On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

タグ:宇都宮直子

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 「オール讀物」(2018年5月号、4月21日発売)の宇都宮直子さんの平昌五輪観戦エッセイをチェックするタイミングを逸してしまっていたところ、「文春オンライン」で5月13日に再掲されていました。

 一読してまず興味深かった点は、「風景の描写」ですね。左翼メディアに掲載される原稿だったら、何か所も直しが入りそうな率直な物言いで、ニヤニヤしちゃいました(笑)。

  「ただし、(2月16日、男子SPの日でも)会場は空席が目立った。チケットは完売と聞いたが、日本の試合と比べれば、がらがらな感じがした。アリゾナから来たという、恰幅のよい夫妻は荷物を置いたり、食べものを置いたりして、席をむっつほど使っていた」

  「上の方の席には、ボランティアの女性が、席を埋めるために動員されていた。スマートフォンを見ていたり、ポップコーンを食べているような人たちだ。眠っているような人さえ、いた。もし、日本からの観客がいなければ、このオリンピックは失敗だっただろう。私見だが、フィギュアスケートに限って言えば、絶対にそうだ

  「(17日の男子フリーの客席で)隣に座っていた中国人の記者(チャーミングな若い女性だ)は、競技に興味がないようだった。ずっとメールをしていて、試合は観ていなかった。でも、『私は羽生が好きなの』と言っていた

 私は平昌五輪を現地で観戦したわけではないので、この描写が正しいかどうかは、現地観戦された読者の方のコメントをお待ちしております(笑)。

 ただこの方は、けっして嫌韓・嫌中なのではなく、伊藤みどりさんの時代から、日本のフィギュアスケートを応援してきた方で、その想いが強く出ていると言えますね。

 例えば、ヘルシンキワールドの会場に日本のファンが集っているのを、ヨーロッパのプレス関係者が「客席を見てみろよ、まったくクレージーだ」と揶揄しているのを見て、「もし、状況が気に入らないなら、あるいは羨ましいのなら、彼らは自力で、自国の会場を満席にすればいいのだ」と、エッセイの中で強い口調で書いていました(「Sporiva 羽生結弦 平昌への道」)。

 さて、平昌五輪での羽生君の演技に関しては、素人の私がいちいち論評するのを憚られるほど、迫真の記述になっています。まずは、ぜひ味わっていただきたいです。それをまた、コメント欄で皆さんと色々と議論したいなと思います。

 私も現地観戦した昨年の全日本を思い返してみると、怪我明けの選手を生で見ると、やっぱり胸に迫るものがあります。それはすなわち、山本草太君のSP「アンセム」なわけですが、ジャンプの転倒とか回転不足とか正直どーでもよくて、熱心なファンでもない私でさえ、最後まで滑りきってくれるのかどうか、祈るような心境だったことを鮮明に記憶しています。

 平昌五輪の現地観戦組のゆづファンは、きっと五輪連覇が確定したから涙が出たのではなく、リンクに彼が本当に戻ってきてくれたこと、彼が眼の前で滑っている現実に、涙を流されたんじゃないかなと思うのです。

 もちろん、プロの物書きがそれでは仕事にならないので、宇都宮さんはしっかり描写してくれていますが、それでもさすがに今回は力の入り方がちょっと違うなぁ・・・と、いつものどこかクールな筆致は影を潜めていて、嬉しい驚きでした。

 では、また明日!

 Jun

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 今日も引き続きSportivaです。バックナンバーは「こちら」。今回は、「羽生結弦へのまなざし」という、次の3氏のインタを見ていきます。

 (1)都築章一郎 恩師が見守る成長

 取材は宇都宮直子さん。冒頭部分で都築先生が「昨日見てきたんです」とCWWのパンフレットを宇都宮さんに見せているので、先生が招待されたのが2日目の公演日だったことを考えると、取材日は4月15日(日)だったのでしょうか。

