On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

タグ:佐野稔

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 田村さんの『挑戦者たち』については、すでに二本レビューを書いているので、そちらの方もぜひどうぞ(「1」「2」)。

 なぜこの本をまたご紹介するかというと、「Continuesも、もう間もなくだし、そういえば、この本には、都築コーチの章があったな・・・。読んでおくか」と、開いてみたのです。すると、この章の内容は、都築コーチのパーソナルストーリーではなく、「都築コーチの見る羽生結弦像」でした。

 田村さんが都築コーチを取材したのは、昨年8月17日。羽生君が横浜銀行アイスアリーナでレッスンイベントを行った翌日でした。

 (1)佐野さんへの指導経験が基礎に

  「佐野が誕生していなかったら、羽生(という選手)は生まれていなかったかもしれない。佐野によって、新しいものが誕生した。ある意味で羽生の存在は先輩たちが残してくれた結果が力になっていると思います」

 以前、宇都宮直子さんのSportiva連載の佐野さんについてのテキストをご紹介したことがありますが、都築コーチが佐野さんを指導していた1970年代は、全てが試行錯誤だったといいます。

  「当時の合宿は山梨だったのですが、羽生(の環境)に比べれば何もないところ。その中でしゃにむにやってきた。教える技術も、日本には手本が何もなくて、そんな中で無駄のある練習の仕方をさせました。当時の佐野は1日8時間も氷の上で練習をしていた

  「それに比べると、羽生の練習量はその3分の1。私には佐野の経験があったので、短期間で吸収させることができたんです

 佐野さんに3回転を教えてきたことが、羽生君を指導をする上での大きな基本になったそうです。

  「特に羽生の正確性を持った3アクセルは、彼が小さいときに2アクセルからやったことが基本になった。まあ、一応私が教えたような気がします」

  「羽生が世界に出ることができた武器は、あのすばらしい流れのある3アクセルだった。あれを武器にして、強豪を相手に勝ってきました。それが4回転の基礎になったんです」

  (2)羽生君の技術習得の特長

   「羽生の場合は最初から覚えがものすごく早い、という生徒ではなかった。でもできあがったときは、どんどん並行してほかのものもマスターしていった」

  「羽生は4回転をやるようになってから、あっと言う間に2種類か3種類の4回転ができるようになった。早いですね。その高いレベルに挑戦できるような精神的、肉体的なバランスをとっていくのが課題になると思います」

  「羽生は小さいときから、イメージというものを大事にするスケーターでした。何かを習得するときにはまずイメージ作りをしてから練習をすると、確率の高い仕上がりになるんです」

  「目から入ってくるものを感覚的にとらえて、それを自分の動きに取り入れるような能力を持っているんです」

 子供の頃に羽生君がよく見ていたのが、プルシェンコのビデオ。そして、現役時代のプルシェンコは、驚くほどミスが少ない選手だったそうです。羽生君は繰り返しそのイメージを焼き付けることで、羽生君の中にあったもともとの能力が覚醒していったと、本書では書かれています。

 そして、このイメージトレーニングというのは、平昌五輪を「ぶっつけ本番」で、ベストパフォーマンスを披露する原動力になったのだと、私は思います。当時、プロスケーターや医療関係者は、本番のどれぐらい前に氷上練習を始めて、どれぐらいの時期からどんなジャンプを跳べていないと間に合わない、そんな持論を展開していましたよね。あとは、フィジカルトレーニングやスタミナの話等々です。

 ただ、彼らの口から「イメージトレーニング」という言葉を聞いた記憶が、私にはほとんどありません。リンクの上でやることが練習。バレエレッスンを受けることが練習。ジョギングやエアロバイクのような有酸素運動が練習。しかし、これらを行うにはしかるべき環境が必要です。

 もしかすると、日本のフィギュアスケーターにとって、リンク不足というハンデに風穴を開けるのが、徹底したイメージトレーニングにあるのかもしれませんね。リンクを貸し切って何時間もダラダラと練習できる環境があっても、汚いジャンプをコケてばかりの選手もいれば、一方で、羽生君のような氷上練習を制限された中でも、本番できっちり決められる人もいる。

 リンクはカネがかかる。でも、イメージトレーニングはタダです。羽生君は一刻も早くこのイメージトレーニングの方法を体系化して、しかるべき時期に、ぜひ指導の現場で役立ててほしいですね。オーバートレーニングによる怪我も防げます。良いことずくめではないかと。

