JGPアメリカ(男子フリー)感想

JGPアメリカ(男子フリー)感想

リザルトは「こちら」。フィギュアスケート速報さんは「こちら」で。上位4選手を順番に見ていきます。私がライブで見れたのは、マリニン・駿君・ゴゴレフの最終Gの3人のみでした。

駿君。フリーは137.93の1位。合計217.12で優勝。シニアでもトップレベルで戦える構成を見事に滑り抜きました。たしかに、着氷が乱れたり、転倒もあってGOEはゴッソリ減点されているんですけど、冒頭からの5本の高難度ジャンプのすべてが認定されて、しかもUR・DGがゼロというのが凄い!JGPデビュー戦で、こんなことができる選手がいますか?

4Sと単発の3AのSOは「惜しい!」の一言で、微調整ですぐにでも成功できるクオリティ。4T-3Tのセカンドのお手つきも同様です。3A-2Tと単発の4Tは文句なし!この5本のジャンプをノーミスしたら、このフリーのスコアから、単純計算でGOEはおそらく合計+15点前後、これにPCSの上乗せもあるでしょう。

彼のクワドや3Aを見ていると、羽生君をのぞく日本男子の誰よりもすでに余裕をもって降りているので、いずれ「跳んで当たり前」のジャンプになるんじゃないかと。そうそう、ラストの3Lzを転倒したので、コンボ券が一つ余っています。ジャンプの才能は誰もが認めていましたが、それを本番で成功できるコンディショニングとメンタルの強さも証明したのですから、本当に素晴らしいですね。

次戦は、第6戦のクロアチア大会(9/25~28)に出場予定です。この6戦目は、ゴゴレフ、フランスのアダム、ロシアのダニエリャンとサムソノフ、アメリカのトルガシェフと、今大会よりもはるかにキツいメンバーがアサインされているので、楽しみですね。

ゴゴレフ。フリーは124.85の5位。合計203.70の2位。衣装(らしきもの)から、ジャンプを降りた後のフリーレッグとか、何から何まで、ネイサン風に染まっていましたね。身長が伸びた影響なのか、構成を落としてもジャンプの軸が安定せず、不本意な内容でした。正直、ここまで崩れるとは意外でした。

素質は十分だし、昨シーズンの実績もあるので、多少ジャンプの難度を落としても、ノーミスできればスコアの計算できる選手。まだまだ警戒しなきゃいけない強敵です。次戦、どう立て直してくるか要注目ですね。

ロシアのルトフリン。ミーシン門下の15歳。フリーは137.23の2位。合計203.50の3位。SPでは5位だったのですが、フリーでは、4Sと3Aを2本決めて、一気に順位を上げてきました。中盤以降、はっきりガス欠気味で身体が動いていなかったですが、気合いで滑りきりましたね。よく頑張ったと思います。

ジュニアの選手であってもアメリカまで帯同するミーシン先生。お元気そうで何よりです。

マリニン。フリーは130.38の3位。合計201.72の4位。この選手の3Aは本当に素晴らしいですね!SPのアクセルがマグレではなく、このフリーも2本ともにキレイに降りました。ループがシングルに抜けた所が残念でしたね。あれを決めていたら表彰台だったはずです。まだ若さを感じさせる部分も多いですが、「あのSEIMEIの子が・・・」と感慨深いです。

JGPシリーズが開幕する前に、鍵山君と駿君は、「どこかの試合で台乗りできるだろう」と予想はしていたんですけど、ともに1戦目を勝つとは・・・。完全に予想の斜め上を行く大活躍!素晴らしいです。次戦、優勝ではなく台乗りでも、そろってファイナル進出の可能性は高いですが、守りに入らず攻めの構成で、今のうちからシビれる修羅場をどんどん経験してほしいものです。

明日・明後日で、女子とアイスダンスを見ていきます。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. おの より:

    駿君、おめでとう!
    まさか優勝するとは思ってなかったです
    すいません。
    希望が持てますね
    コゴレフ君、どうしたのかな?
    仰る通り、ネイサン君のスケートみたいですね
    コーチの教えに忠実なのでしょうか?
    今ダンスのうたしん見た所です
    最後惜しかった!
    でも良かったですよね
    たった6ヶ月でここまで出来るとは凄い‼️
    楽しみが増えました

    • Jun より:

      おのさま

      うたしんのスケートを見ていると、心が洗われるし、ハッピーな気持ちになりますよね!

