「フィギュアスケート・カルチュラルブック2021-2022」

「フィギュアスケート・カルチュラルブック2021-2022」

2022年5月7日発売。定価「1,650円」。マッシさんの2本の特別寄稿を読んでみましたが、基本的には彼のこれまでの主張を踏襲したものです。

近年に起こったことを観察すると、数年間に渡って羽生結弦が主要な体現者であったフィギュアスケートのコンセプトは取り返しがつかないほど失われてしまっていることが分かる。日本の天才がずっと主唱者となっている技術と芸術の完璧な結合は、どんどん減少している。ますますエスカレートしたジャンプ至上主義が芸術的ジェスチャーを侵略し、現在の採点システムの疑わしい適用のせいで、プログラムはもはやジャンプエクササイズになり果てようとしている。しかも、そのジャンプさえも修正不可能な技術を使って実施されることが多いのだ。

日本のマスコミは異様なほどダンマリなこの問題が、紙媒体の中で提起されていること自体が希少で、意義深いですよね。実際、芸術面で見るべき点のあるスケーターって、パッと思い浮かべるのは大変です。よく言われるのはジェイソンですけど、元々上手な選手ですが、近年はプログラムがイマイチで、そこまで深い印象に残りません。北京五輪で見られなくて残念でしたけど、コリヤダも技術と芸術を高いレベルで融合させた選手の一人。しかし、彼の場合は国の事情がアレなんで、もしかしたら試合でもう見られない可能性さえあります。

あとは、モンペリエワールドのフリーで「会心の演技」を披露したカムデン君には来季期待しています。先日結婚したハン・ヤンもまだ現役を続行しているはずなので、頑張ってもらいたいです。

マッシさんの指摘をもう少しご紹介しましょう。

主要なメダル候補達は皆判で押したように、振付を犠牲にしても(2018年7月のルール改定以降のSPでは)4回転ジャンプを2本跳ぶつもりでリンクに降りた。両足滑走を乱用し、トランジションを最小限まで削ることに躊躇はなかった。

このようなアプローチには2つの理由がある。まず4回転ジャンプの数が、いわゆる演技構成点に反映されるということだ。この傾向は年々通常運転になっていった。つまり、4回転ジャンプの数を増やし、片足で着氷すれば、演技構成点の5項目の得点も自動的に上昇するという傾向だ。本来、演技構成点はジャンプ構成の難度と連動するべきではないにもかかわらずだ。

第二に、正しく着氷された4回転ジャンプに対して、ジャッジが特に寛大な評価を与えることだ。・・・実施されたエレメントの基礎点のおかげで、(ネイサン・)チェンは出来栄え点でもライバル達より高い得点を獲得し、近年流行している議論の余地のある前述の傾向によって、(北京五輪のSPの)演技構成点でも5項目中4項目で最も高い得点だった。唯一の例外が、羽生が最も優れていたと評価されたトランジションの得点だった。

不思議なことにこの「連動効果」は他のエレメントの出来栄え点にまで及び、正しく実施されなかった疑いのあるスピンにもひときわ寛大な評価が与えられた。特にチェンのケースでは、氷上に置かれた方の脚の腿のポジションが正しかったか確認しなければならない。おそらく規定の回転数を回っている間、正しいシットポジションをキープできていなかった。

ネイサンのスピンの問題は、ガンディさんが詳しく検証してくださっているので、皆さまもご存じかと思います。ただ、4回転を降りたどの選手のPCSに対しても一様に「寛大な評価」が与えられているわけではなく、そこは政治力も加わっているのは明白でしょう。残念ながら、その恩恵を日本選手が受けることもありましたからね。

(ルールの歪みとその疑わしい適用に対する)ソリューションは存在する。羽生自身が卒業論文の中で具体的に示したテクノロジーを正しく活用するところから全てが始まるはずだ。2022年の今、試合の結果を左右するジャンプの回転や正しいエッジを人間が肉眼で判断しなければならないなどということは考えられない。同様に、ジャッジの役割を見直して簡略化し、審査システムを効率化して彼らの権限を最低限に抑えることを目指すべきである。

もはや、人間があの短時間であれだけ多くの項目を正しく判定するのは不可能なんですよ。にも関わらず、彼らが「予算」を理由にカメラの台数を増やすことに抵抗してるのは、まともに採点する気がそもそも無いと言っているに等しい。ジャッジの「性善説」に期待していてはこのスポーツに未来は無いので、マッシさんのおっしゃる提言に私も賛成です。・・・ですが、彼らが己を悔い改めて、テクノロジーを本格導入するのは、羽生さんが現役を引退して、フィギュア人気が地に堕ちてからになるんじゃないですかね。

では、また明日!

Jun

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コメント

  1. みつばち より:

    こんにちは 更新ありがとうございます。

    サッカーも「中東の笛」とかあってなんでここでファールとらないの?なんでここでペナルティ・キックなんだ?という感じで進む試合にイライラさせられることがあります。

    フィギュアスケートはその個人版で、シットスピンといいながら中腰スピンだったり、下で270度回ってから飛ぶ「4回転」とか、ルールに詳しくない私にもあからさまにわかってしまうイカサマがまかり通ってますね。

    まだ何者でもないジュニアを一線級の選手であるかのように持ち上げたり、すでに勝利したというのならやって見せなさいよ、と言いたいです。次のシナリオは用意されてるのかな、白ける~

    Faoiは名古屋、神戸、静岡行けます。珍しくクジ運が良いです。

    • Jun より:

      みつばちさま

      サッカーはあれだけ抵抗のあったビデオ判定もすでに定着しましたから、時計の針が止まったままのフィギュアスケートの異常さを改めて感じますよ。

      フィギュアスケートって、ルールもそうだし、メディアもそうだし、ストレスと隣り合わせで観なきゃいけないのがツライので、私は他の趣味に逃げてますね(汗)。

      3公演当選、おめでとうございます!感染も徐々に落ち着きつつありますし、ぜひ楽しんできてください。