 (3)羽生君を王座に導いたもの

  「彼はかなり精神的に強くて、負けず嫌い。負けるということが嫌いな人間です。環境づくりをしてあげれば、必ずできるようになるので、コーチからするとものすごく安心するんです」

  「彼は自分というものを、かなりしっかり持っている。それだけある意味ではコーチから見るとわがままに見えるかもしれないけれど、私から見ると、それは彼が持っている能力。モチベーションがものすごく高いんです。ジャンプにしても、表現にしてもかなりのモチベーションから創り上げてくる。それは素晴らしいものだと思う

 いわゆる、都築コーチが佐野さんに課したトレーニングというのはスポ根的な指導方法なんですが(宇都宮さんの本にその辺りは詳しいです)、イメトレの重要性をこのように語ってくださっていたり、だからこそ、まもなく80歳にして指導現場に立っている理由のような気がします。

 「結弦が怪我がちなのは鍛え方が足りない」なんて絶対に言いません。むしろ取材時の昨年8月、こう心配していました。

  「羽生は(精神的な)強さを持っていると思うんですが、彼の場合は体がダメージを受けるときがあるので、それがぶつからなければ。いつも大会のたびに何かが起きてるから、それがなければいいなと思っています

 恐れていたことが現実になったわけですが、それももう過去の話です。本書の都築コーチの章はわずか20ページほどなんですが、面白い話が随所にありました。もしかすると、Continuesでの佐野さんとのフリートークでは、この辺りのさらなる裏話も出てくるかもしれません。楽しみですね!

 では、また明日!

 Jun

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 さて、今回の「SEIMEI」および「バラ1」の再登板を受けて、「専門家の意見はどうなのか?」と、いろいろとチェックしてみると、今の所は、佐野稔さん(サンスポ)、岡崎真さん(スポニチ)、河合彩さん(日テレ「スッキリ!」)ぐらいでしょうか。

 「【佐野稔の舞評論】羽生、成功イメージある曲で勝負 金への強い意志感じる」(サンスポ 2017/8/10 5:00)

 「【岡崎真の目】羽生に『過去の自分を超える』という強い意志感じる」(スポニチ 2017/8/10 8:45)

 なぜ配信時間まで書いたかというと、語尾がともに「強い意志感じる」と一緒だったからです。これは珍しい!

 岡崎さんも、「五輪連覇と『過去の自分を超える』という強い意志を感じる」と五輪の金メダルについて言及しているので、その点では、両者は共通しています。

 やや見方が違うかなと思ったのは、SPとフリーの両方を「再登板」させたことへの、ジャッジの印象についてなんですね。

 稔先生は、「『SEIMEI』は、日本調をしっかり出し、躍動感があり、世界にインパクトを与えた『ディス・イズ羽生』といえるナンバーだ。SPの『バラード第1番』も羽生らしさが出る曲。その点はジャッジもよく分かっており、点数を出しやすい」と述べています。

 一方、岡崎さんは、「人間は過去の栄光を美化しやすいもの。世界記録を何度も更新した2季前の残像で『以前ほどのインパクトがない』というジャッジを受ける可能性はなくはない。ただし、4回転ジャンプの本数を増やすなど改良点はあるはずで、それほど心配する必要はないのではないか」と、ISUテクニカルスペシャリストらしい見方です。

 この岡崎さんのコメントには、あそこに座っている人たちは、「過去の残像」とは別に、技術面をしっかり評価できるはずだという「希望」が込められているようにも見えます。

 ちなみに、「スッキリ!!」での河合さんも、岡崎さんに近く、PCSで10点は出しにくいんじゃないか?と発言していました。

 ただ、私は絶対に忘れませんよ。ヘルシンキでのホプレガに対する、カナダ人ジャッジの、目が腐っているとしか思えないひでぇ採点も目の当たりにしているので、私は楽観視はしていません。

 だから、羽生君が「記録更新」ということをモチベーションにしているのは良いとしても、私自身はそこをあまり声高に言いたくないというのもあります。

 人が評価するものだし、しかもオリンピックですから、ワールド以上にあらゆるものが関わってくることでしょう。それは、羽生君自身にはどうしようもないことです。私も、ファンとして、その辺りは覚悟しておかなきゃなとも感じています。

