探偵・矢能シリーズ読了！

最近どハマりしている木内一裕さんの「探偵・矢能シリーズ」の現時点での全5作品を読了しました。元ヤクザの探偵・矢能政男（やの・まさお）を主人公とする「ハードボイルド・ミステリ」です。

（1）『水の中の犬』（2）『アウト＆アウト』（3）『バードドッグ』（4）『ドッグレース』（5）『ブラックガード』が矢能シリーズで、絶対に順番に読むべきですが、ラストに向けての疾走感が強烈という意味で『ドッグレース』が一番印象に残っています。

以下、ネタバレを回避しながら、本シリーズの特徴を挙げておきます。

・矢能は40代後半の長身の元ヤクザ。これまで2作品が映像化されていて、矢能を演じたのは、成瀬正孝さんと遠藤憲一さん。

・まず、読みやすいです。5作品すべて講談社文庫で読みましたが、いずれも300頁前後なんですけど、あっという間に読めます。4作目と5作目は先週土曜の深夜から読み始めて、2冊一気読みで朝になってました。

・「元ヤクザ」ということだと、「腕力解決型の探偵で、暴力シーンがたくさんあって・・・」と想像されるかもしれませんが、まったくそんなことは無いです。人脈を豊富に持っていて、交渉に力を発揮する男で、かと言って講釈垂れる頭脳型でもなく、行動・発言に無駄が無いのが特徴です。ちなみに、「お色気シーン」もゼロです。

・どの作品も読後感が良く、ユーモア要素も盛り込みつつ、会話が「小気味良い」のが読みやすさの要因ではないかと。この「小気味良い会話」というのは、木内さんがもともと漫画家だったことが影響を与えているでしょうね。人物描写・風景描写等は必要最小限なんですけど、「正確で簡潔」なのでイメージが沸かないということはありません。てか、全作品で東京が舞台なので、私にはそれほど必要ないのかもしれません（＊実は、黒川博行さんの「疫病神シリーズ」も興味があるんですけど、大阪のことが分からないので、ちょっとなぁ・・・と手が出ないのです）。

・嫌な女性が出てきません。小学生の女の子がレギュラーメンバーとして登場しますが、調査に直接関係することは無いんですけど、とても賢い子です。

・シリーズ作と言っても「マンネリ回避」を意識してストーリーを作っているなぁと。そして、「エンタメ」に徹するスタンスも、読みながら感じる所です。ちなみに、私の好きな脇役で古谷次三郎というベテラン刑事（体重150kg以上の巨体）がいて、彼が登場すると「デカとしても人としてもどうしようもないクズ野郎」という身も蓋もない説明がなされるんですが、彼と矢能とのかけ合いが大好きで、登場のたびにニヤニヤしてしまいます。

以上、ざっとこんな所ですか。とにかく、矢能がめちゃくちゃカッコいいので、女性の読者もそれなりにいるのでは？と想像しています。というか、性描写・残酷描写がほとんど無いので、小学生でも楽しく読める気がします。とはいえ、令和の小学生が矢能の発言と行動をカッコいいと思うかどうかは不明ですが。

矢能シリーズ以外も少しずつ揃えていまして、いま数えた所では10冊あるようです。これは全て読むとして、映像作品をどうしよっかなぁ・・・とか、さすがにビーバップまではなぁ・・・とか、まぁ、シリーズ外の10作品を読んでから考えることにします。

では、また明日！

Jun

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