
今回は「ハイアール」「アクア」のCM撮影について、アクアの役員の方(梶山和昭さん)と衣装デザイン担当の原孟俊さんのインタビューを取り上げます。
まずは、梶山さんのコメントからご紹介しましょう。
「(羽生さんは)TVなどでの印象よりもさらに熱い方でしたね。私や監督がOKを出しても、羽生さんは『これでは満足できません。もう一度やらせてください!』とおっしゃってくださって、4回転ジャンプも何度も何度も繰り返し完璧なものを目指していました。『ケガをさせてしまったらどうしよう』と心配になり、『もう十分です。大丈夫です』と言っても、納得されるまで挑戦されていて。羽生さんが私たちと一緒に『闘っていく』という覚悟を持ってこのプロジェクトに取り組んでいてくださることを感じ、込み上げるものがありました」
このCMが公開された当初、「CMなのに4T跳んでるじゃん!」と話題になったものですが、その後の「BOW AND ARROW」のMVを思えば、まぁ、納得というか、どの仕事に対しても妥協しない彼の性格を表したエピソードですよね。で、「4Tを何度も撮り直した」という部分、原さんの以下のコメントと併せると事情が分かってきます。
「通常羽生さんが4回転を跳ぶ場所は大体決まっているそうなのですが、今回は合成のため、グリーンバックでの撮影ということでリンクのど真ん中で跳ぶ必要がありました。タイミングを合わせるのが難しそうで羽生さんは『調整させてください!』と言って何度もトライしていました。また、今回の衣装は本物のラインストーンを使っているので少し重いんです。普段跳ばない場所で、初めての衣装を着ての4回転、それでもしっかり時間内に決めるプロ意識に感動しました」
ぜひメイキング動画を改めてご視聴ください。よくよく見ると、背景にグリーバックを掲げている範囲ってめちゃ狭いんですよ!このエリアにピンポイントで4Tを着氷しなきゃいけないわけで、前述の「初めての衣装」も併せると、そりゃ調整するのは大変です。だから羽生さんは、撮影監督とVTRを指さし確認でチェックしているんですよね。
メイキングを見てみると、撮影スタッフがリンクの中央辺りに陣取っているので、リンクの半分ぐらいしか助走で使えていない。そりゃ、調整が必要ですし、よくこの特殊な条件下で4Tを跳ぶことを快諾したなぁ・・・と思います。先日の「BOW AND ARROW」とはまったく違う条件ですけど、このCM撮影での経験も間違いなく生きているでしょうね。やっぱり、積み重ねなんだなぁ・・・と感じます。
「昨年の秋頃にお話をいただいたのですが、最初は衣装制作の依頼ではなく、コーディネートの依頼でした。ただ、ハイアール/アクアさんにはその段階で明確なイメージがあり、話を進めていく中で『既存品ではなく、新しく作りましょう』ということになったんです。当初は『久々に羽生さんが滑るところを間近で見られるな~』とわくわくしながらも悠長に構えていたのですが、急きょ短期間で2着も作ることになって大変でしたね(笑)。実際の制作期間は、3週間ほどでしょうか」
原さんは「チーム」を率いて衣装を制作しているので、このタイトなスケジュールも対応可能だったのでしょう。そして、彼の場合「いつも音楽からデザインの構想を得る」ので、CMの音楽担当のチームから音源を早めに共有してもらったとか。青衣装と白衣装の詳しいコンセプトについては、ぜひ本文をお読みください。
プロ転向後、とくにMIKIKO先生との「Ice Story」が羽生さんの活動の中心になったことで、多くのデザイナーさんが羽生さんの衣装に関与することになりました。同業者のデザインは間違いなく「刺激」になっていることでしょう。また新たなデザインの衣装を目撃できるという意味でも、今年の「Ice Story」が本当に楽しみですね!
では、また明日!
Jun
