王将防衛&終局直後の罰ゲーム!

王将防衛&終局直後の罰ゲーム!

第74期王将戦七番勝負は、4勝1敗にて藤井聡太王将の防衛となりました。これで王将位獲得は通算4期。「永世王将」の称号を得るには「通算10期」という高いハードルが待っていますが、藤井さんならそれも軽々と「通過」してくれることでしょう。

本シリーズ、挑戦者の永瀬拓矢九段は独自の研究を武器に序中盤をリードする展開になることも多く、さすが棋界屈指の研究家であることを証明してくれました。しかし、最終盤で藤井王将にひっくり返されて逆転負けとなる展開が続き、私が大盤解説会を訪れた「第三局」もまさにそのような将棋でした。終盤まで持ち時間を残せる2日制のタイトル戦では、藤井さんも逆転のチャンスをつかみやすいということを改めて証明した感があります。

しかも、決着局となったこの第五局で、藤井王将が二手目に△3四歩と応じたことは「事件」と言っていい出来事でした。将棋AIが推奨する膨大な手順の「暗記」がもっとも生きる戦型が「角換わり腰掛け銀」で、おそらく永瀬九段も数百手単位の手順を暗記して本局に臨んだはずなんですけど、わずか2手目の△3四歩によってその努力が一瞬にして水の泡になったことを意味します。

この「角換わり腰掛け銀」は先手番が目指し、後手番が2手目に△8四歩と応じないと成立しません。藤井さんはデビュー以来後手番の2手目は△8四歩しか指したことがなく、後手番258局目となった本局、初めてその前例が破られたわけです。藤井将棋に「2手目△3四歩」の可能性があるなら、「膨大な暗記」が前提となる角換わり腰掛け銀は非常にリスキーな作戦と言えます。永瀬九段は4月から始まる名人戦七番勝負の挑戦者にもなっていますが、「あなた、それでもその暗記をやるのですか?」と藤井さんが牽制したとも言えますね。

AIに教えてもらったであろう手順を淡々と1秒で指している姿を見せられるのは、まぁ、エンタメとして面白いものではないので、角換わり腰掛け銀が今後減少傾向になるのは、将棋ファンとしては大歓迎です。藤井さんが完全に角換わりを指さなくなることは無いにしても、あっと驚く将棋、あっと驚く構想を目撃する機会が増えることを切に願っています。

では、また明日!

Jun


にほんブログ村

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)