トリノファイナル(駿FS)感想と雑談

トリノファイナル(駿FS)感想と雑談

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。

駿君自身は大人しい子なんですけど、日下先生がこのノリなので、さすがにスコアが出たら賑やかでしたね。

いやぁ、もちろん3クワドと2本の3Aの成功も素晴らしいのですが、この神演技を、仙台出身の駿君が「ロミジュリ」で成し遂げた所に、我々ゆづファン的には特別な感情が沸いてきます。羽生さんにとってのニースロミジュリのような、駿君にとってのターニングポイントになるような気がします。もちろん、まだ、全日本(や世界ジュニア?)もあるので、スコア自体はまだ伸びる可能性はありますが、大きな自信になったことでしょう。国内の試合で採点面で冷遇されてきた彼が、海外の大舞台で高い評価を受けた、というがまたいいじゃないですか。

一晩明けて、いろんな選手のプロトコルを見られる心の余裕が出てきたんですが、クワドや3AのGOEについては、助走が長かろうが、プレロテ気味だろうが、URやエッジの問題がなく着氷していれば、ドーンとつける傾向にあるなと思います。シェルバコワの4Lz-3Tに+3.45がついてますし、トゥルソワも4Lz・4Fともに3点台がついています。

羽生さんの場合、曲調にジャンプを溶け込ませ、ジャンプの前後に工夫があり、ジャンプの質も高い。最高かつ至高の人間国宝級のジャンプを、命を削るかのように一本、一本、魂を込めて跳んでいく。だから、その代償として、終盤あれだけ疲弊してしまうのでしょう。

この例えは分かりにくいかもしれませんが、あえて書きます。将棋の藤井聡太七段。彼は、なんてことのない序盤や中盤の局面でも最善の一手を求めて、長考する特徴があります。で、そこで時間を消費しすぎて、最終盤のお互い「詰むか詰まされるか」(勝つか負けるか)という局面で、「対戦相手が残り時間30分、藤井君が1分将棋」という状況になり、藤井君がミスして逆転負けということがありました。先日の王将挑戦者を決める広瀬戦がまさにそうでした。

で、将棋ファン(特に聡太ファン)は、「中盤で時間使いすぎ!時間残せよ!また同じことの繰り返しかよ!」「豊島竜王・名人や、渡辺三冠が時間に追われることなんかないぞ!それを学べよ!」と、まぁ、掲示板でも凄いんですよ(プロ棋士からも「指摘」があるぐらいです)。でも、そんな「普通の感覚」の持ち主だったら、14歳2ヶ月でプロ入りなんてできないし、プロデビュー直後からの29連勝や、詰将棋選手権の5連覇などの、前人未到の偉業を達成することなんてできません。

フィギュアスケートは「ジャッジ」という存在がいるので、「羽生はネイサンから学習しろよ!」という意見をあまり見かけることはなく、「ちゃんと公平な採点しろや!」という意見に固まる傾向にあります。

でも、羽生さんも、もし「普通の感覚」の持ち主だったとしたら、「ツナギを極力減らして、曲もBGMとして考える。そしてクワドを増やして安全確実に跳ぶ」という「誘惑」に、とっくの昔に負けているはずですよ。でも、葛藤し、もがき苦しみながら、愚直に自分の進むべき道を歩む、そんな覚悟を決めた。その答えが、スケカナの「322.59」にあったと、彼自身も確信したと思います。

世間では「40点差」と言われてますが、本人は「13点差」と考えているはずで、今回4Lzを決めて「322.59からさらに進化した」という手応えを感じている。まだまだ、やれる!と感じた。だから、「ジャンプ大会じゃない!」とすぐにコメントしたんだと思います。

世界の流れと逆行する「回り道」を、自分のスケート美学に従って進む。ラクな道は選ばない。そういう常識外れの感性と、その辛さに耐えうる強靭な心と身体の持ち主だからこそ、伝説的なアスリートなのです。そんな羽生さんを、いま我々が応援しなくてどうする?と、そのように、思いを新たにしております。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. みつばち より:

    こんにちは 更新ありがとうございます

    いま、トリノEXみてました。
    今回の収穫は佐藤君ですね。楽しみなジュニアです。

    「ネイサンはいつも同じ衣装だね。これユニクロ?」とフィギュアスケートにまったく興味のない家人が言いました。
    「バックフリップすごい」と息子。「この路線でいくのかな」

