曲が定番曲に集中してしまう。よほど、ライバル選手を技術的に圧倒するような構成で、しかも完璧な演技を見せないと、「選曲の時点で不利になる」というのはあるのかもしれません。

 そう考えると、『SEIMEI』というタイトル、たとえ日本の音楽を使うにしても、「海外の方も観られるように、映画の曲にした」という配慮は、カナダを拠点にしているからこそ沸いてきたアイデアといえるでしょうね。

 シェイリーンとのプログラム作りの過程を羽生君が語る部分も、それこそ「ホプレガの件」を踏まえて今改めて読んでみると、興味深い「狙い」が随所に込められていることに気づきます(221~222頁)。

  「僕だからできる繊細さとか和の力強さとか、和の線の使い方とかあると思うので、僕らしいプログラムになればいいなという思いです。あとは、4回転を3つ入れるつもりですので、それもまた自分にとっては挑戦じゃないかなと思います」

  「日本人ではなく(カナダ人の)シェイに『SEIMEI』を振付てもらうことで、世界の方々から見た日本の素晴らしいところをピックアップしてもらえます。狂言や能など日本の伝統芸能をシェイと一緒に観て、いろいろ調べながら振付を一緒に作りました。狩衣(かりぎぬ)のような和服イメージの衣装なので、手の表情や手の動き、手のラインや身体のラインとかで、日本らしい動きを演技に取り入れていけたらいいなと思います。狂言や能には、飛んだり跳ねたりというものだけでなく、姿勢をブラさずに流れるように歩いていくところもあります。その流れ方とか滑らかさが、ちょっとスケートにも通じるところがあるのかなと思っています

 日本の伝統芸能について深く研究しただけでなく、しかし同時に、そこから「ピックアップするもの」については、あくまでもシェイリーンの感性に委ねる。

 「自分の幅を広げる」「挑戦する」としながらも、「国際試合で勝つためのプログラム」として演じるものだから、当初からはっきりとジャッジの目を意識して、そこを狙っている。本当に周到に準備されたのだなぁと。

 将来的に、プロスケーターとしてアイスショーで披露することになる『SEIMEI 3.0』は、そのような「制限」を外した、もっと日本的なものを大胆に取り入れた形になる、そんな気がしてなりません。

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 ちなみに、『王者のメソッド』(286頁)には、和モノの曲のどれかを選ぶ中で、大河ドラマの曲も聴き比べていたこと、映画『陰陽師』は英語版も公開されていること等の情報もありました。

 ほかには、この2015年8月上旬のメディアデーの取材陣は「総勢50名」となっていますね。先日の山口真一さんの記事では「100名近い」とリポートされていたので、五輪シーズンというのもあるとはいえ、2年で倍増とは、恐ろしいことです・・・。

 クワドの本数を含めた技術面での進化については、試合の映像を見ながらの方がいいと思うので、次回の記事で触れることにします。

 では、また明日!

 Jun

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 ※どこのモデルさんたちかと・・・。オシャレ度はポゴが一番ですな。

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 2016年11月26日発売。ご紹介が遅れてすみません。若干「今さら感」がありますが、GPFの男子シングルのFSが日曜早朝の4:20~ですから、羽生君の演技の余韻に浸りつつ、お読みいただけたらと思います。

 ゆづファンでこのextraを購入された方は、ほぼ例外なく、「シェイリーン・ボーンが語る『Hope & Legacy』」目当てかと思われます。羽生君の今季新プロに関して、SPのバトルのインタは各誌ですでに掲載されていますが、シェイリーンのホプレガに関する発言は本邦初公開(てか世界初!)だと思います。

 シェイリーン自身は、アイスショーやNHKの番組などで来日していましたが、それは夏頃のはずで、まだ情報解禁の許可が下りていなかったのでしょうね。ちなみに、このインタは「NHK杯の前」に行われたようです。

