今日は、Originについて。羽生君のインタと、シェイのインタを読んでみると、それぞれが「別のポイント」にフォーカスして、熱心に語ってくれていました。Originを見直す上で、さらに楽しめる視点が2つ増えたのは嬉しかったです。
羽生君は「リズム」の部分での工夫を語っていますね。
シェイと話し合いながらプログラムを作ったのですが、難しかったのは、最初に作ってもらったときにはビートに合わせていたんですが、いまはビートではなく爆発音みたいなところに合わせて構成しているんですよ。この曲はビートに入るところが、中途半端なんです。普通に、「ジャーン、ダダン」と拍数に音が合っているのだったらいいのですが、「ジャーン、ダダッ」と前のめりに音が進むので、それをどういうふうに表現するか、どこで音を取るのかを話し合い、考えながら振付けしました。
「Ice Jewels Vol.09」50頁。
皆さんご存知かと思いますが、このOriginは、「Art on Ice」を基本としながら、前半のステップの部分で「Magic Stradivarius」を使っています。
話を戻して、最初のドラの「ジャーン!」に合わせて4Loを跳びますが、羽生君が「難しい」と言ってるのは、4Loの後、4S→フライングキャメル・コンビネーションスピンまでも含んでいるんだと思います。でも、その後も大変ですよね。この「Art on Ice」という曲は、バイオリンのメロディがまず主役としてあって、基本はそこに合わせてはいますが、後ろの打ち込みもけっこう激しく主張していて、しかも環境音も入ってくる。クラシックではなくロックですよ。
メロディだけでなく、リズムと、不意にカットインしてくる風の音や鳥のさえずりも、当然羽生君は「漏らさず拾いたい」という意識でやっているはず。それでクワド4本入れて、4T-3Aとか、あまりにスケーターに要求されるものが多すぎますよね。
今季のノーミスの演技ということだと、ヘルシンキおよびロステレのOtonalなので、私も動画で見直すのは圧倒的にOtonalばかりだったんですが、久々にOriginを見ると、やっぱり、めちゃくちゃいいですね。
ディスりというより事実として言わせてもらうと、やっぱり、ネイサンや宇野選手のフリーと比べたら、「情報量」がまるで違います。プログラムに技術の粋が結集されているだけでなく、音楽の解釈とそこから導き出された意味のある振付と繋ぎ。すべての動作の何もかもが深い。まぁ、BGMに合わせて、ショートトラックのようにグルグル回ってたまにジャンプを跳ぶ、というプログラムとは、まったくもって、もはや同じ競技じゃないですよ。
さいたまでの構成はどうなるでしょうね。これだけ濃密で、ダレる部分のまるでないプログラムですから、ジャンプの基礎点だけを見たら、「4Loを入れずに、4Sと3Aを2本ずつと、4Tを1本でよくね?」って考えてしまいがちです。ただ、4Sよりも4Tの方が確率は高いですから、同じく4Loを抜くなら、「4S、4T、4T-3A、3A-1Eu-3S」のような形に落ち着くかって所ですかね
ただ、ジャンプによって「軌道が変わる」というのがかなり周知されてきて、特に羽生君のように「ただ跳ぶだけじゃないスケーター」ならば、ある程度「作り直す」必要がありそうです。4Lo(および4Lz)をある程度早い段階から「跳ばない」と決断しておかないと、けっこう大変なんじゃないかと。
まぁ、しかし、どんな心配も、「平昌五輪前」を思えば、あれ以上の苦労は無いはずです。これから毎日言おうと思っていますが、だからこそ、我々も必要以上に不安にかられることなく、彼と彼のチームを信じて、「やってくれる!」ことを楽しみに待ちましょう。
では、また明日!
Jun
コメント
いつも読ませていただいてます。
4S、4T二回づつはルール的に可能ですか?確か同じクワドは一種のみ二回ではなかったかと。
無さま
ご指摘ありがとうございます。本文、修正いたしました。
こんばんわ!
毎日更新お疲れ様です。
実は私もOtonalばかり見返しておりまして、んで
四大陸の茶番(男子シングルのみ)の後、心の浄化のためヘルシンキOriginを見返したんですけどね。
いや〜これが世界最高演技ですよ!そしてこれがさいたまでさらに最高になるんです。
世界最高のものは助走とジャンプだけのプログラムであってはいけないですよ。
ほんとバトンさんが採点してくれないかな〜。
あ、Junさんのディスりじゃなく真実は同感です。
どうせならショートトラックしながらジャンプするだけの競技を新たに作ってくれたらいいのにですねぇ?