 まず注目すべきは、CWWの「裏話」が少し披露されている点ですね。記者によるレポートは本誌も含めて色々と読める状況ですが、「関係者の証言」は初登場だと思います。

  「羽生だけでなく、昔教えた子たち(佐野稔、川口悠子ら)も出演していて、皆の小さい頃を懐かしく思い出しました」

  「羽生は元気にしておりました。ジャンプは跳ばなかったですが、それなりにきちんと滑りました。・・・演技後は、足を氷で冷やしておりました。だから、まだ完全に回復したわけではないと思います。できる範囲を披露したという感じでした

  「会場から温かい応援をいただいておりまして、羽生も、勇気をもらえたのではないでしょうか。ファンの方々と、喜びを分かち合えているのが、とてもよくわかりました。見守られ、励まされ、また新たな気持ちになれたのではないかな」

 アイシングしていた様子は、今回のテレ朝チャンネルの放送でも映されていて、これを見てファンも心配していたようですね。ただ、FaOIの「全公演出演」も発表されましたし、あのアイシング自体は「ルーティン」ではないかなと思っています。むしろ、ジャンプを跳ばないショーであってもしっかりアフターケアをする、彼が自分の身体を大切にするということは、我々ファンのことを大切に思ってくれていることも意味します。個人的には嬉しく感じました。

 平昌五輪での羽生君についての先生の論評は、すでに他のメディアでも読んでいるので今回は割愛するとして、インタビューの最後のやり取りが印象に残りました。

 都築先生は、かつて羽生君が幼い頃に、「芸術家になりなさい」と語りかけたそうです。そして、今は次のようにお考えのようです。

  「文化というレベルまでフィギュアスケートを高めてもらいたいと思っています。そういうものを彼には追求してもらいたいし、挑戦し続けてもらいたい。この間会ったときは、期限については言わなかったですが、『もう少し、スケートは続けるよ』とは言っておりました。彼の持つ欲望は、挑戦をやめないという宣言ではないかと思います」

 「文化というレベル」というのは、大きな実績を残したマイナースポーツの競技者がよく言いますよね。私の記憶では「なでしこJAPAN」のどなたかがそう語っていた記憶が、瞬間的に頭に浮かびました。

 私見ですけども、私が考える「文化のレベル」というのはシンプルで、「より多くの人にとって、それが生活の一部になること」だと思っています。試合やショーがあればテレビをつける。ヤフーニュースにフィギュアの話題がなくともSNSでなんとなくつぶやく。ショーや試合の会場に足を運ぶ。

 よく、「羽生が引退したら、フィギュアブームも終わり」と言う人がいますが、たしかに私自身も「ゆづファン」というのは、平昌五輪の頃は、「これまで応援してきたファン」のことだと思っていました。

 だから、実を言うと、「ぴょん落ち」という方々がいたことにかなり驚いているのです。「なんで今まで知らなかったの?」って感じですし、そう考えると、いつ誰がハマるか分からない。もちろん、都築先生がおっしゃるように、羽生君が「特別なプロジェクト」をすることも大切だと思いますが、若手選手がどんどん彼に続いてくれて、スケートに打ち込めること。スケーターたちを我々がなんらかの形で応援しつづけること。そんな関係が「継承」されることも、「フィギュアスケートが文化となるため」に必要な要素なのかなという気がします。
 
 (2)ブライアン・オーサー 名伯楽の思い

 取材は野口美惠さん。最近、野口さんってブライアンにインタビューできてるの?と、心配していたんですが、新しい情報が含まれていました。2つご紹介します。

 まずは、羽生君が1月に氷上練習を再開した時の状況について。

  「ケガが再発しないよう、4回転ジャンプの本数は制限していました。結弦は若く、そして挑戦心に溢れているので、こんなケガを抱えた状況でも、ジャンプをたくさん練習しようとします。調子が悪い日にがむしゃらに練習したら、NHK杯と同じ悲劇が起こります。ですから私たちコーチは、結弦がうっかりたくさんジャンプを跳んでしまわないよう、彼のコンディションをよく見極めながら本数制限をしていました

