「フィギュアスケート・カルチュラルブック 2019-2020」(3)

「フィギュアスケート・カルチュラルブック 2019-2020」(3)

さて、カルチュラル・ブックのご紹介は、今日でひとまずラストです。「シーズンのベスト演技はどれだ?」という企画で、見開き2ページで、右ページに今季の女子のベスト演技、左ページに男子のベスト演技が、それぞれ紹介されていました。

選出したのは、私ではありません。マッシさんに選定いただいたとのこと。ちなみに、「締切の関係で四大陸選手権は含まれない」と但し書きがありました。

この大会でロシアの16歳は非常に難しい入りからの眩暈がするほど美しいトリプルアクセルを成功させただけでなく、自身最高の3回転ルッツを着氷し、すべてのエレメンツを傑出したクオリティで実施した。2大会連続で85点の大台を超え、歴代最高技術点を塗り替える宇宙的高得点を獲得したことは、コストルナヤにとって大きな意味を持つ結果だった。

氷上で披露された内容を見ると、演技構成点はもっと高くてもよかったぐらいだが、シニア初のファイナルで各項目で平均9点をそろえたスケーターは未だかつて見たことがない。彼女がごくわずかの選ばれたスケーターにしかない能力、傑出した技術とスケーティングのクオリティを両立する能力を兼ね備えた選手であることは明白であり、それゆえにこのショートプログラムはこれまでに類がないほど圧倒的だった。

繰り返しますが、私が選んだんじゃないですよ(笑)。「マッシさんが選定」とちゃんと明記されています。このファイナルのSPはザギちゃんも良い演技をしたので、PCSはザギちゃんに及ばないですが、よい評価をもらっています。

SkatingScores.comだと見やすいので、いま気づいたことなんですが、コストちゃんのPCSを4位にしているのが、韓国ジャッジのJ2なんですね。シェルバコワを2位、テネルを3位、紀平さんと同スコアで4位というのは謎でした。

この演技によって彼は北米開催のグランプリ大会で初優勝を飾った。羽生は4本の4回転ジャンプを着氷し、史上初めて4回転トウループ―オイラー―3回転フリップのコンビネーションジャンプを成功させた。

途方もない演技だった。

非常に難度の高い構成にもかかわらず、終盤も羽生の体力が落ちることはなく、最後の最後までパワフルに滑り切った。4回転ループの着氷は少し堪えたが、演技に何の影響も与えなかった。

感動の高まりを特徴とする演技では現在並ぶ者のないスケーティングのクオリティが際立っていた。この演技がエフゲニー・プルシェンコへのオマージュとして生まれ、誰にも真似できない羽生スタイルで再解釈されたプログラムの頂点であったことは疑う余地がない。

Originだと、さいたまのOriginも印象的でしたが、やはりスケカナが一番でしょう。あのカナダ開催にもかかわらず、TES、PCSともに9人すべてのジャッジが1位の評価を与えています。年始のプログラムコンサートの放送を見ていても、Originのバックにはこの試合の映像が流れていたのを覚えています。

そういえばそうか・・・と今さら気づいたのは、北米開催のGPで初勝利だったということ。クリケット初年度のスケアメも、SPでは1位だったんですが、フリーであの小塚さんに逆転を許したのでした。

先日ご紹介したマッシさんの特別寄稿には、翻訳者のクレジットが掲載されていたんですが、上記の「引用テキスト」にはそのような表記がありません。マッシさんは2つの演技を選定しただけで、テキストは日本のライターさんが書いたのか。あるいは、電話取材等を通じて、マッシさんの談話を編集したのか。その辺りは分かりません。ただ、書かれている内容は的確で、反対する部分は無いですね。

もし、四大陸選手権が締切に間に合っていたら、間違いなく、マッシさんは、4CCのバラ1を選んでいたことでしょう。

突如、19-20シーズンが終わってしまいましたが、この3つのプログラムを見ると、演技単体としては非常にクオリティの高いものが見られたシーズンだったなと、改めて思います。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. みつばち より:

    こんにちは 更新ありがとうございます。

    皆さまがおっしゃる通りワールドの中止はよかったです。
    こちらの本は買いました。項目ごとに萌葱色でかいてあるのがとても嬉しいです。

    時間を無駄にしない羽生さんのことだからきっと次に向かってるのだと思います。
    北京まで「バラ1」と「SEIMEI」でいくのではというJun様の意見ももしかすると、かもしれませんね。

    • Jun より:

      みつばちさま

      「時間を無駄にしない羽生さん」とは、まさにその通り!

      もっと言うと、「1秒たりとも無駄にしない」とまで言い切れるのではないかと。私もただのファンでいるだけでなく、彼の生き方から少しは見習いたいものです。