JGPフランス(女子FS)感想

JGPフランス(女子FS)感想

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。2位の韓国のウィ・ソンヨンの動画が上がっていないので(権利関係か何か?)、それ以外の、1位~5位の4選手を順番に見ていきます。

ワリエワ。フリーは138.40の1位。合計200.71で優勝。冒頭の4TにGOE+2.99がついていますが、GOEの数値はともかくとして、はっきりグリ降り気味のこのジャンプを認定するのだから、今季も「チャレンジした者勝ち」という傾向は続きそうです。

ジャンプを次々と決めていくんですが、着氷後の流れが無い。ロシア女子の典型的なスタイルと言っていいんですが、これは体型変化が来ると、ジャンプの「よっこらしょ感」が出てくるはずで、「時間との闘い」でしょうね。

3Fを転倒しているので、「安定感」という点ではジュニア時代のトゥルソワには及ばないし、ジャンプの着氷後の流れや表現力ではコストルナヤの方がはっきり上。この選手、けっこう苦労するかもしれないですね。

フロミフ。フリーは111.60の5位。合計179.32で3位。冒頭の3LzでSO。これはコンボ予定だったでしょうか。ステップの所はキレイで、ワリエワのプロよりこっちの方がいいのでは?と思って見ていると、3Lzで転倒して、コンボを付けられず。この子が転倒する時は、ジャンプがものすごい傾き方をするので、癖になっているのでしょうか?

3Lo-2Tでの転倒は、ガス欠というか完全に疲れてしまっているように見えました。男女のヴォーカルで曲が盛り上がる所で、このバテ方はちょっと悲しい・・・。しかし、この選曲、あのグレイヘンガウスが選んでエテリが許可したとは思えない、北米風味満載でめちゃくちゃ新鮮で、見直しました。いいプロだと思うので、頑張ってノーミスしてほしいですよ。

荒木さん。フリーは116.30の3位。合計175.13で4位。安藤さん振付のナウシカ。さすが荘厳でダイナミックな曲で、いいプログラムだと思います。ジャンプも、最初のルッツなんて、まさにボーヤンを彷彿とさせるような高さと幅のある素晴らしいクオリティなんですけど、SPに続いてセカンドが決まらない。去年から言っていることなんですが、一番いい時の彼女を知っているだけに、本当にもどかしいです。

2シーズン前のJGPの最終戦、荒木さんは、ほぼノーミスの180点台の演技で、当時、コストルナヤ、サモドゥロワ、紀平さんと互角の戦いをしながら、4位に終わりました。そう考えると、ロシア勢も含めて、全体的にレベルは落ちているのかもしれません。ジャンプを戻せば、次戦、台乗りのチャンスは十分にあると思いますので、復活を期待しています。

川畑さん。フリーは113.92で4位。合計171.67で5位。フリーもランビさん振付で、梅林茂さん作曲の「夢二のテーマ」。これは、たしかにこの奇抜な衣装を合わせるわけだ・・・と思わせる、難しい曲ですね。

大きなミスは、両足着氷となった3Fで、これにはエラーとDGがつきました。他にもジャンプに細かいミスはあったんですけど、スケーティングの伸び、ポジション、所作、あらゆる面でクオリティが高くて、いまの日本のシニア勢よりも、よっぽど大人っぽいスケートを披露してくれています。こういう選手が日本のトップに立てば、「日本の女子は変わったな!」と世間&世界の評価も変わると思うんですけどね。

来週は第2戦アメリカ大会で、地元アメリカ期待のアリサ・ルーが登場。日本からは、チーム濱田の「第3の3Aの使い手」河辺愛菜選手が出場します。フィギュアスケートTVの映像を見た限りでは、いつ成功してもおかしくないので、楽しみです。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. Fakefur より:

    ワリエワ選手、一人次元が違いましたね。ジャンプ後のフリーレッグの上げ方がコストルナヤそっくり。柔軟ですが、逆にキビキビしすぎて、新体操ぽくないですか。膝下の形がメドちゃんに似ていて、体型が変わってきたら、厳しそうな印象を私も持ちました。

    やっぱり、つなぎが盛り過ぎで、後半は可愛そうになりました。だんだん振りが追いつかなくなって、腰を折りながらのバタバタしたバッククロスが目立って(エテリ組の悪い癖)、取って付けたようなあとのイナバウアー(昨年のザギちゃんを思い出す)の後、案の定転んでしまいました。ジュニアに上がったばかりなのを忘れるほど、才能ある選手なので大事に育てて欲しいですよね。

    荒木さんはスピードもあるし、ジャンプは高いし、スピンも本当に上手ですよね。Junさんのおっしゃる2年前の映像を見ましたが、所作面の進歩が少ないのが気になりました。2位の韓国選手は技術的にクリーンではありましたが、ジュニアジュニアしていて、飾りのないクリスマスツリーみたいでした。これなら荒木さんと川畑さんのPCSはもう少し高くてもいいのに、と思いました。

    川畑さんのプロ、とても期待してたんですが、まだ滑り込みが足りない感じでしたね。基礎技術といい、所作といい、シニアでも十分戦えそうなのに、ジャンプが決まらないと点数が伸びませんね。この曲はウォン・カーウェイの「花様年華」のテーマ曲でもあり、香港を舞台にした、気怠いのに、むちゃむちゃスタイリッシュな不倫映画なので、川畑さんの匂い立つ色気でブラッシュアップしてほしいです。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      詳しい分析をありがとうございます!概ね、私も同意見です。