    エイモズ君はキャンデロロ氏の路線かな、ヨーロッパのスケーターって感じがします。

    フレネミーなテネル選手も好きです。童顔でスクールガール風のマライア・ベル選手より年下なんですよね。
    ザギトワ選手は背中を痛めてるそうですが、ここで終わってほしくない。
    もちろん紀平さんにも期待してます。

    いつも勝利しなくてもいいんです。それは無理だし、体力、気力にも限度がありますから。

    • Jun より:

      みつばちさま

      紀平さんについては、そもそも2シーズン前にトゥル・コスとJGPで戦っていた頃は、SPに3Aを入れられないこともあって、もっと大差で負けていました。

      マスコミ的には、紀平さんが先輩で、すごいロシアっ娘がシニアに上がってきたという認識ですが、むしろ紀平さんが追う立場なんです。ルッツが戻れば、少なくともコストちゃんと同等のスコアは出るはずなので、本人もまったく悲観していないと思いますね。

      ザギちゃんは、よく頑張ってます。ただ、体型変化が来ていた昨シーズンから平昌五輪の構成をノーミスするのは厳しくなっていて、よく踏みとどまっていると思います。まだシーズン終わったわけじゃないですし、じっくり自分の進むべきスケートの方向性を考えて、自信をもって歩んでほしいですね。

  2. あひる より:

    初めてコメントさせていただきます。
    今回いろいろあちらこちらのブログや新聞記事などを拝見していましたがこちらの記事の内容がとても適切な内容だったのでコメントさせていただきました。
    フィギュアはどんなに美しくてもスポーツであることにかわりはないのでネイサン君の勝負の仕方は有りだと思います。ラファのここ数年にわたる作戦勝ちというところでしょうか?
    いろいろな問題が重なり合ってこういうジャッジになっているんだろうなとは思いますが羽生君が命がけで作り上げてきたフィギュアの未来がこういう形になっていくのを見るのは少し切ないものがありますね。残り少ない現役の時間を大事に噛み締めながら過ごしたいなと思います。

    • Jun より:

      あひるさま

      初めまして。コメントありがとうございます。

      羽生結弦というあまりに偉大なスケーターの現役時代を、私たちは目の当たりにしているので、熱心なファンが「なぜ彼を認めないのか?」と怒る気持ちも分かるんです。でも、偉大な存在だからこそ、その反発力のようなものが働いているのかな、という気もします。

      少なくとも、羽生さんがネイサンのようなスケートに「モデルチェンジ」をしても、いまのジャッジだと正当に評価するはずがないので、だったら、自分のスケートを貫いてほしいと思っています。

  3. ととちゃん より:

    本当に、一言一句同意です。将棋界の藤井さんの例えも、とても良く分かります。

    どのテリトリーでも、いつの時代も、結局同じなんですよね。突出した才能を持ち、かつ他を顧みない独自の道を進む人が残る。後に語り継がれるのはそういう人ですが、得てして存命中は不幸なケースが多いのがなんとも…。

    羽生選手には、自分のスケートを貫いた上で競技の場で幸せであって欲しいですが、今のジャッジ傾向の下ではそれは不可能に近いのかも、と気持ちが萎えています。相応に評価されないことを分かりながら、いつまで続けてくれるだろう、と切ないです。

    それでも今回、4Aに挑戦したこと、4Lz、4Lo成功を実現させたことが釣果でした。佐藤くんの優勝も、頼もしい後輩の出現として明るい光になり、良かったです。すぐ、全日本ですね。junさんどうか大きな声援を宜しくお願いします。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      羽生さんは、超人的な才能を不断の努力で磨き上げてきたレジェンドですから、好きにやったらいいと思うんですよ。

      ISUのジャッジには、スケート経験の無い人間もいて、国籍や政治も絡んできて、採点がブレる方が当たり前とも言えるので、あまり気にしてもしょうがないですよね。

      今大会は、ブリちゃんだけが途中から帯同という感じで、羽生さんも「思っているままに行動して、発言もそのまま出ている」印象はあります。それを私たちもそのまま受け取っているので、まぁ、みんながみんな多少カッカしていたかもしれないですね。

      もし、ブライアンやトレーシーが一緒だったら、また違ってたのかなと思いますね。まぁ、トロントに帰って、ジャッジの件も含めて、しっかり話し合っていることでしょう。

  4. sennin より:

