オータムクラシック(女子SP)感想

オータムクラシック(女子SP)感想

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。ご紹介する上位5人の演技は、すべてライストで見ていたんですが、改めて動画でも見直してみました。

紀平さん。「78.18」(TES: 44.54/ PCS: 33.64)で首位発進。昨年のファイナルのSPのノーミス演技に「82.51」(TES: 47.36/ PCS: 35.15)が出ていたんですが、ご覧のように、PCSはやや渋めです。

ただ、今回大事を取って後半の単発の3Lzを3Loに変更して、このループの着氷がやや危なかったこともあり、このジャンプだけでファイナルから3.17点減らしています。3F-3TのGOEもファイナルよりも渋いんですが(1.74→0.95)、明らかに以前より高さが増して、かなり余裕のあった3Aの加点は、男子並みの高評価でした(2.51→3.04)。

ファイナルのSPではスピンでミスがあったんですけど、今回、スピン・ステップすべてレベル4を揃えています。実際、さすがシェイリーンだけあって、ステップは随所に面白い動きが入っていて、エテリ組のネタ切れプロではこういうものは絶対に見られません。技術と表現が噛み合って、しかも選曲も振付もすべてが最新式の、まさに「令和仕様」のスケートはこういうものだ!と、心が洗われました。怪我だけが心配なので、4Sも無理しなくていいような気がしますが、彼女はファイターですから、本人はやりたがるでしょうね・・・。

メドちゃん。75.14で2位。ロシア人はどんだけミューズが好きなのよ?とお腹いっぱいなんですが、まぁ、それは置いとくとして、去年の今頃と比べたら、本当に動きがよくなりましたね。特に、スケートの伸びと、音をつかんでさばく上半身の身のこなし、余裕を持って動けているので、いいトレーニングを積めているなぁと感じます。紀平さんのジャンプを見た後だとバタバタした着氷ですけど、それでもずいぶん良くなりました。

PCSの「差」については、紀平さんも大きな試合でノーミスすれば、あとは「縮まるだけ」ですから、追いかける方が気持ち的にはラクなはず。逆に、この時点でメドちゃんよりPCSが出ていたら、「守り」に入ってしまいますよ。これでいいと思います。

カレン・チェン。60.89の3位。久々に元気そうな姿を見ることができて嬉しいです。彼女の演技は、代々木の国別でフリーを見たことがあるんですが、小柄で華奢な体型なんですけど、全身からオーラを発していて、ワグナーと2人でアメリカ代表を盛り上げていました。まだまだ頑張ってもらわなきゃいけません。

3LoのDGはちょっと厳しいかな?と思いますが、ステップ・スピンすべてレベルを取れているので、調子はまずまず良さそうです。

パガニーニ。58.87の4位。もともとアメリカ生まれの17歳の選手なんですが、スイス代表として、ここ数シーズンはGPシリーズにも出場しています。ミーシャ振付とアナウンスがありましたが、後半部分は「素敵なあなた」でしたね。

この選手は169cmの長身なので、ややもっさり感があるんですけど、キュートな演技が魅力です。ジャンプが安定してくると躍進するポテンシャルのある選手なので、フリーも楽しみです。

ウンス。56.31の5位。この日、選曲面でいちばんインパクトがあったのが、ウンスちゃんのSPでした。リムスキー=コルサコフの「スペイン奇想曲」で、振付はデイヴィッド。これまでの彼女の、良くも悪くも「女の子・女の子している」ようなプログラムとはまったく違った方向性で、このチャレンジは素晴らしいと思います。

2Aの転倒は珍しいと思いましたが、スピンやステップでもレベルの取りこぼしがあって、彼女の実力からすると不本意な出来でした。ラファのチームを離れて、韓国に環境を移したようですが、ぜひ気持ちも新たに頑張ってもらいたいですね。

さて、いよいよですね。Otonalの構成は、「4Lo 3A /4T-3T」と予想しますが、4Loがどれだけ信用できるジャンプに仕上がっているか?、まずはそこに注目したいと思います。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. Fakefur より:

    紀平さんのオリエンタルな音楽と緩急を合わせた面白い動きは、シェイリンのお手本が目に浮かぶような完成度で、80は軽く超えるかと思っていたので、初戦とはいえ、PCSが低いですね。この軽々とした3A+バッチリな音ハメに、アイスランドの2番ジャッジのPE7.0はありえなくないですか。曲が聞きなれないからって、単に好みで採点したんじゃない?と思います。本人はまあ満足していたようですし、去年はSPで苦労していたので、今回はノーミスで良しとしましょう。悶えるところが意外に上手くて、これを表現できる身体能力に唸ります。

    キレキレの紀平さんを見たあとにメドちゃんは見るとスピードがないし、重たく感じました。所作は優雅なんですけどね。PCSで2点も差がつくかなあと。エクソジェネシスは彼女のイメージにはあってますが、五輪前にここまで固めなくても・・・せっかく北米にいるのだから、もっと意外性のあるプロにも挑戦してほしいです。
    Museはいい加減食傷気味なところに、振り付けの関係か、FSSpの前に音を加工して変に伸ばしているところが気になって仕方ありません。

    ロシア人のMuse好きといえば、今年はボロ兄までMuseで、音楽に関係なく大きなジャンプを見せてくれる一方、昨年、同じ曲をシャープな身のこなしで痺れさせてくれたコリヤダが今年はチャップリンで、いや、あなたに期待されているのはソッチじゃないでしょ!と突っ込みどころ満載のシーズン開幕です。

    さ、羽生さんのライストの準備します!

    • Jun より:

      Fakefurさま

      あの酷い採点の男子のフリーが終わってからコメ返をしていますが、いま思えば、紀平さんの採点(特にフリー)からしてその「予兆」はありましたよね。

      ただ、CSやGPはともかく、ファイナルやワールドあるいは五輪が「スコアを高めに出す」傾向があるのは、ここ数年の結果からも明らか。昨年のファイナルで紀平さんのPCSがザギトワ並みになっていたのはびっくりでした。

      つまり、「デカイ試合でノーミスするのが大事」ということですね。羽生さんは「勝ち方を知っている人」だし、紀平さんもそこを目指して4Sも準備すると思いますね。