「フィギュアスケート・マガジン 2021-2022 Vol.1」(2)

「フィギュアスケート・マガジン 2021-2022 Vol.1」(2)

さて、昨日に続いて、マガジンのレビューです。「フォトグラファーが刻んだ『一瞬』」を読んでみましたが、座談会のメンバーに勝るとも劣らないテンションで、5人のカメラマンたちが熱く語っています。

いま振り返ると、この2014年のGPシリーズあたりから、羽生選手の注目度が格段に上がっていきましたよね。2014年4月の仙台でのパレード(ソチ五輪優勝の祝賀パレード)には、東京からカメラマンは数人しか来ていなかったはずです。

まず、坂本清カメラマン。スポニチの長久保部長のツイを見ていると、必ず登場する名物カメラマン。今回登場するメンバーの中では最もキャリアが長く、2005年からフィギュアを撮影されています。このインタの中では、「新しい衣装をお披露目する瞬間が楽しみ」とおっしゃっていましたが、残念ながら、全日本でのたまアリは暑すぎて、廊下の所ですでに羽生さんはジャージーを脱いでいましたね。

いろんな制約があって気持ちが前に向かない時期に、彼は1人で練習してきたわけじゃないですか。「こういう時でも、人間は前に進めるんだ」というのを見せてもらった気がします。・・・僕自身も「前よりも写真がうまくなったな」「こういう表現ができるようになったのか」と思ってもらえるようにしたい。こういう状況でもうまくなることはできるんだと思ってもらえる写真を届けるつもりです。

そして、矢口亨カメラマン。インタビューを読んでいてビックリしたのは、フィギュアを撮り始めたのが19-20シーズンからということ。それでいきなり写真集を出してしまうのは凄すぎます!そして、実は、20年の全日本での羽生さんの演技を見て、私も矢口さんとまったく同じ感想を持ったんですよね。このコロナ禍で、コーチ不在での一人での練習で、新プロを2本準備して、シーズン初戦でこの完成度・・・。「俺も頑張ろう!」と思いましたもん。矢口さんとは、私は世代的にバッチリかぶるので、とても共感しますし、応援したいですね。

僕は将棋を撮ることも多いんですが、「この人の魅力はどういうところだろう」「こういうところがいいよね」と、考えて撮るようになった。自分の中で、被写体に対するスタンスが変わったんです。・・・少し前までは「この会場にいる中で一番いい写真を撮ってやる」と思っていたんですが、今は「この会場で写真を撮っている、いいカメラを持ったファン」でいいと思っている。

引用部分からもお察しの通り、若杉和希カメラマン(若さま)。大晦日返上で竜王戦の「写〇集」を作っていた彼ですが、このインタビューの中では、藤井聡太の「ふ」の字も出さない所が謙虚ですね(笑)。羽生結弦という唯一無二の被写体を通じて「神たち」と競い合った腕でもって、「写真一枚で将棋指しはこんなにかっこよくなるんだ!」ということを証明したのが若杉さん。実は、フィギュアに帰ってきてくれないんじゃないかと個人的に心配していました。「ファン目線」というのは、将棋の取材で培ってくれたのかもしれません。

実際、写真の反響の大きさでいうと、羽生選手はアスリートの中でも抜け出ています。会社にはインスタグラムがあるのですが、羽生選手の写真は、他の写真よりも見ていただいている数が3ケタ、4ケタ違うというのが実情ですから。

次に、長瀬友哉カメラマン。通信の全日本号は長瀬カメラマンのお写真だそうです。他誌の宣伝になってしまうから、このインタでは言及されてませんが、よくよく考えれば、私たちの身体は「通信でできている」と言っても過言ではないですから(笑)、実は長瀬さんの写真って、量的には一番見ているかもしれません。

羽生選手は「つなぎ」の部分もすべてカッコよくて、演技中は全部カッコいいんですが・・・羽生選手の演技中の動きは、自分の想像をはるかに超えていました。「これはヤバいことになったぞ」と思ったし、羽生選手の演技を撮るには、事前の準備とか勉強を本気でやらなければダメだと感じました。

最後に毛受亮介カメラマン。コラムでは、素朴で気取った所のない感じが大好きなんですが、実はカメラマンの方々って、それこそフィギュアの解説者やジャッジよりも、羽生さんの振付や技の一瞬の細かい動きに至るまで見ている(というか覚えている)と思うんですよね。羽生さんの演技の細部まで見て採点されていると思えないのが悲しい所ですが、少なくとも、私たちの「ゆづプログラムの理解」は、カメラマンの方々の苦労があってこそなんだなぁと、改めて感謝したいです。

私の独断と偏見でピックアップしましたので、未読の方は、ぜひ5人のカメラマン全員のインタビューをお読みいただけたらと思います。興味深い視点が盛り沢山で、一気読みですよ!

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. あひる より:

    今頃ですが明けましておめでとうございます。
    マガジンのカメラマン特集良かったですね、他のカメラマンさん達も皆素晴らしい技術と人間性を持っていらっしゃると思いますが矢口氏には特に羽生さんとの精神的な共鳴を感じますね。
    以前ネット上にあげられたコラムでも思いましたが今回のマガジンでの『彼が積み重ねてきた努力や時間が本物だから本物のエンターテインになる』の所にとても共感しました。
    コーセーの話ではありませんが他者との比較ではなく、『自分に嘘を付けないからこそとてもきつい』これも矢口氏の言葉でしたが羽生君のhonestyは彼の作品の中核をなしているんじゃないのかなと思います。
    我が家は読売購読者なのでこちらで紹介されていた若杉さんの竜王戦の写真も良いなぁと思って新聞を読んでいました。
    今迄の将棋ファン以外にも竜王戦の魅力を存分に届けられたのではないかなと思います。個人的には新聞の棋譜の脇に小さく載っていた豊島九段の姿に感銘を受けました。
    真剣勝負って良いなぁとフィギュアに需ているのもこれなんですけどね。

    • Jun より:

      あひるさま

      こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。

      藤井竜王は、実は2020年までは豊島さんにまったく勝てなくて、0勝6敗だったんですよね。しかし、豊島さんは自分が連勝していた時も藤井さんを高く評価していて、「いずれ自分が勝てなくなる時が来る」とはっきり言ってました。

      http://kenyu1234.php.xdomain.jp/match2.php?name1=594&name2=287

      昨年、立て続けに藤井さんにタイトルを奪われましたが、それでも豊島さんは恨み節のような発言はせず、性格は温厚で紳士的です。そんな先輩をもちろん藤井竜王もつねにリスペクトしているように見えます。

      あくまでも私見ですが、「藤井・豊島」の関係は、どこか「ゆづ・ハビ」の関係がダブりますね。