Number 1031(7/29号)

Number 1031(7/29号)

2021年7月15日発売。定価「640円」。

羽生・池江対談のみの感想です。最初パラパラとめくっていて、「ずいぶんとボリュームあるなぁ・・・」と思っていたんですが、読み始めたらあっと言う間の一気読みでした。特に、ゆづファン的には、スケートに関わる部分はほぼ知っている内容なので、スピーディに読み進められることでしょう。

さて、読み始めてビックリしたのは、「そんなに背負わなくていい」と羽生さんが語りかける部分は、ネット記事に「冒頭」とあったんですけど、本誌でも本当に羽生さんの最初の発言なんです。さすがに挨拶程度の部分は編集上の都合でカットされているんでしょうけど、それにしても単刀直入にいきなり本質にズバっと行くね!とビックリでした。

前半部分は池江選手にとっての病気、羽生さんにとっての震災という部分での対話がなされるんですが、そこまで悲壮感漂う話ではなく、わりとサラっと過ぎていって、むしろ、「オリンピックとは何か?」「競技者としていま自分が目指しているものは?」という話がメインになります。

いま、東京五輪をめぐって世論はこんな感じですし、五輪反対派にも当然読まれることを編集者も対談者のお二人もおそらく想定して、東京五輪の是非をめぐる論争には触れず、コロナについても基本的にはタッチしていません。でも、それでいいと思います。アスリートは、自分を応援してくれている人たち、様々な形でサポートしてくれている人たちに、試合に出て結果で応える。それが本分ですから、代表選手として選ばれている以上は、全力で準備して、試合が開催されるなら出場すべき。開催か中止かというのは、競技者が関与できる問題じゃない。

そう考えると、「東京五輪」がコロナ禍の中であまりにも大きな社会問題化してしまって、日本代表選手が自身の専門競技とは全く別の話題についていちいちマスコミからコメントを求められていた状況は、とても不幸だったなと改めて思いました。マスコミは記事のアクセス数稼ぎに選手たちを利用しているだけですからね。

後半の方で、池江選手から「羽生選手は外を歩いたり、買い物したりするんですか?」という素朴な質問には、思わずニヤリという感じでした。「外に出る習慣がないし、買い物があまり好きじゃない」とうまく流していましたね。羽生さんがその辺を歩いていたら大変なことになるでしょ?と我々は自然に思うんですが、でも、池江選手ほどのアスリートでも外を出歩いていることにビックリでした。

最終盤、池江選手から例のTwitterの件(記事ではもう少し曖昧です)を若干後悔している話が投げかけられるんですが、羽生さんが「たくさんの方から応援してもらえて、それによって力をもらえている。それがあるだけで、自分たちは存在している意味があると思う」と答えて、そこでやや唐突に記事は終わります。まぁ、オフレコでいろいろやり取りしていそうな余韻が残る終わり方でした。

全体として、とても嚙み合った対談で、羽生さんは「聞き手」としても、めちゃくちゃ優秀。池江選手のことを事前に調べていると同時に、何より彼女に対するリスペクトと共感力がある。これはNumberはまたやるぞ・・・と、新たなビッグ対談の実現を密かに期待しています。

では、また明日!

Jun


にほんブログ村

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)

コメント

  1. おの より:

    Junさんの仰る通りです
    羽生さんは聞き手としても素晴らしいです
    何をやっても関心してしまいますね
    池江璃花子さんとの対談を楽しんでる様子が伺えます
    他の記事もじっくり読みます
    内村航平さんとの対談も是非ともやって欲しいですね
    もっと突っ込んだ話が聞けそうです
    しかし羽生さんファンにとって砂漠どころか毎日何かあって嬉しいですね
    余談ですが銀座のKOSEにてoriginさま見てきました
    思っている以上にキラキラしていました
    細いのは分かってますが、伊藤さんの素晴らしい仕事を堪能してきました
    エンターテインメントとして衣装も大事と思いました

    • Jun より:

      おのさま

      おお、KOSEのOriginの衣装、見てきたのですね!

      私も、かつてのマダムタッソーのパリ散以降、いろんな衣装の展示は見てきていますが、やはりあの華奢なフォルムにあれだけ微細な装飾をよく施すよなぁ!といつも感心させられますね。

      おっしゃる通り、伊藤さんだからこそ、あそこまで妥協の無い一着を毎回制作できて、その仕事ぶりを羽生さんも信頼しているんだと思います。

      今後、男子スケーターで、あれほど凝った衣装を着れる人がこれから出てくるのか?と疑問です。

  2. Sennin より:

    西川第三弾も全部購入するしアイスショーはいくわ歌舞伎やピアノコンサートは行くわでさらに来週は実家に行くので出費が激しいので、立ち読みしようと書店にいったんです
    がそうは行きませんでしたよ‼️買いました😂
    池江さん主体で誰を相手にと考えた対談だと思いますが、何故結弦くんなの?と編集長に伺いたいくらいなんですが
    それはさておき対談だから記者のインタとは違うことを話してましたね?結構突っ込んだこと平昌のこと、筋肉のこと、メンタルのこと4Aのことなど深くハッキリと話してました。珍しいことですね?大事に保管何回も読みます。
    こういう話は駿くんや佳生くんにして欲しい、また後輩選手に読んで欲しいと思いました。多分難しいとは思うけどいずれ4Aをやらなくちゃいけないという意識の高い駿くん達にはわかるはずです。

    • Jun より:

      Senninさま

      池江選手について、羽生さんがコメントしたのは、いま調べてみると、国別(4月頃)だったんですね。

      https://www.asahi.com/articles/ASP4G66XXP4GUTQP02D.html

      このやり取りを見て、Numberの編集者は対談の話を進めたのでしょうか?ただ、「わずか数時間後のコメント」という割に、羽生さんのコメントが完璧すぎるので、すでにその前から対談のオファーはあったのかな?と、別の可能性も想像してしまいます。

      羽生さんの対談での話は、五輪だけじゃなくて、昨シーズンの「コーチ不在での試行錯誤」の情報も加わっていて、独占取材と言っても遜色ないクオリティになっている。でも、「自分の話だけ」をしている対談ではまったくない。本当に感心しきりの内容でした。