 さて、岡崎さんのコラムでは、最後の部分でこんな指摘がありますね。

  「万が一、評価が定まらない場合でも羽生ほどの能力があれば、一つのプログラムに固執せず、五輪シーズン途中でも新たなものを投入できると思う」

 五輪直前のプログラムの変更については、「新プロから慣れ親しんだプログラムへ」というのは珍しくないと思いますが、羽生君の今季のケースではちょっと無いかなと。

 それよりも、コンディションにより、構成を変えるというのはあるかもしれません。

 あと半年とはいっても、これから色々あるでしょう。待ち受けているものすべてをファンの一人として受け止めて、羽生君を応援したいと思います。

 では、また明日!

 Jun

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 昨日の続きで再びSportivaです。なぜLifeの第5号を並べているかというと、「日本フィギュアスケート 挑戦の歴史」という宇都宮直子さんの連載企画が、Life5号の「コーチの肖像 Vol.4 都築章一郎」と深く関連しているからです。

 私のように、Lifeの都築先生のインタビューをすでに読んでいる方にとっては、今回の企画は「知ってることが多い」のは事実なんですが、主旨がやや違います。

 ・ Sportivaの方は佐野先生との師弟関係にフォーカスしている

 ・ Lifeの方は佐野先生以外のお弟子さんたちにも言及している

 ここだろうなと思います。で、いつもだったら、このLifeの都築先生のインタを画像としてすべてアップする所なんですが、もし、Sportivaの次号以降の内容とかぶるようだと、ちょっとなぁ・・・と思いまして、今回の宇都宮さんの記事を補足する形で、「コーチの肖像」の方にも触れたいと思います。

 (1)佐野先生の下宿の件――77頁3段目辺りから、都築先生が当時小学5年生の佐野少年を自宅に引き取ったという話があります。コレ、Lifeの方だと、「お兄さんと一緒に東京に出てきて、私(都築先生)のところに下宿するようになって」とありますね。

 (2)都築先生ご自身の競技者時代――76頁2段目~3段目で、日大に入学し、1958年にフィギュアスケート部を創設。その2年後、全日本ジュニアで優勝し、シニアに上がったとあります。元々、スケートを始めたきっかけは高校生ぐらいだったと。Lifeでは、この高校時代について言及があります。実は、先生の出身は愛知県で、名古屋スポーツセンターのリンクでスケートを開始されています。あの山田満知子先生と同じ頃で、誰に教わっていたかというと、小塚君の祖父にあたる、小塚光彦さんの指導を受けていたようです。名古屋のリンクの指導者の中に日大出身の方がいて、その方から「日大に来ませんか」と声をかけられたようです。

 (3)教え子たち――佐野先生の他に、長久保裕コーチ、無良隆志コーチという二人のお弟子さんとの思い出について、Lifeで語られています。Sportivaの方でも長久保コーチについては、1972年の札幌五輪に長久保選手がペア競技で出場した件が触れられていますね。

 Lifeの方で興味深かったのは、都築先生が拠点としていたリンクの変遷です。Sportiva(77頁2段目)では、都築先生が東武百貨店に就職したことで、佐野選手を「池袋のリンク」で指導したとあります。しかし、このリンクは1年で閉鎖となり、川崎球場近くのリンクに指導の拠点を移します。

 川崎球場といっても、たぶん若い方はわからないと思いますが、現・千葉ロッテマリーンズ(千葉マリンスタジアムは、FaOIの「幕張イベントホール」から近いんですよ!)が、ロッテオリオンズと名乗っていた頃の本拠地で、落合博満さんが三冠王を獲った頃が、まさに川崎球場全盛時代(!?)かもしれません。でも、つねにガラガラで、カップル(というか当時の呼び方でいえば、アベック)が、外野席の上の方でイチャついている様子が、よく「珍プレー好プレー」のような番組(ナレーションはみのもんた)で抜かれていました。

 Lifeによると、その川崎のリンクも結局閉鎖され、その後、品川のリンクを経て、新松戸へと移ります。この新松戸というのが、当時ダイエーの中内功社長が『オリンピック選手を育てろ』ということで作ったリンクだそうです。そして、その新松戸の10年後に、仙台にダイエーのリンクがオープンします。

