全日本ジュニア感想

全日本ジュニア感想

リザルトは「こちら」。すぐに動画が削除される可能性がありますが、以下、男女シングル上位3人ずつをレビューしていきます。昨年通りだと、「上位6位までが全日本選手権に推薦」とされています。

島田君。フリーは127.68の5位。合計210.03で3位。私は、BSフジの放送で日曜の18時から見ていました。4Tの転倒はともかく、3Aがシングルに拔けて、彼にとっては不本意な内容でしたが、ショートの貯金で3位入賞。悪いながらもこの位置に食い込めるところが、JGPファイナル進出を果たした彼の今季の好調ぶりを示していますね。

この全日本ジュニアは、クワドが入っている構成なので単純比較はできないですが、今季JGPシリーズでの島田君のスコアは、オーストリア大会は2位の220.45(1位プルキネンは223.95)、スロベニア大会は3位の212.95(1位グメンニクは219.25)でした。すると、今大会1位の壷井君と2位の佐藤君がいかに高得点を出したかが分かります。

佐藤駿君。フリーは156.29の1位。合計222.30で2位。ショート6位から一気にまくりました。一本目の4Tはお手つきこそありましたが、セカンドに2TをつけてGOE-0.19と踏ん張ります。むしろ2本目の4Tの方が軸が傾いて危なかったですが、しっかり降りて+2.66の加点。全日本行きの懸かったこの緊張感のある試合で、苦労しながらもクワドをコントロールして2発降りるわけですから、日頃の練習での成功確率は相当高いだろうなと想像します。

3Aも2本成功。SPでは首位の島田君よりもPCSで7点も低くつけられていて、「PCSのsage採点」が気になっていましたが、フリーでは68.40(島田君は69.10)と良いスコアをもらいました。ジャンプが決まればしっかり点が出ると分かって、彼にとっても自信になったんじゃないかと。男子ジュニア勢の中では、ジャンプの技術が飛び抜けているので、その点では、「羽生結弦の後継者」と言ってもいいでしょう。今季より、親御さんの転勤により、駿君も仙台から埼玉に環境を移しましたが、着実に成長してくれていて、嬉しく思います。

壷井君。フリーは144.56で2位。合計222.79で優勝。ショートも78.23で2位でしたが、SP・フリーともにノーミス演技を揃えた安定感は立派です。今季は、JGPシリーズへの派遣も叶わず辛いシーズンでしたが、西日本ジュニアを2位の202.06(1位の須本君に0.33点差)で通過し、そこからさらに上げてきたわけです。素晴らしいです。

構成面ではクワドは無く、3AをSPで1本、フリーで2本という構成ですが、これだけクリーンな演技をすれば、全日本でも上位躍進を期待できると思います。名古屋の邦和スポーツランド所属で山本草太君の後輩。もちろん長久保先生からも指導を受けていました。長久保先生も喜んでいらっしゃるんじゃないでしょうか。

つぎに女子です。スコア的には例年と比べると低調でしたが、今季JGPに派遣された住吉さん、吉岡さん、滝野さんが6位に届かないほど実力が拮抗していました。注目の本田望結ちゃんは12位、紗来ちゃんは17位。ブログで取り上げた畑崎さんは23位でした。

川畑さん。フリーは106.11で3位。合計158.16で3位。ショートの12位からよく頑張りました。今季の川畑さんといえば、JGPスロベニア大会のショートで66.85の高得点を出して、ロシア勢のタルシナ、タラカノワを抑えて1位発進した姿が記憶に新しいです。あの試合ではフリーでミスを連発してしまったので、このフリーも心配していたのですが、よく3番に食い込みました。

ただ、プロトコルを見ると、セカンドジャンプでの回転不足が目立ちます。ファーストジャンプの高さと幅は、シニア含めても、荒木さんと双璧ともいえるダイナミックなジャンプの持ち主だと個人的には思っているので、この辺りが修正できるようになると、全日本でも一桁台の順位も見えてくるんじゃないかと。表情豊かで身のこなしも美しい選手ですから、ミスが減るようになると一気に化けてくれると信じています。

荒木さん。フリーは112.39の2位。合計170.90の2位。一昨シーズンの彼女は、紀平梨花ちゃんや山下真瑚ちゃんとともに、あのトゥルソワ・コストルナヤ・サモドゥロワをはじめとしたロシア勢と真っ向勝負をして、JGPシリーズでは2戦連続で180点台の高得点を獲得。しかし、その後の体調不良などで、今季はスタートから厳しい戦いを強いられていました。