      The Answerみたいなネットニュースサイトは、すぐにワリエワを持ち上げているわけですけど、この記事でも書きましたが、身体能力ではトゥルソワ、表現力ではコストルナヤに及ばないなと。そして、振付がつまらない・・・。ザギっぽいイナバウワーがあって、でも誰に似ているかといえば、若い頃のメドに近いし、そう考えると、日本の女子選手の方がバラエティに富んでるなと思います。

      荒木さんはジャンプはいいモノを持っているんですよ。彼女がJGPでデビューした時は、ジャンプのインパクトは紀平さんより大きかったぐらいです。しかし、その後、紀平さんは、3Aだけの人ではなく、すべてのジャンプの精度を上げて、フリップとルッツの跳び分けは完璧だし、スピンもステップも質が高く・・・と、世界トップのスケーターに成長しました。

      紀平さんはむちゃくちゃ向上心の高い子で、荒木さんは怪我や体調不良という不運もありましたが、やっぱり環境もあるのかな・・・と感じます。

      • Fakefur より:

        The Answerは、個人のSNSの焼き直しなので、私も信頼していないです。米のアリサの持ち上げ方も。プレローやら、グリ降りやら、テキトーイナバウアやら、私もワリエワを見ると、エテリ組の誰かのどこかを思い出してしまいます。エテリ本人も言う、選手は工場製品というのは言い得てますね。エクソジェネシス、本当にいい加減飽きてきました。

        紀平さんは、ジュニア時代は滑れる体操選手みたいでしたが、オールマイティに開花しましたよね。常人外れた向上心とストイックさと、怪我をしない身体。本当にこのスポーツは難しさを実感します。

        • Jun より:

          Fakefurさま

          アリサの3Aと紀平さんの3Aを一緒にしないでくれよ!と言いたいですが、今週末の試合は地元開催ですから、コケなければ盛り盛り銀河点が出ることでしょう。

          結局、シニアで直接対決しないと本当の実力は分からないですよね。その点で、今季昇格の「エテリ3」にどんなスコアが出るのか?ジュニア時代の動きはできるのか?、男子のシニアはアレですが、女子は楽しみがいっぱいありますね。

  2. ととちゃん より:

    確かに、昨年に比べたら全体的に小粒なのかも知れませんね。ワリエワもクワドは決められたけれど、後半せわしなく感じました。あんな短いレイバックはいらないのでは、と思います。これは振り付け師の問題ですが。

    知愛ちゃんの曲、面白いんでしょうが、不思議な雰囲気で、まだ私は慣れません。衣装は凝っていて素敵だと思いました。今回のロシア女子よりスケーティングは好きなので、次回、是非表彰台を狙って欲しいです。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      ワリエワのショートのピカソの絵のプロは、まぁいいでしょう。しかし、フリーのエクソジェネシスは、いろんな選手が曲を使ってきて、しかも振付の中身もどこかで見たことあるものばかりで、シェイリーンがアシュリーに作ったエクソジェネシスに比べたら、見てられないですね。

      人気絶頂のラーメン屋が、調子に乗って支店を増やしたら、徐々に飽きられていって、もっとクオリティが高く斬新な味を出す新店に客をどんどん奪われていく・・・。そんな状況とかぶります。

      かつてエテリは自分を「工場長」というような例えをしたようですが、スケートをよく見ている人ほど「またこれか」と思っているんじゃないかと。

  3. sennin より:

    プロミフ選手も13歳なんですよね?
    あまりにもエテリチームの振り付けが同じひとのせいかみんな同じに見えてしまいますけど、この選手はちょっと違いますね?
    グレイへんガウスもいろんな曲を使いたいのではないでしょうかね?いろいろと制約あるのかも知れません。確かザギトワ選手のエキシナンバーがパクり?とご本人からクレーム入ってましたね?アメリカじゃなかったですかね?
    詰まり気味のランディングは確かに
    まあ逆に流れるジャンプが出来る選手を聞きたいくらい少ないように感じます。
    川畑さんのプロには驚きました。よくランビも選んで川畑さんも受けましたよね?私は気に入ってますが
    スケーティングがホントに素晴らしいですよね?都築先生のお弟子さんはみんな綺麗です。基本だからじっくり練習させるんでしょうね。青木さんが骨折とのことで残念ですが彼女も綺麗に滑ります。三浦くんもなかなかいいなあと思ってます。
    荒木ななちゃんは私の感想では今季はぐっと表現で変えてきたな!と思っているんですよね。昨年までは明るさメインでしたけど指先や顎をクイッとあげてみたり高校三年生らしくなってきました。あとは得意のジャンプを成功させてもらえればと…。カメラワークがこの試合丁度横から撮ってるのでよく見えていいですね。

    • Jun より:

      senninさま

      荒木さんのプロは、フリーの安藤さん振付のプロはドラマティックでなかなか良いと思うんですよ。ただ、ショートがねぇ・・・。海外の振付師のプロで見たいですが、そうするためには、国際大会である程度の結果を残すか、濱田組にでも移籍するしかない。なかなか辛い所です。

      あと、荒木さんだけでなく鍵山君にも感じるんですが、ジャンプを降りた後のクイックネスが足りない。羽生君はもちろんですが、川畑さんもジャンプの後は比較的スムーズに次のエレメンツに移行しているので、これは現場の指導者の影響が出ているのかもしれません。

      • sennin より:

        Junさん!クイックネスとはなんでしょうか?初めて聞きました。見てるところが違いますね?もし良かったら教えて頂けますか?

        • Jun より:

          senninさま

          大した意味はないですし、ましてやフィギュアスケート用語でもありません。quicknessは「速さ」という意味で、quickの名詞形です。

          ジャンプを着氷後、即座に次の動きに移行する様子をそう表現しました。