 この仙台のダイエーのリンクが、現在のアイスリンク仙台です。

 アイリンについてはここで私が言うまでもないでしょう。田村岳斗さん、本田武史さん、荒川静香さん、そして羽生結弦選手。そう考えると、仙台のレジェンドスケーターたちの成長において、ダイエーが果たした役割は無視できませんね。

 ANAさんとかロッテさんとか東京西川さんとかバスクリンさんとか、ちょっと頑張ってくださいよ!と思いつつも、・・・てか、羽生君はきっとそこまで先を見据えて、未来のフィギュアスケーターたちのことを考えて、いま大企業の「広告塔」になることを引き受けてるんだろうなと思うんです。

 小遣い稼ぎにCMに出てるんじゃない。磯田道史先生のご著書じゃないですけど、羽生君の言動と行動を見れば、まさに平成の「無私の人」「無欲の人」ですよ(あの映画では、殿というより妻夫木君の役にこそ近いと私は思うのです)。だから彼を応援するんですよ、私は。

 ちなみに、Lifeの5号ですけど、今年の3月28日に発売された本ですが、いまパラパラめくってみると凄いですね。

 シニア&ジュニアのGPファイナルの特集号なんですが、やはりこの時もジュニアが面白い。男子シングルで優勝して、先のフランス杯でも衝撃を与えたネイサン・チェンのインタビューを収録。女子のシングルは、2015年も日本とロシアが3枠ずつ占めていて、1位ツルスカヤ(今年のGPFも出ます)、2位ソツコワ(先日のフランス杯で2位)、3位が真凛ちゃんでした。ちなみに、日本代表は他に、5位に白岩優奈さん、6位にあの三原舞依さん。4位のフェディチキナも含めた、女子のファイナリスト6人全員のインタビューも読めます。

 ちなみに、この時の三原さんのインタビューを読んでみると、

  「全日本ジュニアの4日前くらいから両足が急に痛くなって、両方とも水がたまっているんですけど、水がたまる理由がわからなくて、(日本で)病院に行ってしっかり治したいです」

  「『日本代表として行くのにちゃんとした演技ができなかったら申し訳ないから、棄権も考える』と先生に言われたんですけど、シリーズを頑張ってファイナルに出させていただけることになったので、諦めずに『自分を信じてやろう』って決めてました。痛み止めを飲んだり、注射してもらったりしました」

 もう、これを読んでいて、胸が苦しくなりましたね。スケアメの動画を貼りますけど、とてもこんな大病をした選手とは思えない、スピードとキレのある演技、そして笑顔が最高です。




 ※SPの演技後のキスクラで、スコアが出て、先生の「すごくない?」「すごくない?」を、バッチリ拾ってるのが微笑ましいですね。

 周囲は(というか私も)、やれ中国杯に勝ってファイナルや!、全日本で3番に入ってワールドだ!とか、色々と騒がしくなってくるかもしれませんが、とにかく無理だけはしないでほしいです。

 さて、Sportivaに話を戻してあと、二つだけ。

 ・真凛ちゃんへの力の入れ様が凄いですね・・・。確かに彼女は、もはや演技が始まる前から独特のオーラが出ていますけど、頼むからゲスなマスコミ連中は粘着しないでほしい・・・。まぁ、濱田先生がいるから心配ないと思いますが。そして、紀平さんと三原さんもしっかり1ページずつあって、Sportivaよくやった!という感じです。

 ・鈴木明子さんの「シリーズ展望」企画。宮原さんについて、「あえて課題をあげるとすれば、観客やジャッジを驚かせる爆発力」と指摘していて、その通りなんですよねぇ。素人意見では、それはもう3Aしかないんじゃないの?と思うんですが、メドベあるいは北米勢もこのまま平昌まで絶好調かどうかは分からないし、そこは濱田先生がどう考えているかでしょうね。

 ・ハビについて鈴木さんは、興味深いと同時にわりとぶっちゃけ気味なコメントをしていますね。

  「フェルナンデス選手は何でもうまくこなすように見えますが、意外と不器用で、振り付けを覚えるのに時間がかかったりするようです。努力家というタイプではありませんが、羽生選手の存在を意識してかなり練習するようになったと聞きます。どんなときでも『楽しそうに滑る』ことができるのは大きな才能です」

 これは、ミキティ情報ですか?・・・んなわけないか、と思いつつ、鈴木さんはアイスショーでハビと一緒になることもあるはずで、本人がフランクにそう語っていたのか、関係者から漏れ伝わってきたんでしょうね。こういうのは、記者やライターとのやり取りでは(ましてや外国人相手に)、なかなか話してくれないでしょうから、非常に貴重ですね。

 明日はたぶん、ユーリの第7滑走のレビューになると思います。幸い、新刊雑誌は続々と発売されるので、しばらくはネタ切れに悩まされず、しのげそうです。

 では、また明日!

