On the Back of the Flyer

TOEICテストメモ、羽生結弦選手、日々のアレコレを綴ります。

タグ:日野龍樹

 タイムリーに記事としてアップできていなかった、ネペラ杯の感想です。刑事君&龍樹君のSPとフリー、理華ちゃんのフリーをチェックします。リザルト関係は「こちら」で。



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 SPでは「75.81」の4位発進。ゲイリー・ムーアの“The Prophet”という楽曲を使ったこの新SP「メモリーズ」を見るのは、8月のアジアンオープン以来です。その時は冒頭の4Sを転倒していて、つづくコンボは、3T+2Tで「68.75」というスコアでした。

 「日本代表メモリアル2017」によると、SPでは、冒頭を4S、コンボには4T+3Tを練習しているようですが、この大会はクワド自体を回避しました。その理由は分かりませんが、SPで1位のヴォロノフ(80.85)とPCSは1.50の差なので、刑事君のこの演技は高い評価を受けていると言えますね。全身を大きく使ったステップやスピンが特に印象的でした。



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 冒頭にちょっとだけ、動画のアップ主(?)の「おじさんの声」が入っています。このフリーは、持ち越しプロの「フェデリコ・フェリーニメドレー」。SP・フリーともにマッシモ振付です。

 「メモリアル」のインタでは、フリーのクワドは、冒頭に4Sと4T、後半に4Sと計3本を練習しているという話でした。映像を見る限り、前半と後半のサルコウの2本のみのトライという感じですが、いずれも転倒しているので、REPのペナルティが付いてしまっています。3AもREPがつき、その後にフリップとループがパンクして、アジアンオープンよりもかなりスコアを落としてしまいました。合計スコアは197.18の8位。

 滑り慣れたプログラムといえども、ひとつ歯車が狂うと、ガタガタっと行ってしまう。フィギュアスケートは繊細なスポーツであると、改めて感じます。

 つぎの試合は、羽生君とともにロステレ杯です。とくにSPははやくも馴染んでいる印象を受けたので、ここからクワドの精度を上げていけば、活躍が期待できそうです。



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 龍樹君は、SPでは「67.25」で6位。アジアンオープンと同様に、冒頭で4Tにトライしましたが、残念ながらDG。その後の、3Aと3Lz+3Tはいつもの美しい着氷が健在です。SPで80点以上を狙うには一本クワドは必須になってくるはずなので、チャレンジを続けてほしいと思います。



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 フリーは「117.08」と伸び悩み、合計「184.33」の11位。いやぁ、SPは冒頭クワドの後、しっかり立て直せたんですが、フリーは最後まで苦しみましたね。龍樹君も、羽生君、刑事君と同様に、滑り慣れた「キダム」なんですが、いやはや、

  シーズン序盤からノーミスするというのは大変なことなんだ!

 そういうものなんだと、ファンの我々が受け入れなきゃいけませんね。大西先生の元で、全日本に向けて、クオリティを上げていってくれることでしょう。

 あと、動画のアップ主さんのおじさんですが、今回は無いな!と油断していると、終盤のステップの後に、「うーん・・・」と、ちゃんと唸っています。ご了承ください。



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 最後に、理華ちゃんのフリーです。ジャンプでエラーが目立って、フリーのスコアは「123.49」と伸び悩み、合計は「189.98」の2位入賞。

 まぁ、ジャンプの課題は持ち帰ってスケカナまでに修正するように努めるとして、私が注目したのはスピン・ステップすべてでレベル4が取れていることなんですよね。理華ちゃんのネペラ杯の演技はSPのみブログで紹介していましたが、SPもステップはレベル4を取れています(ちなみに、この大会で優勝したメドベのフリーのステップは、レベル3です)。

 理華ちゃんのSPはシェイリーン振付の「カルミナ・ブラーナ」を持ち越しし、フリーもシェイリーンに依頼して、映画『フリーダ』の楽曲を使用しています。

 そういえば、新葉ちゃんもシェイリーンの「スカイフォール」ではステップでレベル4を取れているので、本人の努力ももちろんなんですが、シェイリーンのステップの振付の作り方が巧いのかなぁ・・・と。

 一方で、真凜ちゃん舞依ちゃんはともにフリーはデイヴィッド振り付けの新プロですが、いずれも、ステップはレベル3に留まっていて、現時点で評価を下すのは早計とはいっても、振付師にも「得手・不得手」ってあるのかな?という想像をしてしまいます。

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 さて、「日本代表メモリアル2017」(82~84頁)の理華ちゃんのインタから、彼女が新フリー「フリーダ」について語る部分をご紹介しましょう。

 ―― フリーの「フリーダ」は、どのようなプログラムですか?

