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 CWW愛蔵版ブックの感想の続きです。サラリと重要な記述が収められているので、油断できません(笑)。

 (1)「スペシャルインタビュー」&「いま、羽生結弦に聞きたいこと」から

 ・ジェフ

  「彼がクラシックを好きなのは知っていますけれど、今後はもうちょっと新しい世界、抽象的なものもいいんじゃないかなと思います。2度オリンピックで優勝したから、キャリアとしてはもう全部やったじゃん!って感じですよね(笑)。だからもういまや、彼が本当にやりたいものをすべてできる立場になりましたよね。ジャッジに向けた(競技で勝つための)曲を選ばなくても良いというか…冒険するのに、機は熟しました。やりたいものを滑ると、彼のもっと違う側面、より彼らしいものが見られるようになるかもしれないし、楽しみです

 次に紹介するシェイのコメントと、本質的には同じことを言っているようでいて、具体的にははっきり違う内容というのが興味深い。まず、ジェフは、「競技用プログラムの選曲を冒険してみよう」と言ってるわけです。

 選曲面では、「クラシック以外」を暗に提案しているようにも思えます。わざわざここまで具体的に言うならば、クラシック以外のアイデアがたくさんあるということ。それが「羽生君自身のやりたいこと」と一致しているのかどうか。ブライアンはそこにどう関わって、意見するのか。

 羽生君は、「やっぱり試合で勝ちたい」という考えに傾くのか。もし五輪を目指すなら、「勝てる曲」をまず1シーズンやって、つづく2・3シーズン目は冒険して、五輪シーズンは、その計3シーズンの中から「勝てるプログラム」を持ち越しするのか。ジェフのような、羽生君にきわめて近い場所で重要な仕事をする人が、こういう具体的な話をすると、想像がさらに膨らみますね。
 
 ・シェイ

  「最初に『SEIMEI』を作ったとき、映画の主人公の方(野村萬斎さん)に会ってみたらいいんじゃない、と伝えました。ユヅルにとって大きな体験になるし、何か特別なものが生まれると思ったから。実際に萬斎さんとお会いしているんですよね。とてもいいことですね。もちろんもともとストーリーはあるけれど、会う前よりプログラムに意味が加わって深みが増していくから。それがユヅルというスケーターにとって意味があるものになったからこそ、『SEIMEI』はユヅルのものになったんですよね」

  「いつかショーナンバーを作ってみたいです。競技プログラムだと、エレメンツとか体力、息継ぎ、ジャッジのことなどいろいろ考えなくてはいけないことがあるけど、ショーだったら楽しく無制限にできるから。やりたいことがなんでもできる。すごくおもしろいアイディアが生み出せるのではないかと、いずれそれができたらいいなと思います」

 萬斎さんと会うことを提案したのがシェイだったというのは、実は今回初めて知りました。ただ、このインタビューの中では、「会ったんですよね?」と確認しているので、じゃ、羽生君は、萬斎さんと会ったことをトロントに持ち帰ってシェイにフィードバックしたわけではなく、羽生君自身の中でそれを生かしていったということなんでしょうか?というか、萬斎さんの助言を英語で説明するのは至難の業かもしれません。

 前述のジェフとは違って、「(ゆづの)ショーナンバーを作りたい」とシェイは語っています。なぜ違うのか?その理由について、萬斎さんのスペシャルメッセージと「SEIMEI」を見た後に、考えてみることにします。

 ・ジョニー

  「たくさんの栄光を手にしたユヅルだからこそ、いろいろなことを言われるのかもしれない。ただ、人生では、自分が対応できることしか神様は与えない。だから、自分に関して何かを言われても、それを乗り越えてもっと僕たちは強くなれるんです。僕はそう思っています

 「試練はそれを乗り越えられる者だけにやってくる」というのは、少年マンガでもよく出てきそうなセリフですけど、それをここ日本では、「なんでも我慢して言うことを聞け」と、忍耐を強制する「ツール」として使われることもあります。

