2017-05-14-16-08-40

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 FaOIのニュースもなかなか入ってこないので、粛々と13-14シーズンを見ていきたいと思います。

 GPシリーズ初戦はスケートカナダ。この試合と、次戦のフランス杯の2戦連続してパトリックと当たり、そして連敗するという話は皆さんもすでにご存じのはずですね。

 本書において、このスケカナについての記述は少ないんですが、まず、ブライアンのコメントを見てみましょう(182~183頁)。

  「グランプリシリーズで、ユヅルはスケートカナダとフランス杯にエントリーしました。どちらの試合もパトリック・チャンと当たるのは幸運なことでした。私たちは追う立場です。私たちに何が足りないか、直接目にするチャンスになるのです。彼に追いつくにはどうするか。私たちが目標にしていたのは、演技構成点(PCS=表現面)の得点差を詰めることです。4回転が2本、トリプルアクセルも2本あるユヅルは、技術点では勝てることがわかっていました。そのため基礎のスケーティング練習につねに立ち返ること、プログラム全体を通す練習をしました。これはユヅルが一番理解し、率先して練習していました

  「スケートカナダでパトリックとの得点差は27点もありましたが、これはシーズンの作戦のうちでした。シーズン出だしは元気なのに最後に不調になった昨年の反省もあります。私たちは、『最初は不調でも、最後に勝つ』重要性をわかっていました」



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 SPは80.40で3位。1位のPさんは88.10でしたので、SPの時点の得点差は7.70点ということになります。冒頭の4Tは回り切ったものの、着氷で乱れてGOEは-1.00。フィンランディアでミスのあった3Aはいつもの調子に戻り、GOE+2.00。3Lz+3Tは、ルッツが抜けてシングルに。ただ、スピン・ステップすべてレベル4を取れていて、ジャンプ以外の部分のトレーニング効果も出てるようです。

 それにしても、この表情ですよ。本の表紙とのギャップが凄すぎますが、二人そろってキスクラでこんな顔をしているのを、少なくとも私は見たことがありません。羽生君が着席するなり、ブライアンは、羽生君に対して何か細かく確認しているように見えました。

 あくまでも映像から受けた私の印象に過ぎませんけど、本を読んで、プロトコルをチェックする前に映像から見ていったら、こんな感じだったので、ビックリしましたね。



13sk2

 フリーもなかなか厳しい内容でした。154.40ですが、SP2位の織田君をわずかにかわして総合2位で終えます。4Sで転倒、4Tでお手つき。しかし、回転不足を取られていなかったのが幸いでした。3Fは久々にエラーを取られなかったんですが、一本目の3Aがパンクしてシングルに。3Aの二本目こそ決まりましたが、3連ジャンプの3Sが刺さり、本人も演技を終えた直後は、「笑うしかない」というこんな表情です。

 ここで強く感じたのは、4Sは昨季でも苦労していましたけど、この時期は、3Aも出来・不出来の差がけっこうあったんだなぁ・・・と。

 何かとクワドの話ばかりになりがちですが、いま私たちが目にしている羽生君のトリプルアクセルというのは、この時期と比べると、さらに磨きと鍛えの入った至高のジャンプといえるのではないかと。あれを当たり前と思ってはいけませんね。

 実を言うと、『王者のメソッド』(176~177頁)では、この試合での、羽生君の精神状態についての記述があります。

 まず、「オーサーコーチは羽生の状態をこう考えていた」として、次のように説明されています。

  「ユヅルは心のエネルギーを使いすぎている。何週間も前から、パトリックとの対戦に向けて気合いが入っていて、自分をコントロール出来ていない。もっとリラックスして過ごし、試合直前になってから集中することが大事だ」

 そして、「羽生もほぼ同様に自身を分析した」として、

  「パトリックに勝ちたい気持ちが強すぎた。周りを見すぎちゃって自分のことが見えていない。自分を客観視できてない。もっと自分を分析して、自分のために心を使って、考えなきゃいけない。自分に集中しないと」

 気合いが入りまくっている背景に、羽生君のSPの世界記録(95.32、12年NHK杯)が、13年のロンドンワールドでパトリックに抜かれていた(98.37)ことがあったようです。

 ブライアンとしては、戦略的見地から、「スケカナではまだ勝ちに行く必要はないぞ!」と羽生君には言っていたんでしょうが、羽生君もあの性格ですから、内心ではきっと、

  ノーミスしたら勝てるはずなんだ!勝ってやる!記録も塗り替えてやる!

 と、密かに自分自身にプレッシャーをかけていたのでしょうね。

 それも含めてすべてが経験ですよね。そして、ブライアンのキスクラでのあの表情は、羽生君の演技中のミスに対してというより、試合への挑み方やメンタルの持っていき方について、「困ったなぁ・・・。言うこと聞いてもらわないとなぁ・・・」という感情が出ていたのかもしれません。

 では、また明日!

 Jun

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