  「メキシコの画家、フリーダ・カーロという女性の人生を描いたプログラムです。彼女は6歳のときに病気で身体が不自由になって、大きくなってからも事故に遭って全身にコルセットをつける生活になってしまうんです」

  「でも絵を描くことで悲しみを昇華して、その後結婚するのですが、事故の後遺症に苦しんだり、その影響で子供を授からなかったり、旦那さんに浮気をされたり、すごく苦労されるんです。そんなフリーダさんの壮絶なストーリーをそのままプログラムで表現していきます」

  「私はフリーダさんほどの辛い経験をしたことがないので、『できるかな』と最初は思ったのですが、シェイ=リーンに『どんな小さなことでもいいから、自分のなかの悲しみを自分になりに表現すればいい』と言われて。それで今、自分なりに考えてやっているところです」

 →→ おい、この旦那!どんだけ人でなしやねん!と呆れるしかないですが、今月21歳になったばかりの理華ちゃんに、このストーリーは重いなぁ・・・。しかしまぁ、新葉ちゃんの「スカイフォール」もそうですが、相変わらず、シェイリーンは「無茶ぶり」するお方です。ちなみに、このフリーダさんは1954年に亡くなった実在の人物です。

 ―― 想像を絶するような内容ですね。「辛さ」のイメージはどうやって膨らませているのですか?

  「『身体が動かない』『歩けない』というところは、程度は違いますけど自分もケガをして思うようにスケートができなかった時期の気持ちが重なるかなと思ったので、そのときのことを思い出して練習しています

 ―― とても難しいテーマですが、最初に聞いたときはどう思いましたか?

  「フリーダさんという画家も、映画も、音楽も知らなくて、最初は『なんだろう?』と思って、編集される前の曲を聞いても全然ピンとこなかったんです。それで、映画を観てみたのですが暗い感じの映画だったので、『できるかな?』と不安で。でも、編集された音楽を聞いてみたら『あれ、カッコいいな』と思えて、振り付けではひとつひとつの動きの意味やイメージを教えてもらえたので、全体像がつかみやすくなりました」

 ―― フリーは、全体でいくつのパートに分かれているのですか?

  「大きく分けると4つのパートになっています」

 ―― 最初はどんなシーンから?

  「最初は動けない状態で、自分の感情を外に出さずに、でも心の中では『苦しい!』と叫んでいるみたいな感じです。2つ目は明るい曲調になって、少女が遊んでいるイメージで、身体を自由に動かせるフリーダを演じます。3つ目はスローな曲調になって身体の痛みや、子供を産めない苦しみ、失恋の痛みを経て、絵を描くことを見つけるまで。4つ目はフリーダが亡くなる前の場面で『人生に悔いはない』と絞り出すようにして終わります。最後は私も『自分のすべてを出し切って演技が終われるように』という思いで滑っています

 ―― この女性の生き方を、本郷選手はどう捉えていますか?

  「『可哀想だな』と思う人もいるだろうし、『大変な人生だな』と思う人もいると思うんですけど、私は『すごく強い女性だな』と思っています。自分では想像もできない人生ですが、ひとつひとつ乗り越えて生き続けた彼女は本当に強いなと思います」

 ―― ご自身のなかで『これは良いプログラムになりそうだ』という手応えはありましたか?