あゆさま
バラ1とSEIMEIは「見過ぎてしまった」部分もあるので、そうなるとOtonalは、今季特に見ています。
しかし、Originも「ミスが多かった」とはいえ、改めて見てみると最高ですね。ヘルシンキの構成でもノーミスしたら間違いなくさいたまでは勝てると思いますが、
怪我の状況で構成をどう変えてくるか、そして構成以外の振付の部分等で、新たにブラッシュアップされた部分もあるのか、本当に楽しみです。
ロック、やはりそうですよね。
個人的に、Originが好きで見返すのはこちらが多い。Otonalは心がささくれかけた時の浄化です。来季も続けてくれるならば、持ち越してくださると嬉しいですね。ワールドでは、現状可能なジャンプと軌道、構成で臨むのでしょう。来期以降、羽生さんの理想とするOrigin、技術の粋と言える完成形を見られることを渇望しております。
Ice Jewelsは、羽生さんのスケートへの姿勢を再確認できるインタです。今この時に取り上げてくださって感謝。
どの競技でも、考え、言葉を使えるアスリートが増えて喜ばしい、一部を除いて。何となく見てしまったTVから流れた宇野くんインタの既視感は、7、8年前の高橋さんでした。某バラエティー番組でも元スケーターがお粗末?だったとか。
中京系の戦略は、茶番の火消しなのか?旧態依然では人の心は掴めない。ごく一部とはいえ、悪質なパラノイアを生み出してしまうかもしれない。宇野くんも自分で判断、行動できる年齢でしょうに。紀平さんのアスリートぶりが際立つはずですね。
ごろ寝さま
来季については、プログラムがどうなるかも含めて、色々と想像してしまいますよね。
Otonalはヘルシンキ、ロステレと良い演技をしているので、さいたまで優勝できれば、持ち越しは無いと予想します。
一方、Originですよね。さいたまで完璧なOriginを演じたとして、その後には、「4Aへの挑戦」という課題が待っています。
おそらく、フリーの冒頭のジャンプを4Aにするはずですが、さすがに新プロでそれもやるのは大変なはずで、Originは持ち越しかなと。
プルさんのプロだけ継続したら「ジョニーに悪い」と羽生君が思うかどうかは気になりますが、ショートは、それこそレックレのようにまだまだ冒険してほしいです。
平昌から1年のということで、最近はバラ1、SEIMEIばかり見返していましたが、その前はOrigin派でした。
実はヘルシンキよりロシアが好きです。何度見ても胸が熱くなるのは、もちろん その背景があるからなんですが、ヘルシンキから変わった振り付けの部分が特に好きなんだと思います。また、ロシアは最初と最後をビシッと決めた演技だったと思います。特に最後の超高速スピンには 見る度持っていかれます。
ロシアでは後半4回転を3連にしていましたが
次はどうでしょうか。やはり4T-3Aに挑むのか。正確な技術の上に成り立った芸術が、本当に待ち遠しくてなりません。
きっと、埼玉では正しいスケートの在り方を演技を通して見せてくれるでしょう。
色々なもやもやは、全て払拭されると信じています。
ととちゃん さま
ロステレのOriginは練習中の怪我を思い出してしまうので視聴を避けていたのですが、振付の進化を探るという意味で、私もチェックしてみたいと思います。貴重な視点をありがとうございます。
ここ数日オリンピック関連の話題が尽きないですが、「いやいや、まだバリバリ現役なんだよ!」という気持ちも密かに感じていました。さいたまでは世界最高水準かつ最先端を行くスケートをぜひ見せてほしいですね。決して過去の人ではないですから。
こんばんは
平昌から1年たちますね
男子ショートの時originの音楽がBGMで流れていて、なんと言う偶然!
羽生くんの為のオリンピックかしら?(笑)
シェイリーさんの振り付けは、ほんとに面白いですね
埼玉ワールドで、ネイサンは繋ぎを少しは多く入れて来るでしょうか?
私は入れてこないかな?と、思っています
ナショナルと同じ感じでやるような気がします
ジャンプだけのプロは、やっぱり見てて面白く無いですね
羽生くんのプログラムは羽生くんにしか滑れないと思うので、これからもそう言うプログラムを期待してます
junさまが仰るように、平昌の時を思えば不安がらずに待っていようと思いますが、あそこら辺が小さい小細工しそうで、ちょっとモヤモヤします。
チケットですが、前は練習の時も出していましたか?
エキシビションはその日のチケット持っている方は見れたような記憶があります
国別と勘違いしているのかも知れません
おのさま
ネイサンは全米のままで行くんじゃないでしょうか。スコアについては色々言われてますけど、ノーミスの演技を2本揃えたことは素晴らしい。羽生君の唯一にして最大のライバルは彼でしょう。
練習のチケットについて、それは5年前のさいたまとの比較ということですよね?私は5年前はEXしか取れなかったのですが、いま軽くネットで検索をかけてみると、2014年も公式練習のチケットを売っていたようですね。