「フィギュアスケートマガジン 2019-2020 Vol.4 グランプリファイナル特集号」(1)

「フィギュアスケートマガジン 2019-2020 Vol.4 グランプリファイナル特集号」(1)

2019年12月20日発売。1,200円+税。

うーん、なかなかゆっくり時間が取れず、とりあえず座談会のみ読んでみました。率直な印象として、このファイナルは特に、日本の番記者たちはめちゃくちゃ羽生さんに気を使っていたのだな、ということなんです。

ISUのジャッジやスケ連がやりたい放題やってるけど、特にスポーツ紙の記者・カメラマンにとっては、羽生さんが引退したら、新聞は確実に売れなくなるし、ネット記事のアクセス数やTwitterのRT・いいねも激減するわけで、「死活問題」なんですよね。

一箇所、興味深い部分があったので引用します。フリー後の囲み会見に際しての、記者たちの様子です。

――結果的にネイサン選手とは40点以上の差がついて、この日もミックスゾーンでは羽生選手を待つ間、記者たちは口々に「これはちょっとまずいな」「どんな言葉をかければいいんだ」と言っていて…。

吉田 囲み会見の「入り」は、本当に緊張しましたね。どんな言葉でスタートすればいいのかという…。ところが、SPとは真逆のすがすがしい感じで来てくれて。

――羽生選手は以前、「勝てなくなったらやめる」と言っていましたから、かなりドキドキしました。でも、羽生選手自ら「点差ほどの差はない」と。

高木 羽生選手自身が、「勝てる」と強く思っているということですよね。本心からの言葉だと思いますし、聞いていた私たちも、「ああ、そうか」と納得していた。

吉田 あらためて、すごい選手だと思いました。実際、計算してみたら基礎点はネイサン選手を上回っていましたし。で、実際に翌日の新聞を見たら、どの記事もすごく前向きに書いている!これって、本当にすごいことですよ!

吉田さんの最後の発言は、まさに読者の立場として、私も感じたことでした。スポーツ紙が好意的で、「羽生結弦君、もう引退しなさい」なんて記事はまったくなかったですからね。

あと、上記で基礎点の話が出ていますが、この座談会の中で、GOEやPCSという言葉が一切出てきません。これは、私は確信に近いものを感じていますが、記者たちも、ネイサンと羽生さんとの間で、GOEとPCSの付け方について、明らかに不公平であることが感じているんだと思います。

「これはちょっとまずいな」「どんな言葉をかければいいんだ」と、なぜ記者たちは思ったのか?私が彼らの気持ちを代弁しましょう。

羽生さんがあれだけの演技をしたのに、40点も差がつくはずがない!だから、「どんな言葉をかければいいのか」という発言が記者から出たのでしょう。みんな感じていることなんですよね。

おそらく、採点のアレコレ(特に、あの選手と比べてこの選手は)を記事に書くのは、「大人の事情(?)」でタブーなんだと思います。ただ、ファイナルと、そして全日本でも、そこまで露骨な「sage記事」が無いということは、記者たちもこのスポーツの欠陥について思う所があるのかな・・・と希望的観測ではありますが、そんな印象を受けますね。

マガジンの「全日本特集号」も年明け早々に発売されますが、その辺りを想像しながら「裏読み」してみると興味深いかもしれません。「完全収録」の方も、時間を見つけてチェックしてみることにします。

では、また明日!

Jun


にほんブログ村

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)

コメント

  1. Fakefur より:

    「奇跡なんて信じるな。羽生結弦を信じろ。」この見出しだけで涙が出そうです。

    そう、努力しない人に奇跡は起きない。ひたむきに努力を続けた人に、神は偉業を許すのです。

    記者さんたちの「言えない本音」の代弁、ありがとうございます。
    羽生選手にも読んで欲しいですね。次に進むエネルギーにしてほしい、と思いました。

    私は最近、報知の高木記者や谷口カメラマンのツイを追うようになったのですが、つぶやきがゆづファン目線ですし、羽生選手の遠征で付き合いが深くなったであろう他社・他誌の記者さんとの交流も温かい。

    中立であるべきジャーナリストたちも味方にしてしまう、半端ない実績と人柄が揃った羽生選手はやはり偉大なアスリートだと思いました。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      もっと嫌な質問をしようと思えば、いくらでもできると思うんですよ。でも、今後、日本のフィギュアスケート界において、羽生さん以上のスケーターは現れないかもしれないし、もっと言えば、記者・カメラマンたちが今後他のスポーツの担当に配属されても、これほどのアスリートを取材できるだろうか?という、リスペクトの精神をもって仕事をしているのが分かります。

      彼らの仕事からは、最高のアスリートを直接取材できるという喜びと興奮が伝わってきますよね。

      一方、一部のフィギュアスケートライターたちは、そうではない。スケ連やISUに睨まれさえしなければそれでいい、という方々。狭い世界の中で、狭い視野で生きているから、羽生さんの素晴らしさがわからないのでしょうね。嘆かわしい限りです。

  2. ととちゃん より:

    実は、私もjunさんと同じで、座談会だけ目を通しました。後は全日本後、こんな時もあったな、とゆっくり読もうと思っていたんですが…(ため息)。

    GPFが相当前のような気がします。一体どの雑誌がどうなっているのか…いちファンでもこんな状態です。羽生選手は本当に過酷なスケジュールを戦っていたのだと改めて思いました。

    マガジンの記者さん達は基本的に羽生選手寄りで、そういう方達が 他紙の内容も前向きだったことを知り、驚いている様子が なんだか新鮮でした。皆さん、羽生選手がネイサンを称えつつ逆に彼に挑戦して行こうとする姿勢に感銘を受けておられますね。

    物足りなく感じたのは、junさんもご指摘のようにGOEやPCSへの言及が皆無で、得点が公平であることを前提に話が進められている点ですが…。
    まあ、ここら辺が メディアの限界といったところでしょうか。多分この先も どこも正面切って取り上げないのでしょう。それでも、会見全文時系列で掲載という画期的なアプローチに敬意を表する気持ちは変わりませんが。

    全日本も予約しました。奥歯にものが挟まったような内容になるのは、覚悟しています。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      まぁ、大人の世界は、いろいろありますよね。マガジンは、できる限りで最善を尽くしてくれていると思います。

      そして、マガジンの「完全収録」に影響されて、報知の高木さんも羽生さんの会見を「発言そのまま」にネットニュースで発信してくれてますし、スポニチや他紙もそれに倣ってくれています。我々ファンが何を求めているか分かっていて、それに応えてくれていることは嬉しいですね。4CCやワールドでも、その仕事ぶりを期待しています。