 平昌オリンピックの公式練習で、ブライアンとブリアンがリンクサイドで練習を見ていたように、1月のクリケットのリンクでも、「監視の目」を光らせていたのでしょうね。ケガによるブランクを猛練習で埋めたいと思う競技者と、それにブレーキをかけようとする指導者という構図。ただ、昨日の記事でご紹介したソチ直後の羽生君の「身体のケアについての見解」を思い返すと、いくら「無茶した前科」のある彼であっても、今回は大事な試合ですから、「うっかりたくさん」という気持ちは起こらなかったのでは?と思います。

 もうひとつは、17-18シーズン前の「準備」の部分です。

  「結弦の勝因は、なんといっても、シーズンの早い段階から仕上げていたことに尽きます。まだ昨年夏のことですが、結弦とハビエルとは『夏のうちに練習を貯金しておくこと』を話し合いました。そうすることで、ケガや何かしらのハプニングがあって練習を休み、氷から離れて過ごすようなことがあったとしても、練習の貯金が使えるのです

  「オリンピックシーズンは誰もが普段以上の緊張感のなかで過ごし、無理もしますから、通常のシーズンよりもケガをするリスクが高いのです。これは私の長年の経験上、多くの選手を見てきてそう感じています。ですから夏にいったん仕上げておいたことが、彼の何よりの心の支え、自信になっていたことでしょう」

 これを読んでふと感じたのは、エテリコーチにはこういう発想は無かっただろうな・・・ということですね。「出る試合は全部勝ちなさい」「強い者が勝つのです」という調子で。後輩からの突き上げもある。

 メドちゃんは、羽生君と同様にNHK杯の時から明らかにおかしくて、大阪で精密検査をしていましたよね。その後、休んだのはGPファイナルとロシアナショナルだけで、年明けのユーロは出場しました。練習再開時期と、練習量はどうだったのか。チームも移籍したし、本人も「悪口は言いたくない」と語っていましたが、この辺りの事実も今後明らかになるかもしれませんね。

 (3)吉岡伸彦 4回転半の可能性

 最後に、吉岡さんのインタを。「羽生君の4A挑戦」については、地上波番組でも吉岡さんの見解は紹介されていましたので、省略します。

 一点だけ、男子と女子の比較で興味深い発言があったので、ご紹介します。

  「男子のトップクラスの選手はみんな、これがいいフィギュアスケートだ、というのを目指しているように見えます。ただ女子、特にロシア勢はどうなのか。アリーナ・ザギトワの演技を見たときに思ったのは、あのプログラムは高得点を取るための要素を全部寄せ集めたものなのではないかということです

  「もちろん、現行のルールのもとで勝つために何をすべきかを研究して、それに合わせて作ったという意味では正しいんです。ノーミスだからジャッジも点数を出さざるを得ない。でも、そうやって寄せ集めたのは、本来のいいフィギュアスケートとは少しずれてしまった、フィギュアスケートに似た何かになってしまったような気がしてなりません

 もし、平昌五輪の男子で優勝したのがネイサンだったら、「男子のトップはみんな、いいフィギュアスケートを目指している」と吉岡さんはおっしゃるのか、女子で優勝したのがメドちゃんだったら「寄せ集め」と言えるのか、そこはやや疑問です。

 ただ、ザギちゃんは、ジャンプ全後半というだけでなく、あのせわしない振付によって「寄せ集め感」を覚えてしまうのは否めません。エテリ組の他の選手もジャンプは後半集中型でしたが、すべての選手に「寄せ集め感」があったかというと、少なくとも私はそういう印象は無かったです。

 そもそもここ数年の女子シングルは、「勝つために3Aは必要ない」ことから、4回転必須の男子と比べたら「完成度重視」と言われていたはずなんです。でも、ジャンプの技術的な部分は3回転+3回転で頭打ちになっていたことから、「エテリ組のスタイル」が「頭ひとつ抜け出すための優位性」となり、他方で、クワドの種類・本数で選手によって幅(個性)の生まれた男子よりも、女子の方が「画一化」したように見えてしまいました。

 ルール改正によって、GOEの11段階制導入と、ジャンプ後半化への制限が新たに付け加えられると言われています。もしかりに、女子がジャンプのGOEをもらうために、今まで以上にジャンプにタノが必要になる事態になったら、嘆かわしい限りです。そうなってもらわないでほしいですね。

 そこにくると、やはりクリケット移籍後のメドちゃんがどんなプログラムを滑って、どんな評価を得ることになるのか、ひとつの基準になるような気がします。

 では、また明日!