  「プログラムのなかにいろいろな要素が入っているので、『これは大変だ』と思っていたんですけど、演じているととても楽しくて充実感があるんです。ひとつひとつの振り付けに明確な意味を持たせているので、これまで以上に『表現するのは楽しいんだな』と思えるようになりました。今まではあまりストーリーのあるプログラムを滑ったことがなかったのですが、今回はフリーダの人生をお客さんに伝えるために工夫もしているので、彼女の物語と私の演技を重ねて観てもらえるようにしていきたいです

 ―― このプログラムを滑ることで、表現の幅がさらに広がりそうですね。

  「はい、このプログラムをもっとカッコよくできるように自分がやるだけなので、しっかり滑っていきたいと思います。長久保(裕)先生にも『あとは、おまえが頑張れ』と言われました(笑)

 最後のオチがまさに、長久保先生が言いそうだなぁ・・・と、思わずニヤリとさせられます。

 それにしても、そこらへんのゴリ推し若手女優ならば、自分の主演映画やドラマですら、ここまでしっかりストーリーと演技の意味を説明できるのかどうか・・・。

 「無茶ぶり」と前述はしましたけど、シェイリーンはかなり細かく振付の意味を説明して、しかも、理華ちゃんもその意図を正確にキャッチして、本当に素晴らしいと思いました。これ以上、私が付け加えることはありません。私もまた、何度か演技を見なおしてみようと思います。
 
 こんなに一生懸命になって頑張っているんですから、ますます応援したくなっちゃいます。なんだか、オリンピックの2枠とかあまり気にしないで、理華ちゃんには、自分自身で納得のいく演技を披露してもらいたいですね。

 しかし、曲だけ聞いていると、「おばさんの歌うラテンの曲」という感じで、このような背景を知っていないと、プログラムの意味は理解しにくいですよね。レベル4の取れたステップの所は、4つのパートの2つ目の「少女時代のフリーダ」です。その辺りを注意してみるとより楽しめると思います。

 明日は、平昌五輪での日本代表の「枠」のかかる、ネーベルホルン杯を展望します。

 では、また明日!

 Jun

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 引き続き、刑事君&龍樹君のアジアンオープンの振り返りです。今日はフリーを。

 リザルト関係は「こちら」で。



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 刑事君のフリーは、昨年に続いての「フェリーニメドレー」です。そういえば、94年生まれの同期組は、後述する龍樹君、そして羽生君も、このオリンピックシーズンは慣れ親しんだフリープログラムで戦うことになりましたね。こちらのフリーの映像は、SPと比べて映像はかなり良いのに、音が割れている点はやや残念です。

 冒頭の4Sでパンク。続く4Tは認定されたものの、ステップアウト&お手つき。で、後半入っての4Tも同じような感じでステップアウトになっていて、REPがついています。おそらく前半か後半のどちらかの4Tで、コンビネーションジャンプを予定しているはずですが、4T自体は回れているので、シーズン初戦としてはまずまずじゃないでしょうか。

 後半はすごく良かった印象です。トリプル各種は問題なくビシバシ入っていたし、何より、動きが大きくて、これが「滑り慣れている」ということなのでしょう。SPのゲイリームーアと比べて、フリー後半でスタミナがキツいはずなのに、はっきりと動きがダイナミックです。これは、クワドを降りられると、高得点が期待できると思います。



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 さて、龍樹君の「キダム」です。冒頭の4Tの転倒は仕方ないとして、後半の3Aの転倒は意外でした。SPそしてこのフリー前半の3Aと、安定した着氷が続いていたので、もったいないですねぇ。

 刑事君とかなりPCSの差がついているのは、どこに原因があるんでしょうか?まさかトライしたクワドの本数は関係ないよなぁ・・・と。

 たしかに、刑事君と比べると、全体的に動きのスケールが小さく映るのかな・・・という気がしないでもないです。ただ、私自身は、着実に堅実にキレイな姿勢でエレメンツを決めていく、龍樹君の所作は好きなので、ちょっとこれは低すぎない?と。おそらく、スケーティングやつなぎ等で、専門的見地から「まだまだ」という部分があったのかもしれません。

 しかし、初戦ですよ。おそらく現役の日本男子スケーターからすると、羽生君というのは、メッシやボルトのようなあまりに遠い存在。そんな羽生君と同世代の二人が、しっかり踏ん張って世界と戦う姿を見せることで、後輩たちも勇気づけられるはずです。

 いやぁ、頑張ってほしいです。期待しています。

 では、また明日!