 以下、彼女の発言の引用だらけになりますが、そうせざるをえないほどの、一級品の価値のある内容なので、ご了承ください。

 ・ 音楽の選択について

  「振付を始めるときに、彼はこの曲と心に決めて持ってきてくれました。・・・1998年の長野パラリンピックのテーマ曲で、『この年にぼくはスケートを始めたんだ』と話してくれました。・・・私にとっても、この話を聞いたことが、『Hope & Legacy』のテーマに結びつきました。

 ・ 描きたいと思ったこと

  「彼の人生におけるさまざまな経験、彼が氷に足を踏み入れた瞬間からこれまでに、彼自身が経験してきた旅を、そのままプログラムのなかで描きたいと思ったのです。・・・プログラムの最初の部分は、氷を知っていくことについて語っています。とても静かな始まりですが、それは彼が『発見』していくからなんです。次第に、彼は氷を知り、自分自身を解放できるようになっていきます。本物の旅が始まるんです。エモーションが上がったり下がったりする、ジェットコースターのような旅です。そのことを、フットワークを通して表現しているんです。」

 ・ ゆづと交わした会話

  「たぶん、振付を始めた初日は、滑っている時間よりも話し合っている時間のほうが長かったと思うわ。彼自身の感じ方や感情について、そしてそれをどうすれば表現できるのか、そういうことを話し合っていたの。」

  「じつは、プログラムが完成したあとも、しばらく一緒に過ごしたんです。今回が初めての試みだったのですが、オフアイスのフロアで一緒に練習をしました。私がフロアで動きの1つ1つを分解してやって見せ、それを彼が続けて動く、という流れでしたが、彼を見ているのは本当に楽しかったし、興味深かった。・・・そのときはまだ彼はジャンプの練習ができない時期で、プログラムそのものに集中することができた。・・・床の上で、ダンサーとしての彼を見ることができたのは私も幸運でした。

 ・過去2シーズンを振り返る

  「最初の年(14-15)は、ご存じのようにブライアン・オーサーが私にメールをくれて、『ユヅルにきみのプログラムを滑らせたい』と言ってくれたわけですが、その時点でユヅルは『オペラ座の怪人』で滑りたいという希望をもっていました。私は正直言うと、それまでにたくさんの選手が『オペラ座の怪人』を滑ったのを見てきましたから、ためらいがあったんです。けれど、ユヅルの長年の願いを実現しようと思いました。・・・4日間しか振付のための時間がとれなくて、でもできる限り新しいことに挑戦しようとする彼の姿勢には感銘を受けたものでした。」

  「2年目の『SEIMEI』のときは、曲をみつけてきたのは彼でしたが、私たちは一緒に編曲に取り組みました。私も聴いたとたんに『こんなプログラムを作りたい』というイメージが湧いたのですが、彼のほうも実現したいことがあって、プログラムにより積極的に参加してくれた。お互いに、率直に話し合えるようになりました。日本文化を学ぶこともとても楽しみました。・・・シーズンを通して彼が『SEIMEI』のキャラクターを自分のものにしていく姿を見てくることができて、私も感無量でした。彼が誰かを演じているわけではなくて、彼そのものが主人公として在った。

  「彼はこのスポーツに大きなギフトを贈った。ユヅルのいちばん素晴らしいところはここなんです。・・・彼の演技を見たことで、たくさんのスケーターがさらに上を目指して練習を積むようになりました。・・・『Hope & Legacy』のプログラムも、同じように説明ができると思う。このプログラムは彼そのもの。ユヅルこそが希望であり、レガシーです。ユヅル・ハニュウは、つねに前に進み続けたアスリートとして、諦めないこと、信じることを、若いスケーターと彼を見るすべての人々に伝え続けたアスリートとして、これからも長く歴史に名前を刻む存在になると、私は信じています。」

