「Ice Jewels Vol.13」(2)

「Ice Jewels Vol.13」(2)

ジュエルズ最新号のレビューの続きです。今日は都築章一郎先生のインタを見ていきます。

青木祐奈を見ているので全日本選手権に行きましたが、結弦とは会う機会がなかったんですよ。それに今回は、結弦にコーチがついていないということで、あまりそばに寄って混乱させてはいけないので、そういう意味でもこちらから会うような機会を作ることはしなかったんです。

・・・練習で見た瞬間、「ちょっとスケーティングが……」と思いましたけど、ただ練習を見るうちにだんだん、練習時間が制限されているので追い込みが少ないこともあるのだろうと思いましたし、それ以上に全体的なバランスについて考えていると思いました。それに、自信過剰なくらいの仕草や動きを見せていましたよね(笑)。僕からすると、なんであんなに自信過剰なんだと思うくらいの感じで、練習に取り組んでいました。そんなにがつがつしていなくて自分なりに計算されたものがあって、それをこなしているという感じでしたね。ああいうものを見ると、コーチは必要ないなと思います。自分はどうするべきか、どう成長するべきかということを絶えず考えて、時間を無駄にしないで毎日を過ごしている。だからひとりでもああいう確実なものができるのでしょうね。

(LMEYについて)先ほど言ったように、スケーティングが気になっていましたが、演技力やその他のものでカバーしきったように感じました。震災に直面したことがあるだけに、今のこの新型コロナの時代に、自分のスケートで、皆さんに何か満足したり喜んでいただけたら、というのが今回の大きな目的のひとつだったと思いますね。そうした、彼が思っていることが全部達成できたのではないかと思っています。

おそらく、本書を手にとった方で、「スケーティングが・・・」「自信過剰」というワードに、おや?っと感じた方もおられるのではないかと。少なくとも私は、一読した段階で、良い気分はしませんでした。

「スケーティング」の部分は、LMEYの部分でも指摘していたので、このプログラムについて言っているんだと思います。この点について、マッシさんはカルチュラルブックの中で「前半はいつもほどスピードがなく、実施すべきエレメントに集中している印象を受けた」と解説していました。私も全日本の演技を見ていて感じたことで、それプラス、曲の性格上「タメ感」「ドヤ感」をあえて強調したのかとも思いました。だとしたら、この指摘は納得できるものだと感じます。

他方で、もう一つの「自信過剰」の部分は、都築先生の意図されているものを理解するのに、少し苦労しました。最初はLMEYの振付や表情のことを言っているのかと思ったら、「そんなにがつがつしていなくて自分なりに計算されたものがあって、それをこなしている」「ああいうものを見ると、コーチは必要ない」というのが、先生には「自信過剰」と映ったのでしょう。少なくとも、テキストを見る限りではそう解釈するしかない。それが良いの?悪いの?と、インタビュアーの長谷川仁美さんにはもう少し突っ込んでもらいたい所でしたが、大重鎮の先生ですから、「好きに語ってもらおう」と判断したのかもしれません。

ところが、インタの後半部分を読み進めていくと、ああ、そういうことか・・・と納得できます。

・・・先生はいるけれど、自分というものを中心にしてスケートを磨いていたんではないかなあと。先生の力はある意味では空気みたいなもので、羽生に関しては、もう羽生結弦というひとりの人間が、自分で訓練して鍛錬して、自然にそういう形の生活をしているから、ひとりになっても耐えていけるんじゃないかなと思いますよ。

・・・小さいときからほかの子どもと違って、自分の中にしっかりしたものを持っていました。それがいいか悪いかは別にして、自分というものを出して練習することにもすごく長けていましたし、それが彼のひとつの武器になっていますよね。まず頭で感じて考えて、体に感じさせて、実行する、というサイクルが、非常にちゃんとできる子どもでした。

フィギュアスケートには音楽がありますから、芸術性も高めていくんですけれど、羽生は人間的な心が豊かだから、彼なりの解釈で表現することで、見ているたくさんの人を演技で説得できる。真似事ではなくて、あの子自身が感じて、自主的に「こうしてやって、こうやってやろう」ということができる子でしたね。いつも羽生には「ありがとう」と伝えていますけど、そういう子に出会えたことで、私もいろいろと新しいことを見させてもらえたり、本当に影響を与えてもらいました。

都築先生に、このように羽生さんの幼少時代から回想していただくと、先生にとって「自信過剰」と映った部分は、羽生さんにとって「必然」と言えるものだったんじゃないかと。ご自身をそう納得させるように語っていらっしゃるように、私には感じます。日本でのフィギュアスケートの指導現場で多くの苦労をなさった末に、フィギュアスケート史に燦然と輝く伝説的スケーターと出会った。ほかの子どもと違って、自分の頭で考えて表現できる子だった。指導者として寂しさを感じる部分も無いわけではないでしょうが、「ありがとう」という言葉で結ぶところが、実に先生らしい。

長くなったので、ここでいったん切ります。4Aについての先生の見解もとても興味深い内容だったので、こちらは明日ご紹介します。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. 雪女 より:

    こんにちは!
    練習の取り組み方が、「自信過剰なくらい」って何かしっくりこない表現ですね。
    もの凄く集中していたってことじゃないでしょうか?
    羽生選手は、試合に向かって、体のみならず、心の持って行き方を計算されて練習される方ですよね。
    SPに関しては、やはり絶対に勝たないといけない試合なので、少し慎重になっていたかとも思いました。でも時々拝読している、ある音楽の専門家のブロガーさんは、表現面ではフリーよりショートの方を高く評価されていましたので、見方は色々ですね。
    羽生選手は、回数をこなすうちにどんどんプログラムを深化させていくので、試合がもっとあると良いのですけど。
    世界選手権、未だに開催されるのか半信半疑です。去年のように選手が現地入りしてから中止とか、やめてほしいですね。

    • Jun より:

      雪女さま

      独特な表現ですよね。ただ、インタビュー全体を読むと、羽生さんを高く評価しているのはいつも通りです。

      今月発売のクアドラプルの方でも都築先生のインタが掲載されますし、朝日新聞の高橋成美さんの動画シリーズでも都築先生のインタがアップされるようなので、そちらもチェックしてみたいと思っています。