      以前も書きましたが、シングルスケーターが、あんなに楽しそうな表情でプログラムを滑ることはできませんから、この二人には「フィギュアスケートの新たな魅力」を日本のライトなファンにも伝えられるような、そんな選手に成長してもらいたい。

      私の願望ですが、顔の造形はまるで違いますけど、カペラノのようなエンタメ性のあるアイスダンスカップルとして、長く活躍してもらいたいと願っています。

  2. Fakefur より:

    駿君、優勝おめでとうございます!
    私もJGP初参戦にして4回転3本の鬼構成、高難度ジャンプがDG/UR/エッジエラー一切なしで認められたのは偉業だと思います。去年はゴゴレフ君でさえJGP三戦ともグサグサ刺さっていましたから。

    技術面以上に、表現面の向上が素晴らしい。ついにPCS>TESです!腕遣いは前からしなやかでしたが、上半身の体幹の使い方が美しくなって、偉大な羽生先輩のロミジュリを見て研究している効果がよく分かりますね!

    ゴゴレフ君、身体の成長に落とし所がついていない、とテッドが評していましたが、去年のルッツ含めて4回転3本構成から、難易度を相当下げています。本当に調子が悪いのか、競合相手がいないとラファが甘く見ていたのか・・・?

    Junさんも指摘されてますが、助走たっぷりの3Aも、どん詰まり気味の着氷もネイサンそっくり。部屋着みたいな衣装といい、へそだしスピンといい、真似して欲しくないところまで似てしまって・・・。JGPクロアチアは激戦ですから、4回転3本構成に戻してくるでしょうね。

    マリニン君、3Aの入りや空中姿勢に羽生さんからの影響が明確に見れました。後半のレイバックからの2Aの3連なんて、普段からマネして練習しているんでしょうね。人は普段見ているものにしかなれないというのが、三人の少年を見て思いました。しかし、マリニン君は長い足がさらに伸びそうで、そのうち糸始末に苦労しそうですが、応援したい選手です。

    • Jun より:

      Fakefurさま

      すっかり、駿君の「ファン」になっていただいて、嬉しく思います。我々ゆづファンの中でも、「ゆづ以外のスケーター」については「好き嫌い」あって当たり前だと思いますが、このように彼のスケートの魅力を共有できてここ数日は本当に充実しています。

      PCS、けっこう出してもらえてますよね!これは、第1戦でミスのあった川畑さんに対する高い評価にも言えるんですが、そう考えると、我々素人の見る目もなかなかなもんですよ(笑)。そもそも、「羽生結弦のスケート」が我々の基準になっているのだから、当然といえば当然なんですけどね(笑)。

      • Fakefur より:

        駿君、テッドのインタビューで、6練の調整が上手くいかなくても、自分の世界に集中して、落ち着かせた、と答えていましたね。彼は見た目は淡々としていますが、自己修正する力をすでに持っている、一流アスリートの証しですね。

        JGPからこんなエキサイトしてしまい、GPが始まったらどうなることやらです。日常でこんな話はできませんので、Junさんの冷静なレビューを読んだり、皆さんの意見を読んだり、楽しませていただいています。
        こういう場を設けてくださり、ありがとうございます!

        • Jun より:

          Fakefurさま

          そのインタはISUのTwitter垢経由で、私も見ました。

          あのインタビューで面白かったのは、テッドに「今季の目標は?」と聞かれて、駿君が「世界ジュニアの表彰台」と通訳のスケ連の女性スタッフに答えると、「それだけ?」と彼女が圧をかけて、「JGPの表彰台も」と付け加えさせていました。まぁ、テッドがJGPシリーズの仕事をしているので、そりゃ、まずはJGPでの目標を公言しないといけません。

          ただ、まだ15歳ですし、しかもデビュー戦でこういう大人の事情を忖度できたらむしろ「気持ち悪い」ぐらいです。頭の良い彼ですから、いずれスキの無い受け答えをするようになるんだろうなぁと、ある意味で微笑ましかったです。

  3. ごろ寝 より:

    動画ありがとうございます。
    ゴゴレフくん、やっぱりでしたね。調整が難航中と聞いていましたが、身長が伸びる選手の通過儀礼を受けているのでしょうか?身長も手足も短い方がジャンプの回転には有利。今季しばらくは苦しいでしょうが、「ラファ式」ジャンプはISU推奨のはず。天才少年の生末に興味もあり、復活を願います。

    佐藤君、もう高校生なんですね。スケーティングに「パトリック風味」を感じませんか?ジャンプも早い回転で余裕をもって降りられる。羽生さんのように早くにシニア参戦ありかも。もう少し腕の締めを改善出来たら、より軸が細くきれいなジャンプになる気がします。
    鍵山君にも感じたのですが、膝の曲がりが気になります。骨格で仕方がないのか、改善できるのか。点数には反映しなくとも、美しく見えるはず。