 Jun

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 2018年2月5日発売。定価「1728円」。宇都宮さんの書籍やエッセイについては「こちら」も参照。

 平昌五輪後の新刊雑誌ラッシュも小休止という感じなので、五輪前に購入して積んだままになっていた本書を開いてみました。

 今日は「第四章 羽生結弦のいる時代」について、ご紹介します。

 発売日が2月5日で、しかも今季の羽生君は、昨年11月のN杯での怪我の後、2月中旬の平昌五輪まで公の場に姿を見せていませんから、内容的には既知のものばかりです。しかも著者は、SportivaやSPURなどで精力的にフィギュアスケートのエッセイを発表していて、「どこかで読んだことあるなぁ・・・」という記述もけっこうな部分を占めていました。

 大まかな内容としては、羽生君のヒストリーを、4歳でフィギュアスケートをはじめた頃から現在まで駆け足で見ていくものですが、単なる歴史の記述ではなく、関係者への取材に特徴があります。

 その肝になっているのは、都築章一郎コーチです。日本のメディア相手に、羽生君について多くを語ってくれるのは彼しかいませんから、五輪前に出た本書の都築先生のインタに新しい情報なんてあるのかな?と思っていたら、私の知らなかったお話もいくつかありました。

 (1)震災直後の「相談」(169~171頁)

 以下、都築コーチの発言を引用します。

  「羽生は、仙台に強いこだわりを持っていました。それは、彼のプライドでもあったと思っています。大震災のあと、羽生は横浜へ来ました。ここ(神奈川・横浜銀行アイスアリーナ)で練習して、チャリティショーへ参加するという日々でした」

  「そうやって、スケートへの気持ちを取り戻していったのですが、ほんとうに徐々にという感じでした。ダメージは大きかった。傷ついていました。仙台は、彼の支えだったと思います。『絆』という言葉がありましたけれど、心の中で、深く絆を結んでいたのではないでしょうか。仙台を愛していて、絶対に離れたくないと言っていました」

  「ただ、ご両親は彼の将来について、いろいろと考えておいででした。仙台に残るか、新しい環境か、そういうことです。正式な相談をお受けしたのも、あの頃だったと思います

  「私が羽生のコーチだったのは、小学六年生までとなっているようですが、事実ではありません。週末に、彼が横浜に通うという形で継続していました。練習には、いつもお母様が同行されていました。ご両親は、いろんな環境を与えてやりたいという考えをお持ちでした。その選択肢のひとつが、私の存在であったかと思います」

  「これまで、誰にも話さずにいたのですが、仙台で練習できなくなった頃、ご両親からこういう話がありました。指導を、私と長久保先生に託したいという申し出です。『ふたりで協力して、育ててほしい』と言っていただいた

  「私もできれば、そうしたかった。日本のコーチは優秀です。長久保先生も、とてもいい。実力があります。ご両親も、良さを感じていらした。ただ、環境が許さなかった。日本に足りていないのは、いろんな要素を総合的に満たす環境です。教えられる自信があったとしても、子どものためにならないのなら送り出す。そういう覚悟は必要です。いい選手を作ろうと思うとき、プライドは邪魔になります。邪魔なだけです。どれほどつらくても、捨てなくちゃいけない」

  「ご両親とはよく話し合いましたし、信頼もしていただいたと思っています。提言は、今日の結弦の姿を見れば、方向性としては間違っていなかったのではないかと思います。少しですが、自負するものもあります」

 以上、都築先生の証言です。ここでいう提言とは、都築先生がなさった「(羽生君が)世界に羽ばたくための、次のステップへの提言」で、つまり海外移籍ということですね。

 ここで、城田さんの著書の内容を思い返すと、そこでは、彼女が、11年夏に羽生君のお母さんから練習環境の窮状を聞いて、「デトロイト、コロラドスプリングス、トロント」の「三つの行き先を提案した」と書かれていました。