 Jun

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 まず別件から。羽毛布団は買いませんけど、毎日新聞は買ってきました。スマホの影が映ってしまってすみません。税別で45000円以上の羽毛布団をお買い上げのお客様に、オリジナル特大ポスターカレンダーだそうです。こんなデカい広告を出してるんだから、西川さん儲かってるんですなぁ。

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 さて本題へ。2016年10月18日発売。これまで、「Vol.1」「Vol.2」「Vol.3」と初期の3冊をレビューしました。例の「週刊大衆」の件についての私の考えもそちら(「Vol.1」)に書いてありますので、ご参照ください。

 さて、本誌は全81ページで、両面ポスター1枚封入(片面が羽生君の「Let's Go Crazy」、もう片面は昌磨君)、これに加えて、「男子フィギュアスケート 2016-2017 主要大会書き込み式スケジュール表」なるものも綴じ込まれています。あ、そういえば、本号から、表紙の「女性のためのフィギュアスケートマガジン」という売り文句が消えましたね。

 スケジュール表は、まぁ、カレンダーのようなもので、かつて「Vol.2」に封入されていた「アイスショー&主要大会スケジュール表」と同じデザインです。2か月ごとに写真が一枚使われています。羽生君は、(1)「天と地のレクイエム」(15年GPファイナル)、(2)15年全日本選手権の表彰式後のワールド出場決定者との記念撮影、(3)15年NHK杯表彰式(無良君&ボーヤンと)、(4)15年スケカナ合同記者会見(パトリック&村上君と)で登場しています。

 誌面構成について。まず、オータム特集では写真中心に14ページ。SPとフリー演技時の写真に特化していて、ジャージ姿でのウォームアップや移動中の写真はありません。 ちなみに、「王子」といえば、激ダサの極致ともいえる創作セリフがいちいち写真についていたんですけど、今回はかなり控え目で、とくに羽生君のオータムの写真については、演技後のインタビューから取っているので全く気になりません。この点は評価したいです。

 次に、今季の羽生君の出場(予定)試合を「2018平昌五輪への挑戦」という形で紹介しています。これに16ページ割いているんですが、写真のチョイスがいただけません。「※昨シーズンの大会の画像です」と小さく印字されていて、「バラード第1番」と「SEIMEI」の写真ばかりで埋まっています。昨年この二つの衣装は散々見てるし、もうちょっと工夫があってもいいのでは?と突っ込みたくなりますね。

 さらに、「ゆづの夏、そして秋へ」と題して、6ページにわたって、今年のワールド後、トロント公開練習までの羽生君の発言を抜粋して、写真とともに掲載。その写真が、バラードとSEIMEIと顔のアップ(黒ジャージ)のみで、またじゃん!という感じ。

 「抜粋」とはいっても、すでに他誌でトロントでのインタビューをフォローしている方からすれば、この時期に出しておいて、発言のコマ切れを寄せ集めて古い写真に合わせるという、この企画の存在意義がまったくわかりません。他誌より遅く出すんだから、遅く出すなりの「強味」を誌面で表現してほしいものです。のんきに作ってるなぁ・・・とガッカリ。

 羽生君以外の記事については、佐野稔先生の分析が面白かったです。佐野先生は、すでに発売されている「オフィシャルガイドブック」でも「男子シングル展望」をされていて、そこでは、「フェルナンデスよりもボーヤンを警戒すべし」「サモーヒンが不気味」と、私にはとても新鮮な内容でした。

 こちらは二部構成になっていて、五輪を見据えての今季の展望とGPシリーズの各試合の注目点を語る、そんな内容です。特に前者が面白くて、「五輪に向けての戦い方」という部分で、ソチでの羽生君、トリノでの荒川さんの事例に触れています。