 Jun

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 先に、日曜夜のHERO'Sについて。まぁ、原某よりは何百倍もマシではあるんですけど、カトパンをクリケットに行かせる意味ってあるの?と、頭に疑問符が何個も浮かびながら、マンツーマンのやり取りを見ていました。ただ、あの番組自体、なんで嫁が元フジのアナってだけで石井一久みたいなボケっとしたおっさんが出てるんだ?という所からして、すでに謎なんですけども。

 しかし、「SEIMEIとはどんな存在か?」という、もやっとした、んなこと聞いてなんの意味があるのか?という質問には、思わずソファから転げ落ちそうになりましたね。

 きっとこの人は、ジャンプのこととか、まったく興味ないんだろうんなぁと。他局ですが、彼女よりはるかに忙しいはずの夏目さんなんて、けっこう詳しいですからね。ますます、なぜ彼女がそこにいるのか理解できません。

 そういえば、真央ちゃんの会見で、「トリプルアクセルに声をかけるとしたら?」と、この人アタマ大丈夫?ってレベルのバカな質問をしたNHKのアナウンサーがいましたが、まぁ、どこも似たようなものなのかもしれません。

 さて、今日もアジアンオープンです。17-18シーズンの日本男子シングルの動向を占う意味でも、刑事君と龍樹君はやはり外せません。

 リザルト関係は「こちら」で。



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 先月のフィギュアスケートTVでも紹介されていましたが、マッシモ振付で、「メモリーズ」と題したこのSPの泣きのギターは、もちろん、ゲイリー・ムーアによるもの。



 原曲は“The Prophet”といいますが、序盤の部分をそのまま使っていますね。羽生君の「パリ散」が、後半に別バンドの曲とつないで「ロック」として編集されていたのとは、また違ったアプローチです。完全にブルーズです。

 「全編タメだらけ」のこの曲は、音の取り方がやっぱり難しいと思いますね。言葉は悪いですが、「もっさり感」を見ている側に与えないために、スピンやステップではキビキビとした、しかも大きな動きで表現しなきゃいけない。そして、ジャンプもきっちり降りないと、「あぁ・・・」って感じで、観衆の緊張感もプツっと切れてしまう。

 フィギュアスケートTVでの取材によれば、そもそもこの曲を、マッシモは数年前に提案したものの、刑事君は「自分にはまだ・・・」という理由で断ったそうですね。「適正年齢」云々という話以前に、ベテランのスケーターでも滑りこなすのは大変ではないかと。果敢なチャレンジだと思います。



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 少し音量を上げると、曲の雰囲気が分かると思います。フリーは昨季の「キダム」の持ち越しが決まっていて、SPは新作ながら、フリーと同じくボブリン夫妻の振付と聞いています。

 3Aはいつもの美しい着氷が決まっていて、加点も+2.00。後半のスピン&ステップをもうちょっと至近距離の映像で見たかったなぁ・・・。


 龍樹君は、8月10日から福岡で開催されていた「飯塚杯」にも出場していて、短期間の連戦になりましたが、「飯塚杯」はきっちり優勝しています。

 さすがに、若いからガッツリ食べてるなぁ・・・。

 では、また明日!

 Jun

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 2008年4月19日発売。いつも拍手コメントをくださるKさまにお教えいただき、入手しました。アマゾンでは凄い値段になっていますが、私は別のユーズドストアで数百円で購入できました。

 表紙の面々を見ただけでお分かりのように、ジェフ、ランビ先生、ジョニーと、まもなくFaOI神戸に出演するメンバーの若かりし頃の写真が満載です。

 そちらは明日以降じっくり見ていくことにして、今日は「氷上を目指す少年たち」(104~108頁)に集中したいと思います。

 この企画の主旨は、2008年当時の日本男子シングルの若手選手にフォーカスするもので、ジュニアでは町田君、村上君、佐々木彰生君、そして無良君などが紹介されています。

 そして、「吹き荒れた“ノービス旋風”」として、羽生結弦、日野龍樹、田中刑事の3選手も大注目されています。

 まず、田村岳斗さんのノービス三人衆に対する温かいコメントが紹介されています。

  「結弦すごい!スピンも上手だし、見た目もすらっとしていて、いいですね!13歳?バンクーバー五輪には年齢が足りないの?」

  「惜しいなあ。結弦なんて、あと2年あれば日本の代表争いに加わるのに。でもほかの二人も中学一年生?すごい、度胸がありますね。もうちょっとびびったらかわいいのに、みんな堂々とすべっちゃうんだ。彼らは次の次、ソチオリンピックでは19歳?うん、一番いいときですね

