Ice Jewels Vol.09(1)

Ice Jewels Vol.09(1)

2019年1月28日発売。1,700円+税。

待望の発売だったにも関わらず、ご紹介(というか中身を読むこと自体)が、発売から半月も経ってしまいました。皆様にとっては「今さら感」のある内容で恐縮ですが、羽生君のインタ部分について気になった点をメモ替わりに残しておきます。

洗練されたプログラムにするには、より確率よく、より攻めきったジャンプへの入りかたや、ジャンプの構成にしなくてはいけないので、表現と構成のバランスを考えるのがすごく難しいです。そうしたバランスを取りながら、自分でも納得できる最高傑作にしていきたいと思います。

自分以外の試合を含めて、いろいろな試合を見てジャッジの評価を見て、戦わなくてはいけないと思っています。そうした戦いを続けながら、自分の表現したいもの、いわば自身のプライドをバランスよく取り入れるという試みをしていきたいと思います。

「Ice Jewels Vol.09」56~57頁。

いきなり、インタの最後の部分を見ていきます。「ロステレ後のインタ」とだけ記載されているので、具体的にいつの発言かは不明ですが、我々からすると、全日本、全米、そして四大陸におけるジャッジのアレコレを踏まえると、色々と考えさせられますね。

この時点ですでに「自分以外の試合のジャッジの評価を見て」とわざわざ語っているわけで、羽生君は、少なくとも上記3試合およびファイナルの「ライバル選手」の演技とスコアの出方については、すでに研究済と想像します。いくらネイサンが全米で異常なスコアを出したところで、「さいたまで対峙したら、GOEとPCSでは絶対に負けない」と確信しているだろうし、そこから「勝つための最善の構成」をまずはじき出していると思います。

ただ、「表現と構成のバランス」、言い換えれば、「自身のプライドと勝つための策(成功確率)」との間でどう折り合いをつけるかについて、葛藤があるようです。具体的には、SPの3Aの「入り」の部分で、ヘルシンキ杯(ツイズルアクセル)からロステレ杯(カウンターアクセル)で変更した経緯が語られています。

本当は、ツイズルからアクセルで跳びたいのですが、ツイズル、ダブルスリーから跳ぶことがまだうまくできていないという自分の技術面の足りなさを少し感じています。今後はもしかしたら以前のものに戻すかもしれませんが、ただ、GOEが取れる要素で構成しないといけないなという気持ちもあり、ちょっと複雑な状態です。

・・・やっぱり、競技としてGOEでの加点をもらいたいというプレッシャーと戦いながら、ジャッジの目の前をツイズルしながら横切るので、まだ難しいのが本音です。でもジェフと話し合って、一番これがきれいじゃないかなと思って選んだツイズルだし、カウンターアクセルは、何回も使っていてGOEもいただいたバリエーションでもあるので、もっと工夫したいという貪欲な気持ちで挑みたいと思っています。

「Ice Jewels Vol.09」54頁。

実際、ヘルシンキ杯でのSPの3AのGOEは「+2.29」、ロステレ杯では「+3.31」なので、スコアだけを見るとこの変更は吉と出ています。1点の違いはけっこう大きいですよね。ヘルシンキの3Aは軸自体が傾いていたので、「入り」の評価というより、ジャンプの質自体で加点が渋かったのは明らかです。でも、その「軸の傾き」がツイズルだから生じたのであれば、そりゃ考えますよね。「今後はもしかしたら以前のものに戻すかもしれませんが」と語っているので、さいたまでどちらを選ぶか、ひとつ注目ポイントですね。

ここからはバカ話になりますけど、このような繊細かつ精密なレベルで日夜ジャンプの進化の手を緩めない中、あんなデタラメな採点がまかり通っているのだから、「ふざけんな、ボケ!」って、私だったら、ライストを見ていたタブレットやスマホを壁に叩きつけたくなりますわな。

しかも、こうやってブログやTwitterで、「このジャッジ、なめとんのか!」とぶちまけるわけにもいかない。お母さんが聞いてくれているのか、ブライアンやトレーシー、あるいはブリちゃんが聞いてくれているのか・・・。いや、聞いてくれてなきゃ、あまりに羽生君が気の毒ですから、しっかり受け止めてあげてほしいです。

ジャンプの前の「最適な入り」については、平昌五輪を完璧に戦い抜いたチームがそばにいますから、そこは心配していません。どちらを選んでも、世界一の3Aであることには変わりないわけで。とにかく怪我なく、ワールドを迎えてほしいです。

明日は、シェイのインタも含めて「Origin」について見ていきます。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    SPの3A、世選では、ツイズルからか、カウンターからか、という点は私も気になっていました。この時点での仕上がり具合で決めるのでしょうか。どちらにせよ世界一の3Aという点、全面同意です。
    大怪我明けでも、誰かのように ジャンプ前を手抜きする様なことは絶対にないことだけは確かですね。

    今日、女性自身のネット記事を読んでしまいましたが、珍しくサゲ記事ではありませんでした。羽生選手が、オフにイメージトレーニングを重ねるという 野口さんの話が メインで載っていました。宇野選手との対比はゲームの課金の仕方だけでしたが、実際 適度に息抜きをしながら、仰るようにコーチ達とコミュニケーションを取りつつ、いい準備をしていって欲しいです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      ツイズルでもカウンターでも、完璧に決めれば4点台のGOEはつくと思うので、確率重視で行くような気がしますね。怪我空けですし、練習時間も限られていますから、得意の3Aよりも、他に優先的に取り組まなきゃいけない部分はあるんじゃないでしょうか。

      スマホゲーも、自分で楽しむだけなら、最近は課金なしでもクリアまで遊べるようになってますね。私は、ロマサガREを発売日から遊んで2ヶ月近くになりますが、1円も課金していません。

      ただ、何にお金を払うかは人それぞれで、私は将棋のためにニコ動とアベマのプレ垢、ドグチューブのためにニコ動とYouTubeのチャンネル会員になっているので、まぁ、あまり人のことは言えません。

  2. マリィ より:

    こんばんは
    ツイヅルからの3Aって想像してみてもバランス取りづらそうですね。
    でも挑戦する羽生くんですから安定してできると自信がついたらやる気がします。
    世界選手権でどんな演技になってるのか楽しみですね。
    以前もjunさん仰ってましたけど、AI導入がフィギュアにないのは悲しい限りですね。
    こんなバカな採点競技スケートが好きで自分のやりたいスケートがない人はさっさと引退したいでしょうね。
    実際そうなんでしょうね。
    人間のドロドロした部分は仕方ないですが、そんな中でも前を向き進化する羽生くん、ぜひ目標達成して欲しいですね。
    将来なるべく早くより良い採点システムになるよう祈ります。

  3. マリィ より:

    ちなみに、75ページのフリーを終えた後のキス&クライはショートの後が正しいですよね。
    誤植発見でした。

    • Jun より:

      マリィさま

      まとめてこちらに。先に75頁の件ですが、ロステレのフリーではブライアンはコートを脱いでいるので、おっしゃるように正しくはショートですね。

      私なんかは、スケートを見るのに嫌気が指したら将棋を見たりしてナンボでも気分転換ができますが、やっている選手たちは大変です。
      だからこそ、ちゃんと努力して頑張っている選手を応援しよう!と思います。同時に、デタラメなジャッジやズルい演技には毒を吐きますけどね。