

ABEMA将棋チャンネルでの放送は「こちら」。囲碁将棋TV(朝日新聞)のYouTubeチャンネルは「こちら」。両者の対戦成績は、藤井聡太名人から見て「23勝8敗2千日手」です。
第一局は振り駒で挑戦者の永瀬拓矢九段の先手番。永瀬九段はプロ棋界で最も流行している「角換わり腰掛け銀」を目指しました。角換わり腰掛け銀という戦型は、先手が目指す作戦ではあるんですが、特定の局面に誘導するのは後手番の「権利」とも言われています。この将棋は、今年3月2日に行われた棋王戦第三局の藤井棋王対増田康宏八段戦の「千日手局(引き分け)」を途中まで踏襲しつつ、「藤井・増田戦の前例から変化したい永瀬九段」と「その前例から変化させたくない藤井名人」との間の攻防もありながら、最終的には30手を超える長手数の詰みを読み切った藤井名人が永瀬玉を即詰みに討ち取った一局となりました。
第二局は藤井名人の先手番ですので、おそらく初手▲2六歩から角換わりを目指すことになるんだと思います。ただ、永瀬九段が2手目に△3四歩と応じれば、角換わりにはならなくなります。その場合、「雁木系」の将棋か、あるいは「横歩取り」の可能性もあり、藤井名人は少なくと「3パターン」の戦型を準備しないといけません(*永瀬さんの振り飛車は「無い」と考えて除外します)。一方、永瀬九段はそれらから「選ぶ権利」があるわけで、「1パターン」を準備しておけばいい。準備の労力という点では「後手有利」かもしれません。
一方、可能性は低いですが、藤井名人が初手▲7六歩と指した場合、後手が△8四歩と応じれば「矢倉」に、△3四歩と応じれば「横歩取り」になるので、「2パターン」で済む。じゃあ、初手▲7六歩の方がいいのでは?と思うのですが・・・。どっちになるかは朝9時の対局開始までのお楽しみという感じです。
つい先日の棋聖戦挑戦者決定戦で永瀬九段は杉本和陽五段に敗れ、杉本さんが藤井棋聖の挑戦者となりました(タイトル挑戦決定により六段昇段)。あの将棋は、杉本さんが序盤でかなり大きなミスをして、そのまま永瀬さんの楽勝かと思いきや、終盤でもつれて杉本さんの逆転勝ちという展開でした。
ここ最近の永瀬さんの終盤力にやや不安を感じる部分もあるので、持ち時間の長い名人戦ではぜひじっくり考えて好勝負になることを期待したいですね。
では、また明日!
Jun