 →→「とにかく絶賛!」という感じです。そして「一番いいとき」という予言がピタリと当たりました。もちろん、羽生君に限らず、龍樹君も刑事君も、いまだに進化を続けているのは素晴らしいですよね。

 つぎに、「阿部奈々美コーチ 羽生結弦を語る」から。

  「私がコーチとして本格的に彼を見るようになったのは、06年の全日本ノービス直後。まだ教え始めて1年と少しなのですが、彼はとにかく面白い選手ですね!いろいろな才能を秘めていて、これからどんなスケーターになるのか、見ていてわくわくさせてくれます

  「スピンやスケートも高く評価していただいていますが、それは彼が、以前の先生たちが教えてくれたものを、一つ一つ反復練習して、積み重ねてきた結果。やれば何でもできて天才肌かな、とも思うけれど、できないものに対しては、かなりの努力をしている。自分の才能を持て余すのではなく、自分で才能を生かしていけるタイプですね。本当にどんな選手に育っていくのか、私も楽しみですが……。どうか彼には、彼自身が思い描く、羽生結弦が理想とする、なりたい選手になってほしいと思っています

 →→奈々美先生は「06年から教え始めた」とおっしゃっていますが、「かなりの努力をしている」という部分は、以下の羽生君の「ショートインタビュー」を読むと、なぜ練習に対する意識が変わったのか?がよく分かります。

 ――スケートを習い始めたきっかけは?

  「最初は姉がスケートの短期教室に入ったんです。それで気に入って、本格的に習うって決めて、そこに僕も一緒についていきました。小さいころの思い出は……ヘルメットかぶって何回も氷に頭をぶつけたこと。何回も何回も転んで……痛かったなあ。それに始めたころの先生が、すごく厳しい女の先生で、ほんとに怖くて……。僕、毎日リンクから放り出されてたんですよ。なんでかなあ?自分なりに頑張ってたのに、先生の話を聞いてなかったみたいで(笑)

  「・・・スケートの練習、ほんとに嫌いで、つらかったし泣きだしたいことも何度もあったから。でもスケートの試合は好きだったんです。お客さんがいっぱい見てくれる試合は、大好きだった」

 →→実を言うと、この「厳しい女の先生」の他誌でのインタを、ブログで紹介したことがあります。他誌とは、Number 875で2015年4月に発売されたものです。

 画像を拡大するとこの山田真実先生のインタは読めると思いますので、ぜひ併せてご参照ください。山田先生が厳しく当たったのは「羽生君の恐るべき才能を認めつつも、だからこそ、どう指導したらいいのか・・・」と悩まれていたのかなと、私は思いました。でも、そんな彼女が、都築章一郎先生に「バトンを渡した」ことは英断でしたね。羽生君のインタに戻りましょう。

 ――試合があるから、スケートをやめなかった?

  「はい。それから僕の通っていたアイスリンクが、一度つぶれてしまったんです(旧コナミスポーツクラブ泉。04年12月に閉鎖)。それで遠いところにあるほかのリンクに通わなくちゃいけなかったんですが、練習時間はすっごく少なくなってしまった。貸切時間もなくて、自分のプログラムもほとんどリンクでかけられない。プログラムの練習もできないから、力も全然伸びなかったんです。その時が、一番大変だったな……。同じクラブの選手には、その時やめちゃった子もいました。男の子が3人くらいやめたかなあ。それから、練習って大事なんだなって思い始めて。で、だんだん練習も好きになってきた。だからほんとうに最近なんです。スケート、楽しいんだなあって思いだしたのは

 ――07年3月に、無事リンクは再開されましたね。練習環境も少し上向いてきて、これからジュニアの試合にも出場していきます。目指すところは?

  「オリンピック1位です!」

 ――ただの出場ではなく、1位!