  「羽生選手にとって4回転ループは来シーズンの五輪用だと思います。今シーズン、ループに挑戦して仕上がりが良かったら来シーズンもプログラムに組み込むという気持ちで挑むはずです。羽生選手はソチ五輪に出場した際、4回転サルコウはまだ完璧ではありませんでした。それでもプログラムに組み込み、転んでも金メダルを獲りました。あの時は4回転サルコウを完璧に跳べる選手はいませんでした。それでもぶっちぎりで優勝できましたしね。平昌五輪では4回転を2種類以上跳ばないと勝てないでしょうね。3種類跳ぶ方が有利でしょうね。その時、他の選手がどんなジャンプを跳ぶのかも把握しなければなりませんね。周りの状況を見ながらギリギリまで待って4回転を何種類、何回跳ぶかを決めればいいんです。それも作戦です。」

  「一番顕著な例が荒川静香さんです。トリノ五輪の時、女子は3回転+3回転を跳ぶか跳ばないか、跳んだらすごいと言われた時代でした。荒川さんはトリノ五輪までは3回転+3回転を跳んでいました。だから周りの選手たちも3回転+3回転を跳ぶのに躍起になっていました。しかし、荒川さんは本番では3回転+3回転を跳ばなかったんです。実際は3回転+2回転でした。周りは散々踊らされて本番でミスをしてしまった。これも作戦なんです。荒川さんにとって3回転+3回転のコンビネーションジャンプを入れないプログラムはすごく簡単だったはずですが・・・。」

  「自分の持っている実力の80%をパーフェクトに滑り切るのがオリンピックの確実な勝ち方です。ただ侮れないのは若い選手ですね。若手は捨て身の覚悟で大勝負に出て勝つこともあります。オリンピックはそういう勝ち方もあります。・・・羽生選手がどういう方法で戦うのか・・・ループをマスターすれば、2通りの作戦で闘うことができるのが羽生選手の強みになります。」

  「・・・羽生選手の性格から考えればリスクを回避するのではなく、ループで戦うと思いますが・・・。ただ、羽生選手も大人になっていますからね。」

 まぁ、羽生君は間違いなく平昌でもループを跳ぶでしょう。

 ただ、優勝候補がこの羽生君とハビの二人のみという状況だと、色々と面倒くさい嫌な噂を耳にしそうな予感もするので、私の理想は、二人に匹敵するライバルとの混戦状態になって、駆け引きなどする余裕もなく、羽生君もハビも全力勝負!という構図になってもらいたいです。

 こういう雑誌をレビューするときは、「なんだよこれ・・・」と、PCの前で舌打ち混じりで夜な夜なブツブツと毒づきながら、記事を書いています。「アラ探し目線じゃダメ!コンビニスウィーツがうーたらかーたら」なんて前の日に書いておきながら、ごめんなさい、やっぱり、ダメなものはダメ。我慢できませんでした。 
 
 では、また明日!

 Jun

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 2016年10月1日発売。アマゾンに未だにレビューが上がっていないので、みなさん、この雑誌の購入は後回しなのかなと想像します。でも、なぜなのか。

 先にレビューした2冊とボリュームの面で比較してみると、

 マガジン→→全100ページ&ポスター2枚で1194円(税別)

 Life→→全146ページで1700円(税別)

 ガイドブック(本誌)→→全100ページで1800円(税別)

 こうやって並べてみると、あらら?ずいぶんと強気な価格設定だな・・・と、確かにコスパの面ははっきり負けているので、手が出にくいのはしょうがないですね。

 で、今回もせっかくなので2度に分けてレビューしますが、今日は羽生君関連と男子選手の記事を。明日は女子選手の方を見ていきます。

 まず、羽生君の記事に関しては、上記2誌と比べて、さらに薄いです。内容的には、(たぶん)GPFのSEIMEIの写真が見開き2ページ。昨季の闘いを写真とともに振り返り、ギネス授与式もチラっと紹介して、これが4ページ。先月のトロント取材は、羽生君との一問一答のやりとりと写真で4ページ。計10ページです。

 す、すくなっ!

