「Quadruple Axel 2023 氷上の希望と光」(3)

「Quadruple Axel 2023 氷上の希望と光」(3)

「GIFT」に関する佐野稔先生のインタをご紹介する予定だったのですが、読んでみるとわりと微妙だったので、もう一回無良君のをやりたいと思います。これで今回のQuadrupleのレビューはラストです。

・(オープニングの「Twinkling Stars of Hope」について)オープニングは、「3.11」の夜にユヅが見上げた星空をイメージしたものです。僕たち出演者は、夜空にまたたく星のひとつひとつを表しています。リンク内を自由自在に動きながらいったん四方に散って、そこから一人、また一人とだんだん集まって、やがてみんながひとつにまとまっていく、というストーリーです。「独りじゃないよ」というメッセージ性を持った振り付けになっています。

・(フィナーレの「希望のうた」について)逆に、フィナーレは悲しい気持ちからスタートするのですが、「希望のうた」の歌詞に合わせて少しずつ力を宿しながら、やがてみんなの思いをひとつにして、「前を向いて進もう」と決意して行動する、というテーマで振り付けされています。僕自身、リハーサルを含めて3回通して滑っていますが、毎回のように「希望を与えられたらいいな」という思いがあふれてきます。スケーターが観客のみなさんと一体になって、すごくいい空気をつくれていると感じていますし、そういうところは、デイビッドが意図したことがそのまま表れているんじゃないかと思います。

・(ソロナンバー「燦燦」について)このプログラムは、あっこちゃん(鈴木明子)に振り付けてもらったんですけど、僕がこれまでやったことのない、柔らかさとか軽やかさとか、そういった動きを見せようと話し合って、三浦大知さんの「燦燦」を使ってつくりました。歌詞にある「星空」「永久の願い」「大丈夫 ほら 見ていて」というワードが、今回のショーのテーマに合っていたので、いつもより一層気持ちを込められたような気がします。被災者の方々は、すごく不安や悲しみを抱える時間が長かったと思うんですよね。そんな方たちに「大丈夫」というメッセージを自分の演技で少しでも伝えることができたらいいなという思いと、「前に進んでほしい」という願いを込めて滑りました。(*「燦燦」の選曲自体は羽生さんのリクエストです。「昨日のエントリー」も参照ください)

・(グループナンバー「Dynamite」について)「Dynamite」は(宮本)賢二先生が振り付けしてくれたんですけど、あれだけ世界的にヒットして、誰もが耳にしたことのある有名な曲を、あの4人(*シェイ、鈴木さん、本郷さん、無良君)で踊れたのは楽しかったです。僕はあまりああいう曲はやってこなかったので、新鮮さもありました。

・(コラボナンバー「雨に唄えば」について)振り付けは賢二先生です。・・・カート(・ブラウニング)の『雨に唄えば』はあまりに有名ですし、彼が滑っている映像はずっと僕のなかに残っているので、「彼のような表現ができるかな」という不安と、「自分がやったらどんなふうになるのかな」という期待のなかで演じさせてもらいました。・・・理華とコラボをしたのは、たぶん初めてなんじゃないかな。彼女のキャラは僕と真逆で、まったく違う表現をするスケーターなので、どういうものができるのかなと予想がつかなかったんですけど、あらためて映像で見てみて、「こういうふうに見えるんだな」という発見がありました。・・・いまはそれぞれ拠点が違うので、振り付けが決まってからは別々に練習して、今週になって初めて合わせて滑るという形だったんですけど、意外とすんなりといったのでよかったなと。滑りを合わせるときに苦労する場合もあるんですけど、今回は本当にうまくいったので安心しました(*こちらも羽生さんから曲の指定のあったプロです)。

各プログラムに関する発言をそれぞれ拾ってみました。よくよく考えたら、このショーのために振付師が何人関わってるの?と、デイビッド、シェイ、賢二先生、明子さん、4人ですよね。そんな偉大な先輩たちにこのショーのコンセプトを伝えて、しっかり役割を分担させる羽生さんのマネージメント能力の高さに驚嘆するしかありません。

それもこれも、羽生さんは「プロローグ」と「GIFT」でMIKIKO先生のような世界レベルのプロフェッショナルの人たちとやってきたから、指示の出し方、意見の調整等、しっかりできるんだと思いますね。

おそらく、羽生さん本人の口からは、なかなかその辺りの「裏方的な苦労話」は出てこないでしょうが、これから関係者の証言によって明らかになることも多そうです。

羽生さんのプロ転向以降、というかその数年前からですけど、「オンリー本」以外あまり手に取る気にならなかったんですが、今回の「Quadruple」の無良君のインタは素晴らしかったです。

ちなみに、今回引用しなかった部分では、無良君による「ゆづリスペクト」発言がこれでもかと飛び出しています。ぜひぜひ、全文読んでいただきたいです。

メタルジョギング・チャレンジは162日目。人間椅子の『黄金の夜明け』(1992年6月)です。日本が誇る超個性派メタル集団。音楽性はBlack Sabbath系統の「重くて暗い」という色合いが強いんですが、この人たちに関しては、まず映像を見てもらった方がいいと思います。

このバンドの頭脳は、ギターの和嶋慎治さん。青森県弘前市出身の57歳。いつも和服姿で、NHKのEテレで尺八とか三味線の講座をやってそうな風貌ですが、愛用のギブソンSGでヘヴィでクールなリフをかき鳴らしてくれています。

実を言うと、ヴォーカルの鈴木研一さんの個性的な歌唱&風貌もあって、マニアックというかアングラ的というかオカルトな感じが漂っていて、私自身なかなか手が伸びずにいたバンドなんです。でも、このライブ映像の「怪人二十面相」で彼らを初めて知って、普通にいいじゃん!とビックリしたんですね。「怪人二十面相」は2000年の作品で、本作はそれより8年も前なんですが、音楽性は基本的に変わっておらず、カッコいいです。「暗さ」「重さ」というのはあくまでも一つの要素に過ぎず、メタルというよりも、ハードロックに近い軽快さ・キャッチ―さもあって、「実際に音を耳にしてみると、わりと聴きやすい」という感想に落ち着きます。なかなかとっつきにくいバンドですが、ぜひチェックしていただければと思います。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. mari より:

    3日にわたってのクワドラの紹介ありがとうございます。
    私はオンリー本しか購入していないんです。同じころ発売のキスクラは買ったけど、クワドラは買っていないんです。だから内容が知れてありがたいです。
    そういえばインロックがどのオタも幸せになれない表紙で出版しますね。インロックのような後発本はすみ分け大事って知ってるはずなのにどうしちゃったんでしょうね。表紙を混ぜるなら、ジュンファン・ジェイソンとのクリケット組にするとか、無難に(本田真凜選手と浅田真央さん以外の)女子選手にすればいいのに。

    • Jun より:

      mariさま

      あまり期待していなかったので、この無良君のインタはサプライズでした。他のフィギュア雑誌についても、このようなインタ狙いでしばらく注視したいと思っています。

      キスクラが大判サイズでオンリー本を最近出してくれたまさにそのタイミングで、例の「混ぜるな危険!」ですから、なんというタイミングなのでしょう笑

      私も今回は購入を見送るかもしれません。どこかで中身を見れるチャンスあるかなぁ・・・。