アスリート雑談(菊池雄星)

アスリート雑談(菊池雄星)

菊池雄星投手と言えば、岩手県の花巻東高校のエースピッチャーとして甲子園で準優勝(3年春のセンバツ)という活躍は私も覚えていて、2009年ドラフト1位で西武に入団。MLBのシアトル・マリナーズと契約したのが2019年で、その後、トロント・ブルージェイズ、ヒューストン・アストロズを経て、昨年オフにロサンゼルス・エンゼルスへの移籍が決まりました。エンゼルスとの契約は3年6300万ドル(約97億7000万円)と報じられ、「そんなにもらえるの?」と私もビックリしました。

何が評価されたかと言うと、ブルージェイズからアストロズへの移籍は昨年7月29日のシーズン途中のトレードだったんですが、アストロズでは10試合に登板して5勝1敗(防御率2.70)の好成績だったんですね。あとは、MLBに来てから怪我が無いとか、彼のコミュニケーション能力の高さも高評価の要因のように感じます。アストロズにトレードされた初日のエピソードが、まず面白かったです。

「アストロズ移籍初日に、監督やコーチ、あとデータ班の人とミーティングをしました。そこで『投げるボールの割合(球種の配分)と投げる場所(投球位置)を変えてくれ』『99%のバッターはストレートを待っているから、ストレートの割合を減らしてください』とデータ分析の人から言われました。それがすごく上手くいきました」

いまのMLBってとにかくデータ野球で、ピッチャーの場合、相手チームのバッターの特徴を徹底して覚える必要があると。しかも、ピッチクロックという「15秒以内に投げないといけない」とするルールがMLBでは実施されて、1球1球いちいちキャッチャーのサインに首を振ったりしてられない。事前のミーティングで詰め込んだデータを元に、ピッチャーが主体的にテンポよく投げ込んでいく。「頭が良くないと向こうではピッチャーできないわ!」と思いましたね。

野球の話ももちろん面白かったんですけど、私生活でも食事・睡眠はストイックに決めていて、それ以上にビックリ&納得だったのが、年間最低200冊の読書量というのが、たしかに彼のクレバーな語りに表れているんです。

読書をする目的を聞かれて、「抽象化する能力を上げるため」とはっきり言っています。本の中に具体的なことはいっぱい書かれている。でも、その情報から「結局こうだよね!と抽象化・具体化する能力は読書によって間違いなく得られる」とのこと。そこで、前述の「相手チームのデータ」の話ともつながっていて、コーチやデータ班から情報をいろいろ渡されるけれども、「これで行こう!」「こういう取り組みをしよう!」と最後は自分で決めなきゃいけない。

「まとめサイトとかだと、知識はつくけど、抽象化するという一番大事なことが抜けてしまう。だから一冊の本を読むのは大事」というのもなるほどなぁ・・・と。ただ、野球選手は目(視力)が命。チームから「目をなるべく使うな」と言われているので、読書の7割はオーディブルで移動時間に聴いているそうです。

野球は徐々に上手くなるのではなく、いきなり上手くなる。上手くなるきっかけを掴むために練習する。『あ!これだ!』というきっかけに出会うチャンスは練習量が多い方が増える。100回素振りして疲れる選手よりも、1000回素振りしても疲れない選手の方がきっかけを掴むチャンスは増える。だから結局は練習量が大事」

個人的に一番のハイライトはここでしたかね。「質か?量か?」論争や「努力か?才能か?」論争に対して、「量は大事。努力は大事」という考え方なんですけど、「量が大事。努力が大事」と押し付ける考え方ではない。「1000回素振りすれば打てるようになる」ということじゃなく、1000という数字が普遍性を持った目安になるわけでもない。

これは勉強にも言えることかもしれません。「どの参考書とどの問題集を何周やれば、どれぐらいの成績を出せるのか?」というのはその人の理解力によって変動します。自分でできる範囲の量をこなす過程で「何に気づくか?」ということが肝なのかなと、個人的には理解しました。

メタルジョギング・チャレンジは215日目。METALLICAの『St. Anger』(2003年6月)です。彼らの過去作については、1st『Kill’Em All』を「119日目」、3rd『Master of Puppets』を「133日目」、5th『Metallica』を「155日目」にレビュー済。

本作はMetallicaにとって6年ぶりの新作だったんですが、当時1曲目の「Frantic」を聴いて「なんだこれ?」って腰が抜けそうになったのを今でも覚えています。スネアドラムの「カンカン・カンカン」というドラム缶を叩くような音がなんともマヌケというか、聴いている側としては力がまったく入らない。6年前の前作の1曲目の「Fuel」の分厚く粘っこい音はどこに行ったのよ?と。

Metallicaの作品は、1991年に発表された『Metallica』(通称・ブラックアルバム)のヘヴィなサウンドが衝撃を持って受け止められ、ラーズ・ウルリッヒのドラムも「コンクリートを殴りつけている」ような痺れるサウンドだったんですね。その後の、『Load』(1996年)と『Reload』(1997年)でもプロデューサーのボブ・ロックとのタッグによって、駄曲がありつつもヘヴィなサウンドは維持されていました。

本作は、ブラックアルバム以前の「速いMetallica」が帰ってきたような曲もあるんですけど、「カンカン」「キンキン」鳴るサウンドによって、ラーズのドラムのもたつきを鮮明にする結果になっています。曲はまぁまぁ悪くないんですが、サウンドがダメ。今回改めて「Liberty 4 Pro」で聴いてみても、やっぱりダメでしたね・・・。

もちろん、Metallicaの熱心なファンや、彼らのヒストリーを理解する上では非常に重要な作品かと思います。「なぜこのサウンドにしたんだろう?」と考察してみるのも興味深い。でも、特に熱心なファンでもない私にとって、「他に名録音の名作があるのにわざわざこれは聴かないかな?」という位置づけですね。まぁ、この奇抜なサウンドも本作限りなのは良かったです。

では、また明日!

Jun


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