「Number 1046」感想(1)

「Number 1046」感想(1)

やや出遅れましたが、「Number」のレビューです。

本誌がお手元にある方は、ぜひ、いっしょにめくってもらいたいのですが、天地さんの表紙をめくると、いきなり「アイリーン・グー」の写真が出てきます。大会期間中のウェイボーでの彼女の検索数って、羽生さんをしのぐほどの中国国内における大注目選手だったんですよね。誰かと比較するつもりはないですが、いろんな思惑があるとは言え、中国語を話せて、中国国籍を選んだことは大きかったのだなと思います。

さて、本号の羽生さん関係の記事は、松原孝臣さんの記事と、目玉企画の「羽生結弦へのメッセージ」、修造さんの「熱血現地レポート」の3つだけです。で、ここ最近は松原さんの記事は読まないことも多かったんですが、今回、紙で読んでみて、「よかったなぁ・・・」としみじみ感じました。

スマホでTwitter経由のウェブ記事として読んでしまうと、リプやらTLと同時並行しながら、サラっと流し読みしちゃいがちですが、誌面の文字を目で追ってみると、自分にとっては「再発見」できる部分があったんですよね。

19年の世界選手権ショートプログラムのとき、6分間練習で自身が作ったトレースに、軌道も含め完璧であったがために、はまったことがあった。その経験をいかし、今回の6分間練習は少しずらして跳んでいた。そして本番、本来思い描いていた軌道で入ったところに、他の選手が空けた穴があった。どうにもならない出来事だった。

19年の世界選手権というのは、さいたまスーパーアリーナでのワールドです。私はこのSPを「現地で観戦」していたので、よく覚えています。約3年前のレポなんですが、いま読み返してみると懐かしい!6連で羽生さんは4Sを1本しか跳べてなくて、しかも最終グループの第1滑走だったんですね。

で、何が「再発見」だったかと言うと、今回の北京五輪のSPに関して、地上波だったりいろんなウェブ記事では「他の選手がつけた穴」ということばかりがクローズアップされて、一般人(芸能人含む)も「人のせいにするな」とか「言い訳するな」とかあれこれ言ってるんですけど、さいたまワールドで「自分でつけたトレースにはまったこと」を教訓として、北京五輪では軌道を慎重にずらしていたということなんですよね。私も、今回のSP直後は、「4Sの抜け」ということで一括りに考えていた所もあったんですが、あの時のパンクとはやっぱり全く別のアクシデントです。アンチや文句を言いたいだけの人は、自分の主義主張と異なる情報を受け入れられないので、意味が無いといえば無いんですが、羽生さんがあの場で言わんとしていたことを正確に理解するためには、我々はしっかり押さえておいた方がいいですね。やはりこれは、不慮の事故としか言いようがいないですよ。

ショートプログラムの翌日の2月9日、練習リンクに羽生の声が響いた。

「いてーっ」

4回転アクセルを跳んで転倒したあと、声を発した。足を気にするそぶりも見せる。

・・・観客席の高い位置にある記者席にも何かが起きていることは伝わってきたが、リンクサイドで撮影するフォトグラファーは、より切迫した空気を感じ取っていた。

「棄権もありますか?試合を滑ることができるんでしょうか」

長年、羽生を撮影してきたフォトグラファーが、そう声をかけてくる。その表情と言葉には、心配と不安から来る、ただならぬ緊迫感があった。

これは迫真の記述ですよね。SP翌日に限らず、公式練習の現地レポートについては、私もTwitterの現地記者さんのアカウントをリスト登録して、それこそ更新!更新!更新!と腱鞘炎になるぐらいスマホをタップしていましたけど、ここまで酷かったというのは、この松原さんのレポートを読んで知ったぐらいです。ただ、リプライを見てみると、練習の映像を見ていたファンは、相当悪いということを察知していたようです。

「毎回、頭打って、脳震盪で倒れて死んじゃうんじゃないか」

今日ちょうど、クリケット時代のハーネスで補助してもらっての、4Aの練習動画が私のTLにも流れてきました。この映像を見ただけでも、「4Aの練習って本来ならハーネス無しでやってはいけないもの」なんだなと。しかし、コロナ禍という状況もあって、一人で何度も身体を氷上に打ちつけながら、練習せざるをえなかった。

当然、世間はそんな事情を知らないから、なぜ失敗するようなジャンプを五輪で跳ぶの?とすっとぼけたことを言うわけです。そりゃ、「報われない」と言いたくなりますよ・・・。

私たちだけでも、彼の大変な苦労を心にしっかり刻みこんでおきたいですね。

では、また明日!