 と、拍子抜けです。そもそも表紙がSEIMEIの時点で、トロントの取材すら無いんじゃない?と嫌な予感はしたんですが、辛うじてトロント公開練習も収録。ただ、この一問一答が合同会見のものじゃね?というぐらい、知っている内容ばかりで、案の定、個別取材時のVネックのTシャツの写真が無いので、もしかしたら、初日しか取材していないのか、あるいは「別の目的」のために出し惜しみしているか。ただ、面白い写真が一枚あります。

 いつも羽生君の取材時に背後に立てかけられているANAのついたて(看板?)を黒髪セミロングの女性が設置していて、羽生君が「おっ?」と後ろを振り返るカット、

 これはレアかもしれません。小さい写真ですが、自然な表情なので、ぜひ書店でチェックしてみてください。

 さて、羽生君の記事については、もう語ることはありません。で、このガイドブックがマガジンやLifeと違う点は、海外選手も一通りまとめられている点。例えば、今季の男子シングルの展望を佐野稔先生がなさっていて、2点、面白い!と思うコメントがありました。

  「フェルナンデスは、当然、世界選手権3連覇を狙ってきます。手強い存在ですが、羽生は同じリンクで練習していて動向はわかるでしょうから、それほど恐れることはないと思います。むしろ伸びしろを持っている金(博洋)のほうが脅威かもしれません。

  「侮れないのが、山本(草太)と同じくシニアデビュー組のダニエル・サモーヒン(イスラエル)とネイサン・チェン(アメリカ)です。サモーヒンは、今年の世界ジュニア選手権フリーで3度の4回転を跳び、逆転優勝しました。いったいどこに4回転を隠し持っていたんだという感じですよ。GPシリーズはカナダ大会と中国大会にエントリーしていますが、GPファイナルに残る可能性も十分ありますよ。」

 1つめの方は、正直、実力・実績ともにボーヤンよりもハビの方がまだ上で、私の見立てとは逆です。ただ、ボーヤンはジャンプは凄いわけで、いきなりスケートアメリカで昌磨と一騎打ちですし、どれぐらい仕上がっているかは興味があります。

 2つめ。16年の世界ジュニアって、ネイサンは怪我で欠場だし、草太君が出場してたら普通に勝ってたのでは?というのが、私の認識でした。ただ、この雑誌はやけにサモーヒン推しで(その割には写真がない!)、上の佐野先生の記事と重複しますが、別の所でも、

  「天性のエンターテイナーでもある彼は、個性的なプログラムで観客の注意をそらさない演技を見せる。今年の世界ジュニアではフリーで3度の4回転を成功させ、SP9位から一気に逆転優勝を果たした。」

 と、しつこくプッシュしているので、私も注視してみようと思います。

 あと二つ。一つは、松岡修造さんのインタビューがまた熱いです。

  「羽生さんがすごいのは、『照準を合わせるのは、ファイナルではなく世界選手権でいいのでは』とのまわりの声もあるなか、『1回ならまぐれもある。"こいつは本物だぞ"と思わせるのは、世界最高得点を連続で出せるファイナルしかないんだ』と言っていたことです。ファイナルで更新した点数より何より、そういうとらえ方が異次元だなと感じます。』

 これ、私は初耳でした。『メソッド』にも『蒼い炎II』もにもなかったはずだし、修造さんの熱気に押されて、さらに強気な発言が出たんですかね。もう一つ引用します。

 ――その二人(羽生君&昌磨)を追う若手として山本草太選手がシニアGPデビューします。

  「草太さんと話した時に、『まだ自分は羽生さんや昌磨さんのいるトップグループに入れない』という発言をしたことがありました。謙遜なのかもしれませんが、でも僕は正直、『入りたい』と言ってほしい。僕は、あえて彼には、『もっと自分を大きく持とう』と伝えたいですね。

 もう、あの長身をかがめながら、修造さんはすでに草太君に伝えてるんじゃないか、その様子を脳内にはっきりイメージできるのは、きっと私だけじゃないはず・・・。やっぱこの人のキャラは濃くて、熱くて、もう大好き!

 最後に、無良君と漫画家の久保ミツロウ先生の対談も楽しく読めました。アニメ「ユーリ!!! on ICE」放送記念のトークで、これ読んでて思うのが、無良君は人格者ってだけでなく、競技者の心理・視点を適格に語ってくれて、解説もいけるんじゃない?と。

 アニメの方はこの記事がアップされて数時間後、深夜2時21分からテレ朝で。BS朝日で10/9(日)の深夜1時からも再放送があるようです。

 わざわざアニメのキャラ用の振付を宮本賢二先生が監修(というか、夜にリンクを貸し切って実演したとか!)らしくて、賢二先生忙しいのに、ご苦労様です。

 私もしっかりHDDに予約しましたんで、皆さんもぜひ見ましょう!

 では、また明日!

 Jun

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