  「はい(笑)。でもまだ、僕のいいところは身体の柔軟性くらい。ジャンプの確率は、刑事君や龍樹君の方がやっぱり高いです。彼ら、全然転ばないじゃないですか!僕は、結構転ぶんですよ……。試合では難しいルッツやフリップに集中してしまうので、得意なはずのほかのジャンプで気を抜いてしまって、失敗することが多いんです。だから、ほかの選手のいいところを見ならって、もっとまねして、ジャンプの確率を上げていきたい。それから、トリプルアクセルの練習もしています。だいぶ回るようになったけれど、まだ一回もちゃんと降りてはいなくて……。もちろんジャンプ以外にも、いろいろなことを頑張りたいです。スピンももっと速く回りたいし」

 以上、少しカットしましたが、13歳の頃の羽生結弦少年の声でした。いまの羽生君と変わっていない点といえば、自分自身に対して厳しく、一方でライバルの長所を評価しているという所ですね。

 当たり前ですけど、まだ練習でも3Aは降りられていなかったわけですね。当然ながらクワドの話なんてまったく出てきません。先日ご紹介した壷井達也君がいま14歳ですが、「次シーズンまでに3Aを降りられるようにしたい」と語っていました。

 なんでしょうね・・・。羽生君のノービス~ジュニアの頃って、それこそ、この後バンクーバー五輪を迎えるわけで、今ほど「ジャンプが跳べなきゃ話にならない!」という圧力がなかった時代ともいえます。

 そう考えると、やるのは選手たちなんだから、本人が大好きなスタイルを追求してもらったほうが伸びるのかな、という気もしますね。

 では、また明日!

 Jun

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 読めば読むほど、語りたい所がたくさん出てくる、Quadrupleの続きです(1)(2)。

 今日は、「神崎範之さんに聞く フィギュアスケートジャッジングの基礎知識」(122~125頁)から。現役引退後、サントリーの研究員を務めながら、テクニカルスペシャリスト・ジャッジとしてフィギュアスケートにも携わっておられます。KENJIの部屋にも出演していましたね。

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 例えば、私たちがプロトコルを見る際、Panel of Judgesというページも開いて、どの国籍のどのジャッジが採点しているのかもチェックしますが、「世界最高得点のゆづのホプレガの後半のジャンプに、GOEを「1」ばっかつけとるこのカナダ人、頭おかしいんちゃうか?」みたいな思いを、させられているわけです。

 今回は、「このPanel of Judgesって、何をしてるの?」というのが具体的に語られています。

 まず、テクニカルコントローラー、テクニカルスペシャリスト、アシスタントテクニカルスペシャリストの3人を「テクニカルパネル(技術役員)」といい、さらにデータオペレーターとリプレイオペレーターを合わせた5人で、ジャンプの認定やスピン・ステップのレベル判定等を行います。まず、この5人でその作業を済ませてしまうわけです。

 の後に、9人のジャッジがGOEやPCSの判定を行います。9人のジャッジとレフェリーを合わせて「ジャッジパネル(審判団)」と呼びます(試合によっては、レフェリーがジャッジNo.1を兼任することもある)。

 さて、ホプレガの恨みを腹に溜めつつ(※このインタビューの中で神崎さんが特定の演技のプロトコルを示しているわけではないです)、まずGOE判定について、神崎さんはこう説明しています。

  「GOEの判定は主観的な側面もあり、同じエレメンツであっても、ジャッジの見方によって、プラスにもマイナスにもなることもあります。セミナーなどで、そのあたりの共通認識は徹底されますが、判定が分かれていたり逸脱している場合は、試合後のラウンドテーブルディスカッションで、どういう意図をもってつけたのかが議題として挙げられ、ある程度統一するように見解を合わせることもあります。ただ、基本的にジャッジにはある程度個々の裁量が与えられているので、『素晴らしい』という印象が強く残ればそのような採点をします。美しさの感性はそれぞれにあるので、それらを平均化して点数を出しているという状況ですね」

 →→ボクシングの村田諒太選手を「負け」にしたジャッジは6ヵ月の資格停止処分になりましたが、フィギュアスケートにもそういう罰則があるのかどうか、ぜひ聞いてみたいですね・・・。ただ、3人のジャッジだけで勝ち負け(あるいは引き分け)が決まってしまうボクシングと異なり、9人のジャッジのスコアの最高点と最低点はカットされますし、上記の通り、エレメンツの認定自体は(GOEとPCSの判定には直接関与しない)テクニカルパネルが行っているわけで、ボクシングに比べれば、よく考えられている(責任の所在が明確ではないとも言える)システムだとは思います。