Jun


にほんブログ村

スポンサーリンク
レクタングル(大)
レクタングル(大)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
レクタングル(大)

コメント

  1. Sennin より:

    Twitterなどのweb は私もそう思います。結弦くんの考えを少しでも理解したいしジャーナリストの分析などで興味のあるものはブックマークに保存して何回もよむとかしてますができたら紙媒体が欲しいものもありますよね。私は年寄りだからなのかと思ってましたけどJunさんのお気持ち聞けて良かった〜。
    この動画TLで大騒ぎでしたがこの人リウ選手とかハーネスの先生ですよね?なんで今頃アップしてるのか疑問です。ファンはクリケットにいればこうやってやって貰えたというツイが目に入りましたが、アイスリンク仙台にもありますよ。百音ちゃんの動画見たことあるし羽生結弦ともなれば自分で持っているかもしれません。一人で可哀想とか勘弁して欲しい。その気になれば田中総司先生にやっても貰えるし、もしかして今回帯同したかっこいい人スケーターじゃないかなあ。スケ連関係の方?というのはスケートカナダで
    結弦くんがこの人を見つけて駆け寄ったという写真がありました。あの方のそばにはスケ連の人がいましたよ。トレーニングに付き合ってくれていた人かもしれません。だからこの人とお母さんを選んだからコーチは無理だったのかなとあくまでも推測です。
    つまり日本で4A降りた動画ならいいけどこれ意味あるのかなあ?騒ぐこともない。
    数年前にジスランがハーネスで降りてるとコメントしてこの方が力を入れないのに出来たとそのころ言ってます。でも、これは3Aの延長だからダメなんだと思うんですよ。4Aは全くちがったわけだから。もっと早く跳べると本人も思ってたけどちがったんですもんね。
    しかしこういうの自分の身体で試行錯誤してきたので論文にでもしたらいいでしょうね。

    4Sの抜けは玉アリだけではありません。レックレのオータムの初戦でも溝にハマってます。あの時も終わって見に行って自分の作った穴に入ったと言ってました。いつもの事です。昨年は三浦くんはハマって4回転失敗したと言ってました。
    ところで、チャレンジカップにマリノン選手が出ました。4回転入ってないのもあってかうなくなってましたねえ。SPなんですけど曲名知りたいのですがJunさんご存じですか?

    • Jun より:

      Senninさま

      紙でちゃんと読んでみると、いいものですね。ネットだと、ワンフレーズに自分の意識が持っていかれるし、他人の意見もすぐに見れてしまう。自分の頭でじっくり解釈する時間って大事だなと、改めて痛感しました。

      マリニン君のSPの曲は、以下をご参照ください。島田君みたいなスタイルの良さと、ジャンプもとてもいいですね。順調に成長したら、今回の五輪のメダリストたちも、あっという間に追い抜かれるかもしれません。間違いなく逸材ですね。アメリカの選手だけど応援したくなります。

      https://www.fgsk8.com/archives/ilia-malinin-challenge-cup-2022-sp.html

      • sennin より:

        Junさん早速ありがとうございます。たまにスケーターのプログラムでいいなあと思うのですがこれは物凄く私は好みです。でも全米とかスケートアメリカ出てますかね?それみてもそんなに惹かれなかったんですが、今回なんていい曲だと思えたのはマリノン選手がノーミスで美しい演技をみせてくれたせいかと思いました。振り付けは誰か知りませんが今YouTubeで聴いてみましたが曲の良さを失うことなく編集もいいですね。私はブルースかと思いましたがロックの分野なんですね。
        まだ16歳だから振り付けもこのあたりなんでしょうけどもうちょっとなあ、もっとこの曲生かせるのになあと思わないでもないです。結弦くんは17歳でよくパリ散あの振り付けでやったなあと改めて凄い選手なんだと思いました。スケーティングスキルと曲を捉えてなんら違和感ないどころか逆にパリの散歩道という曲が伝説になるくらい生かしましたから。今頃なにいってんの?ですね(笑)
        マリノンくんはノービスの時からスケーティングや所作が綺麗です。そしてジャンプも安定したら凄い選手になるでしょうね。楽しみです

        本当にありがとうございました。
        たすかりました🙏

        • Jun より:

          senninさま

          お役に立てて何よりです。

          ちょっと手脚の長さを持て余して、ぎこちなさを感じる部分もありますが、この選手はジャンプが正確なので応援したいですね。

          • Sennin より:

            しつこくてすみません。こちらのサイトを紹介していただいて保存しました!中村選手のショート良かったですね。佐藤ひろあきくんコーチ頑張ってますね。
            そしてお陰様で千葉百音ちゃんの演技見れました。ショート一位ノーミスでした。田中総司先生に変わって子供っぽさを無くしたいと言ってましたが確か鈴木明子さんの振り付けかと思いますけどスケートの滑らかさと表現がステキになってました。ライブで観れるのでありがたい。今夜は草太くんとマリノン選手応援します。デヴィッドの曲リピし過ぎるくらい聴きましたがこの喜びを共有してくれる友がいないのが寂しい。ロック系は女子は仲間が殆どいなくてせいぜい弟です 笑笑

          • Jun より:

            Senninさま

            マリニン君以外の演技はまったくチェックできていないのですが、日本からも期待の若手選手がたくさん出場していたのですね。

            タイミングを見ながら、記事としてチャレンジカップの演技も紹介しようと思います。こちらこそありがとうございました!