「GINZA(2024年12月号増刊)」感想

「GINZA(2024年12月号増刊)」感想

2024年11月12日発売。定価「980円」。

この雑誌、やっぱり若い人向けだなぁ・・・と思ったのが、羽生さんのインタビューの字が小さすぎますって!

まぁ、老眼と当たり前のように付き合うようになって何年も経つんですけど、スマホの画面も電子書籍もメガネを外して裸眼じゃないと読めなくなってるんですが、スマホの場合、文字サイズを調整できますからね。もしかすると、雑誌・書籍・新聞等々、紙媒体が売れなくなったのって、高齢化の影響もあるのかもしれません。

それはさておき、テキストの冒頭部分で、「短い休憩を挟みながらノンストップで7時間に及んだ撮影」とありますが、ごめんなさい、たったこれだけの枚数の写真に7時間もかかるの?とビックリでした。衣装の着替えは4回かと思いますが、インタビュー込みだとしても、7時間(以上?)も拘束されるのだから、よくこのお仕事を引き受けたなぁ・・・と思います。でも、以下の発言を目にして、ハッとさせられたんです。

「手をつかない側転は、今回の撮影で初めてトライしてみました。カメラマンの方や照明の方との阿吽の呼吸感で、即興で自由にクリエイションしていくのが面白かったですね」

「プロになったからこそ、僕自身の内側からもっと特別なものを発していかないと、エンターテインメントの世界では生き残れないと思うから」

ああ、そういうことなのか・・・。すべてはスケートのためなのかと。つまり、既存のアイスショーの枠をぶち破って、Ice Storyを独自のエンタメとして確立するためには、「スケート村界隈だけの仕事」をこなしているのでは表現面での限界があると感じているんでしょうね。

そう考えると、GUCCIのアンバサダーを引き受けた「狙い」も見えてくるような気がしています。GUCCIのようなハイブランドをまとってフォトセッションをする場合、これまで付き合いのあるスポーツフォトグラファーの方々が求めるポージングとはまるで違ってくるだろうし、そこで得た経験・感触が、新たな振付のヒントになっているのでしょう。MIKIKO先生とのミーティングにもその経験を持ち帰っているのかもしれません。

羽生さんが口にすることは無いですけど、私見ですが、「同じ事をやっていては飽きられる」という表現者としての危機感が、この探究心の源泉にあるような気がしますね。

さて、今回個人的に一番好きなショットは、断然72ページですね。ポーズ自体はいつかどこかでやっていたのかもしれませんが、スケートを滑る格好ではないからこその躍動感というか、このGUCCIの衣装とこのダイナミックなポージングの組み合わせが新鮮なんですよ。そう考えると、今後衣装デザインも大胆に変えてくるような予感もしています。

僕の演技や写真を見た方が『これからも頑張ろう』とか『明日も生きていこう』と思ってくださる、そんな存在でありたいと強く思います。そうやって社会とリンクしていくことで、生きる意味を強く感じていきたい。その自覚こそが神様から僕への贈り物なのかもしれません」

こういうことをはっきり言葉で発してくれて嬉しく思います。以前の羽生さんは、「僕なんかのために」という言い方をすることがたまにあって、羽生さんそれは良くないよ?と思っていたんですよ。そりゃあ、「あの村」で長年あんな扱いを受けていたら、ついそういう言葉が出ちゃうのかもしれないけど、あなたのような人が「僕なんか」と自身のことを表現していたら、俺なんかは一生ずっと自己嫌悪・自己反省しなきゃいけなくなるんだけど?と。

でも、プロ転向後に「外部の人」とたくさんお仕事をするようになって、羽生さんが本来持つべき自信というか価値に気づくようになって、前向きな発言・行動が増えたように思います。あくまでも外野の意見ですよ。そして、彼の世界はまだまだ広がっていくだろうし、未来は明るいです。そんな彼を引き続き応援したいと思っています。

では、また明日!

Jun


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コメント

  1. ごろ寝 より:

    Junさんの感性、捉え方。いいですね。
    語彙力ほぼ無い自分ですので、この纏めに感謝です。

    将棋のお話も少しずつ勉強しなくては。

    • Jun より:

      ごろ寢さま

      お褒めいただき、恐縮しております。

      将棋は指せた方が楽しいですよ。べつに藤井聡太さんの指すような角換わりを指せなきゃ彼の将棋が分からないってことはありません。

      ぴよ将棋のLv1からでいいと思います。駒の動かし方を覚えたら、作戦は振り飛車なら何でも。私は角交換四間飛車がエース戦法ですが、ゴキゲン中飛車も分かりやすくて楽しいですよ。