「Number 1046」感想(2)

「Number 1046」感想(2)

今日も「Number」のレビューです。ゆづファン的に、本号の目玉企画は「羽生結弦へのメッセージ」で、4人の「関係者」が温かいメッセージを送ってくれています。

どのメッセージも味わい深いんですが、個人的に期待半分・不安半分で読み始めたPさん(パトリック・チャン)のメッセージが、とにかく素晴らしいんです。羽生さんに対する採点が比較的マトモに機能していた時期が平昌五輪前までと考えれば、羽生さんにとっての最大のライバルは、やはりパトリックだと個人的には思います。

2014年のソチ五輪の金メダル最有力は間違いなくパトリックで、羽生さんも13年の福岡GPFまで彼に勝てなかった。そのファイナルで潮目がある意味で変わって、その勢いのまま、羽生さんがソチで勝ったわけですが、ソチ五輪の銀メダルについては、Pさんは悔しかったと思うんですよね。

ただ、今回の「メッセージ」には恨み節のような発言は一切なく、むしろ羽生さんのここ2シーズンの苦労に共感を寄せてくれている。「こんなにいい人だったの?」とビックリしたのは、私だけではないはずです。立ち読みでもいいので、ぜひパトリックのインタだけでも読んで欲しいですね。

「もちろん(4Aを)成功していたら素晴らしかったし、片足で立っていることができたら良かったと思う。でも彼はその後2度の4回転とトリプルアクセルを成功させて、演技をまとめた。それがいかに難しいことだったか、人々はもっと評価してあげてほしいです

「フィギュアスケートにおいて、カナダのチャンピオンでいることと、日本のチャンピオンでいることには、注目度、プレッシャー、社会からの期待などで雲泥の差があります。あれほど社会の注目を常に浴び続けて大丈夫なのだろうか、と時々思うことがありました。でも彼はその責任を引き受け、スターという存在に求められる期待に応え続けてきた。以前に比べて自信に満ち、何より存在感がぐっと増したと思います

「ぼくは現役時代、フロリダで同じレベルの選手がいない環境でトレーニングをしたことがありました。自分のモチベーションを保って気持ちを奮い立たせるのが大変で、コロラドスプリングスに移ったときはほっとしました。まして夜間に一人でトレーニングをしていたユヅはどれほど孤独だったことか。彼はとてもプライバシーを大事にする人だし、心がすごく強い。彼のそういうところが集中力の高さの助けになったかもしれないと思います

取材した田村明子さんが、「仙台での夜間トレーニング」の詳細をパトリックに伝えてくれたんだと思います。田村さん、ありがとう。

まー、かつてスケカナでは羽生さんはなかなかパトリックに勝てなくて、当時は「羽生さんもカナダに拠点を置いているのに、この採点はない!」と私も腹を立てたことがありました。ただ、五輪シーズンの17年の「スケカナ」で、宇野さんがパトリックよりも高いPCSを得た時は、ゆづファンの間でも衝撃を持って受け止められたと記憶しています。五輪シーズンの地元開催のGPなのに・・・。「衝撃」とは言っても、当時はまだ半分他人事ではありましたが、この4年間に羽生さんに起こった出来事を思うと、ああ、同じことが繰り返されているのだなと。

そう考えると、パトリックがスケート業界から完全に離れたことは、納得できます。そして、今回このような温かいメッセージを送ってくれたのも、彼は「わかってる」んだろうなと。

羽生さんのように、4Aに活路を求めて戦いつづける生き方もあれば、パトリックのように別の道を選ぶ生き方もある。二人の素敵な所は、何ら文句を言わずに、堂々と生きている所。二人に拍手を送りたいです。

それにしても、ISU(およびJSF)の何と罪深いことか・・・。いまのような「政治で決まる」採点システムが続けば、男子シングルに限らず、心に傷を負う選手は増えていくことはあっても、減ることはないでしょう。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. おの より:

    こんばんは
    まだ買いに行ってないのですが…
    大体のことは知ってました
    パトリックは昔羽生さんの事嫌いと言ってましたね
    追い上げて来るのが怖かったのかも知れません
    だからこんなに褒めてくださるのは意外でした
    ハビの事もあったので、本音かしら?と思ったりしましたが、離れて客観的にみれるようになったのかもしれませんね

    雪肌精買ってきたので、懐事情もあり雑誌はマガジンだけになったりして(笑)
    沢山あって嬉しい悲鳴という事ですね

    • Jun より:

      おのさま

      ハビはいろいろ出てきてますね・・・。「そりゃいろいろあるでしょ?」と個人的には思いますが、羽生さんも当然分かっていることかと思います。

      雑誌は、マガジンと通信は押さえておいて、あとはジュエルズから出る五輪写真集とFIGURE SKATERSぐらいですかね。

      一般紙・スポーツ紙がせっせと出している「五輪系雑誌」は、ゆづ成分が薄そうなので、ひとまず書店で実物を事前チェックが無難ではないでしょうか。

  2. みつばち より:

    こんにちは 更新ありがとうございます

    さっそく買ってきて読みました。
    四年前のSOI初日行きました。もしかするとパトリック・チャンを日本で見る最後の機会になるかもしれない、と思ったからです。結局それが当たってしまいました。

    ISUの「肩たたき」にあったパトリック、羽生さんより四歳年上ですね。

    いろんな方が今回の羽生さんの挑戦について語ってますが、Pさんが一番心情を理解してるかもしれませんね。コーチがいればよかったのに、という言葉も親身な感じです。
    それをはっきり言える立場でもある。これもいまはフィギュアスケートの仕事をしてないからでしょう。もってまわったまどろっこしい美辞麗句は響きません。

    ISUのやり方は「蔵出しソーテルヌ貴腐ワインシャトー・ディケム」を幸運にも味わった客に、濁った臭い水で割った安物のテーブルワインを
    「ほらほらラベルは同じですよ」
    「さあさあ飲んで飲んで」「以前のようにお金も支払ってね」「おいしいでしょう、これイチオシ!」
    と勧める胡散臭いレストラン店主のようです。

    いっそつぶれてしまえ!すいません、酔ってはいません・・・・

    • Jun より:

      みつばちさま

      しがらみ無くてぶっちゃける人と言えば、相撲の貴闘力が頭に浮かびますが、なかなか組織の内外に関わっている人たちは本当のことは言えませんよね。

      いまのISUに自省を期待するのは厳しいかもしれません。となると、正しい技術を武器にしたスターの登場を待つしかないのですが、イリア・マリニン君だったり、佐藤駿君や三浦佳生君は期待できる感じなので、頑張ってもらいたいです。