 ここからは私の推測ですが、羽生君のお母さんも最初は都築先生に相談をして、まずは国内での練習拠点の移籍を考えたんじゃないかと。ただ、移籍がすぐに決まらないので、城田さんにも相談をした。そして、城田さんは、「ならば結弦は、私が何としてでも、海外に行かせる!」と、彼女がその剛腕で一気に話をまとめたんじゃないかと・・・。結果的にブライアンの所に行って大正解ですから、もはや誰も文句は言わないですよね。

 このような情報が明らかになる前は、「阿部奈々美先生の意思は?教え子を取り上げられて、かわいそう」という意見もあったようですが、なにより、羽生君のご両親が練習拠点の移籍を積極的に考えていたというのは、抑えておくべき事実だなと思います。

 (2)質こそが要求される四回転時代(191頁)

  「現在、世界のトップ選手は、複数の種類を四回転で跳ぶ。それが、当たり前になった。だが、ほんの数シーズン前までは、そうではなかった。四回転トーループだけで、勝負になった。二種類持てば、勝てた。コンポーネンツをまとめることで、高い得点に繋げることができた」

  「たとえば、カナダのパトリック・チャンのスケートは、とても美しい。ずっと見ていたいような滑りをする。あの時期まで、彼のコンポーネンツは最強だった。しかし、今はその差がつまってきている。コンポーネンツでは、ジャンプの差を補うのが難しくなっている。彼は二種類しか四回転を跳べないのだ

  「疾風怒濤の展開を見せる現在、二種類では苦しい。平昌では、おそらく勝負にならないだろう

 おそらくこの部分は昨年中に執筆されたもので、手直しせずにそのまま出版という形になったのでしょうね。

 結果的に4Sと4Tで羽生君が金メダル、同じくその2種類のハビも銅メダルを獲りました。来季のルール改正がどうなるか不明ですが、GOEの11段階制が導入されれば、若手選手も、基礎点の高い4Lzや4Fをがむしゃらに目指すのではなく、自分の得意なクワドを高いクオリティで跳ぶ方向性に落ち着くような気がします。

 Pさんに関して言えば、たとえ2種類であっても完璧に降りていたら、平昌五輪でもメダル争いに絡んでいたと思います。彼の問題は、クワドもそうですが、3Aの成功率も落ちていて、ジャンプの精彩を欠く場面が目に見えて多くなりました。PCSも(いろいろ意見はありますが)、地元カナダ開催のスケカナで宇野選手より低いスコアになったり、ジャンプも含めた総合力という部分でシビアに見られたのかもしれません。

 (3)欧米と日本のフィギュアスケート人気(194頁)

   「欧米のフィギュアスケート人気は、低迷している。たとえば、アメリカでは過去、三大スポーツ(フットボール、バスケットボール、野球)に次ぐ人気と言われていた時代があった。試合はもちろんゴールデンタイムに放送されたし、二万人規模のアリーナは観客で埋め尽くされていた

  「状況は、現在の日本に似ている。そっくりだ。つまり、フィギュアスケートは、国民的な競技だった。だが、現在は違う。録画放送が一般的だ。視聴率もよくない。むろん、会場は満席にならない。状況は、過去の日本に似ていた

 アメリカでそんなに大人気だった頃って、誰がいた頃?ジョニーとか?もっと前?と、私はいまいちイメージできないのですが、今回の平昌五輪の北米向けの競技時間の変更は、まさにその人気回復のために狙った策が完全に不発に終わった感がします。

 ところで、ザギちゃんの優勝が、後半ジャンプ固め打ちに対するルール変更や、ワグナーのツイなどによってケチがつけられていますが、ルール変更があってもロシア勢はその新ルールを綿密に研究・分析して、まだしばらくは勝ち続けるだろうと思います。

  ロシア女子の特にエテリ組の子たちは、それこそ羽生君のように、フィギュアスケートに命懸けで取り組んでいて、そこが決定的な差になっている!

