将棋雑談(棋聖戦第1局)

将棋雑談(棋聖戦第1局)

お写真は「こちら」の記事から拝借。日曜日は将棋の棋聖戦にどっぷり浸かった大満足の一日でした。

今回の将棋は、途中まで、今年の2月11日の朝日杯準決勝の渡辺・藤井戦と同じ進行でした。渡辺さんは、その朝日杯では勝利目前で大逆転負けをしたので、その将棋の内容自体には自信を持っていたのでしょうね。渡辺さんから、朝日杯のその将棋の形に誘導したのです。

・・・ところが、途中で「手を変えた」のが藤井棋聖。昼食休憩後のほぼ互角の場面の58手目、藤井棋聖は、ABEMA AIの候補手で4番目の「3四歩」という一手を指します(*西山朋佳女流三冠も3四歩を評価されていました)。評価値が11%も下がる手で、AI的には微妙な手です。すると、この後から渡辺名人は悩みはじめ、長考して悪手を指してしまい、その後は一方的に藤井棋聖が優勢となり勝ち切りました。

つまり、どういうことかと言うと、渡辺名人も、藤井棋聖も、自宅のPCを使って、2月の朝日杯の将棋を研究していたのは間違いない。表現はアレですが、渡辺名人はAIの「最善手」を「暗記」してこの対局に臨んだことが窺えます。午前中はほとんど時間を使わずにバシバシ指していましたから。

ちなみに、上述の58手目のAIの示す最善手は「1五歩」という手で、私がPCに入れている「水匠3改(Suisho3kai/YO6.03)」というソフトでも、最善は1五歩でした。おそらく、名人は藤井棋聖が1五歩を指すと考えて、その先の進行も予定していたと思うんです。ところが、ソフト的には「微妙な手」の3四歩を藤井棋聖が指して、名人も対応に困ってしまったのでしょう。

感想戦を聴いている限り、藤井棋聖はわざと「ソフト的に微妙な手」を選んだのではなく、あの場面で自力で3四歩を発見して、それが良いと思って指したようです。まぁ、藤井棋聖は、60~70万円以上かけて自作PCを組んでいると言われているので、これが明らかに「牽制球」になってますよね。そんだけ金をかけているのだから、ソフトの最善を指し続けるはずだ、と。

でも、ソフト的に指しやすいとは言っても、人間的には無理な手ってあるようです。とある人が、「登山」に例えていたことがあるのですが、ソフトが示す最善手というのは、たしかに「勝つための最短ルート」であるととはいえ、断崖絶壁を綱渡りするようなルートでも「最善手」として平気で挙げることもあると。登山だったら、事故を起こさないような、安全なルートを着実に進んでいきますよね。将棋でも、いくらソフトが「良い」という手でも、「その後、1手でも間違えたら、すぐに負ける」ようなリスクは冒したくないのが人情というものです。

AIの示す最善手を参考にしつつも、人間的な指しやすさをミックスして、勝ちまでもっていける棋士がこれから活躍していくことでしょう。間違いなく、藤井棋聖はそういう使い方をしているなぁと感じます。

さすがミヤネ屋!今日もしっかり15分くらい尺を取っていたと思います。

そして、やっぱり外してましたか・・・。「師匠が勝負メシを外せば、弟子は勝つ!」というジンクスは継続中です。

では、また明日!

Jun


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