 ・ 「Hope & Legacy」の真のストーリー

 (1)オープニングの場面
  
  「最初のシーンで、ユヅルは前に踏み出しながら片手を前に差し伸べますが、これは彼と氷との出会いを示しています。目の前に広がるイマジネーションは、最終的なゴールとしてのオリンピックの光景でしょうか。彼はその光景を垣間見て、憧れの手を伸ばします。でも、すぐにそれをつかむことはできません。彼は手を引っ込めて、一連のシークエンスを滑ります。『何事も努力なく与えられるものはない。さあ、氷に乗って、努力をはじめなくては』という場面です。」

 (2)苦闘と喜び

  「サークル状のフットワークのあと、ユヅルが両手を前に出して、そこを覗き込むところがありますね。あの場面では、ユヅルは鏡のなかの自分自身を発見します。彼は自分の影を鏡のなかに見つけますが、多くの場合、自分の最大の批判者は自分自身です。ユヅルは鏡の中の自分が気に入りません。恐れもあるし、自分自身に対して厳しくしすぎてもいる。自分の欠点を見てしまいます。でも次の瞬間、彼は腕を突き放すようにその場を離れます。鏡を壊し、進み続けようとするんです。

  「4回目の4回転ジャンプのあと、彼は胸に手を当て、自分の心臓の音、心の声を感じ取ります。自分の感情と向き合う段階に達するんです。今年、怪我を通して彼は自分と向き合い、動きを心で感じる新しいパースペクティブを手に入れました。ただスケートのことだけに集中するのではなく、人生全体を考えるようになった。心を感じ、それを解放することができるようになる・・・・・・まるで、突然翼が生えるような瞬間です。彼は飛び立つんです。」

 (3)最後のシーン

  「じつは、オープニングの場面に戻るんです。彼は手を差し伸べ、その手を握りしめます。目標に到達し、勝利と夢をつかむんです。けれど彼はそれを独占しようとはしません。一度抱きしめると、腕を開き、心を開いて、希望とインスピレーションを世界中の人たちと分かち合うんです。最後の場面は、見ているみなさんのための場面なんですよ。

  「どれだけユヅルがみなさんに感謝をしているか。彼はただ自分が綺麗に滑りたいというだけではなく、自分が滑ることにもっと大きな目的をもたせたいと考えている。周りの人々と分かち合うこと、他者のために、他者と寄り添って生きること。その場にいる、またテレビを通して見ているすべての人々にとって、素晴らしいメッセージになると思います。」

  「どんなスポーツも、観衆がいなくては成り立ちません。ユヅルはみなさんに彼の一部になってほしいと思っているんです。そして一緒に分かち合おうとしています。これこそが、『Hope & Legacy』の真のストーリーです。」

  「彼の内側には、本当の美があります。すべての人々への感謝の心、氷への尊敬。そうした美しい気持ちが、彼自身の手によって、このプログラムのなかに流し込まれているんです。その一助になれたことが、スケートに関わる者として本当にうれしい。また一緒に氷に乗って、彼のテーマをさらに発展させる手助けができることを心待ちにしています。」

 いやぁ、いちいち注釈をつけることが憚られる、完全解説ですね。これぞ決定版。全ての謎が解けた感があります。これを知っていると知っていないとでは、我々ファンのプログラムへの理解に天と地ほどの開きが出てくるんじゃないでしょうか。

 しかし、シェイリーンがこれら一つひとつの振付の「意図」をすべて羽生君に伝達して、試合で彼がその通りに演じているとして、なぜトロントの取材の場で、彼は「自然のものを表現したい」というボヤかした発言に留めたのか。もしかすると、9月の段階では、まだシェイリーンのアイデアもここまで絞り込めていなくて、具体的な振付という形に落とし込めていなかった・・・・ということでしょうかね。

 いずれにしても、振付師によるプログラム解説は「これぐらいやってほしい!」というひとつの到達点ですね。このシェイリーンのインタだけでも、今季16-17シーズンの雑誌の中でも、ゆづファンにとってはマストアイテム中のマストアイテム、最重要の一冊と言えます。絶対に買いましょう!

 では、また明日!

 Jun

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