 彼女たちの強さに秘密なんてなくて、答えはこのようにシンプルだと私は考えています。アメリカの女子も、グレイシー、カレン・チェン、マライア・ベル、あるいは今季もっとも期待されたテネルと、彼女たちもポテンシャルは十分なはずなのに勝ちきれないのは、いまの米国の指導現場は選手の自主性を尊重しすぎているのか、どうも演技がユルイんだよなぁという印象です。

 日本のフィギュアスケートも、欧米のように衰退してしまうのか?・・・いやいや、私はあまり悲観していません。

 なぜかと言うと、私は将棋も好きで見ているんですけど、藤井聡太君が登場する前の将棋界というのは、フリーソフトでさえプロ棋士よりも完全に強くなり、スマホカンニング疑惑もあったり、将棋連盟の幹部が総退陣する事態になっていました。どん底の危機的状態でした。

 あれを思えば、すでにフィギュアスケート界には、紀平梨花ちゃんがいるし、山本草太君や須本光希君もいる。もちろん、我らが羽生結弦も、クワドアクセル挑戦への道という、独自の進化を遂げてくれることでしょう。未来は明るいですよ!

 世界ジュニアも間もなく始まります。2022年の北京五輪の女子のメダル候補は、トゥルソワとコストルナヤが中心になると私は見ていますが、これから4年間、梨花ちゃんがどれだけ戦ってくれるか、楽しみですね。

 そういえば、某匿名掲示板で、

  「ハビもスペインに帰るんだし、紀平をオーサーの所に送りこめ!」

 という書き込みを見かけましたが。たしかに彼女はジェフのプログラムも滑っているし、いやぁ、まぁ、そりゃ分かるけどさぁ・・・。城田さんが一仕事してくれることを密かに期待してますが、濱田先生が出すわけがないし・・・。

 では、また明日!

 Jun

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 2017年5月23日発売。ここ最近、重量級の記事が続いたので、今日は軽めにこちらを。

 もちろん、お目当ては、宇都宮直子さんのコラム「スケートは人生だ!」(218頁)です。

 宇都宮さんはヘルシンキのワールドに取材に行かれていて、プレスパスももらって、滑走順抽選会等にも直接足を運ばれていたようです。

 まず、印象に残った記述といえば、宇都宮さんが羽生君の「背中」に注目していたということです。

  「ショート終了後に、フリーの滑走順を決める抽選がある。・・・羽生は、いちばん前の列に、宇野昌磨と並んで座っていた。羽生の横顔には、笑みが浮かんでいた。ただ、背中には失意があった。肩が落ちて、首がいつもより長く見えた。当たり前だが、悔しそうだった

  「一方、背中は尖ってもいた。固く引き締まった意志を、感じた。それは、どこか渇望に似ていた。そんな気がした。実際、彼は反省だけを口にしたわけではない。『このままでは終われない?』と訊かれて、『もちろん、金メダルを獲りたいので、しっかり調整します』と答えている」

 →→おそらく、宇都宮さんは、記者たちのように羽生君を至近距離で取材してはいないはずで、だからこそ、羽生君の背中を見ながら、その印象を言葉にしたのでしょうね。面白い所を見ているなぁ、と感心しました。

 もう一つ。SPとフリーの演技を、それぞれ以下のように描写しています。

  「ショートの滑り出しは上々だった。上々すぎて、失敗が想像できなかった。ただ、彼は普段よりも少し静かに、見えた。はじめは、ペース配分を考えているのだろうと考えた。羽生のショートは『激しさ』に終始する。ペースを守らないと終盤が苦しくなる。それに、彼は今シーズン、まだ一度もパーフェクトな演技を披露できていない。大舞台に期するものはあったろう」

  「・・・フリーに臨むにあたり、彼は『日本の音楽のすばらしさを感じていただけたら』と考えていた。使用曲は『Hope & Legacy』。その調べに溶け、羽生は流れていた。自身で、音を奏でているようだった。・・・彼はまったく自由だった。羽を得たように、見えた。ループ、サルコウ、トウループを4回転で完璧に跳んだ。・・・スピンを美しく回った。ステップを空を舞うように、踏んだ。圧倒的だった。支配的だとも思った」

 →→ある意味で「制約」の中にあった「Let's Go Crazy」。一方、どこまでも自由で、羽を得て、空を舞うように演じた「Hope & Legacy」。宇都宮さんは、そう感じたようです。