    将棋の世界も色々ありますね。指摘の方も読ませて貰いました。仰るように「普通の感覚」ではありませんね。ついつい凡人の私なんかあれやこれやと考えますが所詮凡人ですので普通の感覚でみることもあります。でも結弦くんが納得のいくスケートを応援します。ところで昨夜のテレ朝で結弦くんの4ルッツの映像を何度も流しました。助走も他の選手より短いし正しいエッジ、高さ、幅、流れとこれ100点満点じゃないかーこんなに上質なルッツみたことない加点5でしょ‼️と一人呟いております。
    駿くんお見事でした。私が嬉しいのはPCSが79.64とトップだったことです。あと今季はジャンプを降りたときの流れがよくなってますね。意識してトレーニングしたのでしょう。エキシビションでは昨季のSPでしたが凄くキレてました。フリーは高難度でノーミスは一度もなかったのにトリノはゆづ神のパワーが駿くんに降りたのでしょうか?でも本人はルッツが不安だったのでしょう。結弦くんのルッツをホテルで何回もみたとか?そしたら力がはいってなかった、参考にして成功したのかもしれません。ロミジュリですが川越先生の振り付けいいですね。特にステップ、ついソチも思い出して泣けてしまいます。

    • Jun より:

      senninさま

      駿君は、羽生さんの4Lzを見て、「やるぞ!」と決断したとか何とか。もともとジャンプの才能はピカイチだったのに、スケ連や国内のジャッジの見る目の無さに、正当な評価を受けられないでいました。彼は、これからもっともっと伸びる逸材ですから、周りのことは気にせずに、自分の技を磨いていってほしいです。その点、駿君は、寡黙な職人タイプの性格に見えるので、その点はあまり心配していませんが。

      将棋界もいろいろです。いまプロ棋士よりも将棋ソフトの方がはるかに強いので、「事前にソフトの手順を暗記して、序盤を1秒指しで飛ばして、終盤に時間を残す」という戦い方をするプロ棋士もいます。いま、竜王・名人の二大タイトルを保持している豊島さんは、「対局以外は人と一切将棋を指さない」という独特の研究方法で結果を出しています。

      「自分の頭で考えているのか?」という批判もあるんですが、勝負の世界ですから、勝った人が強いのです。フィギュア以外の分野にも目を向けてみると、それぞれいろんな課題・問題を抱えているなぁと感じます。

  5. Fakefur より:

    国内の下げ評価にさんざん泣かされてきた駿君がついにやってくれましたね。
    TESだと、シニアのネイサン、羽生さんに次いで総合3位だとか!おまけにPCSが80に届きそうです。仙台出身、ゆづレスペクト、ロミジュリと、全てのキーワードに特別な感情が湧いてきますよね。羽生さんのFSの後のもやもやした空気が晴れました。ありがとう!駿君。

    ネイサンと羽生さんの得点を隔てたもの、が、今回は駿君の背中は押したわけですね。クリーンなジャンプを跳べば、点はあげますというISUの姿勢に一応の一貫性はあったわけです。この国際評価を引っ提げて、全日本でもやつらをぎゃふんと言わせてほしいです。

    いやー、今年2月のチャレンジカップで、早々にシニア参戦した鍵山君の傍らで、ジュニアの中でダントツに勝ってしまい、申し訳なさそうに小さな表彰台に立っていた駿君が、GPF優勝とは・・・!全てに初々しい駿君と、同じく舞台慣れしていない、日下コーチの素人っぽい反応が面白くて楽しみです。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      そうなんです。「羽生vsネイサン」という部分だけを見ると、羽生さんだけが不当な嫌がらせを受けている・・・というマインドに固まってしまうんですが、もちろん「抑えられている」部分は確実にあるにせよ、エテリ3や駿君は、「とりあえずクリーンに着氷する」ことで、GOEをしっかりもらえているように感じました。

      若い選手が高難度ジャンプを次から次へと決めていることを受けて、ISUは「こんなにフィギュアスケートは進化していますよ!」というPRのつもりなんでしょうが、スポーツはアスリートが主役。余計なことすんな!という気持ちはあります。

      さあ、全日本のジャッジがどんな採点をするか。昨年とは比較にならないほど世界中のスケオタが注視していますよ。ちゃんとやってほしいですね。