 つぎに、PCSですが、PCSの各項目の説明よりも、次の2点が興味深かったので、引用してみます。

 ――・・・読者の方から多く寄せられた質問のひとつが、「技術点と演技構成点はある程度連動してくるものなのでしょうか」というものでした。これについてはいかがですか。

  「技術点と演技構成点は別々に見ているので、連動しているということはありません。もちろん、技術力の高い選手は、難しいジャンプが跳べて、さらにスケーティングやパフォーマンスもしっかり表現できるということが多いので、結果的に連動してしかりだとは思います。またトップ選手は、少しジャンプを失敗しても演技自体はある水準でできるという力があるので、そういう意味では各選手に『これくらいの点数が演技構成点では出せる』というポテンシャルは備わっているということは言えるかもしれません。ですが、ジャッジが技術点を見て、『演技構成点はこれくらい』というように点数をつけることはありません

 ――シーズンを通して選手が実績を積んでくると、『この選手はこのくらい出る』というような共通認識に基づく部分もあるのでしょうか?

  「いえ、それはプレジャッジングになってしまうので、やってはいけないことです。あくまでも、その競技会で見たままの点数をつけることがジャッジには求められています

 →→『300点伝説』でブライアンは「GOEの高い演技をするから、PCSの評価も高くなる」と説明していました。

 ただ、このブライアンの考え方は神崎さんの説明と必ずしも矛盾しません。神崎さんは、あくまでも、「GOEのスコアを見てから、PCSを後付け採点しているわけではない」と言っていて、「結果的に連動している」可能性を排除していませんからね。

 神崎さんの説明も併せて考えると、16年のボストンワールドの女子シングルのフリーで、アンダーローテが2つもあったワグナーのPCSの方が、ノーミスのメドベよりも高かった、というのも「あり得ない話ではない」というのは納得できますね。

 PCSも「実績」から評価するのではなく、その競技会の演技自体を見て採点するというのも、ちょうどここ最近、『チーム・ブライアン』の再読記事で見た事例です。12年のパリ散のPCSに関して、GP初戦のスケアメとGP2戦目のNHK杯はともにノーミスだったにも関わらず、43.36→42.29と下がっていました(トータルは95.32→95.07)。NHK杯の開催地が、羽生君にとってのホーム中のホームの仙台だったにも関わらずです。

 まぁ、人間が採点するものである以上は、神崎さんの説明が全ての演技に一様に当てはまるわけではなく、私たちもたくさん試合を見ていって、様々な「例外的ケース」を学んでいく必要がありますね。

 最後にもう2つだけ。日野龍樹君が中京大学卒業を機に、4月から練習拠点を大阪に移すことになりました。ホームリンクは臨海スポーツセンターで、コーチは大西勝敬先生です。町田樹さんのお師匠さんですね。「先生の熱意が尋常ではなく、『この選手を見たい』という情熱を感じたので、『この先生に懸けてみよう』と思って、お願いすることにしました」(67頁)とのこと。私も陰ながら応援したいと思います。

 そして、無良崇人君。男子シングルの五輪代表「第三の男」の座を争う有力選手ですが、並々ならぬ意気込みを語っていますね。ゆづの話も少し出てきました(63頁)。

 ――今季、他の選手の4回転を見て参考になるなと思ったことはありますか?

  「サルコウがだいぶ良くなってきているのは、(羽生)結弦の動きを見ているからかなと思っています。身体の使い方とか跳ぶときのイメージの理想は彼の感覚なんです。でも股関節の柔らかさは、彼と僕では違う。それをどういうふうにしていくのがいいのか。パワフルなジャンプは加点がつきにくいイメージがあるし、今回の世界選手権でも、トップ選手のジャンプはプラス3やプラス2がつく、ほぼ完璧なものでした。見ている人が、『加点をつけたい』と思うジャンプを作っていかないといけない。『跳ばなきゃいけない』ではなく『いかにきれいに跳ぶか』。そういう時代になっている。もう、トウループとサルコウくらいは、跳ぶのはあたりまえで、どれだけ加点をつけられるかの勝負になっていますよね」

 ファン目線で言うと、羽生君はサルコウに本当に苦労していた印象があり、来季トウループが柱になりそうな気配を歓迎しているぐらいなんですが、同じ競技者としては参考になる部分があるようですね。

 クワドは「物量作戦」で行くのか、クオリティで勝負するのか。五輪を見据えて、国内のスケーターたちもどう撃って出るのか、目が離せませんね。

 では、また明日!

 Jun

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