 羽生君もいい意味で開き直ったことで、ヘルシンキのホプレガは、自然体で無駄のない、そして完璧な演技として結実したと、私は思います。

 そして、なんだか私は、羽生君がヘルシンキのホプレガで得た自信が、来季のバラ1に繋がるような気がしてなりません。だって、上で宇都宮さんがホプレガを評した言葉が(バラ1でサルコウは跳ばないだろうとはいえ)、私が脳内で描く「究極のバラ1」に、そのままピタっとハマってもまったく違和感がないので。

 もちろん、宇都宮さんはプロの物書きですから、極上のエッセイを綴ってくれることでしょう。いまから楽しみですね。

 さて、ここからは関係のない話を。せっかく雑誌一冊買ったわけなので、どうしても気になったのが、

  「グッドガールってなんやねん?グッドアダルツ(いい大人達)なら知っとるけどな!」

 という部分なんです。ちなみに「グッドガール」でググったら、静岡や大阪の夜のお店がヒットしました。それってどうなのよ!

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 もちろん、こんなおじさんたちとは無関係で、147頁からの「清く強く、『グッドガール』新時代が始まる」を見てみると、

 「今季らしい『グッドガール』なスタイルとは?SPUR読者におすすめしたい具体的なディテールとモチーフのキーワードを一挙解説!」として、以下の用語が並んでいました。

 「チェック」「淑女的ドレス」「ベージュ」「ノルディック」「ピンク」「フラワープリント」「カーディガン」「ストライプ」「ドット」「キレイなデニム」

 さらに、「バッグも靴もグッドガール!」として、

  「アニマル」「フォークロア」「ソックス」「クラシックハンドル」「赤い靴」「フラッフィー」「複数持ち」

 こういうものを持ちなさい!そうすればアナタもグッドガール!と、こう大々的に宣伝されていました。

 気のせいかもしれませんが、なんか、ちょっと前に買ったSPURと比べて、若干薄くなったような気がします。フィギュアスケート雑誌とは違って、ファッション誌は大変ですね・・・。

 ちなみに、私も大好きな「いい大人達」の方は、この坂上さんの番組で紹介されたのは2年以上前なんですが、いまはもっと稼いでいて、この月収とは桁が違うと思います。

 では、また明日!

 Jun

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 2017年3月22日発売。宇都宮直子さんといえば、『日本フィギュアスケートの軌跡』というエッセイ集を先月発表しました。サブタイトルに「伊藤みどりから羽生結弦まで」とある割に、ゆづ成分は薄めながらも、私自身は楽しく一気に読むことができました。2本に分けてレビューしましたので、そちらもご参照ください(1)(2)。

 今回の寄稿文は、フィギュアスケートの知識がほとんど無い読者に向けて書かれた内容で、羽生結弦というスケーターがいかに優れているかを説明するというよりは、宇都宮さんご自身がゆづのことをいかに好きで応援しているか、という主旨なのかなと、私は率直に感じました。したがって、羽生君の発言をフォローしている方にとって、新しい情報はほぼ皆無です。唯一、ほう?と思ったのは、以下の部分です(329頁)。

  「羽生は、きわめてタフな心を持っている。烈しさを慎重に隠している。22歳にしては、ものすごくキュートに笑う。かなり率直に、話をする。過去、羽生を指導するブライアン・オーサーはどこか面白そうに、にこにこと笑って言っていた。『結弦は僕の言うことなんて、ちっとも聞かないんだ』。そのくらいで、ちょうどいいのではないか。だから、羽生は強いのだ。たぶん。」

 「たぶん」なんて遠慮する必要ないでしょ!と思いつつ、このブライアンの話はいつなのかな?ループの件で揉めてる真っ最中にそんな軽口は言えないよなぁ・・・と、ちょっと気になりましたね。

 今回も、Ice Jewelsのルール解説でおなじみの吉岡伸彦さんの見立てが紹介されています。いくつかある中で、選曲に関する部分をご紹介しましょう(330~331頁)。