 ジョニーはもちろんそういうことを言ってるのではなく、何が起ころうとも必ず解決できるし、嵐はいずれ過ぎ去るというメッセージなんだと思います。

 彼は、それこそ羽生君がソチ五輪で金メダルを獲るずっと前から、つねに気づかってくれていました。それは、「周りから色々言われること」について、「無視しろ」とか「スルーしろ」というようなアドバイスではないんです。

 彼の発言を聞いていると、匿名のネットの意見だから、アンチの意見だから、「自動的に遮断する」という考え方じゃない。悪意のある部外者の意見だろうが、家族や恩人の意見だろうが、そこは関係ない。

 そう思える根拠は、ジョニーが、「強くあれ」ということを、WFSの対談で羽生君に語っていたことが、思い出されるからです。約7年前に行われた対談です。「自分のやりたいことは何か?」というのを常に問いかけて、それを貫きなさいと。それが「強くある」ということなんだと。

 逆に考えると、なぜ羽生君が、ネットや週刊誌・スポーツ紙の類の意見まで入念にチェックしつつも、自分を貫けているのかというのが見えてきます。「強くあれ」というジョニーの教えを守っているからだと、私は思うのです。

 (2)「野村萬斎 スペシャルメッセージ」

 萬斎さんの言わんとしていることを全て理解するのは難しいですが、いちばん具体的でイメージしやすかった部分は、「音に合わせず『音を纏え』」というくだりですね。

  「場を支配するために、天地人というすべての方向性に気を巡らせて『音を纏え』という話もしました。音に合わせにいくと絶対に遅れるから、自分が音を発しているように、と。対談のあと、リンクで練習を拝見したのですが、曲のとらえ方は大変よかったんだけれど、あの曲のたゆとうメロディには裏にもリズムがあるので、メロディに合わせたくなるところを我慢して裏のリズムに合わせた方がいいといった話はしましたね

  「具体的に言うと、冒頭部分だとか、後半のストレートラインステップ前の3つのジャンプのあたりだとかの、笛だけになっているところ。その裏にズンズン、ズンズン、ってリズムが入っていたと思うんですね。メロディに合わせて上半身は優雅に見せつつ裏にあるリズムが身体のなかで取れていると、単なる演技ではなくて、意識した演技になる。重層的な曲ですから、よく音を聞いて、本当によく構成されたと思います」



 萬斎さんが具体的に指摘していた部分に注目してみましたが、特に笛のメロディとリズムの関係を意識的に拾おうとすると、フィギュアスケートの競技用の曲としては、あまりに前衛的で挑戦的ですよね。後半の4S-3T以降の、勝敗を分ける重要なジャンプの部分は、ある意味でのどかな曲調ですしね。

 話をジェフとシェイに戻すならば、私見ですが、ジェフが「(競技用プロで)冒険したい」と言って、シェイが「ショーナンバーを作りたい」と言ったのは、シェイはすでに「やりきった」という達成感のようなものがあるからじゃないかと。「SEIMEI」もそうだし、「ホプレガ」だって難しい曲でした。しかも、両プログラムによって、記録も更新し、タイトルも獲ってしまった。

 「挑戦」はショーナンバーでいい。あるいは、ジェフに「競技プロにおける挑戦は譲る」と、シェイは考えているのかも・・・。

 なんだか、萬斎さんの「メッセージ」から、結局ジェフとシェイの話になってしまいましたが、いやいや、萬斎さんと羽生君がまた対談して、双方の見解をアップデートすべきだと思うんです。ぜひそれをテレビで報道してほしいですね。前回のように日テレか、あるいはテレ朝で。フジとNHKはダメです。

 萬斎さんは、9月に公演を控えていますし、チャンスがあれば羽生君も見れるといいですね。トロントメディアデーが8月ならば、お忍びで来れるかもしれません。

 では、また明日!

 Jun

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