
金曜日に「The Book」を読み終わったんですが、改めて今回のショーの壮大さ・複雑さ、関わった人員の数、スタッフの皆さんが精魂込めて注ぎ込んだプロの技と知恵に対して、感謝と畏敬の念を覚えずにはいられません。
こう言っちゃアレですが、「たったの7公演」ですし、そんなにギャラも良くないと思うんですよ。でも、ここまでスタッフの皆さんが総力を結集できたのも、昨日ご紹介した「キングダム」じゃないですが、Ice Storyというものが「道無き所に道を作る偉業」だからってことなんでしょうね。前例の無いビッグプロジェクトだからこそ頑張れる。これぞ、プロフェッショナルの仕事と言っていいでしょう。
そして、そんなプロの仕事に対して、まったくの部外者の私が、不思議と共感できる所も多いんですよ。本来、アイスショーのお客さんと言うのは、現地組であれ映像組であれ、我々は「エンタメ作品」を単に消費するだけの受け身の立場でしかありません。でも、このThe BookがEchoes of Lifeというショーを「丸裸」にするほどの情報をシェアしてくれたことにより、Echoesを「主体的」に問い直す機会を与えてくれたというか、そんな気がしています。
羽生さんがストーリーやポエムに込めた思いを想像しつつ、清塚信也さんの「ピアノコレクション」への関わり方や、映像ディレクターの田向潤さんがご自身の「解釈」を入れて映像化に苦心された様子、MIKIKO先生が演出チームと一緒になって「ストーリーの読み合わせ」を行ったエピソードなどから、まるで自分もその過程に参加しているような感覚になるんですね。
そのような「感情移入」は、やはりショーの開幕前に、「ストーリーブック」を販売してくれたことも大きい。正直、あれを読んだ時に、「これを全てショーに落とし込むのは無理だぞ?」と感じたんですが、実際、MIKIKO先生も「ストーリーを崩さずに、どこを削るか?」に苦心された点を語っておられて、「やっぱり?そうだよね?」と同意するしかなかったので。
話を本書の「形式面」に戻します。前回のRE_PRAYのオフィシャル本は、「フォトブック」と「プレイヤーズガイド」に分けられていましたが、今回は1冊に詰め込んだ形になっています。確かに、RE_PRAYは「ゲーム」というややマニアックな題材でいろいろと説明が必要なこともあり、もしかりにあの美麗なフォトブックの中にゲームキャラの設定資料を組み込んでいたら「収まりが悪い」部分もあったかもしれません。
一方、今回のEchoesにおいて、一冊にまとめたことは大正解で、各プログラムが美しいお写真とコメント付で時系列に解説されており、Echoesの公演映像を改めて見直す際に、手元に置いておくことで、ショーの理解が深まること確実です。そして、羽生さん&清塚さんの対談(おそらく、聞き手の長谷川仁美さんとお二人とのオンラインインタ形式)、田向さんのインタ、MIKIKO先生のインタ、そして羽生さんの単独インタで締められていて、情報ギッシリです。そして、The Bookを読了したことで、改めてストーリーブックも読み返してみたい、という気にさせられます。
羽生さん座長のオフィシャル本のクオリティの高さは、2018年のContinuesですでに証明されていたんですが、プロ転向後のプロローグ、GIFT、RE_PRAY、そしてEchoesとショーと並走するように本のレベルも上がっていて、「そりゃ、市販のフィギュア雑誌・書籍が立ち入る隙が無いわな」と。
で、このままダラダラと話が続くのもアレなので、いったんここで切ります。次回レビューでは、もう少し詳しく、個人的な「推しポイント」をご紹介できたらと思っています。
メタルジョギング・チャレンジは231日目。TRIVIUMの『The Crusade』(2006年10月)です。本作は「194日目」にレビュー済。
以前のレビューでは「Master of PuppetsまでのMetallica」という印象を書いていたんですが、3曲目の「Entrance of the Conflagration」を改めて聴いてみて、Dream Theaterの「Endless Sacrifice」(2003年)の後半(8:45~)がパッと頭に浮かんだので探してみたんですが、「思ったよりも似てないかも?」という程度でした。でも、Dream Theaterの「メタルサイド」の影響は少なからずありそうな感じもします。
あとは何と言っても、北欧メロディックデスメタルを感じさせる部分もあって、9曲目の「This World Can’t Tear Us Apart」は2000年前後ぐらいのIn Flamesっぽくもあり、アメリカ・ヨーロッパ・イギリスの新旧の有名所のメタルをよく研究して巧みに取り入れているなぁと。
でも、こういうのって個人的には「悪!」とか「パクリ!」なんてまったく思わなくて、彼らをきっかけに「温故知新」というか、そのルーツを探るのが音楽ファンの楽しみなんですよ。これが昔だったら、MetallicaやIn Flamesの中古盤を探しに御茶ノ水や新宿に行く必要があったんですけど、サブスク時代のいまでは月額1000円やそこらで簡単に遡れますから、贅沢で恵まれた時代になったものだなぁ・・・と改めて痛感させられます。
では、また明日!
Jun