    • Jun より:

      ごろ寝さま

      昨シーズンの紀平さんのPCSが、GPファイナルではザギトワとほぼ同じスコアになっていて衝撃を受けましたが、駿君もデビューでこれだけ高い評価を得られているなら、ファイナルや世界ジュニアで表彰台を争うような成績を残せば、グン!と上がるような期待感があります。

      しかるべき成績を残したら、来季からシニアに昇格してもなんら問題ないと思います。そもそも、羽生君以外の日本男子シニアのクワドや3Aなんて、回転不足や転倒だらけじゃないですか。しかも駿君の場合、4Loも練習では降りているので、ちょっと気は早いですが、北京五輪では羽生君とともに日本代表の3枠に選ばれているというのも夢ではない。いや、本人はマジで考えていると思いますね。

      2004年2月6日生まれなので、北京五輪の大会期間中に18歳になるわけですか。スケ連を黙らせるぐらいの成績を残せる選手に成長していればいいですが・・・。

  4. sennin より:

    男子が4回転3本、3A2本入れるようになったのは最近ですからね〜。駿君はスピンがレベルとれるんですけど、さすがにキツくてその辺がグダグダになってしまいました。勝負はワールドですからこれからですね?でもキツそう。まあ、私としてはPCSが70出たのでやはり国際試合に出ないとダメだなあと思っています。全日本のジャッジでは…。
    4ループも降りてるというし今から北京見てますよね!私も結弦くんと出て欲しい!!。

    ところで、回転不足もなくいかにアイスリンク仙台のコーチは正しいジャンプを教えているかと、前から感じてはいましたが今回で再確認しましたが、よく!を取られるフリップは入れて無かったですね?

    日下先生と駿くんの関係がみていて面白くて仕方ないです。キスクラで駿くんは顔を背けているんですもの(笑)一年生で被災して東京のお母さんの実家にお世話になり、学校も転校して半年間川越のリンクで日下先生の指導を仰いだこと諦めなくて良かったですね?そして一途に結弦くんを思い目標に練習してきて、ついに憧れの新ロミジュリをプログラムに入れられるようになりました。表現を参考にしているとコメントしてましたね?両手を胸に持ってきたり、3Aの後右手を挙げてターンみたいな動作も所々似た振りが見えました。最後はクタクタ…そんな駿くんみてたらなんだか胸がいっぱいになってしまいました。
    ゴゴレフくんは衣装の注意を受けたようですね?チョット不調かな?ジャンプも重いように見えました。

    • Jun より:

      senninさま

      日本のジャッジはガン無視でいいでしょう。てか、駿君もよく分かっていると思います。こういう連中のことをいちいち気にしていては、羽生先輩のように天下は獲れないということを。

      徹底的に技術を磨いて、そしてジャンプ偏重にならずに、スケーティングや表現についても、偉大な先輩を参考にして、その水準を貪欲に目指しているんだと思います。

      もし、駿君が来季シニアに即昇格するほどの実績を今シーズン残すようであれば、私は、あの真壁さんも黙っていないと思います。FaOIにも呼ばれるのではないですか?その前に、まずは年末の全日本の最終Gでの「共闘」を楽しみに待ちましょう。

  5. ととちゃん より:

    佐藤駿くん、構成の高さにびっくりしました。2種類のクワドに3Aが2本!確か鍵山くんでもクワドはトーループだけで、3Aも1本だったのでは?
    それが全て認定されたのは素晴らしいですね。しかも、解説によると 練習では苦戦していたようなのに…。メンタル面でも規格外ですね。

    今が成長期であることを考えると、試合ごとに強くなっていくのでは、と期待してしまいます。ファイナルでの、鍵山くんとのダブル表彰台実現も夢ではありませんね。

    ライバルとなるゴゴレフくん、フリーは調子が出なかったようですね。衣装については、ネイサンも以前、間に合わなかった時があったので、多分これは暫定的なものだと思うのですが…(SPの衣装と余りに乖離しているので)。ジャンプの軸が取りにくそうなので、
    次戦までに修正出来ればいいですね。

    • Jun より:

      ととちゃん さま

      たしかに、テッドが「6連でのジャンプの不調」の件を触れていましたね。私は6連の映像は見ていないんですけど、それでもしっかり決めきる所は、メンタルもいいモノを持っているということなんでしょう。「勝てるアスリート」になるためには必要な才能ですね。

      ゴゴレフ君は、クワドはともかく、3Aは昨シーズンはキレイに決めていただけに、あの軸の傾き具合は心配でした。身長か、練習環境か、要因はいろいろあるのかもしれません。