  「(『Let's Go Crazy』は)本人が好きでやっているんだとは思いますが、あそこまでノリノリの曲でというのは、ショートとはいえ、体力的にきついと思います。(中略)曲は、ショートのような『一緒に楽しくやろうぜ』風よりは、フリーの雰囲気が向いているんじゃないですかね。羽生には王道をゆくイメージがあります。上品で、風格がある。彼の個性は、クラシックが合うと思います

 上は吉岡さんの意見です。宇都宮さんはこう付け加えています。

  「集大成の平昌。・・・2シーズン続けて同じ曲を使うケースもあるし、以前の曲に戻すスタイルも珍しくない。・・・『SEIMEI』は素晴らしかった。個人的には、また観てみたいと思う。羽生はおそらく、正統なクラシックで勝負する。そんな気がする。ぜんぜん、根拠はない。強いてあげるとすれば、『彼が二連覇を目指しているから』だろうか」

 ミッツ・マングローブさんが年始のNumberで「羽生選手はダントツで個性的」と評していましたが、私は選曲に関しても正統というよりは異端だと思っています。まぁ、でもこーいう偉い人でもある程度の固定化したゆづ像があるのだから、若い人が「ゆづはもう少しチャレンジしてほしい」と言っても仕方ない部分もありますね。

 五輪に関していえば、ソチはパリ散のリードでなんとか逃げ切ったわけで、一方では「勝つためならロックじゃない?」という考えがあり、他方で「またロックなら負ける」という考えもあるでしょう。

 宇都宮さんは、そういう比較検討をせずに、「クラシック!」と主張しつつも、でも「根拠はない」とか「たぶん」とか、断定調ではない所が、彼女の性格というか個性なのかなと思います。私にはそういう文章は書けません。書けないというより、書くなという教育を刷り込まれてきたので、いいなぁ・・・と思いますね。

 ちなみに、今回のエッセイは、以下のような印象的な書き出しで始まっています(328頁)。

  「フィギュアスケートを愛する私にはおよそ信じられないが、羽生結弦を知らない人がまだ、けっこういる。地方の書店の店員もそのひとりだった。スポーツ誌の名前を告げて、どこにあるかを尋ねると、『ああ、はぶくんが表紙の』と彼女は笑顔で言った。『いえ、はにゅうくんです』。いささか気分を害して、私は答えた。そういうわけで、まず、羽生結弦がどんな選手かを綴っておきたい。」

 実を言うと、そうとう昔の話なんですが、地上波(というか「地上波」という名称すら定着していなかった頃)の素人参加のクイズ番組を見ていて、強烈に覚えていることがあります。

 少ないヒントを元に、有名人を当てる類の問題で、将棋の羽生善治さんに関するヒントが出ていて、実際に正解は羽生さんなんですけども、東大在学中だったか卒業生の女性が、自信満々の早口で、

 「はにゅうぜんじ!」

 と、答えて、ブーって!外れにされていました。おそらく、ゆづは生まれてすらいなかった時代だったと思います。

 ちなみに、羽生さんの奥様はゆづファンで有名で、娘さんにもフィギュアスケートを習わせていたことも知られていますが、羽生さんご自身が、役所などのアナウンスや受付で、

 「はにゅうさん」

 と、「よく呼ばれる」ようです。これはニコ生の将棋の中継で解説の森下卓九段が話していたネタです。私からすると、宇都宮さんのこの話はレアケースだと思いますね。なんてったって、羽生先生が「はにゅうさん」と呼ばれてるわけで。

 先月発売の著書を読む限り、真央ちゃんがバンクーバーで金メダルを獲れなかった当時の宇都宮さんの落胆ぶりは相当なものだったんだなと感じました。しかし、何がきっかけかは分かりませんが、このように羽生君を熱心に応援していただけるのは有難い話です。

 「打倒羽生」とか「羽生越え」とかしょーもない見出しに、頭では「釣られてはいけない!」と分かっていながら、知らず知らずのうちに荒んでしまう心を浄化してくれますね。

 まだ何冊か購入済の雑誌がありますので、明日以降も引き続きご紹介したいと思います。

 では、また明日!

 Jun

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