このフリーではジャンプで2つのミスがありましたが、それでも5位に終わったJGPアルメニア大会(165.80)のフリー(102.74)からは復調しており、ジャンプ自体も悪くないと思います。おそらく来季もジュニアだと思いますが、前述の川畑さんとともにポテンシャルを発揮してほしいなと思います。その前に、全日本で頑張って、そして世界ジュニア代表ですね。

横井さん。フリーは119.98で1位。合計181.84で優勝。私の予想では、ノーミスすれば190点台に乗ると見ていたんですけど、ただ、SP・フリーともに回転不足がありながら180点を超えてきたのは立派です。ジュニア最後のシーズンですし、覚悟と気合いのこもった「オペラ座の怪人」だったと思います。

ところで、BSフジの放送で演技を見ていて、女子で個人的に良い演技と思ったのは岩野さんなんですが、3回転でほぼすべて回転不足を取られて、7位に。本人もスコアを見て顔を覆っていました。歌子組でも全選手が必ずしも優遇されるとは限らないわけですね。この大会は、オフィシャルに吉岡さんや岡部さんが入っている影響からか、回転不足やエッジエラーをそれこそシニアのGPシリーズ並に厳しく取っていた印象です。このような真っ当な判定を全日本でもぜひお願いしたいですね。

明日は再びフランス杯に戻って注目選手をレビューしていきます。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. ととちゃん より:

    全日本Jrの記事と動画、ありがとうございます!

    フリーのみの感想では、男子はやはり壷井くんの演技が一番綺麗だと思いました。一方で佐藤駿くんのジャンプ構成には息を呑みました。クワド1本と3A2本を決めてるんですよね。島田くん共々、全日本で入賞も狙えるのでは?

    その島田くんですが、最終滑走で緊張したのかも知れませんね。JGPFに向けて、いい経験になったと思います。

    女子は、やはりゆは菜ちゃんでしたね。回転不足、あったんですか?とてもクリーンな演技だと思いました。和愛ちゃんを応援していたので、3位に食い込めて良かったです。

    ところで、島田くんのSP、後で見ようと思っていたら見つかりませんね。国際大会ではないので、他言語の動画もなく、早めに見るべきだったと後悔しています。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      壷井君は西日本ジュニアのフリーで3Aを初めて成功させて、この全日本ジュニアではSP・フリーの計3本をすべて成功。見事でした。ただ、ジャンプだけじゃなくて、スケーティングや表現の部分で「余裕」があって、これはやはり、先輩の山本草太君を見て学んでいるのかもしれないですね。

      全日本ジュニアの放送はフリーのみだったので、もともとショートの映像はありません。ただ、島田君のSPの構成はJGPと変わってないので、ファイナルまでに、そちらで復習しておくと良いと思います。

  2. sennin より:

    やっと男子ジュニアの演技が観れました。いつも転倒している選手でもやはり全日本にピークを合わせてきてるんですね、気迫を感じます。
    200点越えばかりでレベルのたかい試合で現地でも盛り上がったみたいですね!特に駿くんのときはスピンの終わりあたりからスタオベ状態だったというツイートをみました。実況も佳菜子ちゃんも興奮してましたね。コーチの日下、浅野先生二人が抱き合って喜んだそうです。私としては夏にみたがために、男子のみんながうまくいかなくて困っている3Aを難なく降りる駿くんに興味をもってしまいました。後半に一本もってきてそれも転倒一度もないです、私はそこが凄いと思っているんです。まあ確かに駿くんは小学生のときからジャンプ得意でしたから。まさにスポーツマンって感じ、でもスピンもレベルとっているので感心します。夏季大会では4Sだったのでこちらも練習しているものと思います。高難度の演技を終えてもハーハーもいわない体力にも驚きました。三浦くんも4T駿くんより高い加点ついてましたね。東日本でも成功していたかと思います。中一なのに…。島田くんは、東日本でも4Tいれて転倒でしたがJPFでは構成どうするか?
    壷井君、前半はケガだったのかな?
    3Aは西日本で初めて成功で今回も良かったですね。
    私は駿くんに勝って欲しかったけど
    邦和の二人が優勝は感慨深く感じました。須本くん股関節治りますように。
    女子の三人も良かった!
    全日本の活躍を期待します。

    • Jun より:

      senninさま

      駿君のコーチのお二人は、なんだか学習塾の若手の先生のようなフレッシュな感じがして、特に男性のコーチは、フリーのスコアを見て「すげーぞ、すげーぞ」と本人よりも動揺してましたね。でも、駿君の練習でのジャンプの成功状況と、ジャンプ構成を把握しているはずだから、なんでそこまで驚くの?という感じはしましたが(笑)。

      しかし、男子に関しては、もしかすると今回の注目選手たちは来季も全員ジュニア残留の可能性がありますね。シニアの方が枠が余ってるのでは?という気がしないでもないですが、どうなるんでしょう。